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ARRC最終戦、Master Camp参加ライダーが進化を証明

December 06, 2017

ARRC最終戦、Master Camp参加ライダーが進化を証明

YAMAHA | VR46 Riders Academyは2016年7月、アジアロードレース選手権(ARRC)の参戦者を対象にスタートしました。その志は「世界を目指す」という動機をライダーの中に芽生えさせること。世界は手の届くところに存在しているということをインスパイアすること。きっかけは、バレンティーノ・ロッシ選手が主宰するVR46 Riders Academyとともに行うMaster Campに参加して得られる「経験」です。

12月2-3日、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されたアジアロードレース選手権・第6戦(最終戦)。このレースには、かつてMaster Campに参加した8人のライダーが出場しましたが、その一人、第2回Master Campに参加したアピワット・ウォンタナノン選手(タイ)が、進化の片鱗を見せてくれました。

アピワット選手は2016年、ARRC・アジアプロダクション250(AP250)でチャンピオンを獲得。その実力を認められ、今シーズンはCEVインターナショナル選手権のMoto3にVR Master Camp Teamから参戦しランキング12位を獲得しました。そのアピワット選手がこの最終戦、最高峰のスーパースポーツ600(SS600)に、Yamaha Thailand Racing Teamから新型YZF-R6でワイルドカード参戦を果たしました。

予選でポールポジションを獲得し、レース1は最終ラップの最終コーナーで逆転優勝。レース2は、レース1のフィーリングを元にインプルーブし独走で連勝。アジア最強のライダーが集うSS600の中にありながら、一際大きな輝きを放ったのでした。

チームの指揮を執るティラポン監督は「Master Camp参加を皮切りにアピワット選手の世界は大きく広がりました。今年はCEVに参戦して欧州のライダーに揉まれ、その中で生き残る術を掴んだのです。今回のレースで示してくれましたが、ライディングスキルやセッティング能力、レース戦略はすでにアジアトップを凌駕しています。今後も彼には世界を広げて、グランプリライダーになってほしいと思います」

そのアピワット選手は、今年1年を振り返りこう話してくれました。「CEVはとても厳しい戦いでした。トップから20人が同じレベル、しかもみな速い。レース毎、いやセッション毎にインプルーブが必要で、もたもたしているとあっという間に取り残されます。時の流れ、進化のスピードについて行くのがやっとでした。納得できる成績を残せなかったので成長の実感も薄かったのですが、今回のSS600の連勝でこの1年は決して無駄ではなく、成長したんだと確信できました」

もう一人、シーズンを通して進化を見せたライダーをあげるならば、第1・2回のMaster Campに参加したガラン・ヘンドラ・プラタマ選手(インドネシア)でしょう。残念ながら最終戦は、予選後のアクシンデントでレース1はドクターストップ。レース2は出場が認められたものの、その影響もあり9位に終わりました。しかし、シーズンを振り返るとガラン選手は、第5戦インドでポールポジション、さらに初優勝を飾り、一つの壁を乗り超えています。

ガラン選手に関するトピックスと言えば、スーパースポーツ世界選手権300(WSSP300)への2度にわたるワイルドカード参戦も忘れてはいけません。初出場となったポリティマオ大会では、トラブルに見舞われましたが、最終戦のスペイン大会では優勝し、欧州のレースシーンに大きなインパクトを残しました。

この結果を受けてガラン選手は、「Master Campに参加し世界への想いを強くしましたが、今年ついにヤマハからWSSP300参戦というすばらしい機会を与えてもらいました。しかもそのレースで優勝でき、この上ない幸せな1年になりました。僕はARRCを主戦場にしていますが、決して簡単ではないWSSP300で優勝できたのは、ハングリーなアジアンライダーとタフなレースを続けてきたことで、大きく成長したからだと思います」と話してくれました。

2人の今後の予定も明らかになってきました。まず、アピワット選手は来季もCEVインターナショナル選手権に継続参戦を望んでおり「表彰台獲得が目標」と意気込んでいます。一方のガラン選手もまた、アジアから世界に目を向けて動きはじめています。

そして、才能を持った新たなライダーの出現も見逃せません。UB150の年間チャンピオンを、第3回Master Campに参加したムハマッド・アキッド・ビン・アジズ選手(マレーシア)が獲得したのです。

Master Campはきっかけでしかありません。ここに紹介したように、ライダーたちはこの経験を元に、自らの力で世界への道を切り拓いているのです。

未来は確実に変わろうとしています。