スーパーバイク世界選手権 WSB
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどWSBに関する情報をお届けします。
Rd.08 8月6日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第8戦イギリス大会
■開催日:2006年8月6日(日)
■開催地:イギリス/ブランズハッチ(1周4.197km)
■観客数:115,000人
■周回数:25周(104.925km)×2
■天候:晴れ ■気温:29度
■PP:T・ベイリス(ドゥカティ/1分25秒449)
■FL:J・トーズランド(ホンダ/1分26秒351)
REPORT
YZF-R1の芳賀、第2レース優勝!
ヤマハモーターイタリアの芳賀紀行が激しいバトルを制して優勝を果たし、ブランズハッチにつめかけた大勢の観客を魅了した。またチームメイトのA・ピットも3位を獲得。二人がそろって表彰台に上ったのは今季2回目。
芳賀は第2レース、ランキングトップのT・ベイリス(ドゥカティ)と終始、トップ争いを展開。息をのむほどの激しい攻防戦を85kmにわたって繰り返した末に、コンマ2秒差で振り切り優勝を果たした。第1レースではベイリス、J・トーズランド(ホンダ)に続く3位に入った芳賀。第2レースはセッティングの異なるスペアマシンを使用して、ブランズハッチで4回目となる優勝を勝ち取った。終始、接近戦を繰り返した芳賀とベイリスは、毎回ゴールライン通過の計測では1/4秒以上の差がつくことはない接戦だった。ベイリスは最終ラップでさらにプレッシャーをかけてきたが、芳賀は持ち前のライディングスキルを存分に使ってブレーキングを遅らせ抑えきった。
一方のピットは、スタートで出遅れたものの見事な挽回を見せて第1レースで4位、第2レースは3位表彰台を獲得する大健闘。両レースともにスタートラインで回転を上げ過ぎてしまったピット。これで中段くらいまでポジションを下げてしまったが、上位陣に劣らぬペースで挽回してこの快挙を得た。
ヤマハモーター・フランスの阿部典史とS・ジンバートはそれぞれ、13/13位、15/14位という成績で着実にポイントを獲得。初めてブランズハッチを走った中冨伸一も19/17位で走りきった。またワイルドカードでバージン・モービル・ヤマハから参戦したT・ヒルが第1レースで11位を獲得。第2レースはマシントラブルでリタイヤした。
シーズンの3分の2が終了したこの時点で芳賀はランキング2位。トップのベイリスを77ポイント差で追っている。ピットは依然として6位につけているが、前との差を詰めてきており、4位のT・コルサー(スズキ)との差は36ポイント。5位にはA・バロス(ホンダ)がつけている。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | AUS | Ducati | 36'26.855 |
2 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'01.657 |
3 | 芳賀 紀行 | JPN | Yamaha | 0'02.248 |
4 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'02.860 |
5 | 加賀山 就臣 | JPN | Suzuki | 0'09.666 |
6 | T・コルサー | AUS | Suzuki | 0'16.731 |
7 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 0'16.892 |
8 | A・バロス | BRA | Honda | 0'20.707 |
9 | R・ラコーニ | FRA | Kawasaki | 0'25.196 |
10 | R・チャウス | ESP | Ducati | 0'25.338 |
11 | T・ヒル | GBR | Yamaha | 0'26.477 |
12 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'26.709 |
13 | 阿部 典史 | JPN | Yamaha | 0'27.335 |
14 | F・ニエト | ESP | Kawasaki | 0'29.465 |
15 | S・ジンバート | FRA | Yamaha | 0'39.195 |
16 | V・イアンツィオ | ITA | Suzuki | 0'40.408 |
17 | S・マーチン | AUS | Petronas | 0'42.389 |
18 | R・ロルフ | ITA | Ducati | 0'48.053 |
19 | 中冨 伸一 | JPN | Yamaha | 0'51.243 |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 芳賀 紀行 | JPN | Yamaha | 36'29.709 |
2 | T・ベイリス | AUS | Ducati | 0'00.184 |
3 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'02.242 |
4 | R・ラコーニ | FRA | Kawasaki | 0'06.523 |
5 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'07.073 |
6 | T・コルサー | AUS | Suzuki | 0'07.521 |
7 | 加賀山 就臣 | JPN | Suzuki | 0'10.903 |
8 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 0'19.715 |
9 | A・バロス | BRA | Honda | 0'22.202 |
