全日本ロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本ロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.05 10月31日-11月1日 MFJ-GP鈴鹿
RACE DATA
■大会名称:第52回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿
■開催日:2020年10月31日(土)・11月1日(日)
■会場:鈴鹿サーキット(5.821km)
レース1
■周回数:14周 ■天候:晴れ ■コース:ドライ
■観客:8,500人
■PP:中須賀克行(2分4秒126/ヤマハ)
■FL:渡辺一樹(2分5秒486/スズキ)
レース2
■周回数:16周 ■天候:晴れ ■コース:ドライ
■観客:13,000人
■PP:中須賀克行(2分4秒853/ヤマハ)
■FL:野左根航汰(2分5秒842/ヤマハ)
REPORT
野左根航汰が、レース1で2位を獲得し、自身初となる国内最高峰クラスJSB1000のチャンピオに輝くと同時に、レース2では今季7勝目をあげるなど活躍。チームメイトの中須賀克行はレース1で今季初優勝し、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人が全8レースのポールポジションと全8レースの優勝を独占した。またYAMALUBE RACING TEAMの前田恵助は9/13位としてランキング8位でシーズンを終えた。
レース1
中須賀が今季初優勝!
野左根は2位で初のJSB1000チャンピオンを獲得!
10月31日(土)午前に行われた公式予選は快晴の下で行われ、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が自己ベストを更新する2分04秒128を記録してレース1のポールポジションを獲得。さらにセカンドベストでも中須賀がトップタイムで、ダブルポールを獲得した。また、JSB1000で初チャンピオンに王手野左根航汰は、レース1、レース2ともにセカンドグッリドとなったが、この予選結果により、今シーズンはYAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人が全レースでポールポジションを独占することになった。
31日(土)の午後にはじまった14周のレース1で、好スタートを切ったのは野左根。これに中須賀選手、渡辺一樹(スズキ)が続く。そしてこの3人は3周目にラップタイムを2分05秒台に上げて後続を一気に引き離すと、その後は3人が僅差のままトップ争いを進めた。
トップはオープニングラップから野左根が守ってきたが、12周目の130Rからシケインでラインをクロスさせる形で進入した中須賀が野左根をパスしてトップに躍り出る。しかし野左根もこれで失速することなく中須賀の背後につけると、逆転を目指してマシンをプッシュ。しかし、速いラップタイムをキープしながらしっかりとブロックラインをトレースする中須賀に対して野左根は逆転の機を見出すことはできず、中須賀が今季初優勝を獲得。同時に野左根の連勝は「6」でストップしたが、自身初となる国内最高峰クラスJSB1000のチャンピオンを決定した。
また、YAMALUBE RACING TEAMの前田恵助は9番手からの追い上げとなったが、7周目に自己ベストの2分06秒926を記録するなど、アベレージ的には2分07秒台でしっかりとラップを刻み上位陣に迫ったが、一歩届かずそのままの9位でチェッカーを受けた。
レース2
野左根が最終レースを制して今季7勝目
中須賀は転倒後に再スタートして16位フィニッシュ
レース1に続き、11月1日(日)にレース2が行われ、すでにチャンピオンを決めているYAMAHA FACTORY RACING TEAMの野左根航汰が今シーズンの最終レースを優勝で飾った。また、野左根とトップ争いをしていた中須賀克行は単独転倒するも、再スタートして16位でゴールした。
前日のレース1よりも2周多い16周で争われるレース2。好スタートを切ったのは清成龍一(ホンダ)で、中須賀、野左根が続く。この順位が動いたのは4周目。野左根は2分05秒884のファステストラップを記録することになるが、中須賀、さらにシケインで清成をパスしてトップに立つ。
さらに5周目、ダンロップコーナーからデグナーカーブにかけて中須賀が清成をパスして2番手に浮上。そしてこの周に自己ベストの2分06秒084を記録した中須賀は、トップの野左根に0.108秒差に迫る。この後、野左根と中須賀は2分06秒台を連発すると後続を引き離して1-2体制を確立する。
しかし、8周目の最終シケインで中須賀が単独転倒を喫すると、その後は野左根が単独首位となり、JSB1000で鈴鹿サーキット初優勝となった。この結果YAMAHA FACTORY RACING TEAMは全戦でポール&ウインを決めた。一方の中須賀は、転倒から再スタートすると着実に順位を回復。ポイント圏内の16位でレースを終えた。
また、スタート前のウォームアップラップでマシントラブルが発生したYAMALUBE RACING TEAMの前田恵助は、マシンをスペアカーに変えてのピットスタートとなったが、しっかりと順位を上げて13位でチェッカーを受けた。
JSB1000 RESULT Race.1
JSB1000 RESULT Race.2
ST1000 RESULT Race.1
ST600 RESULT Race.1
JSB1000 RIDERS RANKING
ST1000 RIDERS RANKING
ST600 RIDERS RANKING
COMMENT
レース1
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手談(優勝)
