全日本モトクロス選手権 IA2

RACE DATA

■大会名称：2008全日本モトクロス選手権第5戦九州大会
■カテゴリ：IA2クラス
■開催日：2008年6月8日（日）
■会場：熊本県・HSR九州
■レース時間：（30分＋1周）×2ヒート
■天候：曇りのち雨　■観客：11,000人

REPORT

小島が第1ヒートで今季3勝目をマーク！

YZ250FMを駆るジュビロレーシング・チームの小島太久摩が、第1ヒートで開幕戦以来となる今季3勝目。第2ヒートでは5位を獲得して総合3位とし、ランキングでは3位を堅持した。

第1ヒート、第1コーナーをトップで通過したのは小島。これに星野優位（ホンダ）、加藤吏一（カワサキ）らが続く。このファーストラップでトップグループは大きく順位を変え、小島、吉田勝（カワサキ）、星野優位、田中雅己となる。
トップの小島は、ランキング上位陣の勝谷武史（カワサキ）、平田優（ホンダ）、渡辺学が後方から追い上げる間に大きなリードを奪い、勝谷が2番手に浮上した5周目の時点で10秒近いリードを築く。
その後は、小島が独走でレースを展開するが、勝谷が徐々にペースアップして小島に迫り、最終ラップには2人の差が約2秒まで縮まる。しかし小島は最後までトップを守り、開幕戦以来となる今季3勝目を上げた。2位は勝谷、3位は平田。
渡辺はスタートで出遅れたが7周目に4番手に浮上。その後は3番手の平田を追うが、ほぼ同じペースで走行し、最後まで捉えることができず4位でゴールとなった。木下は1周目、最後尾から3番手と大きく出遅れるが、その後着実に追い上げて16位。田中は1周目を4番手と好スタートを切るが、その後順位を落とし17位となった。

第2ヒートは平田が好スタートで1周目でトップに立ち、勝谷も2周目には3番手に浮上してレースを展開する。
これに対してヤマハの小島と渡辺はスタートでミスがあり、ともに集団に埋もれてしまう。しかし小島は2周目に入るまでに14番手とすると、ここからさらに順位を上げていく。一方の渡辺は1周目に転倒して最後尾まで落ちた後、順位を挽回しては転倒する悪循環にはまってしまいなかなか順位を上げることができない。
トップは中盤まで平田と勝谷が争いを展開。さらに深谷広一（ホンダ）や加藤が3番手を争うレースとなった。上位の争いは8周目に勝谷がトップに立つとそのまま平田を突き放して優勝。平田は2位。平田の後方にいた加藤と深谷による3位争いは深谷が12周目に3番手に立って以降ポジションを守り3位となった。
小島は終始安定した走りで5番手まで挽回、4番手も視野に入れたが届かずそのまま5位。渡辺も中盤以降は走行も安定し10位でレースを終えた。木下、田中は、渡辺と同様に転倒があり苦しんだが、木下が15位、田中は23位でゴールとなった。

COMMENT

小島太久摩選手談（1位／5位／総合3位）

「ここは得意なコースのひとつであるため、優勝はもちろん、自分の走りを取り戻すことを念頭にレースに臨んだ。第1ヒートはスタートを決めて、自分では全力で走ったつもりはなかったが、序盤で約10秒のアドバンテージを作ることができた。その後はライン取りが悪く、勝谷選手に追いつかれた。しかし序盤のリードを使い逃げ切ることができて優勝。開幕以来で非常にうれしかったし、自分らしい走りを取り戻すこともできた。一方第2ヒートは、スタートを失敗して大きく出遅れてしまった。さらにその後も他車と接触などがあり遅れてしまった。ただそこで焦って転倒することだけは避けたかったので、冷静になり着実に順位を上げることに切り替えた。5番手に上がってからはラインもよく前のライダーが見えていたのだが、追い上げでの消耗があり届かなかった。次回からシーズン後半に突入するが、トップとポイントが離れているので、とにかく今日のような自分の走りを心掛けていれば自ずと優勝が見えてくるはずなので、後半戦は常に自分の走りを意識して戦っていきたい」

