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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.01 9月21-22日(2019) フランス

RACE DATA

■開催日:2019年9月21-22日
■大会名称:世界耐久選手権 ボルドール24時間耐久レース
■開催地:フランス/ポールリカール・サーキット

REPORT

YART Yamaha EWCの希望は炎に燃えつくされた

再スタートから4時間、YART Yamaha Official EWC Teamのポール・リカール・サーキット初優勝の夢が炎に消された。トップ走行中のL・バズが、オイルに乗って転倒してしまったのだ。

ピットストップを終えてYART Yamaha YZF-R1で連続2回目の走行に入ったバズがトップに再浮上。しかしLe Beausset コーナーではM・ディメリオが転倒してオイルを撒き、SRC KawasakiのE・ニゴンに続いてバズも転倒して、2台のマシンは炎に包まれてほぼ全焼してしまった。幸い、ふたりのライダーと、火を消そうと駆けつけていたマーシャルたちに怪我はなかった。

第83回ボルドール耐久レースはアクシデントが多発。序盤は雨と強風に見舞われ、スタートから3時間後には大量の水で安全性確保が難しくなりレッド・フラッグが出されて中断となった。夜には風雨がますます激しくなることが予想されたため、レース主催者と各チームのマネジャーの調査を経て、翌朝6:00の再スタートが決定された。

その第1走者を務めたN・カネパは、フルウエットから急速にドライへと変わってゆく難しいコンディションのなかでダブル・スティントを走り切り、3位から2位へ上げてバズへバトンタッチ。

バズはスリック・タイヤに履き替えて出走し、そのアドバンテージを十分に引き出してライバルより1秒以上も速いペースで追い上げてゆく。見る見るうちに差を縮めて背後に迫ると、ついにトップに浮上し、さらに30秒ほど差を広げてからピットに戻って来た。依然として難しいコンディションが続くなかで、バズは続けて2回目の走行へ。そしてトップに立ったところでオイルが撒かれ、バズを含む3台が戦列を離れることとなってしまった。

ウイーク中、好調を維持してきたYART Yamaha EWCにとっては非常に悔しい結果。ポールポジションを獲得したあとは、ヨーロッパ・ラウンドで唯一、未だ優勝のないボルドールでの初優勝を狙っていたが、バッドラックがそのチャンスを奪っていった。

その他のヤマハ勢ではG・リー、C・バーグマン、A・モーリンを擁するWójcik Racing Teamが、YART Yamahaが準備したEWC用YZF-R1で2位獲得の快挙。スーパーストック・クラスでは、Moto Ain のR・ロルフォ、R・ムルハウザー、H・クレアがSSTスペックのYamaha YZF-R1で優勝を果たしている。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

L・バズ選手談

「悔しいし、本当に残念です。でも同時に、エルワン(ニゴン)に大きな怪我がなかったことにほっとしています。私のマシンが彼自身と彼のマシンに激しくぶつかってしまい、彼がまだそばにいるうちに2台のマシンが燃え上がってしまったのですから。これまでに経験したどのクラッシュよりも怖い思いをしました。セーフティ・カーでもう少し早く来てくれればよかったとも思います。路面の多くの部分がまだ濡れた状態だったので、オイルを見つけるのは不可能でした。フロントが滑って初めて気づいたのです。チームの全員が素晴らしい仕事をしてくれて、ふたりのチームメイトも絶好調で、予選だけでなく決勝も非常に良いペースで走れていたのに、このような形でレースを終えるのは本当に残念でなりません。今朝の再スタートは厳しいものでした。本来は夜も走り続けるところを、仮眠をとり、朝4時に起きて、ニッコロのように6時から2回のスティントを走り続けるのは並大抵のことではありません。私がバトンを受け取ったあとはスリック・タイヤで好調を維持。FCC TSR Hondaを抜いてトップに立ち、アドバンテージを広げることもできました。マービン(フリッツ)が交代の準備をしていましたが、私は、依然として難しいコンディションのなかでも好調が続いていたので続投を決めました。すべては順調にいっていたのですが、そのとき...。チームのみんなに本当に申し訳なく思っています。今日は勝てるはずのレースでした」

N・カネパ選手談

「非常に残念で、少し怒りも覚えています。今回はずっと絶好調で優勝を目指していたので、ミスをおかさないように注意しながら、しっかりハイペースを維持するよう心掛け、非常にうまくいっていました。今朝のふたつのスティントでは電信制御システムに少し問題があり、路面が乾き始めてからはペースがやや落ちてしまいましたが、その状態でも2位をキープできていましたし、予定よりも早めにピットインしてスリック・タイヤに履き替えたことも正しい選択だったと思っています。ロリスはそのアドバンテージを生かしてホンダに追いつき、ついにリードを奪ったのです。すべてが順調でした。楽なレースだとは言いたくありませんが、勝つだけのポテンシャルが間違いなくあったのです。そこへあの転倒があり、しかもマシンが炎に包まれ、ほぼ全壊というところまで燃えてしまいました。フィーリングは上々、チームは強力、ふたりのチームメイトも素晴らしい速さを見せていただけに、このようなことになり本当に残念です。チャンピオンシップ・ポイントでも大きな損失となりましたが、これからもプッシュし続け、次のセパンに備えます」

M・フリッツ選手談

「難しいコンディションのなかで明らかなポテンシャルをアピールしていながら、このような形で終わってしまったことについて、残念ということ以外に言葉が見つかりません。昨日の悪天候をしのぎ、今朝の再スタートでは好調を維持してトップに立ち、勝利を目指していました。ウイークを通じてドライ・コンディションでは最速で、今日もスリックに履き替えてからもアドバンテージは明らかでした。ふたりのチームメイトも素晴らしい仕事をしてくれました。予選ではクレイジーなコンディションのなかでもミスひとつせずポールポジションを獲得。それなのに決勝ではロリスがオイルに乗って、そのまま終わりになってしまったのですから残念でなりません。でも彼にはどうすることもできなかったし、ひとつのバッドラックに過ぎません。チャンピオンシップでは重要なポイントを失うこととなってしまったので、次回、セパン8時間耐久は必ず優勝しなければなりません」

M・カインズ、チーム・マネジャー談

「何を言えばいいかわかりません。私たちは何も間違ったことはしなかったし、自分たちが最速であることはわかっていたのでリスクをおかす必要もありませんでした。雨のなかではただ冷静さを保ち、気持ちを集中してペースを守りました。路面が乾いてくれば、私たちにかなうものはないとわかっていたからです。すべてがプラン通りに運び、ロリスがレースをリードしているときに、ホンダがエンジン・トラブルでマシンを止めるのをモニターで確認していたのです。それから間もなく、タイム・スクリーンを見るとロリスとエルワンもまた止まっていました。その時点ではタイミングのせいだと思ったのですが、モニターを見ると大きな炎が上がっていました。2台は燃料補給を行ったばかりだったので、ひとたび火がつくと激しく燃え盛り、ほとんど燃えつくされてしまったのです。ふたりと、マーシャルたちに怪我がなかったのは不幸中の幸い。このような大惨事のなかでは、このことが最も重要です。ですから、チームもライダーも絶好調だった私たちとしてはアンラッキーな結果ではありましたが、全員が無事でいたことはとてもラッキーでした。これこそが耐久レースの予測不可能な一面です。すべてがうまくいくと思い始めたときに、何かが起こるのです。私たちはもう一度、皆で手を取り合い、次のマレーシアに向けて準備を始めます。今回、失ったポイントをできるだけ多く取り戻したいと思います」

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