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ベストは2分6秒台、YARTが好感触を得て2日間のテストを終了

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2022 FIM世界耐久選手権 "コカ・コーラ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会に向けた合同テストが、7月5-6日に開催された。#7 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(以下YART)のこのテストに合わせて来日した。ヤマハ発動機の社員からなる#41 IRF with アズールレーン(以下IRF)も本番で使用する8耐仕様車を持ち込んでシェイクダウンを行った。

テストは、台風4号が接近により、2日間ともに雨の予報と厳しいコンディションが予想されたが、温帯低気圧に変わり、5日の午前中こそウエットでの走行となったが、午後から回復してドライコンディションでの走行となった。

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YARTにとっては、2019年以来となる鈴鹿サーキット。ライダーのマービン・フリッツ、ニッコロ・カネパにとっては3年ぶり、カレル・ハニカにとっては4年ぶりということで、走りだしはウエットコンディションも考慮し、コースへの順応を重視した走りで45分間のセッションに臨み、2台で31周を走ってベストタイムはホンダ、カワサキのファクトリーらに続く2分22秒578の4番手とした。

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午後に入りドライコンディションになると、タイヤをスリックに履き替え全体がペースアップ。YARTはここから、決勝用のタイヤの選択と電子制御のセッティングに重点を置いてテストを進めていった。こうした過程の中で、ライダー3人がコースに順応してきたこともあり、2本目は38周を走りベストは2分8秒376。続く3本目には40周を走り2分7秒533、さらにナイトセッションは30周を走って2分7秒341とベストタイムを更新しながら、テストが順調に進んでいることを示して初日を終えた。

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2日目は、時折雨がぱらついたもののドライコンディションでテスト項目を消化し、セッティングの向上とともにベストタイムも上昇。2日目の1本目では、6秒台にあとわずかに迫る2分7秒077とすると、さらに最後のセッションでは、フリッツがチームベスト2分6秒662、ハニカも2分6秒800とともに6秒台へ、カネパも最後にアタックするもペースの遅いライダーに阻まれて6秒台には届かなかったが7秒台前半をマークした。

またロングランも行い、2分7-10秒台のハイペースで周回を重ねており、ライバルとも互角の走りを披露した。チームはこれから今回のテスト結果を分析し、特に電子制御のセティング改善を進めて、さらなるペースアップを図る予定だ。

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IRFは、初日の1本目の走行をキャンセルしたのち、2本目から出走。その序盤、西村一之に転倒があり、修復作業を余儀なくされたが、もう一台を使って走行を続けた。本番車の初投入ということで、エンジンのシェイクダウンをしながら、それぞれが課題を持って走行し、2分16秒393をマーク。続く、3本目は、2分15秒729と、タイムを短縮し、最後のナイトセッションはマシンの修復に集中するためキャンセルとなったが、それぞれが前進を果たして初日を終了した。

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2日目は、マシンの修復も完了し、2台を投入して2回のセッションに臨んだ。西村が主にセッティングを担当。宮腰武は、スプリントモードから耐久モードへのライディングの切り替えと、新たに採用したブレーキを中心に車体の感触チェックに集中。今回が初参戦となる川名拳豊も、耐久仕様のマシンと耐久に必要な安定感のる走りへの切り替えに注力しながら走行を重ね、1本目は44周を走り2分16秒967。2本目は37周を走って2分16秒628で終了。まだセッティングこそ、十分ではないが課題を明確にしており、ウィークでの改善を目指すこととなる。

YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team:2分6秒668

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マービン・フリッツ選手

「今回のテストにはとても満足しています。ニッコロも話していますが、こんなに速く走れるとは想像していませんでした。このラップタイムは嬉しいですね。ラップタイムが示す通り、チームメイトも助けてくれ、協力して改善を続けることができました。レースペースもとても良いのですが、ライバルも速いタイムを出しています。ただし、彼らは何度も鈴鹿でテストして、チームも大規模なもの。私たちはまだ2日間のみでこのラップタイムなので、ウィークでさらに挽回できると思います。本番までは休憩になりますが、体調管理など準備を行います。マシンも改善点があるけれど、エンジニアがアイデアを練ってくれるので、本番はさらに進歩できると思います。
鈴鹿8耐は素晴らしいショーです。再びカレンダーに加わってくれてうれしい限りですが、ファンの皆さんも3年ぶりで8耐を楽しみにしていると思います。特にトップグループのバトルはきっとすごいことになるはずなので楽しんでください」