「本当に長い14周でした。本当は野左根選手の前に出て序盤からレースを組み立てたかったのですが、野左根選手のペースが良く、さらにタイヤマネジメントもしっかりしていて、プッシュしたけれどまったく乱れず2番手にとどまりました。最後は、しっかり考えてシケインでパスすることができたし、こうしたいいレースで勝てたことは本当にうれしいですね。今日のレースで野左根選手のチャンピオンが決まり、明日、ノープレッシャーになると思いますので、今日以上にいいレースをして、もう一度、勝ちたいですね」
野左根航汰選手談(2位)
「中須賀選手に勝つためにいろいろと作戦を考え、少し柔らかめのタイヤで勝負することにしました。だからレース序盤でしっかり前に出てマージンをとりたかったのですが、それができずに難しい展開になってしまいました。最後までタイヤマネジメントはできたのですが、130Rからシケインで中須賀選手にクロスラインで仕掛けられてしまい... 正直、凄かったです。優勝できず悔しいですが、チャンピオンを獲れたのでホッとしています。明日のレース2は、新チャンピオンとして中須賀さんといいバトルをして、そして勝ちたいです」
吉川和多留監督
「チームとして1-2フィニッシュは最高の結果ですし、2人の戦いの内容が本当に素晴らしかったですね。中須賀選手は、今年は歯車が噛み合わない状況でしたが、ここでようやく結果を出すことができました。そしてこのレースで野左根選手は2位でしたが、しっかりとチャンピオンを決めてくれて、これで明日のレース2はさらにレベルの高い戦いが期待できます。野左根選手は明日のレース2を終えると全日本レースを離れることになるので、新チャンピオンとしていいレースをして欲しいと思っています」
YAMALUBE RACING TEAM
前田恵助選手談(9位)
「個人的にペースは上がっているのですが、同じようにライバルのペースも上がっているので、なかなか思うような結果を導き出せませんでした。アベレージタイムを後0.5秒上げることができれば状況が大きく変わると思うので、明日のレース2ではコーナーの立ち上がりやトップスピードに到達するまでのタイムを縮めるなどのトライをしていきます。明日は今年最後のレースなので、チームと喜びを分かち合えるようにしっかりと結果を狙っていきます」
難波恭司監督談
「レース序盤、特にオープニングラップから3周目くらいまでのペースの上げ方やポジション取りに集中すれば、結果は大きく変わってくると思います。明日のレース2のコンディションは今日とほぼ同じだろうと予想されるので、改めて強い気持ちを持ってレースに臨んでほしいですね。そして、ライダーもチームスタッフも、全員が納得できるレースをして今シーズンを終えることができればと考えています。今年はマシンが新型化されましたが、いい形で仕上がっているので、最終レースをチーム一丸となって戦います」
レース2
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
野左根航汰選手談(優勝)
「レース1のようにスタートから飛び出したかったのですが、それができなかったので様子を見る作戦に変えました。トップに立ってからは、すぐにペースを上げたのですが、やはり中須賀さんがついてきていて、実は8周目のシケインには突っ込みすぎてしまい僕自身危うかったのですが、後ろで中須賀さんが転倒したのがわかりました。レース1と比較すると路面のグリップが悪くて厳しい戦いでしたが、鈴鹿サーキットで勝てたのはうれしいし、レース1に続いていいレースができたので、苦手意識は払拭できました」
中須賀克行選手談(16位)
「レース1と比べてグリップが悪くて、それでフロント周りを少し修正しましたが、これが裏目に出てしまいました。今年はコロナ禍で走ることができない日々が続いたけれど、それでもできる範囲でトレーニングはしっかりと続けて、いつも以上にフィジカル面は充実していました。でも、開幕戦のレース1の転倒で、負のスパイラルに入ってしまい、もがき続けた一年でした。しかし、そうしたもがきが、鈴鹿でのレース1での勝利につながったと思っています」
吉川和多留監督談
「レース序盤は、2人ともいいペースで走っていて、野左根選手が先に仕掛けてトップに立ち、それに中須賀選手が続くという形で安心して見ていたのですが、フロント周りのセットが思ったものとは違う方向だったようで中須賀選手が転倒してしまいました。これで野左根選手は鈴鹿サーキット初優勝となりましたが、もちろんまだ成長過程にあります。来年から野左根選手はスーパーバイク世界選手権に挑戦しますが、世界で揉まれて、さらに成長していくのを楽しみにしています。今年は8月からシーズンが開幕するなどいつもとは全く違う戦いになりましたが、YAMAHA FACTORY RACING TEAMとしては全戦でポールポジションそして優勝を勝ち取ることができ、野左根選手がチャンピオンを獲得してくれました。ファンの皆さま、スポンサーの皆さま、そして応援していただいた全ての方に感謝しています」
YAMALUBE RACING TEAM
前田恵助選手談(13位)
「ウォームアップラップでマシントラブルが発生してしまい、スペアマシンに乗り換えてピットスタートになりました。ただ、スペアマシンは走り込んでいなかったので、着実に走ることだけを考えたレースでした。今シーズンを振り返ると、オートポリスのレース2で3位になるなどいい時もありましたが、悪い時もあり、起伏の激しい一年でした。今後は、この起伏のいい方を高めていきたいと思っています」
難波恭司監督
「ウォームアップラップで電気系にトラブルが出てしまい、急きょ、スペアマシンでの戦いになりました。しかし、前田選手はこうした状況にもかかわらず最後まで集中を途切らすことなく走り続けて、ポイント圏内でゴールできたことは良かったと思っています。今年は、新型コロナウイルスの影響で前例のないシーズンとなりました。前田選手がこのチームに加わって、しばらくしてライダー生命を脅かす怪我を負い、そこから立ち直って今年はオートポリスで表彰台に立つまでに至りました。応援していただいたファンの皆さん、そして我々のレース活動を支えていただいたスポンサーの皆さまに感謝しています。本当にありがとうございました」