全日本モトクロス選手権 IA1
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどIA1に関する情報をお届けします。
Rd.08 10月23日 SUGO
RACE DATA
■大会名称: 2011全日本モトクロス選手権第8戦・MFJーGPモトクロス大会
■カテゴリ:IA1クラス
■開催日:2011年10月23日(日)
■会場:宮城県・スポーツランドSUGO
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
■天候:晴れ ■観客:5,270人
REPORT
成田がGPライダーを抑えて第1ヒートで優勝!
第2ヒートも日本人トップを獲得!
大会初日の土曜日から雨により、マディーコンディションとなった第49回MFJ-GP/全日本選手権第8戦。各クラスの公式練習、および予選ではこのコンディションの影響で転倒やスタックするライダーが続出、スケジュール自体も変更された。しかしスポーツランドSUGOのスタッフによる懸命なコース改修によりコンディションは好転。さらに天候にも恵まれたこともあり、決勝レースではスポーツランドSUGOらしいダイナミックなコースを選手たちがハイスピードで駆け巡った。また、今大会には2011年モトクロス世界選手権MX1のランキング4位、E・ボブリシェブ(ホンダ)と、ランキング6位のR・ゴンカルブス(ホンダ)がIA1にエントリーしており、見所の多い大会となった。
自身国際A級通算100勝、そして最高峰クラス7度目のチャンピオンを目指す成田亮(YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T.)は、第1ヒートでGPライダー2人を抑えて今季10勝目(通算99勝)。第2ヒートはGPライダーにトップ2は譲ったが、日本人ではトップでゴールしチャンピオン獲得へ大きく前進した。
第1ヒートは世界のトップライダーと、日本のトップライダーが真っ向から激突する白熱したレースとなった。その世界のトップライダーにぶつかっていったのが成田亮である。スタートはゴンカルブスがホールショットでこの後方にボブリシェブが続く。一方成田は第1コーナーこそ4番手だったが、1周目に一気に2番手に浮上し、さらにゴンカルブスの後方につけるとプッシュを続け、2周目にトップに浮上する。
その後成田はGPライダー2人を引き連れ3人がトップグループを形成して周回を重ねる。しかしGPライダーも黙ってはいない。2番手に上がったボブリシェブが11周目にフープスで仕掛け、成田をかわしてトップに立つ。しかし成田もすぐに反撃。12周目のフィニッシュラインに向けたストレートで逆転しトップを奪い返す。その後はボブリシェブのプレッシャーを受けながらも最後までポジションを守りフィニッシュ。2位はボブリシェフ、3位はゴンサルベスとなった。これで今シーズン通算10勝目、国際A級通算優勝回数は99勝となり、ランキングでは2番手につける熱田孝高(スズキ)が4位だったため7ポイント開き、26ポイント差とした。なお、MPDYの小島太久摩は13番手走行中に転倒して脳しんとうがありリタイアとなった。
第2ヒート、スタートはボブリシェブがホールショット。これにゴンカルブスが続く。成田はこの後方3番手からスタートし、そのまま3番手で1周目を終える。序盤はGPライダー2 人がハイペースで大きく先行。一方3番手争いはランキングトップの成田と2位の熱田によるバトルとなり、日本人トップ対決となる。
しかし6周目走行中に熱田が転倒して後退。これに変わって田中教世(カワサキ)が4番手に上がり、成田を後方から追いかける。成田はテールに迫られながらも田中をしっかりブロックすると、中盤以降は徐々に田中を引き離して3番手の単独走行を続ける。
上位2人は、トップのボブリシェフが転倒、これに変わってゴンカルブスがトップに立つとそのまま独走で優勝。ボブリシェブは2位でゴールした。成田も終盤は安定した走りで2人に続き3位とし、日本人トップでチェッカー。これにより5位でフィニッシュした熱田とのポイント差を拡大しチャンピオンへさらに一歩近づいた。なお小島太久摩は、第1ヒートの転倒の影響からドクターストップがかかり出場をキャンセルした。
IA2、第1ヒートは渡辺学が11番手、尾崎友哉もこれに続き12番手でスタートする。渡辺は序盤から積極的なレースで5周目までに9番手に上がると、その後は星野裕(カワサキ)、星野優位(ホンダ)とグループを作りバトルを展開。終盤に入り星野裕が脱落して6番手に上がると、そのまま6位でゴールとなった。また尾崎は序盤に順位を落としたものの、後半は徐々に挽回し10位でフィニッシュした。なお優勝は三原拓也(カワサキ)、2位は池谷優太(スズキ)、3位は星野優位。
