アジアロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.06 12月1-3日 タイ
RACE DATA
■大会名称:アジアロードレース選手権 第6戦タイ
■カテゴリ:ASB1000、SS600、AP250
■会場:チャーン・インターナショナル・サーキット(4.554km)
【レース1】
■開催日:2023年12月2日(土)
■コースコンディション:ドライ
ASB1000クラス
■周回数:13周
■PP: #23 Andi Farid Izdihar (1:34.971/Honda)
■FL: #28 Markus Reiterberger (1:35.769/BMW)
SS600クラス
■周回数:12周
■PP: #22南本宗一郎 (1:38.447/Yamaha)
■FL: #89 Khairul Idham Pawi (1:39.018/Honda)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: #54 Veda Ega Pratama (1:51.528/Honda)
■FL: #54 Veda Ega Pratama (1:51.281/Honda)
【レース2】
■開催日:2023年12月3日(日)
■コースコンディション:ドライ
ASB1000クラス
■周回数:10周
■PP: #23 Andi Farid Izdihar (1:34.971/Honda)
■FL: #28 Markus Reiterberger(1:35.383/BMW)
SS600クラス
■周回数:12周
■PP: #22南本宗一郎 (1:38.447/Yamaha)
■FL: #22南本宗一郎 (1:38.917/Yamaha)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: #54 Veda Ega Pratama (1:51.528/Honda)
■FL: #123 Rheza Danica Ahrens (1:52.081/Honda)
REPORT
ASB1000
Race 1:カスマは7位、伊藤が8位でチェッカー
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANの#27カスマ・ダニエル・カスマユディンと、第3戦日本ラウンド以降、怪我で欠場している#81ケミン・クボの代役として参戦してきた#76伊藤勇樹が今回も出場した。事前に行われた予選では、カスマが6番手・2列目、伊藤は9番手・3列目とし、レース1を迎えた。
そのレース1は、カスマ、伊藤ともに好スタートを決めることができず、カスマはポジションを下げて8番手、伊藤はグリッドと同じ9番手で1周目を終えた。その後、2人は序盤の内に順位を上げたいところだったが、ペースが上がらずポジションをキープしたまま周回を重ねていった。
4周を終え、ポジションを落としたライバルを捉えてカスマが7番手へ浮上。さらに伊藤もそのライバルを捉えて8番手とし、前をいくカスマを追っていった。カスマはその後、6位を目指したが、その差を縮めることはできずそのまま7位でフィニッシュ。伊藤も8番手からポジションの変動はなく8位でチェッカーを受けた。
Race 2:カスマが7位、伊藤は9位でシーズンを終了
2023年最後のレース、YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANは昨日のデータを分析し、ウォームアップで改善を図って挑んだ。スタートでは、カスマがグリッドから一つポジションを落とし7番手、伊藤は9番手で1コーナーをクリア。1周目はそのまま順位が変わらず、カスマ、伊藤は7・9番手で終えた。
2周目に入り、トップグループは6名に絞られ、カスマは第2グループの先頭へ。その後は、トップグループから脱落したライダーの背後に迫り6番手を狙ったが、ポジションを落とし8番手に後退してしまった。それでも後半に入ると再び逆転して7番手とすると、6番手とは大きなギャップがあったが懸命にマシンをプッシュ。ところが、ラスト2周に入った直後にマシントラブルが発生。1コーナーでコースアウトして転倒してしまった。これで赤旗が提示されレースは終了。10周目の順位が最終の順位となり7位でシーズンを終えた。
伊藤は3周目に入っても9番手のままであったが、その後は前を走るライバルをロックオン、オーバーテイクを狙っていった。しかしペースが上がらずポジションをキープしたまま周回を重ねたが、赤旗の結果、最終順位は9位となった。
ランキングは、カスマが日本での優勝など、ヤマハトップの6位。怪我により2大会の出場となったケミン・クボは11位。その代役として4大会を戦った伊藤は8位でシーズンを終えることとなった。
SS600
Race 1:南本が優勝でランキングトップに浮上、アピワットは2位表彰台
