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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.02 6月17-18日 ベルギー

RACE DATA

■開催日:2023年6月16-18日
■大会名称:世界耐久選手権 第2戦SPA 24 EWC Motos
■開催地:ベルギー/スパ・フランコルシャン・サーキット(6.985km)

REPORT

YART Yamahaが今季初優勝、ランキング首位に浮上

Yamalube YART Yamaha EWC Official Teamは、ベルギーはスパ・フランコルシャンで開催された第2戦スパ24時間耐久レースで優勝し、ランキング・トップに浮上した。

今大会では、24時間耐久レースが20年間の休止期間を経て伝説のスパ・フランコルシャンに戻って来た。そこにはスリリングなコース上のバトル、度重なるセーフティ・カーの出動、終盤の雨の脅威など、あらゆる困難が待ち受けていた。YART Yamahaはそのすべて克服し、N・カネパ、K・ハニカ、M・フリッツの活躍によりトップでチェッカー。2020年のエストリル12時間耐久レース以来、また24時間耐久レースにおいては14年ぶりとなる勝利を手にした。

金曜日に行われた予選では、チームの3人が0.198以内の差という安定した強さを見せ、2番手に0.959秒差をつけてポールポジションを獲得。しかも、この1ラップの速さに加えてウイーク中は決勝用セッティングにも集中してきたため、チーム内には自信が漂っていた。

第1スティントを担当したフリッツが、ポールポジションからル・マン伝統のランニング・スタートに臨んだが、わずかにウイリーさせて第1コーナー進入時点で10番手に後退したが、すぐさま巻き返して3台によるトップグループに復帰した。その後、互いに何度もオーバーテイクを繰り返し、フリッツがトップに立ったところで2番手のハニカにバトンを託した。

ハニカが走り出すや最初のセーフティ・カーが出動したが、再開後はペースを上げてアドバンテージを2秒まで拡大してカネパに交代。カネパもフルスロットルで果敢に攻め、2分22秒台前半から中盤をキープしながらリードを22秒に拡大した。しかしスタートから2時間経過を前に、コース上のオイルにより再びセーフティ・カーが入ったため、この間にライバルたちに差を詰められてしまう。それでも35分間後に再開すると、カネパはもう一度ライバルを突き放し、12.5秒のリードを築いてフリッツに交代した。

このあとしばらくはチームにとって苦しい時間帯が続く。というのも繰り返しリードを拡大するが、そのたびにセーフティ・カーにより帳消しにされてしまうからだ。上位の3台はいずれもリードを築けないまま8時間が経過し、この時点で2番手を走行していたYARTは9ポイントを獲得した。

夜になってもYARTの3人はハイペースと安定性を維持し、現地時間午前3時には、カネパがチームのファステスト・ラップとなる2分21秒015を記録。こうした努力が実り、15時間経過後にはトップを確保して夜明けを迎え、ここからさらにアドバンテージを拡げていった。

1時間後には14秒をリードして10ポイントを加算。チームはその後もミスなく走行を続け、ライバルたちがトラブルに苦戦する間も順調にペースをキープして、ついにはリードを2ラップまで拡大した。

しかしドラマはその後に待っていた。19時間経過が近づいたころ、フリッツの走行中にリアタイヤがパンクしてしまったのだ。それでも何とかピットまで戻って来ると、チームの見事な作業と素早い対応によりコースに復帰することができた。

ここからはチーム全体で'ノーミス'を目指し、3人のライダーも集中を維持して懸命にトップを守り続けた。ところが残り1時間となって、もうひとつ予想外の出来事に見舞われレイン・フラッグが提示された。走行中のハニカはシールドに雨粒を確認しながらも、豊富な経験を活かして無用なリスクを避け、無事にカネパへのバトンタッチを完了。YARTは2番手のチームに1ラップのアドバンテージを持って最後のスティントをスタートした。

