ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 7月5日 アメリカ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦USGP
■開催日:2009年7月4日(土)予選
■開催地:カリフォルニア州/ラグナセカスピードウエイ(3.610km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度 ■路面温度:46度
■PP:J・ロレンソ(ヤマハ/1分21秒678)
REPORT
ロレンソが今季4度目のポールポジション
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが今季4度目のポールポジションを獲得。しかし予選中に2度の転倒があり、その2度目で右足を打撲、右鎖骨を脱臼した。決勝は出場の見込みだが、明朝の様子を見て最終判断する。一方、チームメイトのV・ロッシは終盤でC・ストーナーを抜いて2位を獲得している。
午前中のフリープラクティス・セッションでも、ロレンソがトップ。ロッシは低い路面温度に悩まされて3位に留まった。午後になると太陽が顔を出し、昨日とほぼ同様のコンディションの下で公式予選が行われた。ロレンソは素早くトップに浮上するとセッションのほとんどでその座をキープしたが、残り20分、第10コーナーでフロントを滑らせて一度目の転倒。幸い怪我はなく、ピットに戻ってマシンを交換して再度タイムアタックに臨んだ。この間にストーナーが暫定トップに立ったが、ロレンソは転倒の後遺症がないことを証明するように10分後、再びトップを奪い返した。ところがその3分後、同じ場所でまたも転倒し、今度はすぐさまサーキット内の診療所へ運ばれることとなった。ダメージは右肩のあたりで、痛みはあるが大事には至っておらず、明日は出場を希望している。
一方のロッシは完璧なセッティングが見つからず、とくに最終セクションでタイムを伸ばすことができなかった。最後の10分は着実に良くなっていたもののポジションを上げるには不十分で、3位キープの状態。しかし最後のタイムアタックでトップのロレンソに0.167秒差まで迫り、ついに2位に浮上した。
モンスター・ヤマハ・テック3チームC・エドワーズとJ・トーズランドはそれぞれ7位と15位。エドワーズは午前中のセッションで転倒し、右手薬指の爪のほとんどを失う怪我をしたが、公式予選ではフロントのフィーリングに問題を抱えながらも1分22秒490を記録し、フロントロウからわずかコンマ5秒差と健闘した。明日の決勝ではグランプリでのポイント獲得100回目達成を目指す。
一方のトーズランドは走行開始から15分で転倒し、3戦連続の予選10位以内獲得はかなわなかった。最終の左コーナーで転倒したトーズランドはスペアマシンでタイムアタックに臨んだが、フロントのセッティングにやや違和感があり、1分23秒390のタイムで15位に留まった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'21.678 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'21.845 |
3 | C・ストーナ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'21.910 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.113 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.135 |
6 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'22.146 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'22.490 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'22.540 |
9 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.633 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.662 |
11 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'22.842 |
12 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.004 |
13 | S・ジベルナウ | Grupo Francisco Hernando | Ducati | 1'23.106 |
14 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'23.147 |
15 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.390 |
16 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'23.912 |
17 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'24.528 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選1位/1分21秒678/27周)
「もっともっとプッシュしていこうと思っていたんだけれど、前にたくさんのマシンが走っていたことと、タイヤがなかなか暖まらなかったことで、タイムアタックには適さない状況だった。2回も転倒してしまったことは本当に悔しい。でも幸い身体のほうは問題ないから、明日は走れると思うよ!
アメリカの医師とクリニカ・モバイルのスタッフが協力して僕を診てくれていて、少しでも気分よく走れるようにと、いろいろ考えてくれている。みんなのサポートに感謝しているよ!」
R・フォルカダ、フィアット・ヤマハ・チームクルーチーフ談
「ホルヘは今日も絶好調だった。それだけに2度の転倒は非常に残念だ。1度目の転倒は新品のハードタイヤが原因。そして1度目は、2ラップ続けてゆっくり走ったあとのペースアップだったので、リアタイヤがまだ暖まっていなかったことが原因だと考えられる。そんな状況でもポールポジションを獲得できたことは、彼がマシンに良いフィーリングを感じていたことの証明だ。幸い、怪我の状況もそれほどひどくはない。明日の朝、もう一度検査をして最終決定することになるが、グリッドに並んでくれることを願っている。そしてエキサイティングなレースを見せてほしい」
V・ロッシ選手談(予選2位/1分21秒845/34周)
「何よりロレンソとストーナーの怪我が心配。だって明日はこの3人で素晴らしいバトルを展開する予定なんだからね。僕自身は、今日はセッティングが完璧ではなくて、とくに最終セクションでいくつか問題があった。思い通りにマシンをコントロールすることができず、マックスまで攻めることもで
きなかったので、この点は明日までに何とかしなければならない。ロレンソとストーナーの状態によるんだけれど、今はとにかく、2人がいい状態で決勝を走れるよう願うだけ。そうすれば必ず、エキサイティングなレースをみなさんにお見せできるからね」
D・ブリビオ、チーム監督談
「フロントロウを獲得できたことは良かったが、小さな問題がまだいくつか残っているので、これを明日までに解決しなければならない。かなりいいところまで来ていることは間違いないが、さらにもう一歩、前へ進めると考えているからだ。ウォームアップで最終的な変更を行ったとしても、朝は気温が低いのでその成果をチェックするのは難しい。でもベストを尽くすしかないんだ!ホルヘとケイシーがともに激しい転倒をして心配したが、大事にはいたらなかったようで本当に良かった。明日は3人揃って、いいレースを見せてほしい」
C・エドワーズ選手談(予選7位/1分22秒490/28周)
「マシンの感触は昨日よりも良くなっているけれど、完全に満足というところまではいっていなくて、明日までに解決しなければならないことがいくつか残っている。午前中のセッションではミスをしてしまい、右手の指に怪我をしてしまったが、走るときには大きな問題にはならないから大丈夫。でも第10コーナーでの転倒というのは気分のいいものじゃない。だってかなりの高速だからね。頭から落ちて、それから背中を打って...そう考えれば指の爪がなくなっただけで済んだのは本当にラッキーだよ。
今の一番の問題はフロントのフィーリング。挙動が大きく、コーナーに進入するやいなや、まったく安定感がなくなってしまうんだ。自分の思い通りにプッシュすることができない状況で7位になれたのは良かったと思う。明日のウォームアップで、これらの問題を解決できれば、きっといいレースができるだろう。今の状況で表彰台を狙うのは簡単ではないけれど、アメリカのファンのために、そしてスポンサーのモンスターのために僕は全力を尽くす。ここではたくさんの人たちが僕を支えてくれている。彼らに恩返しがしたいんだ」
J・トーズランド選手談(予選15位/1分23秒390/27周)
「厳しいセッションになってしまった。課題は非常に多い。アッセンではあんなに素晴らしいレースができたのに、あの時のようなフィーリングがつかめないんだ。最終コーナーでの転倒は、決してハードに攻め過ぎていたわけではなかった。ただフロントのセッティングを変更していてい、それがどうもしっくりきていなかったんだ。
転倒したのでスペアマシンに乗り換え、フロントにまた別のセッティングを使ったけれども、それもうまくいかなかった。目標には遠く及ばなかったことが悔しい。でもいつも通り、モンスター・ヤマハ・テック3のみんなと一緒に力を合わせ、少しでも成果を得られるようベストを尽くす」