全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
Rd.04 7月13日 北海道・和寒
RACE DATA
全日本トライアル選手権 第4戦北海道・和寒大会
■開催日:2025年7月13日
■開催地:北海道・わっさむサーキット
■観客動員数:550人
■気温:26度
■天候:晴れ
■競技:10セクション×2ラップ+SS-2セクション
■持ち時間:4時間30分(10セクション×2ラップ)
■最多クリーン数:氏川 政哉(ヤマハ)/14
REPORT
黒山健一が2連勝! 氏川政哉が2位でTY-E 3.0がワンツー
YAMAHA FACTORY RACING TEAMが3連勝
全日本トライアル選手権シリーズの前半戦を締めくくる第4戦北海道・和寒大会は、今年も道央・旭川の北に位置する「わっさむサーキット」で開催された。前回第3戦のもてぎ大会では、最高峰の国際A級スーパークラスにYAMAHA FACTORY RACING TEAMから参戦する#2黒山健一が、最新型の電動トライアルバイク「TY-E 3.0」でついに初優勝を獲得。開幕戦から2位、第2戦も2位で、さらに第3戦で優勝と好成績をキープした黒山が一躍ポイントランキングトップに躍り出た。
一方、今年はYAMAHA FACTORY RACING TEAMから「TY-E 3.0」で戦う#3氏川政哉は、3位、優勝、4位で現在ランキング3位。また、4位、5位、3位で同ランキング4位は「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の#8野崎史高(マシンは「TY-E 2.2」)で、野崎もまた今後の巻き返しを狙い今大会に臨んだ。
国際A級スーパー(SA)クラスの競技は18名が出走、4時間30分の持ち時間で10セクションを2ラップした後、上位10名だけが2つのスペシャル・セクション(SS)に挑む。例年と同じようなレイアウトで配置されたセクションは、斜面や岩場など自然の地形を生かすとともに、難易度が高く勝負どころとなるコンクリートなどの人工セクションも用意された。前日にセクションを下見した選手たちの感想は、昨年よりも難易度が高いのではないか、という声も少なくなかった。
今回も、黒山健一のアシスタントは甥の黒山陸一(りくと)。氏川政哉のアシスタントは田中裕人(2010年の国際A級チャンピオンで、SAでも活躍)。野崎史高のアシスタントは関口康太が務めた。
競技前半の1ラップ目は、第1セクションこそ通常の難易度で、黒山と野崎が減点1、氏川はクリーン(減点0)と出だしは好調だった。ところが、鬼門となった第2セクション、結果的に#6柴田暁がクリーンした以外は、17名全員失敗(減点5)。しかも3mはある高所からの転落に体を痛めてしまう選手も多かった。とくにチャンピオン#1小川友幸のダメージは大きく、リタイアは免れたが最終的に11位となった。
その後は第3・4セクションとクリーンを重ねた黒山・氏川・野崎だったが、第5セクションは今度は18名全員が減点5となる超難関となった。さらに、第7セクションは岩が動いて危険ということで1ラップ目はキャンセルされる(全員走らない)波乱含みの展開となった。その中で着実にクリーンできるところはクリーンして減点12点でまとめた黒山が、1ラップ目終了時点でトップ。合計15点の氏川と柴田が、わずか3点差で黒山に続いた。その背後には、#4小川毅士16点、野崎17点がそれぞれ1点差で迫る接戦状態だった。
2ラップ目は、氏川が第5セクションを減点2で走破するなど力を発揮、2ラップ目の最小減点・合計13点をマークした。一方、黒山はなんと鬼門の第2セクションをただ一人クリーンするなど気を吐き、合計14点と好調をキープ。やや離されて野崎が21点、小川(毅)22点、柴田23点らが接戦状態のまま続く展開となった。
そして2ラップ目終了時点の結果は、黒山が26点でトップのまま。2番手の氏川は2点差の28点でSSで十分に逆転を狙える位置につけていた。また、3番手以降は野崎、小川(毅)、柴田の3選手がともに38点で、SSで3位争いをすることとなった。
迎えたSSはトップクラスのライダーたちにとってはクリーンが可能なもので、SSをクリーン・クリーンの減点0で締めくくった黒山が、氏川に付け入る隙を与えないまま2連勝。氏川は2点差で今季2勝目を逃す悔しい2位となったが、それでも黒山とともに、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人が「TY-E 3.0」では初となるワンツーフィニッシュを達成。さらに、この2人が第2戦からチーム3連勝を成し遂げた。野崎もまた、「ミスがあって勝利を逃したが、優勝が見えてきた」と怪我から復帰しての5位で、再びの表彰台独占も夢ではなくなってきた。
ポイントランキングは黒山がトップを独走、2番手の氏川との差を16ポイントに拡大。次回第5戦・広島・三次灰塚大会は9月7日、灰塚ダムトライアルパークで行われる。
RESULT
RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
黒山健一選手談(優勝)
「北海道大会が無事に終了しました。結果は関東大会に引き続き2連勝。今日の大会は、決して調子が良かったわけではないんですけども、本当に我慢しながら、平常心を保ちながら、頑張って最後まで走り切ることができました。これで2連勝なんで、ポイントランキングとしてもちょっとだけ余裕が出てきますけども過去の経験上、こういう余裕ある時こそ負け癖がついて、一気に逆転されることもあるので、これから残り4戦、気を引き締めて頑張りたいなと思います。皆さん、本当に応援ありがとうございました。そして次回は中国大会です。9月の中国大会、皆さんお待ちしております」
氏川政哉選手談(2位)
「北海道大会、無事に終わりました。結果は2位という本当に悔しい成績だったんですけど、本当に僅差で負けてしまったっていうのが、やっぱり自分の中でも悔しいところです。でもまだ全日本は終わってないので、必ずランキングトップを取り戻せるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。ありがとうございました」
佐藤美之監督談
「黒山選手2連勝、そして今回の北海道ではYAMAHA FACTORY RACING TEAMの黒山選手、氏川選手でワンツーを取ることができました。これもひとえに開発の皆さん、お客さまであったり、そういった皆さんの応援のおかげだと思っています。今回のセクションは、やはり楽そうに見えて落とし所があるというような厳しい部分のセクションが3つほどあって、そこをどうクリーンにするか、少ない点数でクリアするかがポイントでした。そういった中で黒山選手と氏川選手はお互いが争いながらSSまでわずか2ポイント差と、結果的にお互いが刺激を与えながら戦ったことによってYAMAHA FACTORY RACING TEAMがワンツーを取れたというのは私としてもこの上ない喜びです。ただこれで油断することなく、今年はチャンピオンを取りにいくというのが最大の目標でもありますので、次の広島大会までは時間がありますけど、その間いろいろテストなどを行って、後半戦に向けていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします、ありがとうございました」
Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA
野崎史高選手談(5位)
「全日本選手権の第4戦が今終わったところで、今日はもう相当にハードなセクションで、昨日の時点か懸念はあったんですけど案の定、転倒者や怪我人もありました。僕自身は5位だったんですけど、僅差の5位でした。1ラップ目も最終セクションが僕の中ではクリーンセクションだったんですけど、そこで減点5になって1位の座を譲り渡しているので、ライディングは悪くありませんでした。また、北海道は昨年怪我をしてしまったレースで、怪我をしないことを意識していたので、それも含め悪くなかったと思います。これを励みにして後半戦しっかり表彰台もしくは優勝を目指して頑張りたいと思いますので、また応援よろしくお願いします」