全日本モトクロス選手権 IA2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどIA2に関する情報をお届けします。
Rd.04 5月25日 中国
RACE DATA
■大会名称:2008全日本モトクロス選手権第4戦中国大会
■カテゴリ:IA2クラス
■開催日:2008年5月25日(日)
■会場:広島県・世羅グリーンパーク弘楽園
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
■天候:雨のち曇り ■観客:11,000人
REPORT
渡辺が第1ヒートで今季2勝目をマーク!
YZ250Fを駆るTeam YZの渡辺学が、第1ヒートでSUGO大会に続く今季2勝目。第2ヒートでは4位を獲得して総合3位とし、ランキング2位を堅持した。YZ250FMを駆るジュビロレーシング・チームの小島太久摩は、第1ヒートでのアクシデントが響き、総合6位となったがランキング3位は守った。
第1ヒート、スタートで飛び出したのは平田優(ホンダ)、しかしインから絶妙なブレーキングで1コーナーをクリアしホールショットを奪ったのは渡辺だった。これに小島、星野裕(スズキ)が続く。1周目を終えての順位は、渡辺、星野、小島、平田となりランキング上位陣が揃い、激しいバトルが予想された。
しかしその予想を覆したのがトップの渡辺だった。序盤から後方3人を徐々に引き離し、中盤に入ると毎周後方とのギャップを広げて独走体制を築く。後半に入っても渡辺は他を上回るペースと、安定した走りで他を圧倒。前回のSUGO大会に続き今季2回目の優勝を獲得した。2位は星野、3位は平田となった。
序盤3番手でレースをしていた小島は、6周目にリアタイヤがパンクしてペースダウンを余儀なくされ順位を落としたが、最後まで諦めることなく走りきり10位でゴールした。1周目を14番手と出遅れた木下隼は、転倒で18番手まで順位を落とすが、そこから挽回し9位。スタート後に転倒し1周目を27番手とした田中雅巳は、一時20番手あたりまで順位を上げたが、その後マシントラブルが発生しリタイヤとなった。
第1ヒートから一変し、ドライコンディションでのレースとなった第2ヒート。ホールショットは再び渡辺が奪い、これに星野優位(ホンダ)、平田が続く。2周目に入ると渡辺、星野、小島、平田となり、再びランキングのトップ3が上位でレースを展開することとなる。
レースは第1ヒートとは正反対に、序盤から激しい攻防が繰り広げられる。その口火切ったのは平田。3周目に小島をかわすと、4周目に星野優位が激しいプッシュで渡辺を捉えトップを奪う。続く5周目には平田と小島が渡辺をかわして順位を上げる。さらに平田は星野優位を捉えてトップに立つと、それに合わせて小島、渡辺も星野優位をかわして順位を上げ平田に続く。しかし平田は、そこから一気に2人を突き放すと、そのまま独走態勢を築いて優勝した。
2位は、小島、渡辺で争われるかと思ったが、そこに星野裕、加藤吏一(カワサキ)が加わり4人が入り乱れてのバトルに発展。ここで小島、渡辺はこの2人にかわされて4・5番手とし、星野裕、加藤が2・3番手に上がり、星野裕が2位、加藤が3位でゴール。小島、渡辺はその後のバトルで渡辺が先行し、渡辺が4位、小島が5位でレースを終えた。
スタート後の第1コーナーで転倒し1周目を25番手で終えた木下は、第1ヒートと同様に序盤から追い上げを開始。12人をかわす力走で13位となった。またチームメイトの田中は、10番手と好スタートを切るが、転倒などで順位を落とし23位となった。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 渡辺 学 | TEAM YZ | Yamaha | 34'05.269(18Laps) |
2 | 星野 裕 | TeamSRM | Suzuki | 34'23.919 |
3 | 平田 優 | TEAM HRC | Honda | 34'44.667 |
4 | 深谷広一 | SEKI Racing MotoRoman | Honda | 34'54.513 |
5 | 加藤 吏一 | TEAM GREEN | Kawasaki | 34'59.735 |
6 | 星野 優位 | SEKI Racing MotoRoman | Honda | 35'23.871 |
7 | 須田 純 | グリーンクラブジュニアライダース | Kawasaki | 35'26.739 |
8 | 稲垣 佳樹 | SRF Teamブルーイーグルス | Suzuki | 35'29.341 |
9 | 木下 隼 | TEAM YZ | Yamaha | 35'30.194 |
10 | 小島 太久摩 | Jubilo RT | Yamaha | 35'42.824 |
11 | 井上 眞一 | K.R.T. | Kawasaki | 35'43.104 |
12 | 井上 洋昭 | クラブヤマハTEAM KOH-Z | Yamaha | 35'49.352 |
