モトクロス世界選手権 MXGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMXGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 9月14日 ファエンツァ
RACE DATA
■2008モトクロス世界選手権第15戦ファエンツァGP
■開催日:2008年9月14日(日)決勝
■開催地:イタリア/ファエンツァ
■周回数:第1ヒート=22周、第2ヒート=22周
■観客数:30,000人
REPORT
フィリッパエルツ、世界チャンピオン獲得!
ヤマハ・モンスター・モトクロス・チームのD・フィリッパエルツが2008年世界選手権MX1のチャンピオンに輝いた。
MX2クラスからMX1へと移って2年目、そしてヤマハ・モンスター・モトクロス・チームでは1年目のフィリッパエルツ。最大のライバルS・ラモン(スズキ)、K・デ・ディッカー(スズキ)との少ないポイント差というプレッシャーをものともせず、母国イタリアのファエンツァ・サーキットに集まった30,000人の地元ファンの前で力走。両ヒートをそれぞれ3位と9位で終え、総合5位となり、世界選手権ではMX1、MX2を通じて自身初となるチャンピオンを獲得した。
タイトでコンパクトなファエンツァ・サーキット(ボローニャの東約50km)は、この日めまぐるしく変わる天候と突然の雨によって、滑りやすい部分とソフトな部分とが混在するコースコンディションとなった。
第1ヒート、フィリッパエルツは序盤の8番手から追い上げ、ラモンを引き離すと、中盤までにデ・ディッカーに続く3番手に浮上。その後もポジションをキープしてフィニッシュ。一方ラモンが11位となったことで、フィリッパエルツが世界タイトル獲得に必要なポイントは、わずか3ポイントとなった。
第2ヒートは慎重なライディングを見せるフィリッパエルツ。トップ10内を安全に走行し9位でゴールした。フィニッシュラインでよろこびのジャンプを見せたフィリッパエルツに、ファンとメディアらが押し寄せた。
2008年FIM世界選手権の全30ヒート中、フィリッパエルツは1位3回、トップ3フィニッシュ13回を記録。また、グランプリ15戦中、総合成績で優勝2回を含めて7度表彰台に立った。
このYZ450FMとフィリッパエルツの活躍により、ヤマハ・ファクトリーチームはMX1がスタートした2004年から2008年の5年間で、4度目のタイトルを手にすることになった。またブルーリボン・カテゴリーでイタリア人ライダーがタイトルを獲得するのは1990年のA・プザール以来である。
J・コピンズは、第1ヒート、フロントフォークのトラブルに見舞われて10位でゴール。第2ヒートでは調子を取り戻し、ライバル勢とバトルを展開して3位でフィニッシュし、総合6位となった。
今シーズンコピンズは、多くの不運に見舞われながら、ヒート優勝2回、総合優勝1回を含めて表彰台には2度上り、ランキング5位で終了した。
ヤマハ・モンスター・モトクロス・チームのライダー2選手の2008シーズンはまだ終了していない。コピンズは来週、ベルギー選手権のレースに参加。再来週にはドニントンパークで開催される第62回モトクロス・オブ・ネイションズにニュージーランド代表として参加する。この大会にはフィリッパエルツもイタリア代表で参加することとなっている。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | 国 籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・ナグル | GER | KTM | 38'49.652 |
2 | K・デ・ディッカー | BEL | Suzuki | +0'31.860 |
3 | D・フィリッパエルツ | ITA | Yamaha | +0'35.891 |
4 | J・バラガン | ESP | KTM | +0'42.932 |
5 | B・マッケンジー | GBR | Honda | +0'44.356 |
6 | M・ド・ルーバー | NED | Honda | +0'45.635 |
7 | J・ビル | CHE | Honda | +0'46.998 |
8 | C・ドゥサル | BEL | Suzuki | +0'49.515 |
9 | M・シファー | GER | KTM | +0'57.967 |
10 | J・コピンズ | NZL | Yamaha | +1'0.552 |
11 | S・ラモン | BEL | Suzuki | +1'01.630 |
12 | T・チャーチ | GBR | Kawasaki | +1'41.127 |
13 | M・ミチェック | CZE | TM | +1'42.414 |
14 | M・プリエム | BEL | Kawasaki | +1'48.962 |
15 | L・コレイラ | POR | Yamaha | +2'23.116 |
16 | P.A・ルネ | FRA | Suzuki | +1 Laps |
17 | A・サルビーニ | ITA | Suzuki | +1 Laps |
18 | C・カンパーノ | ESP | Yamaha | +1 Laps |
19 | G・アランダ | FRA | Kawasaki | +1 Laps |
20 | L・レオンス | FRA | Yamaha | +1 Laps |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | 国 籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・ナグル | GER | KTM | 39'20.428 |
