全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.05 10月8-9日 九州・熊本
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2022 第5戦九州大会
■開催日:2022年10月9日(日)
■会場:熊本県・HSR九州
REPORT
IA1
ヒート1:富田が優勝、渡辺は3位でダブルポディウム
15分+1周というスプリントレースを3本行うトリプルヒートでの開催となった今大会。コースレイアウトが変更されたが、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの富田俊樹、渡辺祐介もこのコースにすぐに適応。特に富田選手は予選トップと、好調のままに決勝に臨んだ。
レースは、怪我から復帰した大城魁之輔(ホンダ)のホールショットでスタート。これに富田、渡辺が続き、1周目から激しいポジション争いを展開。これに競り勝ったのが富田で、大城、渡辺が2・3番手続いた。
富田、大城、渡辺はほぼ等間隔ままレースを進行。一つのミスが順位の変動につながる緊迫したレースとなったが、富田は終始安定した走りを披露。後方の大城にアタックさせない絶妙な距離を保ったまま周回を重ね。ポイントリーダーとして貫禄の勝利で、今季5勝目をあげた。
渡辺は序盤に大城に迫るシーンがあったが、その後はアタックできる距離まで迫ることができず、ポジションキープとなったが、第3戦SUGO大会のヒート1以来となる3位表彰台を獲得した。
ヒート2:富田が連勝、渡辺が2位で、ワンツーフィニッシュを達成
ホールショットを奪ったのは富田。これに内田篤基(カワサキ)が続くが、3番手につけた渡辺がオープニングラップでこれをかわして2番手とし、YAMAHA FACTORY RACING TEAMがワンツー体制で1周目を終えた。
富田は序盤から勝負を決めるべくハイペースで走行。後方の渡辺に勝負をさせないギャップを築くと、その後も確実にギャップを広げてチェッカーを受け2連勝。渡辺はチームメイトには及ばなかったものの、後方を引き離し単独走行で周回を重ね2位とし、YAMAHA FACTORY RACING TEAMが2ヒート連続でダブルポディウム、さらに今回はワンツーフィニッシュを達成した。なお3位には能塚智寛(カワサキ)が入った。
ヒート3:富田が3連勝、渡辺が2位で3度目のダブルポディウム
富田が3度躍動、シリーズチャンピオンをグッと引き寄せる3連勝を達成すると、チームメイトの渡辺も2位に入り、今大会3度目となる表彰台を獲得。YAMAHA FACTORY RACING TEAMが3ヒート連続でダブルポディウムを達成した。
レースは渡辺が好スタートから、富田、さらに能塚を従えて1周目をトップで通過。渡辺は、今大会、富田がそうしてきたように、スプリントレースを考慮して序盤で勝負を決めるべくハイペースで走るが、富田はこれに食らいついて2周目にファステストを記録して渡辺を逆転した。
しかし今回は富田の独走を許さなかった。渡辺、そして3番手の能塚はトップと同等のペースで食らいつき、背後で周回を重ねた。この間、渡辺と能塚による2位争いも繰り広げられたが渡辺が勝利。そして後半には一時、渡辺が近づく場面もあったが勝負するには至らず、富田が3連勝で総合優勝、渡辺も単独で2位フィニッシュと、三度ダブルポディウムを達成した。
この結果、ランキングでは富田が能塚との差を大きく拡大。77ポイント差として、早ければ次回の埼玉県・オフロードヴィレッジで開催される関東大会でチャンピオンが決定する。
IA2
ヒート1:ジェイが開幕10連勝を達成
チャンピオンがかかった大一番、#16ジェイ・ウィルソンは予選から独走と好調をキープしたまま、ヒート1のスタートに臨んだ。ウィルソンはここで出遅れるも、1周目には鈴村英喜(ホンダ)に続く2番手とし、2周目には鈴村を捉えてトップに浮上した。
ジェイはここからペースアップで後方を引き離すと、一時は約15秒という差をつけて独走状態とする。その後は、後方とのギャップを見ながらペースをコントロールし周回を重ね、そのままチェッカーを受けて優勝。開幕から10連勝を達成し、ついにチャンピオンに王手をかけた。