13 | 平塚 雅樹 | グリーンクラブパーク神戸RT | Kawasaki | 35'53.158 |
14 | 谷 和也 | クラブヤマハサンビシwithダイイチ | Yamaha | 35'56.571 |
15 | 富田 俊樹 | Team BAS | Honda | 35'59.129 |
16 | 勝谷 武史 | グリーンクラブ&ジュニアライダーズ | Kawasaki | 34'10.143(-1Laps) |
17 | 種子 善之 | SRF Teamブルーイーグルス | Suzuki | 34'12.511(-1Laps) |
18 | 斉藤 嵩 | オートスポーツ清水 | Suzuki | 34'12.742 (-1Laps) |
19 | 外間 大地 | グリーンクラブジュニアライダース | Kawasaki | 34'19.670 (-1Laps) |
20 | 黒澤 良太 | CarLife with TES | Honda | 34'20.873 (-1Laps) |
28 | 中島 敬則 | クラブヤマハレーシングチーム鷹 | Yamaha | 37'32.372 (-4Laps) |
29 | 伊藤 正憲 | クラブヤマハモトスペース | Yamaha | 27'04.861(DNF) |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 平田 優 | TEAM HRC | Honda | 32'46.645(18Laps) |
2 | 星野 裕 | Team SRM | Suzuki | 32'51.146 |
3 | 加藤 吏一 | TEAM GREEN | Kawasaki | 32'51.472 |
4 | 渡辺 学 | TEAM YZ | Yamaha | 32'52.625 |
5 | 小島 太久摩 | Jubilo RT | Yamaha | 32'58.700 |
6 | 勝谷 武史 | グリーンクラブ&ジュニアライダーズ | Kawasaki | 33'19.138 |
7 | 深谷 広一 | SEKI Racing MotoRoman | Honda | 33'22.649 |
8 | 井上 眞一 | K.R.T. | Kawasaki | 33'24.091 |
9 | 星野 優位 | SEKI Racing MotoRoman | Honda | 33'24.645 |
10 | 伊藤 正憲 | クラブヤマハモトスペース | Yamaha | 33'25.397 |
11 | 須田 純 | グリーンクラブジュニアライダース | Kawasaki | 33'32.320 |
12 | 種子 善之 | SRF Teamブルーイーグルス | Suzuki | 34'00.481 |
13 | 木下 隼 | TEAM YZ | Yamaha | 34'06.349 |
14 | 中島 敬則 | クラブヤマハレーシングチーム鷹 | Yamaha | 34'10.546 |
15 | 斉木 達也 | クラブヤマハ大磯ムスタング | Yamaha | 34'12.057 |
16 | 平塚 雅樹 | グリーンクラブパーク神戸RT | Kawasaki | 34'12.755 |
17 | 谷 和也 | クラブヤマハサンビシwithダイイチ | Yamaha | 34'21.895 |
18 | 外間 大地 | グリーンクラブ.ジュニアライダース | Kawasaki | 34'27.881 |
19 | 稲垣 佳樹 | SRF Teamブルーイーグルス | Suzuki | 34'32.281 |
20 | 黒澤 良太 | CarLife with TES | Honda | 34'33.438 |
23 | 田中 雅己 | TEAM YZ | Yamaha | 34'43.926 |
25 | 井上 洋昭 | クラブヤマハTEAM KOH-Z | Yamaha | 32'50.916 (1Laps) |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 平田 優 | Honda | 180 |
2 | 渡辺 学 | Yamaha | 159 |
3 | 小島 太久摩 | Yamaha | 139 |
4 | 勝谷 武史 | Kawasaki | 125 |
5 | 井上 眞一 | Kawasaki | 122 |
5 | 深谷 広一 | Honda | 122 |
10 | 木下 隼 | Yamaha | 64 |
15 | 田中 雅己 | Yamaha | 39 |
15 | 斉木 達也 | Yamaha | 39 |
20 | 中島 敬則 | Yamaha | 30 |
22 | 草野 忠道 | Yamaha | 25 |
23 | 谷 和也 | Yamaha | 21 |
24 | 尾崎 友哉 | Yamaha | 17 |
26 | 伊藤 正憲 | Yamaha | 16 |
27 | 井上 洋昭 | Yamaha | 13 |
COMMENT
渡辺学選手談(1位/4位/総合3位)