シーズン最終戦、YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANの#22南本宗一郎が、ランキングリーダーとの差を7ポイントと、チャンピオン獲得の可能性を持って最終戦を迎えた。またチームメイトは、#50 アハマド・アムラン・アフィフに変わり、過去にAP250でチャンピオン獲得経験を持ち、今シーズンはスーパースポーツ世界選手権にも参戦していた地元タイの#24アピワット・ウォンタナノンが出場した。
初日から、YZF-R6を駆る南本とアピワットはその実力を発揮。金曜日はアピワットがトップタイム。南本も同サーキットで行われた開幕戦の初日のタイムを大きく上回り2番手。さらに予選では南本がポールポジション、アピワットが2番手と好調のままにレース1を迎えた。また、ホームレースとなるYAMAHA Thailand Racing Teamの#56ラタポン・ウィライローが4番手、YAMAHA Racing Indonesiaの#99ガラン・ヘンドラ・プラタマが11番手でレース1を迎えた。
スタートでは南本がホールショットを奪うと、これにアピワットが続いて2番手につけた。序盤の攻防ではライバルの追撃を退け、1周目を南本、アピワットがワンツーで終えた。なお、ガランは8番手とグリッドポジションから順位を上げたが、ラタポンは11番手とポジションを落とした。
南本とアピワットは2周目以降もワンツー体制をキープしたが、背後につけたのがランキングリーダーのKhairul Idham Pawir(ホンダ)だった。トップ争いは序盤のうちにこの3人に絞られ、トップの南本からKhairulまでの差は約0.5秒。それでも順位の変動はないまま周回が重ねられていった。
レースが動いたのはラスト3周。南本とアピワットが3番手のライバルとの差を開き始めると、ラスト2周となったところで1秒以上に拡大。これで余裕のできた2人は、ポジションを守ったままラストラップも走り切り、南本が今季2勝目、アピワットが2位としワンツーフィニッシュを達成。同時に南本はランキングを逆転、2ポイント差ながらトップに浮上した。
ガランは8番手のまま周回を重ねていたが、レース前半で9番手に。一方のラタポンは序盤の内に12番手に後退したが、5周目にポジションをあげてガランを捉えて9番手、逆にガランは11番手で後半に入った。後半、ラタポンは順位を一つ上げて8位でチェッカー。一方のガランはリタイアとなった。
Race 2:南本が2位とし自身初のチャンピオンを決定!
レース2は南本がロケットスタート&ホールショットで幕を開けた。これにチームメイトのアピワットが続き、レース1を再現するように、1周目をワンツーでクリアした。2周目に入るとチャンピオンを争うKhairulが転倒、これで南本のチャンピオンはほぼ確定となったが、南本はアクセルを緩めることはなく、トップをキープしたまま2周目を終えた。
一方のアピワットは序盤でライバルにかわされ3番手としたが、5周目に逆転して2番手を取り戻すと、ライバルのミスもあり単独でトップのチームメイトを追撃していった。
後半に入ると、南本とアピワットの優勝争いに焦点は絞られた。二人の差は約1秒。その差はなかなか縮まることはなかったが、ラスト2周でアピワットが一気に接近し、南本は最終コーナーで逆転を許してしまう。最終ラップも2人はトップ争いを展開したが、南本は逆転できずアピワットが優勝のチェッカーを受けた。同時に南本が2位とし、この結果、自身初となるチャンピオンを決定した。
ラタポンは2周を終え6番手、4周目を終えて5番手と上位をキープしたが、その後は同じYZF-R6を駆る#51阿部恵斗とマッチレースを展開。残り4周で阿部にかわされ6番手に後退した。ラタポンはその後もポジションを落とし7番手となったが、上位の後退があり最後は6位でチェッカーを受けた。
ガランは序盤の9番手から4周目に8番手に浮上し、さらに前をいくライバルを目指した。その後は8番手をキープしたまま周回を重ねてきたが、終盤に9番手に後退。しかし、上位が後退してことで順位を上げ最後は8位フィニッシュした。
ランキングは、チャンピオンを獲得した南本に続き、ラタポンが8位、カランが10位、アピワットが11位、#108 アンディ・ムハマッド・ファドリが12位、#66イブラハム・ノルディンが13位、#50 アハマド・アフィフ・アムランが16位でシーズンを終えた。
AP250
Race 1:ワヒューが9位を獲得
AP250の最終戦は、YAMAHA Racing Indonesiaの#36ムハマッド・ファエロズィ・トレクォットゥラと、#89ワヒュー・ヌゴロホがYZF-R25で出場。先に行われた予選では、ファエロズィが健闘し5番手・セカンドローを獲得。チームメイトの#89ワヒュー・ヌゴロホは13番手・5列目とし、決勝に臨んだ。
レースでは、ファエロズィが好スタートを決めトップ3に迫る順位としたが、その1周目のうちにポジションを落として8番手、ワヒューは順位を上げ10番手で1周目を終えた。2周目に入るといくつかの集団に分かれ、ワヒューとファエロズィは、トップから約3秒差の第3グループに位置してレースを進めることとなった。
