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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.03 8月7日 日本

RACE DATA

■開催日:2022年8月5-7日
■大会名称:世界耐久選手権 第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース
■開催地:日本/鈴鹿サーキット(5.821km)

REPORT

YARTがレース終盤、3番手走行中に転倒、7位でチェッカー

2022年8月7日(日)、三重県鈴鹿市で開催された"コカ・コーラ"鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会に、EWCにレギュラー参戦する#7 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(以下YART)が出場し、7時間経過後まで3番手を走っていたものの、残り1時間となったところで転倒、修復後再スタートして209周を走破し7位を獲得した。

決勝で3番グリッドにYZF-R1を並べたYARTだったが、ルマン式スタートでエンジンがかからず大きくポジションを下げてしまう。これにより、1周目を22番手で終えたニッコロ・カネパは、ここから挽回を開始し17番手としたところでセーフティーカーが介入し、さらにトップまでの距離が縮まった。

セーフティーカーが解除されてレースがリスタートするとカネパは猛追を再開。10周目には10番手、11周目には7番手、12周目に5番手に上がると、13周目のデグナーカーブでF.C.C. TSR Honda Franceのジョシュ・フックをパス。さらにシケインではYoshimura SERT Motulのグレッグ・ブラックも抜いて3番手に浮上した。

そしてTeam HRCの高橋巧、2番手のKawasaki Racing Team Suzuka 8Hのレオン・ハスラムに次ぐ3番手でピットインし、マシンをマービン・フリッツに託す。このフリッツのスティントでは上位陣の順位に変動はなく、フリッツからカエル・ハニカにマシンが渡った後、午後1時48分に、デグナーカーブで転倒したマシンが炎上し2度目のセーフティーカーが介入する。

鈴鹿サーキットでは、セーフティーカーは第1コーナーとデグナーカーブの2ヶ所から介入するが、この介入でトップのTeam HRCと、2番手のKawasaki Racing Team Suzuka 8Hが別々のグループに分かれてしまい、実質的に半周差がつくことになった。そしてYARTも、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hと同じグループになったことから、やはりトップから半周差となってしまった。そして午後2時にセーフティーカーが解除されると、この段階でトップのTeam HRCと2番手のKawasaki Racing Team Suzuka 8Hとは1分14秒差となり、Kawasaki Racing Team Suzuka 8HとYARTは5秒差となっていた。

その後、トップのTeam HRCが独走体制を築き始める。対するYARTは、Kawasaki Racing Team Suzuka 8HとYoshimura SERT Motulと2位争いを展開。この時にKawasaki Racing Team Suzuka 8Hのレイが転倒するアクシデントが起きるが、すぐにレースに復帰している。

そして午後6時30分過ぎ、3番手を走行中、YARTとAKENO SPEED.YAMAHAがスプーンカーブで接触転倒。これでYARTはピットに戻りマシンを修復することになり、大きくポジションを下げてしまう。しかし、このアクシデントでセーフティーカーが介入しことで、YARTは7番手でレースに復帰することができたが、その後にストップ&ゴーのペナルティを課せられ、再浮上の可能性はなくなり、209周を走破して7位でゴールとなった。

IRF with アズールレーンは、宮腰武選手がスタートライダーとして41番グリッドからスタート。その直後にセーフティーカーが入ったが、解除された後にじわじわとポジションを上げ、37番手で川名選手に交代する。確実なピットワークから、川名選手は8耐初出場とは思えない安定したペースで走り順位をアップ。上位陣の転倒などもあり、なんと23番手まで順位を上げて西村一之選手にマシンを託した。

その西村選手のスティントでは、目標に定めていた25番手の走行中、開始から約3時間、14時23分にデグナーカーブで転倒。幸い、マシンは走行可能な状態だったため、ピットに戻り修復を行い、約2時間後の16時30分に再スタートに成功した。その後は宮腰・川名両選手がYZF-R1を繋ぎ、最終的には144周を走破、完走扱いにはならなかったが、40番目にチェッカーを受けレースを終えた。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(7位)

カレル・ハニカ選手談

「7時間まではよかったので、鈴鹿が7時間だったらよかったですね。でも本当に今の気持ちを表す言葉が見当たりません。まずはこのウィークでのチームの仕事はすばらしく誇りに思っています。EWCのチームとしてファクトリーチームと対等に戦えたのはすごかったと思う。6回世界チャンピオンのジョナサン・レイ選手、アレックス・ローズ選手、レオン・ハスラム選手と戦えたのです。でもホンダは思った通り速く、彼らについていくのは難しかったですね。マービンの転倒については、耐久レースでは普通に起こることです。チームにとっては残念かもしれませんが、僕たちのパフォーマンスは誇りに思います。
次のボルドールでは、昨年チェッカー受けられなかったけど、トップ走行中にエンジントラブルがあったけれど、次はこのようなことがないように24時間走り切りたいと思いますし、3人ともこのサーキットが好きで十分戦えると思います。タイトルはもう難しいと思うので、優勝を狙い、このシーズンをいい形で終わりたいと思います」