その後方では、鈴村、西條悠人(カワサキ)、#5 中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)、#4鳥谷部晃太(bLU cRU TEAM エム FACTORY by NCXX)、#21 浅井亮太、(bLU cRU フライングドルフィン サイセイ)が、表彰台を巡ってバトルを展開。この中でモトクロス・オブ・ネイションズに参戦した鳥谷部が好調。5周目に5番手から3番手に浮上。さらに、西條を追い詰めて7周目には逆転し2番手とすると、そのまま後続を振り切って2位を獲得した。
また、その後方では3位争いが展開され 西條を3番手にポジションをあげた浅井が4番手、さらに中島が5番手に続き、3位を争ったが、最後までポジションは変わら、西條が3位、浅井が4位、中島が5位でフィニッシュとなった。
ヒート2:ジェイが開幕11連勝でチャンピオンを決定
チャンピオンをかけた大一番、優勝すれば無条件でチャンピオンが決定するこのヒート2。ジェイが好スタートから1周目にトップに立つと、序盤は2番手の西條と同等のペースで追走したが、徐々にギャップを拡大して後半に入る頃には大きなリードを築いて単独トップで走行。後方の様子を確認する余裕も見せながら、最後まで走り切り、開幕から11連勝と同時に、 2大会5ヒートを残し2022年のシリーズチャンピオンを決定した。
一方、2番手には西條、3番手に横澤がつけていたが、後半に入って順位が変動。柳瀬と中島が上位に接近し、さらに後方から、浅井、鳥谷部も表彰台争いに参戦する。2番手は勢いのあった柳瀬が確保したが、3番手は中島が一時は確保するも、浅井がラスト2周で奪い、ジェイ、柳瀬、浅井が表彰台を獲得した。
レディース
本田は2回の転倒がありながらも3位
公式予選をトップ通過、公式練習ではトップタイムを出すなど好調の本田七海だったが、レースではスタートこそ好位置につけるも転倒があり1周目を11番手で終える。ここからハイペースで追い上げ、3周目に入り6番手まで挽回、さらにポジションを上げようというところで再び転倒して10番手にポジションを下げてしまう。
しかし本田は、ここで諦めることなくマシンをプッシュ。ラスト2周になったところで、4番手の楠本菜月(ハスクバーナ)の後方につけ逆転すると、さらに3番手を走る小野彩葉(ホンダ)を吸収し、本田は3台で3位を争いそのままの順位、3位でフィニッシュ、表彰台を獲得した。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(IA1:優勝/優勝/優勝:総合優勝)
「予定通りの結果です。HSR九州が相性の良いコースですし、昨日から調子も良かったので、欲を出さなければいけると思っていました。ヒート1は大城選手に勢いがあったこと、ヒート3ではスタートが決まらず、渡辺選手に先行されるなどあり、驚きや焦りもありましたが、全体としては落ち着いて捌くことができました。特にヒート3の渡辺選手が、ついてきている時もは、ブロックラインを冷静に走ることができました。残りは4ヒートになりましたが、今回で少し余裕を作れたこともあるので、もっと冷静になって、これまでと変わらず1ヒート、1ヒートを丁寧に走ります」
渡辺祐介選手談(IA1:3位/2位/2位:総合2位)
「富田選手が3連勝という成績を残しており、その成績と自分を比較すると悔しさはあります。でも、今シーズンはなかなか思うようなレースができず苦しみましたが、3つの表彰台を獲得し、精一杯の走りはできたかなと思います。ヒート1・2ではスタートで遅れたのですが、序盤でライバルをパスして順位を上げトップグループに追いつけたのはプラス要素。逆にトップの背後につけてからアタックができていないので、バイクを前に進ませるテクニックには課題があるということです。今回を復調と捉えていますが、名阪からここまでバイクを含め調整できたことが大きく、次の関東大会では初優勝を目指していきますので、ご期待ください」
ジェイ・ウィルソン選手談(IA2:優勝/優勝:総合優勝)
「今大会もバイクがとてもよく走ってくれ、ペースもとても良かったです。天候が崩れる予報で、少し雨が降ったので、ヒート1はスリッピーなところはありましたが、コンディションもとてもよくて、ジャンプもコーナーもレース全体を楽しめたことが勝因です。その結果として2ヒートで勝利し、また11連勝を達成し、シリーズチャンピオンを獲得することができました。