「第1ヒートはラインが少ないコンディションだったこともあり、スタートが決まったことが大きかった。序盤は確実に自分のラインを走っていただけだが、2・3周で後方と5秒程度の差を開くことができたので、その後も攻めるでも、手を抜くでもなく、序盤と同様のペースで走行した。その結果として優勝を獲得できたが、2戦連続での優勝は本当にうれしい。第2ヒートもスタートは決まったが、今度は優勝を意識しすぎて慎重になり、ラインが悪くスピードに乗り切れず、勢いのある若いライダーたちにかわされてしまった。スタートが決まった時点で表彰台は絶対条件だと考えていたので、納得できる結果ではない。次の熊本では、もう一度両ヒートで結果を揃えることを意識してレースに臨みたいと思う」
小島太久摩選手談(10位/5位/総合6位)
「第1ヒートはスタートはまずまずだったが、序盤はリズムに乗れなかった。5周目でようやくタイムも上がり追い上げを開始したが、リアタイヤがパンクしてしまった。サインボードではピットインのサインが出ていたが、ラインが少ないコンディションのなか、30秒のピットインをして復帰しても、上位のライダーを抜きかえすことができる確信が持てなかったのでこのままいこうと決めた。しかし順位が物語っているように、非常にシビアなレースとなってしまった。第2ヒートは好スタートを切れたので今度こそと意気込んでいたが、ペースが上がらず若手ライダーに抜かれ、最後まで自分の走りができない情けないレースになってしまった。今は、状況に焦っても仕方ないしリラックスすることが大事だと感じている。ここ3戦は優勝にこだわりすぎて、自分の走りを見失い、力を出し切れないレースが続いた。今後は開幕のように自分の走りを意識して臨みたい」
木下隼選手談(9位/13位/総合11位)
「第1ヒートは出遅れて14番手のスタートになってしまった。しかし調子もよく9位まで上げることができ大きな自信になった。第2ヒートはスタートで転倒して20番手を下回る順位。今回も10位以内を目指そうとがんばったが、追いつくまではスムーズでも抜くのに時間がかかりすぎ、思うように順位が上がらず13位が限界だった。今回は追い上げのレースはできたが、課題であるスタートが2ヒートとも決まらなかった。後方でスタートしても追い上げる力はついてきているので、次は前でスタートして自分よりも実力が上のライダーたちと走って自分の限界を越えるレースをしたい。次の九州はホームコースである関東に似ていて好きなコースのひとつ。なんとかスタートを決め上位でレースをしたい」
田中雅己選手談(DNF/23位)
「前回のSUGO大会が不甲斐ない結果だったこともあり、今回は気合いを入れ直し、朝の練習走行から積極的に走って気持ちを奮い立たせてきた。しかし、第1ヒートはスタートでエンスト。序盤は追上げることができたが、その後は転倒があったし、後半は疲れて順位を落とし、最後はマシントラブルでリタイヤとなった。気合いだけが空回りしたレースだった。第2ヒートはスタートが決まって、よしいくぞという気持ちになれたが、荒れたコースでリズムに乗れず、転倒もあり、レースの中盤以降に順位を下げる前回と同じパターンに陥ってしまった。ここまで体力面の課題はあったが、やはり荒れたコンディションでスピードを上げられないこともはっきりとわかった。今は少しずつでもこれらの課題を克服していくしかない」
鈴木健二Jubilo Racing Team監督談
「素晴らしい成績で開幕戦を終えた小島選手だったが、それ以降の3戦は、彼本来の力が出せないレースが続いている。第1ヒートは、不運にもリアタイヤがパンクしてしまうアクシデントに見舞われた。ピットインか続行かという選択を迫られ、私はピットインを指示した。難しい選択だったが、状況を一番分かっている本人が続行を決断した。結果は10位となったが、パンクした時点でついていなかったとしかいえない。また第2ヒートは好スタートを切りながら、表彰台に手が届かなかった。アクセルも開いてないし、攻めきれず小島選手らしさが見えなかった。九州では開幕戦の走りを思い出し、挽回への第1歩となるレースをしてほしい」
川崎智之Team YZ監督談
「渡辺選手の今季2勝目は、他のライダーはもちろん、スタッフのモチベーションも上げるなどチームにとって大きなプラス材料となった。もちろん本人にとっても今後の戦いをより充実させてくれる結果だ。あえて厳しいことをいえば、第2ヒートでホールショットを奪いながら表彰台に立てなかったのはもったいない。両ヒートで結果を揃えることで今後により大きなプラスを生んだはずだからだ。第1ヒートで勝ったことでの安心感が、第2ヒートに賭けるライバルたちの気持ちに負けてしまったのかもしれない。次の九州では2ヒート結果を揃えてほしい。木下選手はスタートで遅れても、追上げる力を見せてくれたが、2ヒートとも同じでは前進がない。次はスタートから前でレースをすることを意識して取り組んでほしい。田中選手はここ2戦順位を大きく落としてしまうレースが続いている。今後はこの現状を受け止めるとともに、練習メニューを改めるなど、こういったレースを繰り返さないようにしないとならない」