全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
Rd.03 6月8日 もてぎ
RACE DATA
全日本トライアル選手権 第3戦もてぎ大会
■開催日:2025年6月8日
■開催地:栃木県・モビリティリゾートもてぎ
■観客動員数:2,100人
■気温:26度
■天候:曇り
■競技:10セクション×2ラップ+SS-2セクション
■持ち時間:4時間30分(10セクション×2ラップ)
■最多クリーン数:黒山健一(ヤマハ)/12
REPORT
黒山健一が電動トライアルバイクで初優勝!
ランキングトップに浮上
全日本トライアル選手権シリーズの第3戦もてぎ大会が今年も栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催され、曇り空のもと2,100人の観客を集めて行われた。昨年の第3戦もてぎ大会では、氏川政哉が電動トライアルバイク「TY-E」史上初となる優勝を獲得するとともに、黒山健一が2位、野崎史高は3位と、「TY-E 2.2」で表彰台独占の快挙を成し遂げているゲンのいい会場。
今年も最高峰の国際A級スーパークラスにYAMAHA FACTORY RACING TEAMから参戦する#2黒山健一は、最新型の電動トライアルバイク「TY-E 3.0」で開幕戦から優勝を争い2位、続く第2戦でも僅差で2位となっており、今回こそ待望の1位を獲りたいところ。また、今年は同チームで戦う#3氏川政哉は第2戦で「TY-E 3.0」初優勝を獲得、2位の黒山とともに初のワンツーを実現した。一方、「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の#8野崎史高は熟成された「TY-E 2.2」で怪我から復帰、開幕戦4位、第2戦は5位と好調を保っている。
国際A級スーパー(SA)クラスの競技は17名が出走し、4時間30分の持ち時間で10セクションを2ラップした後、上位10名だけがより難易度が高くて見ごたえがある2つのスペシャル・セクション(SS)に挑む。3週間前に同じ会場で行われたトライアル世界選手権・日本GP大会のセクションをモディファイしたという採点区間は、自然の地形や大岩などを生かした見ごたえのある設定で、非常に難易度の高い勝負どころが数多く用意された。そうした難所をいくつも走破すれば、ライバルに大きな差をつけられる状況だった。
今回も、黒山健一のアシスタントは甥の黒山陸一(りくと)。氏川政哉のアシスタントは田中裕人(2010年の国際A級チャンピオンで、SAでも活躍)。野崎史高のアシスタントは関口康太が務めた。
競技前半の1ラップ目は黒山が、出だしの第2&第3セクションで減点5となる失敗が続いたものの、その後は3週間前の日本GP1日目・レース1で世界の強豪を相手に見事3位を獲得した実力をいかんなく発揮。1ラップ目の結果は黒山が減点18でトップに立ち、「TY-E 3.0」で自身の電動バイク初優勝をめざす強い意志を見せつけた。とはいえ2番手にはチャンピオンの小川友幸(#1)が1点差の減点19で迫っており、まだまだ予断を許さない状況だった。この2人の後には減点22の野崎、減点25の柴田暁(#6)、そして減点30の氏川が続く展開となっていた。
2ラップ目は、さらに調子を上げていった黒山が、1ラップ目よりも減点を半減させる点10で単独トップを堅持。氏川も減点15で、黒山に続く追い上げを見せた。以下、小川(友)は減点20、#4小川毅士(アプリリア)は減点22、野崎は減点23を加算することとなった。
そして1ラップ目との合計減点による、2ラップ目終了時点の結果は、黒山が減点28でトップを独走。2番手の小川(友)は減点39で、この時点で両者の差は11点と大きく開き、残るSSの2セクションでは最大10点差しか縮める可能性がないため、SSを待たずに黒山が優勝を決める、ぶっちぎりの圧勝となった。
3番手以下は、野崎と氏川がともに減点45で、クリーン(減点0)の数が1つ多い野崎が氏川をリードしていた。SSの結果によっては、3位争いだけではなく野崎と氏川にはまだまだ逆転2位の可能性も残されていた。しかし、小川(友)と野崎、氏川は3名ともSSを2つともクリーンした結果、小川(友)2位、野崎3位、氏川4位の結果は変わらず。野崎は「TY-E 2.2」で3位表彰台をゲットした。