序盤を終えてワヒューは9番手とし、7位争いを展開。周回を重ねる中でそのバトルは3台にしぼられ、一進一退を続けながら周回を重ねていった。そしてワヒューはラストラップに8番手で入ったが、ここで順位を落とし、最後は9位でフィニッシュとなった。
チームメイトのファエロズィは、マシントラブルの兆候があり、序盤の内に大きくポジションを落とし3周目を終えて15番手。さらに4周目を終えると17番手までポジションをダウンすると、その後、トラブルが原因でリタイアとなった。
Race 2:ファエロズィがトップ争いを演じて5位
AP250のシーズン最後のレース2、前日、マシントラブルでリタイアしたファエロズィが好スタートから1コーナーを3番手。ところが序盤の混戦の中でポジションを落とし10番手で2周目に入った。一方、13番グリッドからスタートしたワヒューがジャンプアップし5番手で1周目を終えた。続く2周目を終えるとワヒューとファエロズィが5・6番手とし、トップグループにつけてレースを展開。特にワヒューは積極的な走りでトップを脅かし3周を終えて2番手へ進出。ファエロズィもしぶとく6番手と上位陣に食らいついた。
前半を終えるとトップグループは10台に絞られた。この中でワヒューとファエロズィは中段に位置し、激しいポジション争いを繰り広げたが、上位陣の壁は厚く、前に出ることができないまま周回を重ねた。ラスト2周では、6番手で入ったファエロズィが3番手まで順位をあげ、ワヒューは9番手でラストラップを迎えた。表彰台を目指し2人ともにマシンをプッシュしたが、ファエロズィが5位、ワヒューが9位でチェッカーとなった。
この結果、ランキングはファエロズィがヤマハ最上位の8位、ワヒューが10位を獲得し2023年シーズンを終えた。
UB150
Race 1:グピタが4位を獲得
24台が8周で争う最終戦、UMA MMR YAMAHA PHILIPPINE TEAMの#43エイプリル・キング・マスカルドが11番グリッド、チームメイトの#27ジアン・カルロ・マウリシオが18番グリッドから、4S1M YAMAHA PHILIPPINE TEAMの#23グピタ・クレスナ・ワドハナが7番グリッドからレース1を迎えた。
その1周目、それぞれが順位を上げ、グピタが8番手、エイプリルが9番手、ジアンは12番手。2周目に入るとグピタが3番手まで浮上したが、ジアンとエイプリルは14・15番手と後退してしまう。しかし、目まぐるしいポジションが変わるのがUB150。3周を終えてジアンとエイプリルは5・6番手と順位を上げたが、グピタは12番手。それでも3人ともにトップグループでレースを続けた。
レースを折り返してもジアンは3番手、さらにラスト3周には2番手と上位をキープしたがラスト2周となったところで11番手に後退。逆にエイプリルとグピタはトップ10を外れていたが、エイプリルがラスト2周となったところで2番手とジャンプアップした。
そして再び順位は変動し、ジアンが4番手、グピタが10番手、エイプリルは13番手で最終ラップを迎えた。大集団の中で、3名にも表彰台のチャンスはあったがわずかに届かず、グピタが4位、ジアンが5位、エイプリルが11位でチェッカーとなった。
Race 2:グピタが6位を獲得
レース2は、グピタ、エイプリル、ジアンがそれぞれ13・14・15番手、トップに1秒差で2周目に突入。2周目を終えると、グピタが10番手とすると3周目を終えて3番手、ジアンも5番手に浮上した。さらに前半最後の4周目にはエイプリルが2番手と、目まぐるしくポジションを入れ変えながら、後半戦へと突入した。
後半に入っても3人は激しく順位を入れ替えながら、最終ラップの最終コーナーに向けて有利なポジションを目指した。そして迎えた最終ラップ、ジアンが10番手、グピタが11番手、エイプリルが14番手で突入。一つ間違えば大きなポジションダウンが待ちける大集団の中、それを恐ることなくプッシュした3人だったが、トップ3には及ばず、グピタが6位、エイプリルが9位、ジアンが14位でシーズンを終えた。ランキングはグピタが4位、エイプリルが15位、ジアンが18位。
ASB1000 RESULT Race.1
ASB1000 RESULT Race.2
ASB1000 RIDERS RANKING
SS600 RESULT Race.1
SS600 RESULT Race.2
SS600 RIDERS RANKING
AP250 RESULT Race.1
AP250 RESULT Race.2
AP250 RIDERS RANKING
COMMENT
Race1
ASB1000
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#27 カスマ・ダニエル ・カスマユディン(7位)
「グリッドについた時はナーバスになっていたのですがインタビューを受けた時にジョークも交わして気持ちを切り替えることができました。バイクのセッティングは昨日のプラクティスから大幅変更して予選では良くなったものの詰めるのに時間が十分ではありませんでした。しかし序盤はフィーリングが良かったのですが、フロントタイヤを消耗してからはペースを保つことができませんでした。明日のレース2に向けて細かい点を改善して備えます」
