全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.02 5月14-15日 関東・埼玉
RACE DATA
■大会名称:2022全日本モトクロス選手権第2戦関東大会
■開催日:2022年5月14-15日(日)
■会場:埼玉県・オフロードヴィレッジ
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(30分+1周)×2ヒート
■観客数:土曜日 1,171 人/日曜日 3,726人
REPORT
IA1
ヒート1:渡辺が4位でフィニッシュ、富田は転倒があり5位
YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#2富田俊樹が総合優勝(両ヒート優勝)、#4渡辺祐介が総合2位と、チャンピオン獲得に向け最高のスタートを切った2022年の開幕戦。続く第2戦関東大会、IA1は今季初のトリプルヒート(15分+1周×3ヒート)で行われ、最大75ポイントが加算される。14日の予選は、前日からの雨によりマディコンディションで行われ、渡辺が不運なアクシデントで15番手となったが、富田が圧勝し連勝に向け好調をアピールした。
レースは何が起こるかわからないもの。開幕戦、そして今回の予選と好調をキープしていた富田だったが、ヒート1、スタート直後の1コーナーで転倒。1周目を終えて17番手と大きく出遅れたのだ。一方、ホールショットを奪ったのはYZ450Fを駆る#8星野優位。これに大城魁之輔(ホンダ)、大倉由揮(ホンダ)、安原志(カワサキ)、渡辺が続いた。
序盤は渡辺が安原をかわして4番手に、2番手の大城が転倒で後退。さらに4番手に小方誠(ホンダ)、5番手に能塚智寛(カワサキ)と、トップライダーが上位グループに合流。その後はメンバーが固定され僅差でレースを進め大きな動きはないまま終盤へと入ったが、トップグループ最後尾の能塚がプッシュをはじめたことでレースが動き出す。
まず小方が転倒で後退、続いて渡辺と能塚がバトルを展開するが、予選での負傷の影響もありアタックに耐えきれずラスト2周で逆転を許してしまう。さらに能塚は大倉をかわして2番手に浮上するが、トップの星野はアタックをさせることなく、スタートからトップを守り切って2020年の関東大会(ヒート1)以来、2年ぶりとなる優勝のチェッカーを受けた。2位に能塚、大倉が3位、渡辺は怪我がありながらも4位でフィニッシュした。
また、1周目で転倒した富田は3周目に9番手と序盤で大きく挽回すると、その後も激走で着実に順位を上げ最後はトップ5でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。
ヒート2:富田が独走で今季3勝目、渡辺は9位
ヒート1で苦しい戦いを強いられた富田が見事にリベンジを果たした。転倒があったスタートで今度は完璧なホールショットを決めた富田。その後は、能塚、小方の3人にトップグループは絞られ、中盤まで等間隔で周回を重ねたが、4周目に小方がミスをおかすると、 優勝争いは富田と能塚に絞られた。
15分というレース時間から、後半に入ると互いにプッシュしていったが、富田はファステストラップを連発して能塚との差を徐々に拡大。これに対して能塚も大きく離されることなくくらいついてきたが、富田も最後まで付け入る隙を与えずフニッシュ。ヒート1で連勝は途切れたものの、改めて強さを示す今季3勝目をあげた。
一方、体にダメージを抱えた状態で臨んだ渡辺は、スタートで出遅れ10番手で1周目を終えると、その後は集団の混戦でレースを進めることとなった。ところがそこからポジションを上げることができない時間が続いたが、終盤に入りポジションをアップ。一時は8番手とするも、最後は9位でチェッカーを受けた。
ヒート3:富田は2位として総合2位、怪我の渡辺は7位でフィニッシュ
今大会最後のレースにふさわしい激しい戦いが繰り広げられた。大城、星野、能塚、富田、小方が好スタートを切り、序盤は5台が一列になってトップグループを形成。5人が約5秒という差でレースを進めた。渡辺はスタート直後の1コーナーで転倒があり18番手で1周目を終えた。
序盤こそ5台での争いとなったが、中盤までに小方と星野が後退しトップグループは大城、能塚、富田の3人となったが、7周目に能塚が大城を捉え、8周目に富田も大城をかわしたことで、トップ争いはこの2人に絞られた。
ここから一対一の戦いとなり、富田は終始、能塚にアタックを繰り返すが、能塚もこれに対応し逆転には至らない。この攻防が最終ラップまで続いたが、富田は最後まで攻略できず優勝は能塚、富田は2位となった。3位にはルーキーの大城が入った。