黒山はSS1で減点1を加えたものの、圧倒的好成績のまま「TY-E 3.0」で待望の自身初の電動バイク優勝を獲得した。第2戦で優勝した氏川に続き、「TY-E 3.0」の2連勝を実現し、黒山の優勝は、2022年の第5戦シティトライアルジャパン大会(当時はエンジン車)以来3年ぶりで、通算94勝目は史上最多記録を更新。ポイントランキングは黒山がトップに立ち、2番手以下に10ポイント以上の差をつけることとなった。
次回第4戦・北海道・和寒大会は7月13日、わっさむサーキットで行われる。
RESULT
RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
黒山健一選手(優勝)
「全日本トライアル関東大会、モビリティリゾートもてぎで、やっと勝てました。前回の世界選手権の時、その前の全日本選手権九州大会もそうだったんですけども、本当にいい走りが自分の中でできていたんで、これでもう勝てなかったら一生勝てないんじゃないかなって思うような時も一瞬あったんですけども、やっと今日、結果につなげることができました。勝てそうで勝てなかった試合が随分と続いて、多分、皆さんモヤモヤしてたと思います。申し訳ないです。ただそのモヤモヤの鬱憤を晴らすかのように、今日は自分の中でもいい走りができたかなと思います。
これにて僕の中では前半戦が終わりました。これで勝ったからといって終わりではなく、僕の中でこれがスタートだと思ってます。今度は夏の北海道から後半戦になりますので、これからも黒山健一、そしてヤマハ電気バイク、全日本トライアルの応援を皆さん、よろしくお願いします。今日はありがとうございました」
氏川政哉選手談(4位)
「第3戦が終わりました。結果は4位ということで、表彰台にも立てませんでした。自分の悪い点がいっぱいあったので、それは次までに直していけるように練習したいなと思います。今回は本当に勝てなかったことが悔しく思いますし、でも1位を獲りにいった黒山選手はそこでちゃんと力を発揮して1位を獲ってくれたのでヤマハファクトリーレーシングチーム的にはいい1位だったのかな、という風に思います。でもやっぱり自分的にはすごく悔しかったので、次は勝てるように頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします」
佐藤美之監督談
「皆さん応援ありがとうございます。やっと黒山選手が勝つことができました。ファンの皆さんにはだいぶ時間がかかってしまって本当に申し訳ないのですが、ようやくここで勝つことができ、報告できることをまず嬉しく思っています。
今回のレースは世界戦の後ということで、我々はアドバンテージを持って臨んでいたので、多少なりとも自信があったのは事実です。セクションを見た感じだとかなりハードなものだったので、そういう意味では心配な部分はありましたが、黒山選手はセクション一つ一つに集中し、ここはクリーン、ここは何点という形で全部計算して戦ってくれたことが、結果的に2位に大差をつける勝因だったんじゃないかなという風に思ってます。
氏川選手は、タイムオーバーや、ミスもあって、いろいろメンタル面の消耗があったんじゃないかと思います。それでも最後まで走り続けてくれて、何とか4位に入れたのは良かったと思います。
野崎選手が3位表彰台を獲得してくれたことは、表彰台独占は取れませんでしたが、それでも選手が一人一人集中して走ってくれたことが今回の結果になったんじゃないかと思いますので、このリズムを今度の北海道、その次の大会に生かしていくように頑張りたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします」
Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA
野崎史高選手談(3位)
「全日本の第3戦は、3位で終わることができました。昨年の北海道大会で怪我をして以来、今年の開幕戦から復帰したんですけど、第3戦目で表彰台に上がれたことは非常に嬉しく思っています。結構セクションがハードだったし、気温も湿度も高かったので腕がつったりして大変でした。さらに3週間前の世界選手権で膝の方をまた痛めたというか酷使したので、結構辛い状況ではありました。今回表彰台に上がることができたのもTY-Eを開発してくれた方々のおかげだし、その中でTY-Eの2.2を表彰台に上げることができて、非常に嬉しく思っています。また次戦、応援よろしくお願いします」