第2ヒートは、渡辺が7番手、尾崎が13番手で1周目を終える。渡辺は序盤で7番手とし、それをキープしながら前方を追うが、中盤に入ると後方からの追い上げにあい順位を落としてしまう。一方の尾崎は、序盤と中盤で一つずつ順位を上げ10番手とする。その後は上位グループとの差を詰めながら周回を重ね終盤には、9番手の渡辺の背後に迫り、さらに8番手の池谷を巻き込んでのバトルを展開。この中で渡辺が池谷をとらえ8位でフィニッシュ。尾崎は池谷を一度かわしながらも最後に抜き返され10位となり今回も一桁フィニッシュに一歩届かず第1ヒートと同様10位となった。なお、優勝は三原、2位は星野優位、3位は中村友則(カワサキ)。
レディスでは、伊集院忍(ヤマハ)が、スタート直後の第1コーナーでマシントラブルによりリタイアとなったためヤマハ最高位は13位の小栗山英華となった。優勝は邵洋子(スズキ)、2位は川村真理子(ホンダ)、3位は山本泉(ホンダ)。
次回の全日本選手権・第9戦九州大会は、11月5•6日にHRS九州(熊本県)にて開催される。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 成田 亮 | YSP Racing Team with N.R.T. | Yamaha | 31'59.943(17Laps) |
2 | E・ボブリシェブ | Honda World Motocross Team | Honda | 32'01.644 |
3 | R・ゴンカルブス | Honda World Motocross Team | Honda | 32'02.246 |
4 | 熱田 孝高 | Team SUZUKI | Suzuki | 32'39.807 |
5 | 平田 優 | Team HRC | Honda | 32'43.425 |
6 | 田中 教世 | グリーンクラブTEAMTAKASE | Kawasaki | 32'49.547 |
7 | 新井 宏彰 | K.R.T | Kawasaki | 32'55.238 |
8 | 小島 庸平 | Team SUZUKI | Suzuki | 33'31.456 |
9 | 福留 喜秀 | TODAY SPORT | Honda | 33'58.271 |
10 | 増田 一将 | Team HRC | Honda | 34'01.620 |
11 | 沼田 誠司 | グリーンクラブJUDFE MENT | Kawasaki | 32'24.690(-1Laps) |
12 | 小川 裕紀 | K.R.T | Kawasaki | 32'29.576(-1Laps) |
13 | 辻 健二郎 | ホンダドリーム高浜 | Honda | 33'10.306(-1Laps) |
14 | 芹沢 翔悟 | TEAM HAMMER | Honda | 33'14.711(-1Lap) |
15 | 鈴木 正明 | 秀明道場 | Yamaha | 33'36.191(-1Lap) |
16 | 芹沢 直樹 | TemaORF&CarLife | Honda | 33'36.191(-1Lap) |
17 | 谷 和也 | サンビシwithイナベMSL | Yamaha | 34'03.347(-1Lap) |
18 | 勝谷 武史 | グリーンクラブ&ジュニアライダース | Kawasaki | 32'17'175(-2Laps) |
19 | 片平 竜英 | モトハウスレースチーム | Yamaha | 32'16.838(-2Laps) |
20 | 出口 隼飛 | モトカウベルRT | Honda | 32'19.748(-2Laps) |
21 | 池田 孝宏 | KTMうす潮レーシング福山 | KTM | 33'19.207(-2Lap) |
22 | 馬淵 崇之 | 浜松MRC&Stab Blue | Honda | 33'35.309(-2Lap) |
23 | 中村 泰介 | Yamaha | 33'39.827(-2Lap) | |
24 | 鈴木 恵一 | 茨城土浦レーシング | Yamaha | 34'29.245(-2Lap) |
DNF | 小島 太久摩 | MPDY | Yamaha | 22'26.907(-6Lap) |
DNF | 林 友太 | レーシングチーム鷹 | Yamaha | 14'29.654(-11Laps) |
DNF | 北居 良樹 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 02'16.867(-16Laps) |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | R・ゴンカルブス | Honda World Motocross Team | Honda | 33'15.611(18Laps) |