体を痛めている渡辺は、その痛みに耐えながらも18番手から追い上げを続け、6周目にトップ10まで挽回。その後も諦めることなく攻め続けて最後は7位でチェッカーを受けた。
総合成績では、富田が5・1・2位で総合2位としランキングトップをキープ。渡辺は4・9・7位で総合7位となった。
IA2
ヒート1:ジェイが大ピンチの中で逆転、開幕から4連勝
トリプルヒート(15分+1周を3ヒート)で行われた開幕戦で3勝をあげその実力を見せつけたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#16ジェイ・ウィルソンが、今大会も予選から好調。その予選では、難しいマディの中で転倒を喫してトップに離される場面もあったが、スタンダードのYZ250Fが速さを見せ逆転でトップ通過。 さらに、開幕戦で3ヒート連続2位と、その実力を示した#17小川孝平も安定した走りでトップを獲得。YZがワンツーでヒート1を迎えた。
そのヒート1、ジェイは1コーナーで集団に巻き込まれ大きく遅れてしまう。トップ3は鴨田翔(カワサキ)、福村鎌(スズキ)、#21浅井亮太。ジェイはこのトップグループに近づくべく、プッシュし1周目を7番手で戻ってくるが、2周目に入った直後に転倒。これで大きく順位を落とし14番手、トップの鴨田に14秒という大差をつけられて3周目に入った。
しかし、ここからさらにジェイの速さが光る。3周目に一気に4人をかわして10番手、6周目にはファステストを記録して5番手とすると、さらに7周目には2番手の浅井の後方3番手につけると、その差をグングン縮めていった。そしてそのテールをとらえた9周目に再び転倒。トップとの鴨田と6秒に迫りながらも、9周目を終えた時点でその差は約6秒から約10秒に拡大した。
ここでもう一度、ギアを入れたジェイ。12周目に2番手、16周目には10秒差をひっくり返し、ついにトップに浮上するとそのまま優勝のチェッカーを受けて開幕戦4連勝を達成した。2位は鴨田、3位にはYZ250Fを駆る浅井が入り、今季初表彰台を獲得した。
ヒート2:ジェイが5連勝でランキングトップを独走
ヒート1に続き、ジェイの強さが際立つレースとなった。ヒート1と同様、スタートで遅れたジェイは1周目を終えて10番手。トップは鈴村英喜(ホンダ)、これに鴨田、西條が続き周回を重ねる中で、追い上げるジェイは序盤から確実に順位を上げ、3周目には8番手としてトップに11秒差、そこからはペースの違うライダーをかわしていく中で思うようにタイムを上げられず、一時はトップとの差が開いていく周回もあり、8周目の時点でトップからは約13秒差の5番手とした。
そして、後半に入るとタイムを徐々に削り取り、13周目にはトップから約8秒差まで接近。同時に西条を攻略すると、その後も勢いは止まることなく15周目にはトップに約4秒差とし、同時に鴨田をかわして2番手に浮上。さらに16周目にはついに鈴村を捉えてトップに浮上する。その後は後方とのマージンを築いて最後まで走り切ったジェイは開幕戦5連勝を達成した。
レディース:本田が8位
マディコンディションで行われた予選。集団に飲み込まれる厳しいスタートから挽回し6番手でチェッカーを受けた#2本田七海。そして決勝は、ほぼドライの状態でレースが行われた。
しかし本田はスタートで遅れ集団に飲み込まれる形となり1周目を12番手で終える。ヤマハ勢トップは4番手につけた#7穂苅愛香だったが、1周目を終えた直後に転倒し大きく順位を落としてしまう。これによりトップは#12川上真花の8番手となる。
本田は序盤で順位を上げ、7番手とした川上の後方8番手につけると、そのまま2人がバトルを展開していったが5周目、本田が前にでたところで、2人が接触して転倒。本田はすぐにリスタートを切れたことや、上位陣が転倒したこともあり5周を終えてヤマハ勢トップの7番手となった。しかしその後、順位を一つ落とし8番手に後退すると、そのまま8位でフィニッシュとなった。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(IA1:5位/優勝/2位:総合2位)
