ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 8月31日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦イギリスGP
■開催日:2014年8月31日(日)決勝結果
■開催地:イギリス/シルバーストーン(5.902km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:29度
■PP:M・マルケス(2分00秒829/ホンダ)
■FL:M・マルケス(2分01秒980/ホンダ)
REPORT
ロレンソとロッシが2位、3位!
モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシが、それぞれ2位と3位を獲得し、3戦連続でふたりそろって表彰台に立った。
ロレンソは3番グリッドから絶好のスタート。ホールショットを奪って真っ先に第1コーナーへ。そのままペースを上げて逃げ切り態勢をつくりたかったが、背後についてきたM・マルケスを振り切ることができない。2台はコンマ5秒と離れることなく激しい接近戦を展開。残り7ラップとなって、ついにマルケスが動き、ストー・コーナーでロレンソをパス。ロレンソはすぐさま抜き返そうと果敢に攻めるがなかなか届かない。
それから2ラップが過ぎて残り5ラップ。マルケスがコーナーではらむ間にロレンソがトップに再浮上。もう一度、振り切ろうと試みるも叶わず、逆に2ラップ後のビレッジ・コーナー進入でマルケスが激しい攻めを見せる。懸命にリードを守ろうとしたロレンソだが、ループ・コーナーで危く接触しそうになったため一歩引いて2位へと後退。優勝はマルケス。ロレンソは0.732秒差で2位とし、最高峰クラスで自己通算80回目の表彰台に上った。
一方、チームメイトのV・ロッシは自己通算246回目のグランプリ出場。最高峰クラスの出場回数はMotoGP史上、最多となった。予選6位でセカンドロウからスタートしたロッシは、A・ドビツィオーゾ、A・エスパルガロに続く5番手。レース序盤はエスパルガロとバトルを繰り広げ、最終的にはロッシがストー・コーナー進入で前へ。そのあと前を行くドビツィオーゾとの差を詰めていき、4周目のアベイ・コーナーでパスを試みるが届かず。トップ争いの2台に何とか追いつきたいロッシは、2度目のトライでドビツィオーゾをとらえて3位浮上に成功した。ところが後方からもうひとりのライバルが追い上げにより、8ラップ目で4位へと後退。それから4ラップ後、またもストー・コーナーで勝負をかけて3位を奪還した。この間にマルケスとロレンソはさらにリードを広げており、ロッシはトップから8.519秒離されてチェッカーを受けた。
シリーズポイントでは、ロレンソが合計157ポイントでランキング4位をキープ。32ポイント差でチームメイトのロッシを追っている。ロッシは合計189ポイントでランキング3位。2位のペドロサとの差はわずか10ポイント。
モンスター・ヤマハ・テック3のP・エスパルガロが6位を獲得し、サテライト勢のトップに立った。午前中のウォームアップ・セッションではマシンの最終調整を行いながら3番手のタイムを記録したエスパルガロ。決勝ではグリッド8位からスタートし、ひとつ落として9位でオープニングラップを終了。序盤はなかなかリズムがつかめず苦労したものの、少しずつペースが上げて、やがてチームメイトを含めた3台による6位争いのグループに追いついた。ハイペースを維持して果敢に攻めるエスパルガロは、10ラップ目までに7位へ浮上。次にA・イアンノーネに照準を定め、16ラップ目にこれをパスして6位に上がった。この結果、シリーズポイントではランキング7位をキープしている。
一方、地元のヒーロー、B・スミスは、ホームGPでバッドラックに遭遇。絶好のスタートを切って好調にレースを進めていたが、12ラップ目、リアホイールが破損しリタイアを余儀なくされた。
グリッド7位から飛び出したスミスは、すぐにペースを上げてファクトリー・マシンに食らいついてゆく。そして4ラップ目には6位に上がり、イアンノーネと順位を入れ替えながら激しいバトルを展開。ところが中盤になって、リア周りに違和感があったためピットに戻るとリムが破損していたことが判明した。それでもファンの声援を受けて再スタートを図り、ハイペースで最後まで走り切って22位でチェッカーを受けた。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロが、ブラドル、イアンノーネ、ポル・エスパルガロとの激しいバトルを繰り広げて9位を獲得。
絶好のスタートからオープニングラップで4位につけたエスパルガロ。しかしコーナー進入のブレーキングで前に出るものの、ストレートで抜き返されて少しずつ順位を下げ、最終的に9位でチェッカーを受けた。シリーズポイントでは合計92ポイントとなりランキング6位をキープしている。
チームメイトのA・デ・アンジェリスは朝のウォームアップ・セッションで2回の転倒。右手首に痛みがあったが、決勝は6列目からスタートして15位を獲得した。
次回は2週間後、サンマリノはミサノ・サーキットで開催される。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 40'51.835 |
2 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +0.732 |
3 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +8.519 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +8.694 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +9.238 |