10 | R・チャウス | ESP | Ducati | 0'26.797 |
11 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'29.702 |
12 | M・ファブリツィオ | ITA | Honda | 0'29.804 |
13 | 阿部 典史 | JPN | Yamaha | 0'31.829 |
14 | S・ジンバート | FRA | Yamaha | 0'34.177 |
15 | V・イアンツィオ | ITA | Suzuki | 0'35.267 |
16 | S・マーチン | AUS | Petronas | 0'40.940 |
17 | 中冨 伸一 | JPN | Yamaha | 0'43.413 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | Ducati | 307 |
2 | 芳賀 紀行 | Yamaha | 230 |
3 | J・トーズランド | Honda | 219 |
4 | T・コルサー | Suzuki | 193 |
5 | A・バロス | Honda | 166 |
6 | A・ピット | Yamaha | 157 |
13 | 阿部 典史 | Yamaha | 77 |
17 | 中冨 伸一 | Yamaha | 29 |
19 | S・ジンバート | Yamaha | 18 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 317 |
2 | Honda | 267 |
3 | Yamaha | 259 |
4 | Suzuki | 259 |
5 | Kawasaki | 140 |
6 | Petronas | 4 |
COMMENT
芳賀紀行選手談(3位/優勝)
「第1レースでは、最後の5周で思うようにプッシュできなかったので、第2レースはセッティングの違うもう一台のバイクを使用した。トロイとものすごい戦いになって、今度こそ、彼のエキゾーストパイプをもう2度と見ないようにと心に決めたんだ。このレースで勝てたことは本当に嬉しい。これまでにも何度も何度もかなり接近したが、結局いろいろな理由で優勝できなかった。今日はマシンのフィーリングもとても良くて、タイヤも最後まで完璧に働いてくれた」
A・ピット選手談(4位/3位)
「両レースともにスタートで大きく出遅れてしまった。僕のR1はふだん真っ先にラインを飛び出していたので、今回のことには驚いてしまった。おそらく緊張していて回転を上げ過ぎたんだと思うけれど、いずれにしてもこのことで大きく順位を下げてしまった。そのあとはとにかく身体を伏せて前を目指し、出来るかぎり早く抜いていくことだけを考えた。リズムは良かったので、第1レースで4位まで上がることができたときには本当に嬉しかった。だから第2レースも同じ展開になって、さらには3位まで上がって表彰台を獲得できたときにはもっともっと嬉しかった。しかも今回は、オーストラリアから友達が何人か応援に来てくれていた。遠いところをわざわざ来てくれた彼らに、いいレースを見せることができて本当に良かった」
阿部典史選手談(13位/13位)
「ブランズハッチは難しいね。本当に難しい。昨日までならもう手も足もでない感じでまったくチャンスがなかったよ。でも今日はそれほど悪くなくて、第1レースでは多くのライダーとバトルすることもできたしポイントもとることができた。でもそれが精一杯だった。第2レースはセッティングを変更して臨み、最初のうちは良かったけれど、最後の最後になってリアがスライドし始め、すっかりペースが落ちてしまった。それでも予選までに比べたらずっと良かったんだけれど...」
T・ヒル選手談(11位/リタイヤ)
「世界選手権のレースペースはとっても速かった。ニエトをパスして、ウォーカー、加賀山を追っていきたかったが、それまでに時間がかかり過ぎてしまった。第2レースではリアのグリップを上げようとタイヤを別のものに変えたが、マシンが走らずリタイヤするしかなかった。とても残念だったが、とにかく世界選手権のレベルは別世界。そのなかで今日は非常に多くを学ぶことができた。とても良い勉強になった」
S・ジンバート選手談(15位/14位)
「第1レースはスタートがうまくいったのに、その後ちょっとしたミスをして順位を下げてしまった。4周目くらいからタイヤがグリップしなくなったが、それでもポイントを取るために全力で攻め続けた。第2レースはスタートで少し出遅れてしまい、14位まで挽回するのが精一杯だった」
中冨伸一選手談(19位/17位)
「とても難しいコース。乗っていて楽しいんだけど、なかなかコースを理解できなくて、速く走るのは難しい。第1レースではプラクティスまでよりはずっとフィーリングが良くなっていた。そして第2レースはさらに良くなった。リザルトはあまり良くないが、ここまで進歩できたことには満足している」
M・メレガリ、ヤマハモーターイタリア・WSB・チーム監督談
「1カ月の夏休みに入る前のこの一戦で、チームとして素晴らしい成績を残すことができた。第1レースが終わったときに紀行が私にこう言ったんだ。‘このバイクではこれ以上速く走れない。でももうひとつのほうなら優勝することができた'ってね。この3日間でスペアマシンで走ったのはほんの10ラップくらいのはずなのに、ちゃんと理解していて、そしてそのとおりに優勝してしまった。アンドリューもいい走りを見せてくれた。第1レースのあとでスタートの失敗を反省していたが、残念ながら第2レースはもっとひどくなってしまった。それでも見事な挽回を見せてくれた。そしてふたり揃って表彰台に立つことができたのだ」
M・ガルシア、ヤマハモーター・フランス・チーム監督談
「全員がしっかり走りきったのだから、そう悪くはないだろう。それに、そのうちのふたりはポイントを獲得しているので、チームとしてまずまずだ。我々の前にいるのはファクトリーマシンばかりだ。だからこの成績を誇りに思っている」