アジアロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.05 11月3-5日 中国
RACE DATA
■大会名称:2023アジアロードレース選手権 第5戦中国
■カテゴリ:ASB1000、SS600、AP250
■会場:珠海・インターナショナル・サーキット(4.319km)
【レース1】
■開催日:2023年11月4日(土)
■コースコンディション:ドライ
ASB1000クラス
■周回数:13周
■PP: #28 Markus Reiterberger (1:32.265/BMW)
■FL: #28 Markus Reiterberger (1:32.918/BMW)
SS600クラス
■周回数:12周
■PP: #32 Md Helmi Azman (1:36.751/Honda)
■FL: #32 Md Helmi Azman (1:36.981/Honda)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: #54 Veda Ega Pratama (1:50.117/Honda)
■FL: #54 Veda Ega Pratama (1:49.431/Yamaha)
【レース2】
■開催日:2023年11月5日(日)
■コースコンディション:ドライ
ASB1000クラス
■周回数:13周
■PP: #28 Markus Reiterberger (1:32.265/BMW)
■FL: #1 Md Zaqhwan Zaidi(1:32.495/Honda)
SS600クラス
■周回数:12周
■PP: #32 Md Helmi Azman (1:36.751/Honda)
■FL: #89 Khairul Idham Pawi (1:36.870/Honda)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: #54 Veda Ega Pratama (1:50.117/Honda)
■FL: #54 Veda Ega Pratama (1:49.583/Honda)
REPORT
ASB1000
Race 1:伊藤は5位、カスマはコースアウトして8位
2019年以来となる中国ラウンドが、珠海インターナショナルサーキットで開催された。今大会は、YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANの#27カスマ・ダニエル ・カスマユディンと、怪我により欠場している#81ケミン・クボの代役として#76伊藤勇樹が出場した。事前に行われた予選では、それぞれトップに約1秒差でカスマが5番手、伊藤が7番手としてレース1を迎えた。
レース1は、スタートして直後、6番手走行中のカスマがライバルと絡んで、ともにコースアウト。早々にトップ争いから脱落する不運に見舞われた。一方の伊藤はその影響もあり、ポジションを上げトップから約2秒差の5番手で2周目に入った。しかし伊藤はその後、トップ4台から徐々に離されてしまい、単独走行を続けて5位でチェッカーとなった。
一方、1周目にコースアウトしたカスマは8番手で復帰すると、順位の変動こそなったが最後まで走り切って8位としてポイントを獲得した。
Race 2:伊藤が5位、カスマが7位
重要なスタート、カスマはレース1に続きミスがありポジションをダウンして9番手、伊藤は6番手で第1コーナーをクリアすると、1周目を終えて、伊藤が6番手、カスマが8番手で2周目に入った。
しかし序盤からトップ3が逃げる形。伊藤は4位を争う第2グループでのレースとなったが、その中でも最後尾に位置して徐々に離されて単独走行となった。しかし終盤にライバルが後退したことで、ポジションを一つ上げ、レース1と同様、5位でチェッカーを受けた。
カスマは8番手で2周目に入って以降は、ペースが上がらず上位陣からも徐々に離されてしまう。それでも上位の脱落もあり2つ順位を上げ一時は6番手としたが、ピットスルーペナルティを実行して順位を一つ落とし7位でゴール。レース1と同様、思うようなレースができないままに今大会を終えることとなった。
SS600
Race 1:南本が3位表彰台を獲得
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANは今大会も#50アハマド・アフィフ・アムランが怪我により欠場。このため#22南本宗一郎とともに、#66イブラハム・ノルディン(マレーシア)がインドネシアラウンドに続き代役参戦した。
予選では南本が4番手、#66イブラハムが7番手。YAMAHA Thailand Racing Teamの#56ラタポン・ウィライローは6番手。YAMAHA Racing Indonesiaの#99ガラン・ヘンドラ・プラタマが8番手、チームメイトの#108 アンディ・ムハマッド・ファドリが11番手で決勝を迎えた。
レース1は南本が好スタートを切って2番手に浮上。ガランが6番手、ラタポンが7番手、アンディが8番手、イブラハムが11番手で1周目を終えた。その後、南本はトップ争いを展開していたが、レースが半分を終えるタイミングに転倒車によってレッドフラッグが提示されレースが中断、再レースとなった。
4周のスプリントで行われた再レースでは、南本が再び好スタートからトップに浮上すると後方に4台のライバルを引き連れて1周目を終えた。2周目に入ると#20 Azroy Hakeem Anuar(ホンダ)に逆転され2番手へ。さらに3周目に#32 Md Helmi Azmanに逆転を許し3番手に後退した。そしてラストラップに3番手で入った南本は、ここからプッシュしてトップ2に迫ったがおよばす、3位を獲得して表彰台に立った。
一方、再レースでガランは6番手、イブラハムは7番手、ラタポンは8番手、アンディが12番手で1周目を終えると、イブラハムがガランを逆転して6位、ガランが7位、ラタポンはポジションを落として9位、アンディが11位でチェッカーを受けた。
Race 2:南本が2位表彰台を獲得!