6 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +24.746 |
7 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +26.717 |
8 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | +26.910 |
9 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | +33.455 |
10 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +39.094 |
11 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | +40.255 |
12 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | +43.027 |
13 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | +52.245 |
14 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | +58.981 |
15 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | +59.164 |
16 | L・キャミア | Drive M7 Aspar | Honda | +1'05.680 |
17 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'10.939 |
18 | D・ペトルッチ | Octo IodaRacing Team | ART | +1'16.834 |
19 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | +1'16.904 |
20 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | +1'34.939 |
21 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'38.442 |
22 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | -1lap |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 288 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 199 |
3 | V・ロッシ | Yamaha | 189 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 157 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 129 |
6 | A・エスパルガロ | Yamaha | 92 |
7 | P・エスパルガロ | Yamaha | 88 |
10 | B・スミス | Yamaha | 65 |
18 | C・エドワーズ | Yamaha | 11 |
25 | A・デ・アンジェリス | Yamaha | 1 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 300 |
2 | Yamaha | 214 |
3 | Ducati | 136 |
4 | Forward Yamaha | 95 |
5 | PBM | 8 |
6 | AVINTIA | 6 |
7 | ART | 4 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(2位)
「昨日までのことを考えれば、決勝は予想以上の出来だったと言っていいだろう。スタートが絶好で、そのあとも今までにないくらい激しく、まさに100%でプッシュした。自分で誇れるくらいにね。ただひとつ残念だったのは、今回はマシンがベストの状態ではなかったこと。チームとともに懸命に作業に取り組み、プラクティスのたびに少しずつだが着実に前進してきてはいたけれど、やはりまだマルクの好調さには届かなかったのだと思う。だから僕は必死でプッシュし、彼のほうは少し余裕を持っていた。このペースをキープして走るのは、僕にとっては体力的にもかなり厳しいものだったんだ。そして彼との最後の戦で大きく離されることになってしまった。彼があのコーナーで、1速に落として右側から入ってくることはわかっていた。でも僕はそれをさせなかったんだ。そしてアウト側でスロットルを開けたら彼がぶつかってきた。次のコーナーでも進入でまた接触され、その結果、コンマ7秒も離されてしまった。ウイーク初日には1.3秒も遅かったが、今日は20ラップを走って0.7秒差。そう思えば素晴らしいよ! チームのみんなの見事な仕事ぶりに感謝。おかげでここまで来ることができた。僕自身も最初のコーナーから最後のコーナーまでベストを尽くしたよ。ただライバルたちほどアグレッシブには乗れなかった。理想的なラインから少し開けなければならなかったため、コーナースピードが落ちてしまったんだ。ここが彼らとの違い。でも彼らには彼らの、僕らには僕らの長所がある。ただブレーキングで苦労したことが不運だった。これからもマシンを改良し続け、優勝を狙っていきたい」
V・ロッシ選手談(3位)