ここで鋼の神経を披露したカネパ。天候変化にも動じず、容赦なくペースを上げてさらにリードを拡大し、素早くピットに戻って燃料補給を受けたあと、再び最後の15分間の戦いに戻っていった。そしてついに24時間が経過すると、2位に1ラップ多い全572ラップを走り切ってトップでチェッカーを受け、2009年のル・マン以来、初となる24時間耐久レース優勝を果たした。

この結果、YARTは、ポールポジションの5ポイント、8時間および16時間経過時点の19ポイントにさらに40ポイントを加えて合計64ポイントを獲得。これによりシリーズ合計を118ポイントに伸ばしてランキング・トップに浮上している。

ベルギーに本拠地を置くKM MotosチームのL・マヒアス、F・マリノ、B・マッケルズは全561ラップを走行して6位、Maco Racing TeamのB・Kovacs、E・Boulom、M・Vugrinecが合計504ラップで19位となっている。

Moto Ain Yamaha EWC Supported TeamのC・Perolari、R・Tamburini、A・Politaは合計472ラップで21位。Wojcik Racing Team EWC 77のS・Morais、I・Vinales、M・Ginesは149ラップ走行後にリタイアした。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

Yamalube YART Yamaha EWC Official Team(優勝)

K・ハネカ選手談

「スーパー・ハッピーです。私にとっては初めての24時間レースでの優勝なので、本当にうれしいです。チームが今回も素晴らしい仕事をしてくれましたし、ヤマハ、ブリヂストン、チームメイト、チームに関係するすべての人、そして私の家族に心から感謝しています。15時間まではノンストップでプッシュし、そのおかげで終盤はペースをコントロールすることができました。非常にタフな戦いで、1ラップたりともプッシュを止めることはできませんでした。観ている皆さんにとっても、とくに序盤のバトルなどは見応えあるものだったと思います。そのなかで私たちはトップに立ち、このような結果を得ることができました」

M・フリッツ選手談

「ランキング・トップに立ったことはひとつの結果ですが、最大の原動力はスタッフとライダーのモチベーションです。私たちはすべてのレースでハードにプッシュしていますが、いつも最後の瞬間に何かが起こるのです。YARTが予選で速いだけではなく、24時間のレースで勝ちきることもできると証明できてうれしいです。優勝にあと一歩と迫ったことが、これまでに何度あったかわかりません。ポールポジションが必ずしも幸運を運んでくれないことはわかっていたので、大き過ぎる期待は持っていませんでした。ポールポジションを獲得したときも、'これは良い前兆ではないかもしれない'と思ったのです。でも最終的に私たちはすべてを手にすることができました。最高の喜びです」

N・カネパ選手談

「何年もの間、この勝利を追い求めてきました。そして今後何度も続くことになるはずの最初の1回になると思っています。私たちにはその力がありますし、そのことにとても満足しています。プロジェクトに参加してくれたすべての人に感謝しています。これは始まりに過ぎません。本当に素晴らしいレースでしたが、正直なところ最初から最後まで厳しい戦いでした。最後の数ラップまでレースの行方は分からない状態でしたが、チームがピットストップのたびに素晴らしい仕事をしてくれましたし、チームメイトもとても速かったです。そして1ラップ目から最終ラップまでプッシュし、信じることを止めませんでした。24時間耐久レースでの優勝は本当に久しぶりですが、私たちは常に、何が起ころうと勝利だけを目指していました」

M・カインツ、チーム・マネジャー談

「言葉が見つかりません。これまで何度もここに近づきましたが、運が味方してくれたことはありませんでした。それだけに24時間耐久レースの優勝は、チームにとって本当に大きな意味があるのです。何が起きても、私たちは信じることをあきらめませんでした。ウイークを通してハードワークを続け、準備してくれたチームのみんなに対しては、どんなに感謝しても足りません。今日はすべてが揃い、この快挙が実現しました。3人のライダーも本当に素晴らしく、全ラップで全力でプッシュして勝利を持ち帰って来てくれました。彼らを誇りに思います。ヤマハ、ブリヂストン、そしてチームメンバーのひとりひとりに感謝しています。私たちは、ついに成し遂げたのです!」

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