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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.03 8月6日 日本

RACE DATA

■開催日:2023年8月6日
■大会名称:世界耐久選手権 第3戦日本
■開催地:日本/鈴鹿サーキット(5.821km)

REPORT

YART、レース1時間半でトラブル、43番手から追い上げ23位

#7 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team (YART)は、金・土の計時予選でニッコロ・カネパ、マービン・フリッツ、カレル・ハニカの3人が揃って2分05秒台の好タイムを記録。そして土曜日のトップ10トライアルでも、ハニカが2分05秒519の好タイムを記録してセカンドグリッドを獲得し、好調な仕上がりのまま、決勝を迎えた。

この好調さは決勝でも発揮された。Yoshimura SERT Motulのグレッグ・ブラックが好スタートを切るが、2周目、YARTのファーストライダーを務めたカネパがブラッグの背後に迫る。そして3周目のシケインでカネパがトップを奪うと、Team HRC with Japan Postの高橋巧(ホンダ)、ブラッグ、F.C.C. TSR Honda Franceのマイク・ディ・メリオ(ホンダ)、TOHO Racingの國峰啄磨(ホンダ)らを従え周回を重ねた。

その後、7周目のメインストレートで高橋の先行を許したカネパだったが、9周目にはトップに復帰。その後、カネパと高橋は後続を引き離してのマッチレースを展開し、両者ルーティンのライダー交代を迎えた。そして午後1時過ぎ、カネパからマシンを受けたハニカだったが、西ストレート付近でマシントラブルが発生しマシンがストップしてしまう。

オフィシャルの力を借りてマシンを押し始めるハニカ。そして13時57分にハニカはマシンとともにピットにたどり着いた。チームスタッフはトラブルとなった原因を探し、14時3分に再スタートに成功。ライダーは、速さに定評のあるマービン・フリッツ。チームは43番手からの逆襲を開始した。

その直後、サイドカウルが外れかけてピットに戻るシーンもあったが、3人のライダーはみな高いアベレージスピードを持っており、確実にポジションを回復していった。

16時33分から同48分まで、西ストレートでのクラッシュ処理のためにセーフティカーが介入。さらに18時過ぎに西ストレートで雨が降り、同10分にはホームストレートも強い雨に見舞われた。この雨はすぐに小降りになったことから、結果的にスリックタイヤで走り続けたチームが功を奏し、レインタイヤにチェンジしたいくつかのチームは転倒やタイムロスを余儀なくされることになった。
こうした外的要素にも的確に対処し、残り1時間、YARTは28番手まで順位を挽回。すると最終スティントを担当したハニカがさらに順位をあげ総合23位でチェッカーを受けた。なお、NST(ナショナルストック)クラスを除く順位では19位となった。

IRF with AZURLANEは鈴鹿8耐初出場の遠藤晃慶がファーストライダーを務め、1周目はグリットポジションから3つ落として44番手。ここから挽回を開始して31番手までポジションを回復し、川名拳豊にマシンをつないだ。

その川名は、37番手でピットアウトして、同じく31番手まで戻し、ベテランの澤村元章が登場。34番手でコースに戻り、2分16秒台をマークするなど、チームトップのペースで走行を重ね31番手で遠藤にマシンを渡した。

その後も30〜31番手あたりをキープしたまま周回を重ねたが、川名が2回目の走行中、16時を過ぎたところでマシントラブルが発生。転倒こそなかったもののコースアウトし緊急ピットイン。チーム一丸となって修復を行い、16時50分を過ぎたところで44番手でコースに復帰した。

その後も完走を目指して走行を継続し、澤村、遠藤とマシンをつないで、最終スティントを担う川名にマシンを渡すと、最後は41位でチェッカーを受けた。

NST(ナショナルストック)クラスで優勝した原田哲也監督率いる#86 NCXX RACING with RIDERS CLUBが15位でヤマハのトップリザルトとなった。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team 決勝:23位(203周)
カレル・ハニカ選手談

「最初のスティントは2分8〜9秒台で、速くはなかったけど2位で安定して走っていましたが、あの瞬間は、表彰台を失ったという残念な気持ちでした。残念ながら一番遠いスプーンコーナーで、バイクがオフになって、再スタートできなかったのです。バックストレートの上で止まりたかったけど、坂の一番下で止まり最悪でした。さらにスティントの後半だったし、とても暑かったので大変でした。でも戻ることができ、チームと話して、最後まで頑張ろうと決めたのです。 でも40位以下でモチベーションを保つのは大変なことでしたが、チーム、マンディが"あきらめない"と言ってくれたから、力になりました。ただ、今後のことを考えリスクを避けるために最初はペースを落とそうとみんなで決めたけど、やっぱりサーキットに出るとみんな、速く走りたくなり、大きく追い上げ、最終的に2ポイントをとることができました。人生で最も大変な2点。チーム、チームメイトを誇りに思います。 ファンの皆さんには残念な結果になってしまいました。それでも、トップ10トライル、ニッコロのスタートと最初のスティントは楽しんでもらえたと思います。そして鈴鹿に来てくれて、応援してくれて感謝です。次はタイトル獲得が目標になりますので、ボルドールでは100%で戦います」

マービン・フリッツ選手談

「バイクがしっかりスタートして、ニッコロもすばらしいファーストスティントでした。HRCとバトルして僕たちの可能性を示しました。FCCの前にいて、SERTにもミスがあり、すべてがタイトルに向けて計画通りでした。ところがバイクにトラブルがあり... 信じられませんでした。しかしチームはすばらしい仕事をして、バイクを数分でリペア。再スタートした時は15周遅れでしたが、YARTのピットワークは速く、ライダーも全力で挽回しようとがんばりました。チームのレベルを見せることができましたが、不運だったのです。最終的に2ポイント取れたので、ボルドールは多くのポイントもあるので、全然心配していないし僕らは強いので、がんばります。 昨年はコロナで制限がありファンにとっても残念だったと思いますが、今回はたくさんのファンが会いにきてくれ、本当によかったです。日本は特別で、来年も楽しみにしています」