南本が再び好スタートを切って、3番手で第1コーナーをクリア。ライバルに逃げられないようにポジションをキープしたいところだったが、一つ順位を落とし4番手で1周目を終えた。ラタポンが6番手、ガランが7番手、イブラハムが8番手、アンディは13番手て1周目を終えた。
チャンピオンシップにおいて南本にとっては重要な1戦だったが、その序盤は、5番手につけるラタポンとともにホンダの3台を追いかけたが、2周目、そのラタポンのマシンにトラブルが発生してリタイア。これで南本はライバルに囲まれてバトルを繰り広げることとなった。前半はトップに徐々に離されたが、トップが3周目に転倒して3番手。チームメイトのイブラハムも5番手に浮上して追撃体制を整えた。
南本は後方を抑えながら前を狙う難しいレースであったが、9周目に2番手に浮上すると、トップを目指して懸命にマシンをプッシュしたが、最後まで攻略できず2位、それでもランキングリーダーをよりも前でフィニッシュしたことでランキングは3位、トップに7ポイント差とチャンピオンを視野に最終戦を戦うこととなった。
また、イブラハムは 5番手を単独走行となったが、最終ラップで転倒があり8位。これを抜いたガランが7位、アンディも追い上げて9位でフィニッシュした。
AP250
Race 1:ファエロズがシーズンベストの4位を獲得
YAMAHA Racing Indonesiaから、#36ムハマッド・ファエロズィ・トレクォットゥラと、第4戦で3位とし表彰台を獲得した#89ワヒュー・ヌゴロホが参戦。予選はファエロズィが8番手、ワヒューが9番手と3列目からレース1に臨んだ。
ファエロズィ、ヌゴロホは好スタートからグリッドポジションより順位を上げて5・6番手で第1コーナーに進入。1周目をファエロズィが5番手、ヌゴロホは6番手で終えた。前後をライバルに挟まれる形で迎えた2周目。#54 Veda Ega Pratama(※フライングによりピットスルーペナルティ)が大きく逃げる中で、2人は2番手グループをキープしファエロズィが3番手、ヌゴロホは7番手としたが、その2周目にヌゴロホはコースアウトでリタイアとなってしまう。
レースが落ち着いた4周目以降もファエロズィは2番手グループにどとまり3台のライバルとバトルを展開。グループ最後尾ながら5番手をキープして終盤を迎えた。そしてトップを走るVedaがピットスルーペナルティをラスト3周目の最後に実行してポジションをダウン。これでファエロズィは4番手に浮上した。
そして4番手でラストラップに入ったファエロズィはマシンをプッシュしたが、最後までライバルたちを攻略できず表彰台を逃したが、シーズンベストとなる4位でフィニッシュした。
Race 2:ファエロズィが7位
レース2も、今季初の表彰台を狙ってファエロズィが好スタートを決め、3位を争う第2グループにつけると、ワヒューも果敢にくらいついて同グループの最後尾7番手につけた。その後のファエロズィは、強力なライバルに対して表彰台争いを展開。4周目に入るとグループのトップに立ったが、一時6番手まで後退してしまう。一方のヌゴロホも、序盤こそ6番手につけていたものの、8番手に後退してしまった。
レースが後半に入ってもファエロズィは表彰台争いを展開。ヌゴロホは集団の後方へと後退して6周目走行中にトラブルが発生して、レース1に続きリタイアとなってしまった。残されたファエロズィは孤軍奮闘。ライバルたちと最後まで激しいバトルを続けたがラスト2周でポジションを7番手まで落とすと、ラストラップでの巻き返しはならず。7位でフィニッシュとなった。
UB150
Race 1:グピタが4位を獲得
予選はUMA MMR YAMAHA PHILIPPINE TEAMの#43エイプリル・キング・マスカルドが11番グリッド、チームメイトの#27ジアン・カルロ・マウリシオが22番手。4S1M YAMAHA PHILIPPINE TEAMの#22ジョン・エメルソン・イングイトが22番グリッド、#23グピタ・クレスナ・ワドハナが16番手を獲得し決勝に臨んだ。
レースは6周で行われ、1周目を終えてジアンは16番手、エイプリルとジョンは22・23番手と出遅れてしまった。
その中でグピタも12番手と上位進出はできなかったが、着実にポジションを上げてトップ争いに進出。ラストラップに2番手で突入したが、その最終ラップのバトルで順位を落として4位でフィニッシュ。エイプリルは16位、ジアンは17位、ジョンは2周目にリタイアとなった。
Race 2:グピタが9位
レース2もエイプリルとジアンと、グピタとジョンの4人は苦戦を強いられた。全体的に落ち着いたスタートとなった中で、エイプリルが10番手。これにジアンが13番手、ジョンが16番手、グピタは21番手とそれぞれが出遅れる形となった。