「表彰台を獲得することができてハッピー。シルバーストーンはいつも苦労する場所で、表彰台に立ったのはこれが初めてなんだ。序盤はペースも良く、ホルヘが前で激しくプッシュしていたからラップタイムもかなり速かった。僕も初めは彼らについていけたんだけれど、ドビツィオーゾにつかまっている間に少しずつ差が広がってしまった。トップのふたりに追いつこうとリアタイヤを使いすぎてしまい、後半はペースを落とすしかなくなって、そのあとはペドロサ、ドビツィオーゾとバトルすることになった。ペースは良かったので前をキープしようと決め、その結果、表彰台をもぎ取ることができた。今回も収穫は多く、表彰台はとてもうれしい。でもその一方で、マルクやホルヘに最後までついていきたかったという気持ちも強い。2週間後のミサノはホームGPになるので、100%の準備をして臨みたい。そしてマックスを超えてそれ以上に力を尽くしたい」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「もちろん大いに満足だ。昨日までの苦労が嘘のように、今日は最高の走りを見せてもらうことができた。3日間をかけてマシンをここまで改良し、ホルヘはまさにスペクタクルなレースを展開。バレンティーノのほうも素晴らしい戦いぶりで3位を勝ち取った。前回、前々回に続いて3回目となる、ふたりそろっての表彰台は最高だ。この勢いをキープしていけば、近いうちに必ず優勝の時がやってくるだろう!」
モンスター・ヤマハ・テック 3
P・エスパルガロ選手談(6位)
「レース序盤は楽な戦いではなかったから、6位という結果を喜ぶべきだろう。フロントタイヤには、昨日まで一度も試したことのないハード・コンパウンドを賭けでチョイスしたため、自分のリズムをつかむまでに時間がかかってしまったんだ。でも周回が進めば進むほど調子が上がって来て、前のマシンを何台かパスすることができた。そして最終的には、オープニングラップでは大きく離されたファクトリー勢のすぐ後ろまで迫ることができたんだ。でも僕らの目標はここではない。トップとの差はまだまだ大きいからね。次のイタリアではもっと強くなれるよう、これからも仕事に励むよ」
B・スミス選手談(22位)
「望んでいた結果とは明らかに違う。不運にもレース中にホイールが破損。でもそれがいつ、なぜ起こったのかははっきりとわからないんだ。何とか走り続けようとしたんだけれど、それはあまりにも危険なことだったので仕方なくピットイン。修復して再スタートしたあとは、ペースが上がって6位に匹敵するタイムが出ていた。昨日までは好調。今日もスタートまでは何の問題もなく、チームも素晴らしい仕事をしてくれていた。でもこのようなことがレースでは起こり得るんだ。ただ、僕を応援しに来てくれたたくさんのイギリスのファンには大変申し訳ないことをしてしまった。彼らはレース後のクールダウン・ラップでも熱狂的な声援を送ってくれたんだ。彼らのためにも、僕はただで負けるわけにはいかない。すべての経験から学び、それを次に生かしていくことでイギリスのファンにも喜びを与えたい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「ただただブラッドリーに申し訳ない。それ以外に言葉はない。彼はここまでとても順調で、ミスひとつなくハードに攻め、予選で好位置を確保し、決勝も素晴らしいスタートを切った。そして序盤ではバレンティーノとバトルしていながら、突然、劇的にペースが落ちたのだ。我々はマシンの技術的トラブルを疑った。ブラッドリーがピットに戻り、調べるとリアのリムが破損していることがわかった。一生のうちには一度くらい起こり得ること。でもそれが決勝中に、しかもホームのファンの目の前で起こったことが不運だった。それでも彼は再びコースに戻り、素晴らしいラップタイムで走って見せた。しかしだからと言って、我々の心のなかの苦い感情を取り去ることはできない。今日の彼のペースなら6位は確実だったと思っている。しかし結果として記されることはないし、チャンピオンシップにもつながらない。
その一方で、ポルのほうは順調だった。タイヤ・チョイスのせいで序盤はやや出遅れたが、懸命にプッシュして最終的には素晴らしいペースが出ていた。トップグループには届かなかったが、第2集団のトップに立ったことは彼にとって大きな自信になるだろう。間違いなく、どんどん強くなっている。次のミサノではふたりともチェッカーフラッグを見て、そして少しでも好位置でゴールできるよう期待する」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(9位)
「スタートがうまくいって、その後も上位について行こうと懸命に走った。でもいつものレースと比べると、今日はトップスピードでライバルにかなわなかったんだ。ストレートで離されてしまうので、ブレーキングをかなり遅らせることでそれを埋め合わせるという繰り返し。これはかなり悔しかったよ。でも何とかランキング6位をキープすることができた。次のミサノは小さなコースなので、きっといい走りができると思う」
A・デ・アンジェリス選手談(15位)
「朝のウォームアップで2回も転倒してしまい、それが決勝にも影響してしまった。右手首の痛みがひどく、ブレーキングでかなり苦労した。それでも最終的には上位陣とのギャップを縮めることができたし、ついに初ポイントを獲得できたことには満足している。常に進歩し、成長できているので、次のサンマリノ、僕にとってのホームGPがとても楽しみだ」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「久し振りに天候に恵まれたレースとなりました。ホルヘ、バレンティーノともに我々のマシンの持つ最大限のパフォーマンスを発揮せさながら、ライバル達と真っ向勝負してくれました。ライダー、チームスタッフ、開発陣のがんばりにより、確実に我々のパッケージは改善してきていると感じます。本当に“もう少し”です。3戦連続のダブル表彰台は嬉しいことですが、我々のターゲットはあくまでも勝つことです。次戦ミサノへ向けて何ができるかを全員で考えながら必勝の意気込みで挑みますので、引き続きご支援・ご声援よろしくお願いします」