全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
Rd.03 6月2日 関東・栃木
RACE DATA
全日本トライアル選手権 第3戦もてぎ大会
■開催日:2024年6月2日
■開催地:栃木県・モビリティリゾートもてぎ
■観客動員数:3,000人
■気温:20度
■天候:曇り時々晴れのち雨
■競技:10セクション×2ラップ+SS-2セクション
■持ち時間:4時間30分(10セクション×2ラップ)
■最多クリーン数:氏川政哉(ヤマハ)/8
REPORT
氏川と電動トライアルバイク「TY-E 2.2」が国内最高峰クラスで史上初の優勝!
黒山、野崎が2・3位でTY-E 2.2が表彰台のトップ3を独占
全日本トライアル選手権シリーズの第3戦もてぎ大会は今年も栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された。前日は好天に恵まれたが、当日は雨の予報で路面状態の悪化が懸念された。同じ会場で2週間前に行われた世界選手権トライアル日本GPのセクションを生かした採点区間は、ダイナミックな岩盤や大岩、急斜面やドロドロのぬかるみなど自然の地形を利用した難所だけではなく、観客が見やすい場所に用意された派手な人工セクションもあり、見ごたえのある競技が展開された。
最高峰の国際A級スーパークラスにYAMAHA FACTORY RACING TEAMから参戦する#3黒山健一は、電動トライアルバイク「TY-E 2.2」で2シーズン目の参戦となり、開幕戦と第2戦では2位をゲット。いよいよ残すは表彰台の一番上だけとなっていた。また、今年は新たに氏川政哉(#2/bLU cRU VICTORY)が「TY-E 2.2」で参戦、開幕戦は3位で黒山とともに登壇したが、第2戦は6位となった。そして、「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の#4野崎史高も今年から「TY-E 2.2」で参戦、開幕戦では5位、第2戦は7位となっただけに、氏川ともども今回は第2戦の雪辱をめざすかまえだ。一方、2週間前の日本GPでは思うような結果は残せなかった3選手だったが、そこで得たものを生かすべく今大会に臨んだ。
国際A級スーパー(SA)クラスの競技は17名が出走、4時間30分の持ち時間で10セクションを2ラップした後、上位10名だけがより難易度が高くて見ごたえがある2つのスペシャル・セクション(SS)に挑んだ。当日の夜間から朝にかけては雨が降り、その後は好天に恵まれたものの路面がぬかるんで滑りやすくなるなど難易度を増したセクションで、トップを争うライダーたちにも多くの失敗が見られ、手に汗握る最後まで予断を許さない試合展開となった。とりわけ午後1時頃から小雨が降り始め、2時過ぎには雨となり、2ラップ目後半からSSにかけては本降りの雨となっていった。
そんな状況の中、前半の1ラップ目終了時点でトップに立ったのが、氏川だった。氏川は1ラップ目、第6セクションから第8セクションまで3連続クリーン(減点0で走破)するなど4つのクリーンをマークした一方、減点5となる失敗は3つに抑える手堅さでトータル減点21で前半から首位に躍り出た。
これに続いたのが野崎史高と黒山健一で、ともに減点26の同点だがクリーン数3の野崎がクリーン数2の黒山をわずかに上回っていた。じつは黒山は減点25だったが、1ラップ目の制限時間(3時間)をオーバーしてタイムペナルティ減点1を加算されていたのだった。ともあれ4番手以下には#5小川毅士(ベータ/減点28)、#1小川友幸(ホンダ/減点32)、#6柴田暁(TRRS/減点32)らが僅差で迫っており、1ラップ目からトップ3に並んだヤマハ勢もまだまだ油断はできない状況だった。
後半の2ラップ目、氏川は1ラップ目と同じ減点21で回り、これに黒山(減点23)、小川(毅/減点25)、野崎(減点27)、小川(友/減点27)、柴田(減点30)が続いた。1ラップ目とのトータルでは、氏川(減点42)、黒山(減点49)、野崎(減点53)、小川(毅/減点53)、小川(友/減点59)、柴田(減点62)の順で、氏川が黒山に7点差をつけてトップの座を堅持。黒山はSSで逆転をめざすこととなった。また、野崎には4点差の黒山をSSで逆転する可能性がある一方、同点でクリーン2つ差の小川(毅)に逆転されないよう、大きなプレッシャーがかかるところだ。