正直に言えば、チャンピオンがかかっていたし、皆がチャンピオンになることを期待していることもわかっていたので、ナーバスになっていました。それでもレースに集中して期待通りに達成できたことを嬉しく思います。このタイトルは、私自身にとって初のことでとても喜ばしいのですが、レースチームにとっても素晴らしい結果になりました。そしてEPSの開発チームにとっては、進化を続け11回もの勝利を積み上げた、一つの成功事例でもあると思います。そして、日本のファンの皆さんのサポートに感謝します」
増田智義監督談
「まずはジェイ選手ですが、無事にチャンピオンを獲得できとてもうれしく思います。今大会は予選、ヒート1と水撒きした直後の難しいコンディションの中で走る技術と、それをサポートするEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)がとても有効に働き、ライバルとのギャップを作っていました。ヒート2はスタンダードには不利なコンディションながらも速さを見せつけ、若手にとっても勉強になる走りを見せてくれました。残り2戦、まだ彼にはさまざまなミッションが残っており、今後も確実にこなして行ってもらうことを期待します。
富田選手も完璧なレースでした。3つ勝つのは本当に大変なことだし、しっかりレースメイクして勝っているのはとても素晴らしいことです。今回も多くのプレッシャーがあったと思いますが、それを払拭して現場に入ってきてくれるため、チームも安心して見ていられます。またレースではいろいろなことが起こりますが、すべてを確実に進めることができているので今後も、ひとつずつ平常心で進めていきます。
渡辺選手は前回、厳しい結果に終わって、チームとして立て直しを行いましたが、3位、2位、最後のヒート3は富田選手に抜かれたものの、トップを走って2位と復調してくれました。しっかりしたものを提供すればこれだけの力を発揮してくれるということ。今後は、富田選手だけでなく、渡辺選手も全日本を背負って盛り上げてくれるものと思います」
bLU cRU TEAM エム FACTORY by NCXX
#4鳥谷部晃太(IA2:2位/4位:総合2位)
「スタートが問題でヒート1は追い上げの序盤となりましたが、SUGO以外のコースで表彰台に立てたことはとてもうれしく思います。モトクロス・オブ・ネイションズでアメリカに行き、自分のライディングを見直す機会があったし、下田選手からアドバイスをもらうなどしたのですが、今大会はそれが活かせたのかと思います。ジェイ選手がチャンピオンを決めましたが次回は3ヒート、15分+1周とチャンスもあるはずなので、自分がジェイ選手の前でフィニッシュできるように、また日本人のヤマハライダーの中でトップに立てるよう、最善を尽くします」
bLU cRU フライングドルフィン サイセイ
浅井亮太選手談(IA2:4位/3位:総合4位)
「ヒート1のペースは良かったのですが、前をいくライバルに対して縮めては離されてを繰り返してしまいました。その結果、後方の接近も許してしまうなど、自分の力を十分に発揮できない悔しいレースとなりました。ヒート2は決して良い位置からレースを始められたわけではありませんが、さまざまなラインを試す中でリズムを掴み、周りに惑わされず、自分の走りに集中できたことが追い上げにつながりました。次は15分のレースなので、ジェイ選手に勝つチャンスも大きくなりますが、やはり自分に集中し、ベストの走りをしたいと思います」
bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド
本田七海選手談(レディース:3位)
「1周目、5・6番手走行中に転倒。その後、追い上げていく途中に、前を走るライバルの転倒に巻き込まれ2回目の転倒。1回目はまだトップが見えていたし、スピードも一番あると自信があったのですが、2回目の転倒はきつかったですね。でも、せめて表彰台という思いで諦めずに攻めました。なんとか表彰台には立てましたが、ランキングでは厳しい状況に追い込まれました。次のコースは決して得意ではありませんが、最後まで諦めず、残りの2レースともに勝利を目指します」