全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
Rd.05 9月7日 広島・三次灰塚
RACE DATA
全日本トライアル選手権 第5戦広島・三次灰塚大会
■開催日:2025年9月7日
■開催地:広島県・灰塚ダムトライアルパーク
■観客動員数:808人
■気温:32度
■天候:晴れのち曇り一時雨
■競技:10セクション×2ラップ+SS-2セクション
■持ち時間:4時間30分(10セクション×2ラップ)
■最多クリーン数:野崎史高(ヤマハ)/18
REPORT
野崎が「TY-E 2.2」で今季初優勝しTY-Eが4連勝
氏川、黒山は「TY-E 3.0」で2・3位とし表彰台独占
全8戦が組まれた全日本トライアル選手権シリーズ、後半戦のスタートとなる第5戦広島・三次灰塚大会は、広島県三次市吉舎町にある「灰塚ダムトライアルパーク」で2年ぶりに開催された。昨年は台風のため中止となった三次灰塚大会だが、今年は台風が去った直後のタイミングで実現。前日、当日とも蒸し暑く、当日は競技終盤に雨が降る不安定な天気となった。
最高峰の国際A級スーパークラスに「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から参戦する#2黒山健一は、最新型の電動トライアルバイク「TY-E 3.0」で前大会では連勝し、ポイントランキングトップを独走中であり、さらなる勝利を目指して今大会に挑んだ。チームメイトの#3氏川政哉は、黒山に続くランキング2位だが、まだまだ逆転の望みはある状態。また、「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の#8野崎史高(TY-E 2.2)も、昨年の怪我から復帰して上り調子で今大会に臨んだ。
国際A級スーパー(SA)クラスの競技には16名が出走。4時間30分の持ち時間で10セクションを2ラップした後、上位10名が2つのスペシャル・セクション(SS)に挑んだ。ただし、1ラップ目に発見された蜂の巣を除去するために時間がかかり、そのぶん持ち時間が15分延長された。今回のセクションは、トップライダーたちにとってはクリーン(減点0で走破)も可能なレベルで、失敗が許されないシビアな戦いともなった。うだるような暑さが選手たちを苦しめたが、SSで降った雨がセクションを濡らし、滑りやすくなったところで無念の失敗(減点5)を食らうライダーもいた。
今回も、黒山健一のアシスタントは甥の黒山陸一(りくと)。氏川政哉のアシスタントは田中裕人(2010年の国際A級チャンピオンで、SAでも活躍)。野崎史高のアシスタントは関口康太が務めた。
競技前半の1ラップ目は、第1セクションから第4セクションまで黒山と野崎がクリーンを連発。氏川は第3セクションで1回足を着いた(減点1)ものの、それ以外はクリーンを重ねていた。ターニングポイントとなったのは、第6セクションだった。コンクリートの障害物を上がってから、大岩上りからのヒルクライムが待ち受けていた。ここで野崎は減点2を追加したが、その後は再びクリーンを連発する好調ぶりを見せつけた。黒山は減点1で抑えたが、その後は2回減点5をとるなど、思うように調子を上げられない。氏川に至っては3連続減点5となる痛手で、そこから必死に追い上げていった。1ラップ目の結果は、野崎が、10セクション中8セクションをクリーンし減点3点で抑えてダントツのトップ。2番手の#6柴田暁は減点13点、3番手は黒山で減点15点。4番手は氏川と#4小川毅士がともに減点16点(クリーン数も同じ6)で並美、2番手以下は、大接戦だった。
注目の2ラップ目、野崎はさらにクリーンを連発、第9セクションでは初めて減点5となったが、それで崩れることはなく再びクリーンを重ねていった。結果、2ラップ目は氏川と小川(毅)が減点5点(クリーン9)で激しく追い上げ、黒山も同じく5点だが、クリーンは7。そして野崎が減点6点となった。だが、1ラップ目とのトータルでは、やはり野崎が合計9点とぶっちぎりの好成績。以下、黒山が合計20点、氏川と小川(毅)は合計21点と、予断を許さない状況だった。しかし、残るはSSの2セクションのみで、最大差がついても10点。この時点で2番手以下に11点以上の差をつけた野崎が、SSを待たずに1位を確定させた。そしてまた、SSでは熾烈な2位3位争いが行われることとなった。
大観衆が固唾を飲んで見守ったSSでの野崎は、力強い走りでクリーンを連発、有終の美を飾った。対照的に、小川(毅)は減点5があり、後退。また、SSでの黒山は悔しい減点1を2回続ける結果となった。ここで渾身のクリーンを重ねた氏川が、黒山を逆転して2位。黒山は惜しくも3位となったが、ヤマハにとっては今季初のワンツースリーで表彰台独占となった。しかも、第2戦優勝の氏川から始まり、第3・4戦連勝の黒山に続いて、第5戦は野崎が初優勝を飾りTY-Eとしては史上初の4連勝を記録した。
ポイントランキングは黒山がトップ、2番手の氏川は黒山との差を12ポイントに減らすことに成功。野崎はランキング3番手に浮上している。
RESULT
RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
氏川政哉選手談(2位)
「広島大会、無事終えました。結果的には2位となりました。前半戦jはすごく悪い試合で、順位もかなり下の方だったんですけど、なんとかSSで挽回することができて本当に嬉しく思っています。こうやって、野崎選手と黒山選手と表彰台に登れたことはやっぱりすごく自分的にも嬉しいですし、こういうことを実現できるように、次は自分が真ん中でいけるように頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました」
黒山健一選手談(3位)
「結果は3番でした。優勝を狙っていたので、3番という結果には非常に悔しい思いをしております。ただ、今日の優勝した野崎選手が絶好調で、今日の僕の調子では野崎選手には勝てないなと思っていたのですが、残念ながら、最後のSSで氏川選手に逆転されました。できれば2番に入りたかったですね。試合内容に関しては反省点はいろいろあるんですけども、この非常に熱い中、たくさん応援していただいたことが非常に嬉しかったなと思います。また、次は涼しい東北大会になると思いますので、体調を整えてしっかり頑張りたいと思います。本当にありがとうございました」
佐藤美之監督談
「今回の大会は、コース的には決して難しいというわけではありませんでしが、要所要所に難易度の高い部分がありました。その中で1点2点を争うレースになると想像していましたが、それが的中して黒山選手と氏川選手が2位を争いました。一方で、野崎選手は、TY-Eではまだ優勝してないということもありましたが、見事な走りでの優勝でした。結果的に1位2位3位をヤマハでとったのは素晴らしい結果で後半戦がスタートしました。この勢いを持ってチャンピオンをとれるようにSUGO大会、和歌山大会に向けて頑張っていきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」
Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA
野崎史高選手談(優勝)
「応援ありがとうございました。優勝することができました。しかも点数的にもけっこうアドバンテージがあって、自分の中でもぶっちぎれたかなっていう感じで非常に良かったです。1ラップ目に減点3で回れたのがかなり良かったかなと思うんですけど、今日のレースだと5点取っちゃうと挽回が結構きついレースではあったと思うので、その中でも5点を取らずに1点2点で抑えるだけじゃなく、ほとんどクリーンできていけたのが最終的に勝因かなと思います。昨年怪我をしてしまって後半戦半分出れなかった中で、見放さずに完全体で戻ってくるようにということで、休養と手術の時間を与えてくれてまた今年走らせていただいたヤマハの方々と僕を支えてくれる皆さんにも本当に感謝です。また次戦こういった形で調子を崩さないように維持してさらに上を目指していきますので、応援、また引き続きよろしくお願いします」