ここから挽回できるのがUB150であるが、2周目にエイプリルがポジションを落とし、ジアンの13番手を先頭に4人が僅差で続いた。中盤に入るとレース1で4位を獲得したグピタが挽回し、4人の中でトップとなる10番手、これにジアンが11番手で続いた。
終盤の5周目にエイプリルがリタイアとなったが、グピタとジョンはトップグループの9・10番手でラストラップに入った。ところがジョンはリタイア。グピタは最後での挽回を試みたが、ポジションキープで9位、ジアンは13位でフィニッシュした。
ASB1000 RESULT Race.1
ASB1000 RESULT Race.2
ASB1000 RIDERS RANKING
SS600 RESULT Race.1
SS600 RESULT Race.2
SS600 RIDERS RANKING
AP250 RESULT Race.1
AP250 RESULT Race.2
AP250 RIDERS RANKING
COMMENT
Race 1
ASB1000
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#76 伊藤勇樹選手談(5位)
「・スタートはまずまずでしたが、前半はミスが多く、早々にトップから引き離されてしまいました。もう少しついていけると思っていたのでかなり悔しいです。序盤、トップ集団の近くにいたので、頑張らなきゃと焦ってしまったこともミスの原因の一つ。明日は落ち着いてマイペースをキープしたいと思います。ミスについては自分の原因なので対策も問題ないけれど、先頭集団がとても速いので、その差をどう埋められるかをチームで話し合って今晩策を練り、明日はトップ集団に加われるようにしたいですね。珠海サーキットは過去に何度も表彰台に登った経験があるので、相性は良いと思っています。だからこそ悔しく、逆に燃えているので、明日も頑張ります」
#27 カスマ・ダニエル・カスマユディン(8位)
「今日のレースは良くありませんでした。クラッシュしかけてしまいレースにならず、さらにライドスルーペナルティーも与えられました。本当に悔しいです。明日はペナルティを消化する必要があり、ミラクルが起きない限り表彰台(3位以内)に入るのは厳しい状況です。今日は正直セットアップもパーフェクトではなかったので、明日に向けては問題を解決してから望みたい。とにかく、明日はできることはなんでもする覚悟です」
SS600
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#22 南本宗一郎(3位)
「中国は初めてで、珠海サーキットも昨日、初めて走りました。ギャップが多くて走り出した時の感触はあまりよくなかったのですが、今朝の予選でようやくセットアップをまとめられたように思います。レースは、初のコースでもあったので、もっと難しくなると想定していたので、よくトップ争いに入れたなと。意外でした。
ライバル車(ホンダ)が前にいると、リズムが狂ってしまうので、赤旗後の4周は何としてでもホールショットからそのまま逃げ切りたいと思ったが、ライバルも速く実現できませんでした。今日はライバルとバトルになり必死でしたが、これでレース展開はつかめたので、明日はもう少し余裕を持って走れるように頑張りたい」
#66 イブラハム・ノルディン(6位)
「昨日のプラクティスから今日の予選で、セットアップを変えてみたところ、それなりに良いポイントを見つけられました。レースでは1コーナーでのクラッシュや赤旗などもあって、自分のペースをキープできず、トップ集団から引き離されてしまいました。赤旗で再スタートは4ラップでしたが、自分としてはあまり望ましくありませんでした。珠海サーキットはギャップもあり、あまり得意なコースとは言えませんが、レース2に向けてはチームと話し合ってセットアップがさらに良くなるように準備します。レース2ではとにかくトップ集団についていき、南本選手とライバル(ホンダ)に対抗したいし、コーナーで追い抜くのは簡単ではないので、スタートをうまく決めたいです」
Sean Wong Hong Siong監督談
ひとまずレースが無事にできてよかったですが、結果は満足できるものではありませんでした。SS600では、南本選手が今回3位表彰台でランキングこそトップとの差を3ポイント縮められましたが、まだ差はあるので諦めずに力を尽くすのみです。イブラヒム選手は、今日はブレーキに課題があるように見えたので話し合ってコンディションを整え、明日はさらに良い順位を期待します。
