全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
全日本トライアル選手権
トライアルは、岩場、林の中や沢などを利用して作られた複数のセクションを限られた時間内に周回し、減点とクリーン数を争う競技。その国内最高峰が全日本トライアル選手権であり、1973年にスタートした。
最高峰クラスはIAスーパーで、国際A級の中でも特にレベルの高いライダーがエントリーし、4時間30分などの持ち時間の中で、他のクラス(国際A級・B級)よりも難易度の高い10前後のセクションを2ラップした後、IAスーパー用に設定されたスペシャルセクション(SS)で競技を行い、減点数を主体に順位を決める。使用するマシンに排気量制限はないが、現在は主に250ccの4ストロークマシンが主流となる。
2024年は、都市部を会場として人口セクションを築いて競技を行い、新たなファン獲得も期待されるCity Trial Japan(IAスーパーのみ)を含めた8大会が予定されている。
ヤマハは、全日本選手権がスタートした1973年、木村治男がチャンピオンを獲得。以来、最高峰クラスでは通算11回(2006年はヤマハエンジン搭載のスコルパ車)のチャンピオンに輝いている。
2023年からヤマハ発動機は、電動トライアルバイク「TY-E」で全日本史上初となるフル参戦を開始。同年には電動トライアルバイクで全日本史上初なる表彰台を獲得し、トライアル競技の新しい形に挑戦している。
ライダー紹介
チーム
2023年、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は、内燃機関を上回る性能と楽しさを持った市販EVにつながる技術の獲得を目標に、全日本史上初となる電動トライアルバイク「TY-E」で、国内最高峰のIAスーパーフル参戦を開始した。研究・開発部門とレース部門、そしてトップライダーである黒山健一が三位一体となり、レースを通じて開発を進めた結果、全日本史上初となる電動トライアルバイクで4回もの表彰台(2位2回、3位2回)に立ち、ランキング3位を獲得。「TY-E」のポテンシャルを証明した。
そして2024年も「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」はこの挑戦を継続。ライダーは、全日本選手権で通算11回ものチャンピオンを獲得してきた黒山が継続となる。そして今年は、昨年、ランキング2位となった氏川政哉(bLU cRU VICTORY)と、ランキング4位の野崎史高(Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA)も、TY-Eで参戦する。3台体制とすることで、研究・開発を進める体制を築き上げた。そして昨年あと一歩に迫りながら届かなかった優勝、そしてチャンピオン獲得を目標に、総力を上げて戦っていく。
マシン
TY-E 2.2(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)※2023年型
初代のTY-Eが登場したのが2018年。力強い低速トルクと伸びやかな加速を両立する高回転型の小型高出力モーター、極低速から高速域まで優れたレスポンスとパワーフィーリングを実現するモーター制御技術などの特徴を持つ、ヤマハ発動機にとって初の電動トライアルバイクとして発表した。
同年7月には、黒山とFIM Trial-E CUPに参戦。開幕戦のフランス大会で初優勝を飾るなどランキング2位。続く2019年もランキング2位を獲得した。
それから数年後、「FUN×EV」をコンセプトに内燃機関を上回る楽しさを目指し開発を再開。2022年3月、TY-E比で約2.5倍の大容量バッテリーや、大幅な低重心化を達成したコンポーネントレイアウト、軽量化や剛性の最適化に貢献するコンポジット(積層材)モノコックフレームを採用した「TY-E 2.0」を発表。Trial2世界選手権に投入し、31位ながらも貴重なデータを獲得した。
そして2023年、レースを通じて開発を推し進めるべく、TY-E 2.0をベースに仕様を変更したTY-E 2.1を開発して全日本に初投入。さらにシーズン後半には、新設計モーターコントローラー(MCU)や新設計モーターを採用したTY-E 2.2を投入。開発を継続しながら3度の表彰台を獲得した。そして2024年はこのTY-E 2.2で継続参戦となるが、トップライダーたちと、レースという過酷な環境下でトライ&エラーを繰り返しながら、多くの情報を獲得しながら、さらなる高みを目指す。