LEGENDARY MACHINES
これまでに、鈴鹿8耐を彩ったヤマハのマシンを紹介します。
1988年、ヤマハの鈴鹿8耐2年連続優勝を担ったマシン。市販スポーツFZR750をベースに開発したファクトリーマシン。水冷4ストロークDOHC・直列4気筒・5バルブエンジンは、EXUP(可変排気バルブ)、FAI(フレッシュ・エア・インテーク)などを熟成させ織り込み、デルタボックスフレームに搭載された。ウェイン・レイニー(米)/ケビン・マギー(豪)組が駆った。
この年は、前評判通り有力優勝候補者が予選上位を占めた。ポールポジションはW・レイニー、2番手には鈴鹿を得意とするW・ガードナー(ホンダ)、3番手にこの年の日本GPで優勝したK・シュワンツ(スズキ)が並ぶ。優勝争いは1回目のライダー交代直後に始まった。序盤の1時間は、4周目からトップに立ったガードナーと、コーナー毎にバトルを繰り返すレイニーとの差は全くなく、GP並みの迫力が場内を沸かせた。
そして1回目のライダー交替後、ガードナーに替わったニール・マッケンジーと、レイニーに替ったケビン・マギーには、この日のラップタイムに歴然とした差があった。1ラップで約2秒速いマギーは、そのピットアウトの次周の第1コーナーで首位に立つと着実に差を広げていく。2回目のライダー交替となる46周目には、50秒近いアドバンテージを築いていた。その後もレイニー&マギー組は順調にトップを走り、202周、8時間2分21秒の新記録で圧勝した。そしてレイニーは、この8耐優勝の興奮も冷めやらぬ1週間後のイギリスGPで、GP500初優勝を飾る。それは、その後のレイニーの世界チャンピオン獲得街道への第1歩だった。