マービン・フリッツ選手談

「いいレースでした。SERTに大きなリードもしていたので、2位か3位で表彰台は確実だと思っていました。転倒した時のスティントは9~10秒台で走れていていい感触でした。でも残り10周ぐらいになった時に、スプーンカーブで前のライダーをかわそうと思ったら、そのバイクのハンドルが僕のシートに当たって、二人で転倒してしまいました。みんなでここまで頑張ってきたので、チームには本当に申し訳ない気持ちです。僕たちの夢は表彰台で、今回は大きなチャンスだったから、達成できず本当に悔しい気持ちで、言葉がありません。
それでも、チームはテストからウィークまで、とてもいい調子で、レースでも強さを発揮しました。あるセッションではトップの2台と同じぐらいの時もあったので、それでさらに申し訳ない気持ちになるし、自分にがっかりしています。これでEWCのタイトルは難しくなったと思いますが、最終戦は勝ってシーズンを終わりたと思います」

ニッコロ・カネパ選手談

「素晴らしいレースでした。原因は分からないけど、スタートでエンジンがかかりませんでした。それで25番手から追い上げとなりましたが、3番手まで挽回することができ楽しめたし、ここまで挽回できるとは思っていなかったので嬉しかったです。一時は、カワサキがミスして2番手にも上がりましたが、残念ながらYARTのバイクは燃費の面が厳しかったのですが、それでも3位には入れたと思うと、十分な結果ではありません。不運でしたが、これがレースです。まだシーズンは続きますが、最終戦もいつも通りベストを尽くします。ポールポジションを確実に取って、レスではラップタイムよりも、シーズンをポジティブに終わらせるためにも、表彰台の真ん中(優勝)に立ちたいですね」

マンディ・カインツ監督談

「今日の結果には満足できません。表彰台が目の前にあり、全部コントロールできていたので後は普通に走っていれば3位に入れたはずです。ライバルに表彰台を渡してしまいました。これは私たちのミスですが、レースはこういうことがあるのです。
その一方でファクトリーと戦えたのは、素晴らしいことです。カワサキがミスしたときには2番手にもなり、常に表彰台の範囲にいたのです。またスタートはちょっとミスありましたが、すぐに挽回できたように、大したことではありませんでした。速く、ペースも良く、いい感触だったので残念です。私たちはファンの皆さんのために戦ってきました。表彰台は諦めることはできません。また鈴鹿にきます」

IRF with アズールレーン(DNF)

西村一之選手談

「最初のスティントのデグナー2つ目で転倒。気温が高くフロントの接地感が弱いことがわかっていたので、もう少しペースを上げたいと思いながら気をつけていたのですが、フロントからスリップダウンしました。ピットにマシンを戻すも、電気系トラブルでエンジンがかからず、その原因追求に時間がかかってしまいました。原因がわかってからは作業も速く、再度復帰でき、完走とはいきませんでしたが、チェッカーを受けることができてホッとしています。例年、うちのチームは決勝前までに何度か転倒があるのに、今年はウイークに入ってから転倒せず、順調だったのですが、本番でやってしまいました。これが8耐ですね」

宮腰武選手談

「アズールレーンさんとのコラボレーション企画が発足して以来、そのスペシャルカウルをつけた車両とツナギで出場したレースでは、転倒するなど散々な結果でしたので、ずっと緊張していたんです。でも先の予選で思ったよりも好タイムを出せたことでプレッシャーから解放されたこともあり、安心して決勝に臨めました。レース序盤、ものすごく暑くて、10周も走ったところでフロントタイヤが柔らかくなってしまい、フロントが切れ込まないよう細心の注意を払ってコントロールしていたので、転ばず走れて本当によかったですね。
アズールレーンさんとのコラボレーションにより、たくさんの方に応援してもらったことで、改めてレースに挑戦する喜びを感じています。そろそろライダーの座を後輩に譲る立場になりつつありますが、改めてまたレースに挑戦したいと思っているところです」

川名拳豊選手談

「当初、4回走る予定でしたし、気温が上がってフロントの感触が怪しいこともあり、1スティント目は体力的にもマシンの状態的にも少し抑えめに走行しました。にも関わらず、コンスタントにいいペースで走れ、目標としていた25番手よりも上の22番手で渡せたので、このまま行ければ、と思っていたのですが... (転倒したライダー)本人はそんなにペースを上げていないと言っていますが、レース本番では自ずと攻めた走りをしてしまうものです。攻めた結果の転倒であれば仕方のないこと。自分もチームも小さなミスはいくつもあるし、ウイークを通して、気温が高い時間帯にロングランをしていなかったことも影響しているかもしれません。逆に来年に向けての課題が見えたと言えます。
25位を目標に掲げた初めての8耐。トラブルがあってもチーム全員で力を合わせて復帰し、完走はできませんでしたが、チェッカーを受けることができました。本当は今年でレース活動を卒業するはずでしたが、今はもう一度、挑戦したい気持ちです」

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