「常にタイムもよかったし、ヒート2は優勝できているし走り自体は納得しています。だたレースは難しい... すべてが揃わないと勝つことはできません。足りなかったのはやはりスタートの精度です。ヒート1のスタートで転倒したときは、総合成績やランキングなどのことがよぎりました。ただそこから切り替えラインを変えるなど工夫しながら追い上げていったのがヒート2の成績につながっていったのだと思います。ヒート2は序盤から能塚選手がベッタリだったので、インを締めながらブロック。その後、少し離してからは自分のペースで走り優勝。ヒート3はスピードには自信があったので、2番手についてからは積極的に仕掛けていったのですが、能塚選手も経験もあり攻め切れませんでした。最終ラップはもう少し強引にでも仕掛けていけばよかったと反省しています。次回のSUGOはトリプルヒートですが、関東大会と同じスタンスで臨み、今回見つけた課題を潰して勝ちを積み上げていきます」
渡辺祐介選手談(IA1:4位/9位/7位:総合7位)
「予選で転倒し負傷したのですが、そこからトレーナーにケアしてもらい今日を迎えました。公式練習では怪我のことは あまり気にならなかったのですが、レースではコースが荒れ負荷が大きくなりました。それでもヒート1は表彰台を狙える位置にはいたのですが、能塚選手をブロックし切れず4位。ヒート2はスタートで遅れただけでなく、体が思うように動かないところがあって順位を上げることができませんでした。しかしヒート3は、スタート直後の転倒から7位まで挽回できました。これはEPSなどマシン側で負荷のかからないセッティングをしてくれるなど、チームのサポートがあったからこそです。次のSUGOに向けてはまず体を治して、今度こそ勝てるように準備を進めます」
ジェイ・ウィルソン選手談(IA2:優勝/優勝:総合優勝)
「ヒート1はスタート直後を含め3回の転倒があり、ヒート2も同様に、スタートを失敗し、本当にフラストレーションが溜まりました。コンディションもスリッピーで難しく本当に厳しい大会となりました。ただ、成績を見ての通りバイク自体はとても良い走りをしてくれました。今日のコンディションからEPSもうまく働いてくれて、ラップタイムはとても安定していたのです。やはりチームのみんながハードワークしてくれたおかげで、今日の素晴らしいリザルトに繋がったのだと思います。これで5連勝となりましたが、とても良い流れでブレイクに入ることができます。そして次のSUGOですが、素晴らしいコースというだけでなく、ヤマハのコースであり、多くのモトクロクスファンが来てくれるので走るのがとても楽しみです。タイトルに向けても、良いパフォーマンスをして確実にポイントを積み重ねていきたいと思います」
増田智義監督談
「ジェイ選手は5連勝ですが、サスペンションこそセッティングしているものの、マシンはスタンダードということで、YZのポテンシャルを存分に示してくれています。これは若手ライダーにとっては大きな刺激になることです、若手もそれを感じとってくれると嬉しく思います。また、EPSの開発にも貢献しており、この2戦ですでに課題も含め多くのフィードバックをしてくれ、プロとしてミッションを着実に遂行してくれている印象です。渡辺選手は、不運なアクシデントで負傷し、その影響がある中でのレースでした。正直、ヒート2の走りを見た時はキャンセルも考えたのですが、本人の少しでもポイントを取りたいという意思も尊重し、無理のない走りに留めるという約束をして出場を決めました。強いメンタルで走りきり、ポイントを獲得しましたが、本人は納得できるものではないと思いますが、この結果が後々、生きてくるはずです。そして富田選手はヒート1ではスタートで転倒があり5位となりましたが、ヒート2、ヒート3では速さと強さを見せてくれました。取り組み方、メンタル、ラップタイムなど総合的には良い状態を保っていることも含め、自分が良い状態にあることを確認できた大会になったと思います。次回のSUGOも、開発、若手育成、そして成績と、すべての面で成果を残せるように頑張りますので、応援をよろしくお願いします」
bLU cRU レーシングチーム鷹
星野 優位選手(優勝/13位/5位:総合3位)
「今回は地元関東ということで、特にヒート1は好きなコンディションだったので狙っていました。抜きどころがないのでスタートに集中していましたが、バッチリ決まって、これはいくしかないと。後ろから来ていることもわかっていましたが、ライバルの方が少し速い感じもあったのですが、自分のタイムも十分だったし、リズムよく走れていたしので抜かれる心配もなく、淡々と走れました。2020年以来の優勝ですが、自分でチームを立ち上げて早く勝ちたかったので、最高の優勝です。ヒート3もスタートが決まったのですが、富田選手と能塚選手らのペースが速くついていけない感じだったので、総合成績を意識して無難にまとめました。ヒート2は集団に飲まれでどうにもならなかったのですが、総合3位に入れてよかったです。これからもランキング上位を意識してしっかりと戦っていきます」