2 | E・ボブリシェブ | Honda World Motocross Team | Honda | 33'57.002 |
3 | 成田 亮 | YSP Racing Team with N.R.T. | Yamaha | 34'14.170 |
4 | 田中 教世 | グリーンクラブTEAMTAKASE | Kawasaki | 34'22.534 |
5 | 熱田 孝高 | Team SUZUKI | Suzuki | 34'27.303 |
6 | 小島 庸平 | Team SUZUKI | Suzuki | 34'29.692 |
7 | 平田 優 | Team HRC | Honda | 34'31.693 |
8 | 新井 宏彰 | K.R.T | Kawasaki | 34'45.009 |
9 | 勝谷 武史 | グリーンクラブ&ジュニアライダース | Kawasaki | 34'16'871(-1Lap) |
10 | 増田 一将 | Team HRC | Honda | 34'33.515(-1Lap) |
11 | 小川 裕紀 | K.R.T | Kawasaki | 34'42.470(-1Laps) |
12 | 沼田 誠司 | グリーンクラブJUDFE MENT | Kawasaki | 35'02.854(-1Laps) |
13 | 芹沢 直樹 | TemaORF&CarLife | Honda | 35'04.306(-1Lap) |
14 | 谷 和也 | サンビシwithイナベMSL | Yamaha | 35'05.031(-1Lap) |
15 | 片平 竜英 | モトハウスレースチーム | Yamaha | 33'25.858(-2Laps) |
16 | 鈴木 正明 | 秀明道場 | Yamaha | 33'33.179(-2Lap) |
17 | 北居 良樹 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 33'59.115(-2Laps) |
18 | 辻 健二郎 | ホンダドリーム高浜 | Honda | 33'10.306 |
19 | 林 友太 | レーシングチーム鷹 | Yamaha | 34'25.632(-2Laps) |
20 | 馬淵 崇之 | 浜松MRC&Stab Blue | Honda | 34'36.232(-2Lap) |
21 | 池田 孝宏 | KTMうす潮レーシング福山 | KTM | 36'00.104(-2Lap) |
22 | 芹沢 翔悟 | TEAM HAMMER | Honda | 33'52.313(-3Lap) |
23 | 中村 泰介 | Yamaha | 33'58.581(-3Lap) | |
24 | 鈴木 恵一 | 茨城土浦レーシング | Yamaha | 34'40.993(-3Lap) |
DNF | 出口 隼飛 | モトカウベルRT | Honda | 12'25.903(-12Laps) |
DNF | 福留 喜秀 | TODAY SPORT | Honda | 07'25.037 (-16Laps) |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田 亮 | Yamaha | 371 |
2 | 熱田 孝高 | Suzuki | 341 |
3 | 新井 宏彰 | Kawasaki | 279 |
4 | 小島 庸平 | Suzuki | 279 |
5 | 田中 教世 | Kawasaki | 270 |
6 | 平田 優 | Honda | 250 |
16 | 小島 太久摩 | Yamaha | 73 |
17 | 片平 竜英 | Yamaha | 72 |
18 | 鈴木 正明 | Yamaha | 61 |
19 | 谷 和也 | Yamaha | 57 |
25 | 林 友太 | Yamaha | 36 |
26 | 中村 泰介 | Yamaha | 32 |
COMMENT
成田亮選手談(IA1:1位/3位/総合2位)