2 | S・ラモン | BEL | Suzuki | +0'05.714 |
3 | J・コピンズ | NZL | Yamaha | +0'10.748 |
4 | J・バラガン | ESP | KTM | +0'13.861 |
5 | K・デ・ディッカー | BEL | Suzuki | +0'15.936 |
6 | T・レオク | EST | Kawasaki | +0'17.332 |
7 | C・ドゥサル | BEL | Suzuki | +0'48.880 |
8 | C・カンパーノ | ESP | Yamaha | +0'56.674 |
9 | D・フィリッパエルツ | ITA | Yamaha | +0'57.990 |
10 | B・マッケンジー | GBR | Honda | +0'57.990 |
11 | J・ビル | CHE | Honda | +1'01.352 |
12 | M・プリエム | BEL | Kawasaki | +1'12.192 |
13 | A・サルビーニ | ITA | Suzuki | +1'19.864 |
14 | T・チャーチ | GBR | Kawasaki | +1'43.409 |
15 | P.A・ルネ | FRA | Suzuki | +1'52.048 |
16 | S・コロンブ | NZL | Suzuki | +1 Laps |
17 | J・セイラー | USA | Kawasaki | +1 Laps |
18 | 小島庸平 | JPN | Suzuki | +1 Laps |
19 | M・ミシェック | CZE | TM | +1 Laps |
20 | M・ドトーリ | ITA | Kawasaki | +2 Laps |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | D・フィリッパエルツ | Yamaha | 509 |
2 | S・ラモン | Suzuki | 495 |
3 | K・デ・ディッカー | Suzuki | 490 |
4 | J・バラガン | KTM ESP | 455 |
5 | J・コピンズ | Yamaha | 446 |
14 | A・レオク | Yamaha | 164 |
21 | C・カンパーノ | Yamaha | 74 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Suzuki | 587 |
2 | Yamaha | 583 |
3 | KTM | 575 |
4 | Kawasaki | 518 |
5 | Honda | 470 |
6 | TM | 43 |
7 | Aprilia | 23 |
COMMENT
D・フィリッパエルツ選手談(3位/9位:総合5位)
「すごく長い1年だった。今、すごくハッピーだよ。ラモンとデ・ディッカーは今週ずっと速くて、常にプレッシャーを感じていた。毎戦できる限り多くのポイントを獲りたいとがんばってきたが、タイトルを獲得できると本当に信じたのは、今日の第2ヒートでのことだった。ラモンの2007年シーズンの戦い方を見て、タイトル獲得の鍵は堅実さだとわかった。チーム、ヤマハ、ミシュラン、そして僕のスポンサーのためにもとてもよろこんでいる。ガールフレンドのアリスにもとても感謝している。ここイタリアで地元ファンの前でチャンピオンになれたことがすごくうれしいし、感動している。何と言ったらいいのか、言葉が見つからないよ!」
J・コピンズ選手談(10位/3位:総合6位)
「今シーズンは僕の年ではなかったけど、チームとヤマハが選手権を奪還できたことを喜んでいる。第1ヒートではサスペンションにトラブルが出た。ブレーキングポイントとトラクションに影響があり、ライディングが大変で、2度転倒してしまった。がっかりで、インターバル中に変更を加えた。第2ヒートもスタートは良く、僕がトップグループで走れることを示すことができたし、怪我なくシーズンを終えることができて良かった。選手権をトップ5内で終えたけど、これはそれほど自分自身とっては良い結果とはいえない。ともかく今は、来シーズンに向かっている」
レーシングマネージャー、M・ラスパンティ談
「チームとヤマハに関わる多くの人々にとって、素晴らしい一日だった。フィリッパエルツは、第1ヒートは最高で、実に力強い走りを見せてくれた。同じポジションにいる多くのライダーが、ポイントを考えながら走っていた中で、デビッドはトップ3内でハードにプッシュした。そして第2ヒートでは安全策をとった。今シーズン、彼が何勝かできるだろうとは思っていたが、2008年は経験を積む年としていた。だからデビッドは非常に大きな仕事をしたし、特に第3戦から選手権をリードしたことにそれが言える。コピンズは第2ヒートの走りが良かった。多くの不運が重なったことを思うと良い結果でシーズンを終えたと思う。タイトルを奪還できたことをよろこんでいるし、2009年にそれを守れるように、冬の間にハードワークを続けるつもりだ」
ヤマハ・モーター・ヨーロッパ、レーシングディビジョンマネージャー L・クレイン・コーカンプ談
「2007年、タイトルまで後一歩のところまでいきながらも、今、それを奪還できて本当にうれしい。MX1はオフロードレースのトップカテゴリーで、我々は選手権タイトルを目指していた。素晴らしい一年だったし、エキサイティングなシーズンだった。デビッドは新しいライダーとしてチームに加わったが、第3戦から選手権をリードして、一年を通してそのプレッシャーに耐えた。ここイタリアでこのようにシーズンを終えられることは、実に素晴らしいことだ」