迎えたSS1つ目のセクションは、雨で濡れて非常に滑りやすくなった巨大な丸太の一本橋を上り下りするもので、もし落ちれば減点5を加算して勝負が大きく動くところだった。しかし、氏川は足つき1回の減点1で確実に走破、この時点で黒山との差はまだ6点あり、最終セクションを待たずにここで氏川の優勝が決まった。黒山と野崎、小川(毅)と小川(友)はそれぞれクリーン、互いに一歩も譲らぬ執念を見せた。そしていよいよSS2つ目の最終セクション、壁のような岩板を上がるところで氏川は失敗。黒山と野崎はそれぞれ減点1で突破。小川(毅)は2点、小川(友)は3点を加えた。
こうしてヤマハ勢は3選手とも最後まで大きく崩れることはなくトップ3をキープし、氏川が待望の電動トライアルバイク「TY-E 2.2」初優勝を獲得。さらに2位黒山、3位野崎と電動バイクをかる3名が1-2-3の快挙を成し遂げた。ほんの2週間前のトライアル世界選手権・日本GPでは苦戦したが、それをバネにし、大きな成果を上げることとなった。最高峰クラス初優勝&表彰台独占というこれ以上ない最高の結果であり、全日本史上初の快挙であるだけでなく、タイトル争いではトップの小川(友)に対して、黒山が1ポイント差に肉薄することとなった。残り5戦でチャンピオンを目指す、負けられない戦いが続く。
次回の第4戦北海道・和寒大会は7月14日、旭川に近いわっさむサーキットで行われる。
RESULT
RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
黒山健一選手談(2位)
「全日本トライアル関東大会が無事に終了しました。試合の最初の方は降っていなかったのですが、予報通り昼から雨になりまして、後半は雨の中での試合となりました。結果は2位と、昨年から先陣切ってTY-Eで全日本を戦い続けた僕としては初優勝を取れなかったのは残念ではありますが、ヤマハとしてはなんと氏川政哉選手が1位、そして僕が2位、3位に野崎選手が入りヤマハがワンツースリーを独占するYAMAHA DAYになり、とてもいい日になりました。皆さん、ありがとうございました」
佐藤美之監督談
「応援していただいて本当にありがとうございます、やっと勝てました! 今日は雨の予想でしたが、ここまでひどくなるとは正直思っておらず、ただひどくなった中でも黒山選手を筆頭とするヤマハの3選手が頑張り、氏川選手が優勝を獲得してくれました。思い起こせばTY-Eは2018年のフランス大会からずっと勝っていなかったので、ようやく勝てて本当にうれしいです。しかもTY-Eがワンツースリーを飾れたということで、有意義な勝利にもなりました。これは応援し続けてていただいたファンの皆さんとマシンを進化させ続けた開発スタッフにも感謝したいと思います。これはまだひとつのステップなので、また次の大会に向けて頑張りたいと思います。引き続き応援よろしくお願いいたします」
bLU cRU VICTORY
氏川政哉選手談(1位)
「皆さん、お疲れ様です。全日本トライアル選手権第3戦が無事に終わりました。結果は1位です。今年、ヤマハに移籍してきましたが、まだ電動バイクで初優勝がなかった中で、今回最初に1位を取ることができて本当に嬉しいです。次戦も1位を取れるように頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。皆さん、応援ありがとうございました」
Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA
野崎史高選手談(3位)
「全日本トライアル第3戦、結果は3位で終えることができました。ヤマハとしては電気バイクで初の優勝を勝ち取ることができ、ワンツースリーを取れたということで非常に喜ばしいことだと思います。個人的にはちょっと悔しい思いもあります。引き続き開発を進めるにあたって今回もいくつか課題がありましたので、それを生かしたいと思います。これまで不得意とされた濡れてスリッピーなところは今回も多かったのですが、そこである程度の走りができるようになっていたので、次回以降もすごく期待はしています。引き続き応援よろしくお願いいたします」