カレル・ハニカ選手

「久々に鈴鹿を走行できてよかったです。4年ぶりです。レイアウトを思い出しながら、YZF-R1で走るもの初めてで、異なるライディングスタイルに慣れる必要もありました。テストの中で集中したのはバイクのセッティングとタイヤ選びでしたが、全体的にはとてもポジティブな結果になりました。電子制御は、約1時間のスティントの中でリアタイヤをキープするためも改善が必要です。それ以外は整っていると感じていますが、ただ、それがとても難しいのです。本番では、たくさんのファンに来て欲しいですね。レースではファンのみんなのサポートが必要で、私たちライダーにはサポートがとても大事だからです。みんなの力を借りファクトリーチームと戦い、目標を叶えます」

ニッコロ・カネパ選手

「来日する前は、こんなに速く走れるとは想像しておらず、とてもいいテストになりました。最後のアタックではペースの遅いライダーがいたために2分6秒台に入れなかったのが心残りです。第2セクターまではベストで、6秒前半に入れたと思います。一方でレースシュミレーションもでき、チームの中で最もいいペースでした。まだ改善できるポイントもあります。特にタイヤライフの向上です。空気圧に問題があって、数周すると空気圧が上がる傾向にあるのです。でも修正方法はわかっていまので、スティント後半もペースを落とさずに速く走れると思います。開幕までもう少し時間はありますが、グランドスタンドでヤマハを応援してくる皆さんの姿を見るのがとても楽しみです」

マンディ・カインツ監督

「ライダー、バイクともに問題はありませんでした。パーフェクト! このような結果となり驚いています。ライバルたちはまだ本当の実力を出してこないのかもしれませんが、他のチームがもっと速いと思っていたからね。 ファクトリーは大規模な体制に対して、こちらのスタッフは5人という状況でこれだけやれたのはよかったですね。もちろんヤマハ発動機のサポートがあったことも大きいので、感謝です。
正直にいうと今後はニューエンジンを入れ、セッティングを煮詰めるのみで、ほぼ完成しています。心配なのはコロナになったり、怪我をしないかということ。それだけです。ここまで最高の仕事ができているので、あとは本番を待つのみ。ファンの皆さんにとっては、ヤマハにファクトリーが参戦しないことは残念かもしれません。でもYART がいることをお忘れなく。ぜひ鈴鹿に来て、私たちを応援してください。ファクトリーに変わり頑張ります」

IRF with アズールレーン:2分15秒729

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西村一之選手

「初日の1本目はトラブルがあり、走行をキャンセル。その後も転倒があって1号車が使えなくなったことから、ロングランと燃費の確認などを予定していたのですが、それらを消化することができませんでした。2日目は1・2号車が揃ったので、自分が1号車に乗りセッティングを担当。2号車はエンジンが新しいので慣らしを行いました。まだ完璧には至っていませんが、3人のライダーが走れるセッティングに来ているので、課題となっているリアのスライドを抑えられるように、ウィークを通じて向上していきたいと思います。決勝に向けては過去自身の最高は19位だったのですが、目標としては30位以内でチェッカーを受けること。そのためには完走することを一番なので、チーム全体で共有し決勝を迎えたいと思います」

宮腰武選手

「前回の合同テストで大きな転倒をしたことで、メンタル的に万全ではなかったことから、今回はメンタルのリハビリとともに、本番仕様の車両に慣れることを重点において走行しました。ブレーキなど、変更していることから、なかなか思うようにタイムが伸びず、不安はありますが、少しずつ車両にも慣れメンタル的にも安心感を持って走れるようになったことは収穫です。次に鈴鹿を走るのはウィークに入ってからとなるので、そこで走行を重ねて、ライディングに対して感覚をあげていきたいと思います。決勝では過去2度、転倒しています。耐久の走り方も分かってきているので、今回はその走りを意識し、完走することが最大の目標。それができれば目標順位にも入ってくると思います」

川名拳豊選手

「私自身は初の8耐ということで、2日間ともにドライで走ることができたのはとても大きな収穫。普段は前後タイヤをベッタリつける走り方をしているのですが、今年からは走り方を変えてきました。その効果もあり、よい感覚を得ることができました。特に耐久は安定して速く走ることが必要ですが、どうすればそれができるのかを掴んできた感じです。セッティングに関しては、西村選手にお願いしていますが、まだリアのスライドが大きく、十分に加速できていない状況なので、頑張ってもういます。これがある程度解決できれば、アベレージも上がってくると思います。とにかく、初めてなのでチームに不安を与えないようにすることが大切ですが、4耐の経験も生かしながらチーム一丸となって完走し、30位以内、できれば25位を目指します」

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