全日本モトクロス選手権 IA2

RACE DATA

■大会名称：2009全日本モトクロス選手権第8戦近畿大会
■カテゴリ：IA2クラス
■開催日：2009年9月13日（日）
■開催地：名阪スポーツランド（奈良県）
■レース時間：（30分＋1周）×2ヒート
■天候：晴れ　■観客：15,554人

REPORT

田中が第2ヒートでIA自身初の3位表彰台を獲得！
小島は第1ヒートで優勝

チーム・YZからYZ250Fを駆って参戦する田中雅己が第2ヒートで自身国際A級で初となる表彰台を獲得。第1ヒートでも5位入賞を果たし、総合成績ではヤマハライダー最上位となる3位を獲得した。またチーム・KOH-ZからYZ250Fで参戦する小島太久摩が第1ヒートで優勝。第2ヒートは転倒したが11位で完走を果たした。

第1ヒート、好スタートを切ったのは三原拓也（カワサキ）。これにYZ250Fを駆る伊藤正憲、岡野聖（スズキ）、勝谷武史（カワサキ）が続く。小島太久摩は8番手あたり、田中はさらに後方からのスタートとなった。1周目を終えると伊藤がトップに浮上し、三原、池谷優太（スズキ）、勝谷、小島の順で続く。この中でいち早く仕掛けたのが小島だった。2周目に勝谷、池谷、三原の3人をかわして2番手に浮上。さらに3周目には伊藤をかわしてトップに立つ。

その後、勝谷が2番手に浮上して小島の後方につけるが、小島は安定したペースで約2～3秒差のマージンをキープ。最終ラップに若干その差を詰められたが、最後までトップを明け渡すことなく、開幕以となる来今季2度目の優勝を果たした。2位は勝谷。

一方、3位争いは3番手の伊藤以下、島崎大祐（スズキ）、池谷、田中、星野裕（スズキ）による争いとなった。その中で田中はこのグループのペースに食らいつき周回を重ねていくが、9周目に島崎にかわされて7番手に後退。しかし池谷が転倒で脱落。さらに、後半順位を落とした伊藤をかわして5番手とすると、そのまま今季最高となる5位でフィニッシュした。伊藤は田中に続く6位となり、3人のヤマハライダーが6位以内に入る健闘を見せた。

チーム・YZの松下幸司は好スタートを切るも、転倒等があり25位。同じくチーム・YZの小関元貴は30位でレースを終えた。なお木下隼は予選で転倒があり決勝進出ならず。また尾崎友哉は予選を通過したものの、事前のテストで痛めた首のけがのため、決勝は欠場することとなった。

第2ヒート、ホールショットは井上眞一（カワサキ）。これに小島、三原、島崎らが続く。田中は中盤に埋もれ厳しいスタートとなる。この後、小島が1周目でトップに浮上すると、第1ヒートと同様に序盤から積極的な走りでレースをリードするかに見られたが3周目に入る直前、ブラインドになったコーナーの先で転倒していたライダーを救護している場が見えず、小島がそこに入り転倒。これで順位を大きく落とすこととなる。

この小島に代わってトップに立ったのが勝谷。この後方は井上、三原、富田俊樹（ホンダ）、島崎となり、6番手にはスタートのミスを序盤で挽回した田中が続いた。トップの勝谷は、序盤から2番手以下を引き離す快走で独走態勢を築くとそのまま優勝。

2・3位争いは井上から田中の5人に絞られるが、7周目までに島崎と田中が抜け出し激しいマッチレースを展開する。当初は島崎がリードするがこのテールに田中が食らいつき11周目にかわして2番手に浮上。しかし島崎も田中のテールから離れず、16周目に島崎が再び2番手に。その後田中は再びかわしにかかるが、島崎がペースアップ。これに田中はついていけず、2位島崎、3位田中でゴールとなった。田中にとっては、2008年、国際A級に昇格して以来初の表彰台を獲得となった。

なお、小島は転倒後復帰して最後まで走りきり11位でフィニッシュ。松下は19位、小関は25位でレースを終えた。なお、次回の第9戦中国大会は、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園にて10月10（予選）・11日（決勝）に開催される。