ニッコロ・カネパ選手談

「スタートと最初のスティントは楽しめました。YARTがトップチームと戦えることを見せることができたと思います。そして今回は、レースウィークのほとんどのセッションでトップとなり、本当にいい調子でした。でもレースは計画通りにはいきませんでした。トラブルはすごく残念でした。カレルは最悪な場所でストップしてしまいました。悲しいことです。だけどチームメイトもすばらしい走りをしてくれ、その後は追い上げ、ポイントも取ることができました。本当に不運なだけなのです。そして日本のファンの皆さん。サポートをありがとうございました。いろんな場所で青いシャツをたくさん見ることができました。僕の名前が書かれていて、それを見て感動しました。これからも僕らを応援してください。来年こそは表彰台を目指します。僕たちは諦めていません。そしてEWCのタイトルは、ライバルも強いので、最後の最後までわかりませんが、ボルドールが大好きで、鈴鹿みたいにR1に合っているので、僕らはいつも通りすべてを出し切るつもりです」

マンディ・カインツ監督談

「とても残念な結果になりました。以前にも言いましたが、YARTを止められるのは不運だけ。ライダー、チームはすばらしかったけど、それが起こってしまいました。トラブルの後でもトップとのギャップを縮めることができたように、速さは十分だったけど、表彰台には届きませんでした。 トラブルはメインスイッチの不具合で、不運なことに、カレルが上り坂でバイクを押すことになりアンラッキーだったし、25分程度のタイムをロスしました。鈴鹿は本当に毎回チャレンジですね。表彰台はまた来年の鈴鹿8耐のために取っておきます。Never Give Upです」

IRF with AZURLANE 決勝:41位(185周)
川名拳豊選手談

「"万が一、転倒してもマシンを押して絶対ピットに帰って来い!"とスターティンググリッドで日髙社長に言われた、その言葉通り、トラブルがあったもののしっかりマシンを持ち帰って完走でき、順位がついて本当によかったです。去年の8耐では、コラボチームとして、新しいファンの方がせっかくサーキットまで足を運んでくださったのに、すっきりしない結果で帰してしまったことが心残りでしたから。たまたま誰も巻き込まず、自分も転倒せず、運よくピットに戻って来ることができたので不幸中の幸いなんですけれど、これでマシントラブルがなかったら。順位も30位前後を走行していたのでなおさらです。ライダーが結果を出そうとがんばり過ぎた末の転倒でトラブルが出てしまうことは、仕方のないことですが、転倒を伴わないマシントラブルはゼロにしたい。何が原因で、次の活動に向けてどういう準備が必要なのか、フィードバックしていきたいですね。原理原則に基づくトラブルの原因究明は、日頃の開発業務においても同じです。短い時間内で判断せざるを得ない厳しいレース現場で経験を重ねることで、マシンの症状を見て原因を探る力が付いてきたように思います。これからは自分が経験してきたものを後輩に伝え、それを受け継いだ後輩が、ヤマハのバイクをよりよくしていく活動につなげてくれたら嬉しい限りです」

遠藤晃慶選手談

「コラボチームとして、決勝中もSNSに寄せられた情報や応援メッセージに助けられ、無事完走することができました。ありがとうございました。4耐とは比べものにならないほど規模も大きく、とても多くの方々の支えがあってこそ、僕らが走行できることを改めて実感したレースでした。ライダーの責任の重さを感じながら、やるんだったらとことん突き詰めてやろう、そこまでやりきらなければ、手伝ってくれる方々に失礼だなと。身体は悲鳴を上げながらも、しっかり3スティント走り切れたことで、来年はどのようにレースを組み立てたらいいかがわかる走りができたと思います。実は、こんなに長い距離を走り込んだことが、特に1000ccバイクではありませんでした。日々、大型バイクの走行評価を仕事にしているので、ある程度負荷をかけたところで余裕を持ってマシンを評価する能力は重要です。レース活動の一つひとつが自分の開発ライダーとしてのスキルに活かされていると感じています。そもそもレースを始めたきっかけが、走行評価ライダーを務めるからには大型バイクを担当したい、そのためにスキルアップを図りたいという想いからでした。とはいえ先輩ライダーにはまだ及びません。技量も知識もこれからです。澤村さんには"昔の8耐はライダー2人だったよ"と真顔で言われたくらいです。来年は、昨年の4耐で優勝したときのライダーと一緒に出られるよう、みんなで練習し、切磋琢磨し合ってスキルアップしながらより良い結果を出せるように、しっかり1年かけて準備をしていきたいです」

澤村元章選手談

「雨は降らない!と宣言したとおり、自分のスティントではドライで走り切れました。思い込みも大事です。もう少しハイペースで走りたい気持ちもゼロではありませんでしたが、耐久レースならではの安定した走りで、想定タイムを淡々と刻み、若い2人のライダーの間に入って、彼らにしっかりバトンを渡す、という役割を果たせたと思います。マシンにマイナートラブルがあったものの、転倒せずに完走という、ここ数年のIRFの8耐としてはなかった結果を出せて良かったと思います。実は、個人的には鈴鹿と茂木の地方戦にエントリーしていて、現在、ランキング1位なんです。今回の8耐完走を弾みに両大会ともにチャンピオンを狙いたい。昭和のライダーもまだまだがんばっているんだ!というのをアピールしたいですね。アベレージタイムは若い2人ライダーに負けていませんからね」

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