#76 伊藤勇樹選手談(8位)
「代役参戦なのでチームに貢献できるよう考えて走りました。ちょうど1年前、ここでのレースでケガをしてしまい十分なデータが残せていなかったので、中国ラウンドのデータをもとに取り組み、セッション毎にタイムを上げ自信を持って臨みました。しかし決勝では残念なことにペースが作れず、前に詰めることができませんでした。チームと話し合い明日はウォームアップを使ってやるべきことをやってさらに上を目指します」
SS600
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#22 南本宗一郎選手談(優勝)
「ブリラムは別に得意というわけではなく苦手なサーキットです。でも初日から手応えがあり自分でも驚いていました。セッティングもまとまっていたものの自身の成長もあったのだと思います。予選はセッティングに費やすことが多いのですが、今日はアタックしました。ポールポジションは初めてです。明日はもちろんチャンピオンを獲りたいですね。プレッシャーを感じるというよりは、一つ上のペースで走ることができたらいいなと思っています」
#24 アピワット・ウォンタナノン選手談(2位)
「レースではいいスタートを切ることができました。南本選手がとても速かったですね。一旦ライバルに先行を許しましたがターン4で抜き返すことができたし、接触がありそれも無事に切り抜けることができました。スタートからフィニッシュまでコンスタントなペースで走れましたが、それでも今日は十分な状態ではなかったので明日はセットアップをさらに詰めて勝ちにいきます」
Sean Wong Hong Siong監督談
「SS600は最終レースに向けたプランとして、チームに地元タイのアピワット選手に加わってもらいました。それが功を奏してプラクティスから両選手ともに高いパフォーマンスを発揮してくれ、レース1ではうれしいことにダブルポディウムを達成することができました。明日は、チームが一丸となってチャンピオンを獲りにいきます。ASB1000は、長いストレートと高いトップスピードが必要になるので、簡単ではないと思っていましたが、その通りになってしまいました。表彰台は獲得できず7位と8位という結果に終わってしまいましたが、レース2に向け最善を尽くします」
Race 2
ASB1000
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#27 カスマ・ダニエル ・カスマユディン(7位)
「今日はマシントラブルでリタイアとなりアンラッキーなレースでした。もちろんこの先、チャンスがあるのであればリベンジしたいと思います。そのために、チームは競争力を高め、マシンもインプルーブしてほしいと思いますが、まずは、この1年間、私を支えてくれたヤマハとチーム、そしてファンの皆さんに感謝いたします」
#76 伊藤勇樹選手談(9位)
「レース1で出た問題解決のため、ウォームアップで改善に取り組みました。しかし、レースでは前半でペースを作ることができず、またライバルのペースがレース1よりも速く、ついて行くことが厳しい状態でした。レース後半からマシンの改善が感じられペースを上げられそうでしたが、赤旗で中止となってしまいました。データは取れたので今後チームで生かしてほしいです。シーズンを通じて代役参戦の責務は果たせたと思います。今後のチームの発展を願っています」
SS600
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#24 アピワット・ウォンタナノン選手談(優勝)
「今日、前を走る南本選手はとても速かったのですが、6ラップ目から差を詰めはじめ、ラスト2ラップでトップに立つことができました。ブリラムでの600クラス優勝は2017年以来だと思います。なんといってもチームがアメージングでした。チームマネージャー、メカニック、そのサポートすべてがすばらしく、とてもハッピーなレースになりました」
#22 南本宗一郎選手談(2位)
「バイクの調子は最高。僕の調子はあまり良くありませんでした。レースでは38秒台が出ていましたが、ランキング2位のパウイ選手の転倒を知り、気持ちは楽になったものの、走りに戸惑いがあったため、淡々とタイムを刻んで走ることに専念しました。ラスト2周でチームメイトのアピワット選手に抜かれましたが無理はせずゴールだけを目指しました。最高のバイクを用意してくれたチームには感謝してもしきれません」
Sean Wong Hong Siong監督談
「ASB1000は、ライダーから改善してきているというコメントをもらっていましたが、実際のレースでは十分ではありませんでした。結果からも分かるとおり、今年はとてもタフなシーズンとなりました。SS600では、今日も両ライダーがベストを尽くしてくれてたことで、ダブル・ポディウムという素晴らしい結果となりました。また、ライダーのチャンピオン獲得は、私が関わった7年で初めてのことになります。ぜひ来年も続けてこのタイトルを狙いたいと思います」