「GPライダー2人はスタートは出ないと思っていたのだが、ともに好スタートを切ったため、とにかく逃げられないよう1周目はできるだけ前を狙って走った。結果的に2番手で1周目を終えることができたので、その後は体力が持つ限り攻め続けようと考えた。途中で一度抜かれたが、様子を見る余裕がなかったのですぐに前に出ようと攻めてトップを取り戻した。最後は向こうも諦めた感じはあったが、勝てたことは本当にうれしかった。第2ヒートは1周目の大坂を下るときに、コース脇にある土の山に突っ込んでしまった。奇跡的に何事もなかったのだが、それでビビってしまいペースも上がらず、トップの2人にはついていけなかった。でもランキングで争う熱田選手が転倒で後退していたこともあり、落ち着いて自分の走りに専念できた。3位だけれど日本人ではトップなので、納得している。次回の九州は、コンクリートスタートなどちょっと苦手意識はあるが、いつもの通りヒート優勝を狙っていくだけだ」
小島太久摩選手談(IA1:DNF/不出場)
「第1ヒートは調子が悪かったし、さらに転倒による脳しんとうでリタイアとなってしまった。第2ヒートは出ようとしたのだがドクターストップでキャンセルすることとなった。前回の広島では手に飛び石があり、今回は転倒とSUGO以来回復を目指してきたのになかなか思うようにかみ合っていない。次回の九州は得意なコースなので、自分のなかではここで完全復活というイメージを持っていただけに本当に残念。でもモチベーションが落ちている訳ではないので表彰台を狙っていきたい。そしてこれまでの悪い流れを断ち切れるようなレースにしたいと思う」
尾崎友哉(IA2:10位/10位/総合10位)
「復帰したSUGOから、名阪、広島と徐々に良くなってきた。これはマシンの開発が着実に進んでいること。また自分自身もレースに慣れてきたところで、やっとレースらしいレースができたと思う。特に第2ヒートは約10秒先にいるグループに中盤から追いかけて追いつくことができた。最後その集団の一人を一度かわしながら再び抜き返されて結果的には10位となったが、やっと後半に強い自分らしい戦い方もできた。また常に余裕を持って走れたし、ラインもしっかりつかんめたことも大きな収穫だ。ただやはり前半の戦い方がポイント。それが良ければ一桁台のフィニッシュも見えてきたので、次回の九州でもこういったレースができるように、ベストを尽くしたい」
YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T. 五十嵐博監督談(YSP酒田社長)
「今回はGPライダーの参戦があり、成田選手にはまた別のプレッシャーもあったのかもしれない。でもその中で勝つことは本当にすばらしいと思う。第2ヒートは第1ヒートでパワーを使った部分もあったのなかで日本人ライダートップを確保するなど、自分のやることをしっかりやったというレースだった。残り2戦では100勝と7回目のチャンピオン獲得という目標が残っている。本当はここで100勝を達成してもらうため東北代表として一生懸命に応援したが、もう一歩後押しが足りなかったようだ。次の九州ではこれらの目標が達成できるように、応援のバトンをつなげてほしいと思う。そして成田選手には今回のようなすばらしいレースを見せてほしい」
YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T. 臼井秀和チームマネージャー談
「誰もがGPライダーは速いということを感じながらレースを観戦されていたと思うが、我々には地元の利もあるし、成田選手、そしてマシンと非常に高いレベルで仕上がっていたので、チャンスはあると考えていた。そして成田選手がそれを実践してくれた。特に一度かわされながら、再び抜き返すという精神力は本当にすばらしかった。第2ヒートは転倒しそうになったことで、2人と勝負することができなかったと成田選手は話していたが、その状態でも日本人トップを獲得してくれたことは、今後のレースには非常にプラスになることだ。なぜなら我々にとっては100勝も目標だが、やっぱりチャンピオンを獲ることが一番だからだ。そして今回2人のGPライダーを抑えて勝ったことは本人の自信になるだけでなく、他のライダーへのインパクトも大きいと思う。残り2戦4ヒートでもさらなる強さを発揮してくれることを期待してほしい」
MPDY辻本幸二監督談
「小島選手は本当についていない。調子を取り戻しかけた広島では飛び石が手にあたって怪我をし、今回は転倒によるリタイヤ、そして出場キャンセル。思い通りの流れが作れそうで作れず本当にもったいない。次の九州は得意な場所ということだが、ランキングも順位を関係ない状態なので、自分が納得いくレースと走りをして、良い流れを掴んでほしい。一方の尾崎選手はマシンも良くなってきたし、本人も着実に調子を上げている。まさに尾崎選手はかみ合ってきていることを感させるレースだった。特に第2ヒートの後半は抜群の追い上げをみせ、結果的には順位を上げることはできなかったが、彼の真骨頂を発揮したという意味では良かった。あとは前回も言ったことだが序盤で速いペースを作るこれができれば、十分に上位入賞のチャンスはある。次回に期待したい」