渡辺学選手談（4位／10位／総合6位）

「第1ヒートはスタートで遅れて、ラインが少ない中でペースが上がらず、1周目から小島選手に逃げられてしまった。もちろん3位を狙って詰めようと努力はしたが、走りに安定感がなくタイムにバラツキがあり、4位のままレースを終えることとなった。第2ヒートはスタートで遅れ、前のライダーが転倒してそれに絡みさらに遅れてしまった。半周くらいで15番手くらいまで挽回できたが、その後早く順位を上げようと無理して転倒し順位を落とした。全てはスタートをミスした自分が悪い。ここまで優勝が2回あり好調を維持してきたが、ここで再び一戦一戦を大切に戦うという基本に立ち戻り、常に4位以内を目指して北海道までの1ヵ月を過ごしたいと思う」

木下隼選手談（16位／15位／総合15位）

「第1ヒートはスタートをミスし、さらに1周目で転倒して後ろから3番目。またしても過去のレースと同じ展開になってしまった。それから追い上げて16位にはなったものの、やはり自分と同じくらいのレベルのライダーを抜くのに手間取ってしまった。第2ヒートは今までで一番良いスタートが切れた。しかし2周目に入って転倒。今度は最後尾まで順位を落としてしまった。ただ第2ヒートは少しの時間だったが今までとは異なる形のレースができたのでよかったと思う。今回でシーズンの前半が終了したが、最後まで戦える体力もついてきたし、疲れた状態でも戦い抜く気力もついて、開幕戦から確実に成長を遂げることができた。今後の課題はスタートであり、もう少し前でスタートして自分の力を試してみたい」

田中雅己選手談（17位／23位／総合20位）

「ここ2・3戦で悪いレースが続いていたので、今回は気持ちを切り替えて臨んだ。第1ヒートはコンクリートスタートだったので心配していたが、上手く前に出ることができ、4番手とトップグループの中でレースを始めることができた。しかしトップにはついていくことができず、また後半にきつくなって順位を落としてしまった。第2ヒートは雨が降ってスリッピーだったので、やわらかいラインを狙って走った。スタートで遅れ最初は追い上げることができたが、その後2回の転倒と1回のエンストで順位を落とし23位。今は落ちるところまで落ちたので、後は上がっていくだけ。スタートは自分の生命線として常にホールショットを狙っていきたいし、他のルーキーもがんばっているので、彼らに負けないように北海道までの期間で乗り込んで力を蓄えて、今のもやもやをリセットして北海道に臨みたい」

鈴木健二Jubilo Racing Team監督談

「ここ数戦小島選手はよいレースができていなかっただけに、第1ヒートでの優勝は、流れを変える上で大きな一勝といえる。序盤でリードを広げ、後半は勝谷選手に追いつかれはしたが、小島選手らしい勝ち方だった。第2ヒートはスタートで出遅れ、コンディションも悪かっただけに難しいレースになったが、最後まで諦めずにしぶとい走りで5位入賞。第1ヒートの優勝で作った流れを止めることのないレースとなってよかった。今回もポイントでは離されてしまったが、レースは最後までなにがあるか分からないし、前半戦の最後のレースで優勝できたことで、後半にいい形で入れるので、今後もチーム一丸となってチャンピオンを目指していきたい」

川崎智之Team YZ監督談

「トップ争いをしているライダーには、1シーズンに何度か悪い時がくるものだが、渡辺選手にとってこのレースがそれであり、悲観的には考えていない。結果としてポイントは離れたが、次のレースでこのようなことがないように気持ちを切り替えて、北海道大会に臨んでほしい。木下選手は転倒で後退してしまったものの、今回ようやくスタートで上位につけるレースができ、次のステップに移行できそうだ。走り自体もここ2・3戦でみるみるよくなり、大きな成長を見せてくれている。次の北海道ではどういったレースをしてくれるのか楽しみだ。田中選手は厳しいレースが続いているが、レースが次々と開催されることで上手く切り替えができていない。今は悪い流れを断ち切るだけの時間がほしいと思っていたので、次の北海道までの1ヵ月をうまく使い、気持ちを切り替え、また開幕戦のような元気な走りを見せてほしい。チームとしては今が1年を通して最も悪い状態にある。次回の北海道大会は今までの流れを取り戻し、再び快進撃を見せたい」