IA2の第2ヒート後に行われたレディスクラスの決勝は、チーム・YZの安原さやが2位を獲得し、今季6度目の表彰台に立った。
レースは安原のホールショットでスタート。これに山本泉（ホンダ）、益春奈（ホンダ）が続く。2周目にはトップの安原が転倒。すぐに復帰するも変わって山本がトップに立ち、安原は3番手に後退する。しかし3周目に今度は山本が転倒し益がトップとなる。ここから安原は益に猛チャージ。抜きつ抜かれつのバトルを展開して6周目に再びトップを奪う。ところが後方から追い上げてきた鈴木沙耶（スズキ）が益、安原をかわしてトップに立つと、そのまま優勝。安原はバックマーカーを巧みにかわして後方の益を寄せ付けず2位として今季6度目の表彰台を獲得した。

COMMENT

IA2：田中雅己選手談（5位／3位：総合3位）

「長いインターバルを利用して父や小島選手とともにトレーニング、練習に励んできた成果が成績に現れた。第1ヒートは平常心を保つことを目標に、どんなことがあっても冷静に30分間走りきろうと考えていた。それが良かったのか序盤で表彰台が見える位置まで順位を上げることができた。そこで攻めてやろうと考えていたが、徐々に体力が落ちてきて、路面も荒れていたので転倒の危険性を感じた。そこで平常心に戻り冷静に自分の状況を確認し、今できる走りをしようと決めて走った。最後は5位と表彰台には届かなかったが、それでも第2ヒートに繋がるいいレースだったと思う。第2ヒートはスタートで遅れたが、とにかく自分の走りに集中し一気に順位を上げ、その後は自分も乗れていたし、上位陣の転倒もあって3番手まで浮上。そこからは島崎選手との根比べとなった。一時は前に出て2位も視野に捉えたけれど、最後は島崎選手に競り負けて2位を譲ることとなった。本当に悔しかったが、自分では過去最高の順位なので、今は素直に喜びたい。でもこれで終わりではないし、これからこの順位を獲り続けることが大事。気持ちを引き締めて残り2戦に臨みたい」

IA2：小島太久摩選手談（優勝／11位：総合4位）

「このインターバルは名阪に照準を絞りしっかりと攻略法を頭に叩き込んできた。それが第1ヒートでは走り、順位の両面で現れることとなった。特に序盤での挽回は完璧でラインを自由に使って一気にトップまで駆け上がることができた。その後は予想していた通り、勝谷選手がついて来たが、意識はしたものの常に自分の走りを心がけ最後まで楽しく良い走りができた。一方第2ヒートも、2周目にトップに立つまでは第1ヒート同様に完璧なレースを展開することができた。しかし転倒した車両とそれを救護していた場所に入ってしまい、転倒することとなった。すごく良い流れだったので本当に悔しいが、こればかりはどうすることもできない。ただただ悔しい。残り2戦となったが、この名阪での走りを忘れず、勝利を貪欲に追い求めたいと思う」

レディス：安原さや（2位）

「今日は本当に激しいレースだった。地元の名阪では2回目のレースで、第2戦では不甲斐ない走りをしたので、今回はリベンジの思いで臨んだ。レースではホールショットからトップに立ったものの転倒。その後3番手で復帰したがトップの山本選手が転倒したため、再び自分にもチャンスが来た。トップ争いは益選手とのバトルだったが、やはり日本のトップライダーということで、気合いも入ったし全力でぶつかっていった。その結果抜きつ抜かれつのバトルでトップに立つことができた。でも鈴木選手にかわされたあとは、益選手とのバトルで消耗があり、鈴木選手についていけなかった。全体的なレースの構成を考えきれなかったところは反省すべき点だが、益選手とのバトルに競り勝てたことは大きな収穫。今後もこの勢いを忘れずトップライダーたちの間に割って入れるようなレースを続けていきたい」

鈴木智之、ヤマハ総監督談

「田中選手はここまでなかなか成績を出すことができず本当に苦労してきたライダー。昨年は渡辺コーチが中心となって色々取り組んできたし、今年もまた多くの人からの助けを受け、着実に前進を遂げ、ようやくその成果がこのレースで花開いたということだろう。しかし本人が一番分かっていると思うが、大切なのはここから先。この勢いをバネにして残り2戦でも今回のような走りを見せてほしい。また安原選手は非常に見応えのあるバトルを見せてくれ、さらに益選手を敗っての2位獲得と収穫のあるレースだった。しかし2周目にトップを走行中に転倒するなど、大事な局面でのミスがあり、そこは改善すべき点。次回からはそういった部分も意識してレースに臨んでほしいと思う」