ASB1000では、カスマ選手は今日クラッシュしかけたので、セットアップを修正し明日はその実力を発揮できることを目指します。伊藤選手はベストを尽くしてくれていますが、ライバル(BMW)が速いので簡単ではありませんが、全力を尽くします。みんな頑張っていますが、タフな状況です。それでもチームとしては明日もベストを尽くすだけです」
Race 2
ASB1000
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#76 伊藤勇樹選手談(5位)
「昨日と同じ5位ですが内容は全く異なっています。今日はスタートを成功させ、前半はペースをキープし、後半に抜けたら抜くという戦略でした。実際にはその通りにできませんでしたが、戦略を立てて実行し、昨日より改善できたのは良かったです。またレース序盤は上位3位には離されましたが、4位争いには加われました。特に後半タイヤのグリップ力が減ってきた頃(残り5,6周くらい)に、ベストタイムを出すことができました。ただライバルも速く、自分がトップタイムを出したところにライバルもペースを上げてきたので、追いつけなかったのは素直に悔しいですね。今回も走り切ってチームにデータを持ち帰り貢献できましたし、チーム力の高さにはいつも感謝しています。次も代役参戦のチャンスがもらえるなら、またチームに貢献できるように頑張ります。応援ありがとうございました」
#27 カスマ・ダニエル・カスマユディン(7位)
「まずは、バイクをパーフェクトにセットアップしてくれたチームに感謝します。今日のレース2は、もちろん上位を目指してできる限りベストは尽くしましたが、ペナルティもあってトップに争いは難しいとわかっていたので、新たなセットアップを試していました。昨日と全く異なるセットアップにしていたので、中々タイムを出すのは難しかったですが、バイクへの理解はとても深まって貴重な知識・経験を得ることができました。次戦に向けて、引き続きチームと力を合わせて、諦めずに表彰台を目指して頑張ります。南本選手、2位入賞おめでとう」
SS600
YAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEAN
#22 南本宗一郎(2位)
「今朝のウォームアップでセットアップをさらに煮詰めたところ、良いところも悪いところも出てしまいました。それでもR6の強みを活かし、先頭集団でトップ争いができたのはよかったです。最後も1位を取れなかったのは悔しかったですが、自分でもよくやったと思います。今回は前半は後方から様子を見ながらライバルたちのミスを待ちつつ、後半は抜けるときに抜こうと思ってい他のですが、ブレーキがあまり安定していなかったので状態はベストではありませんでした。そんな状態での2位だったのでよかったです。そして2レースとも表彰台と、マンダリカから4連続で表彰台に上がれているのはうれしいことです。また、今回でポイント差がトップと7まで縮まったので、チャンピオンを目指して頑張ります」
#66 イブラハム・ノルディン(8位)
「・今朝のウォームアップでチーフクルーと話をして昨日とセットアップを変えてみたところフィーリングが良く自信がありました。レースでもトップグループにかなり近づくことができ、良いペースを刻めました。ただ残念なことに、ラストラップの9コーナーでハードブレーキングをしてしまい、白線で滑って転倒。運がありませんでした。ラストラップは4番手だったので、気持ち的にもプレッシャーで焦ってミスをしてしまいました。レース前に南本選手と話していたのは、上位はホンダ勢が多くヤマハ単独で走るのはリズムが狂ってしまうと言っていたので、自分も何とかトップ集団に加わりライバルにプレッシャーをかけられるようにしたいと思ってましたが、それがうまくいかなかったのは南本選手に申し訳なく思います」
Sean Wong Hong Siong監督談
「SS600は南本選手が2位になり、ランキングではトップとの差を7ポイントまで縮めることができました。イブラハム選手は、ラストラップでミスがあり、4位から8位になってしまったけれど、良いレースをしてくれました。ASB1000は、ライダーは頑張っているしもっと上を目指せるはずですが、マシンも含めて課題があり、なかなか結果がついてきていません。ブレーキやエンジンなそ、セットアップにいろいろと課題があるのです。次戦ブリラムまでに解決策を見つけたいと思います。
今回は南本選手がチャンピオンに近づいたことが一番の成果でした。次のブリラムは私たちにとっては得意なコースではなく、勝つのは簡単ではありませんが、優勝・表彰台を目指して引き続き頑張ります。今回も応援ありがとうございました」