全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.07 11月1-2日 MFJ-GP・宮城
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第7戦 第63回 MFJ-GP モトクロス大会
■開催日:2025年11月2日(日)
■会場:宮城県・ スポーツランドSUGO
■レース時間:IA1(25分+1周)×2ヒート
■レース時間:IA2(25分+1周)×2ヒート
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが転倒リタイア、大城が3位表彰台
2025年のチャンピオンが決定するシーズン最終戦、第7戦・第63回MFJ-GPモトクロス大会。YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1ジェイ・ウィルソン&YZ450FMは、ランキング2位に36ポイント差のトップでIA1三連覇をかけてこの最終戦に臨んだ。また、YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松の#8大城魁之輔は、ジェイに69ポイント差のランキング3位だが、チャンピオンの可能性を残しこの最終戦を迎えた。
今大会はモトクロス世界選手権のMXGP、MX2に参戦していたGPライダーらがIA1にスポット参戦。その中での予選でジェイが2番手、大城が4番手、YAMAHA BLU CRU RACING TEAMの#15渡辺祐介は8番手で決勝へと駒を進めた。
迎えたヒート1は1周目を終えてロマン・フェーブル(カワサキ)、バレリオ・ラタ(ホンダ)というGPライダーが先行。これにジェイ、大城が3・4番手で続いた。
ジェイはトップと同等のタイムで後方を引き離しながらトップ3を走行。ところが5周目に転倒、その際に左手を負傷して緊急ピットインすると、そのままリタイアとなった。
一方の大城はYZ450Fとともに序盤からトップ3に続くラップタイムをマークし、5番手以下との差を拡大。さらにジェイのリタイアにより3番手に浮上した後も、安定して速いタイムを重ね3番手を盤石なものにすると、そのまま日本人トップとなる3位でフィニッシュした。
ホームコースでのレースとなった渡辺は、10番手で1周目を終えるとすぐに9番手に上げて上位陣を追撃。しかし、ラップタイムが近いライダーたちが相手となり、なかなか順位を上げれらない状況が続いた。それでもジェイのリタイアで8番手、さらに後半に入って大倉由揮(ホンダ)をかわすと、7位でチェッカーを受けた。
ヒート2:ジェイは負傷によりリタイア、大城が3位、渡辺が11位
今シーズンのチャンピオンが決まる最終戦。ヒート1で負傷したジェイは、その負傷の状況により残念ながらリタイア届けを提出。最終レースを走ることなくシーズンを終えることとなった。
そのヒート2は、ここまで好スタートを連発し速さを見せてきた大城がこのレースでも日本人トップを走った。好スタートから世界チャンピオンのフェーブルに続く2番手としたが、1周目を終えるとラタに先行を許して3番手となった。以降は3番手を単独走行し、再び日本人トップとして3位を獲得し表彰台に立った。総合成績は3位、年間ランキングでも自己最高となる3位としシーズンを締め括った。
また、渡辺は1周目を終えて10番手とし追い上げを目指したが、2周目にはライバルと接触してコースアウトや転倒があり14番手まで後退してしまう。その後も転倒があったが、着実に挽回して11位でチェッカー。上位進出はならなかったが、総合では9位でシーズンを終えた。
なお、欠場したジェイはチャンピオンこそ逃したが、通算11勝を獲得してランキング2位でシーズンを終了。チャンピオンは大倉が獲得した。
IA2
ヒート1:中島が2年連続の年間チャンピオンに輝く
シーズン最終戦までもつれ込んだIA2のチャンピオン争い。その筆頭は、YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKAの#1中島漱也で、2位につけるYAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松の#4田中淳也に47ポイントという大きなリードを持ってクラス連覇へ挑み、田中も最後まで諦めることなくこの最終戦に臨んだ。
土曜日の予選は、金曜日から早朝にかけて降り続いた雨の影響によりマディコンディションで行われ、中島漱也がA組でトップタイムを記録。B組にはスポーツランドSUGOをホームコースとするBLU CRU TeamPitin with M:Fの#10渡辺陵と#4田中淳也が登場し、渡辺が3番手、田中は5番手とし決勝に臨んだ。
迎えたヒート1はランキング首位を走る中島の年間チャンピオン獲得が懸かる注目の一戦となり、そのスタートで中島がホールショットを奪ってレースをリード。
しかし1周目の最終コーナーでブライアン・スー(GASGAS)に先行を許し、2番手にポジションを落とす。その後もペースが上がらず、一時は5番手まで後退する苦しい展開となったが、最終的に一つ順位をあげて4位でフィニッシュ。表彰台には届かなかったが、2年連続の年間チャンピオンを獲得した。
田中は好スタートを切って3番手とすると、序盤は上位争いを展開。しかし、中盤以降ペースを乱したことで後続に捕まり順位を落とす。悔しい走りとなったが、最後まで集中を切らさず走り切り7位でレースを終えた。
一方の渡辺は、1周目を11番手で通過。しかしそこから力強い追い上げを見せ、着実に順位を回復。5位でチェッカーを受け、地元コースで意地を見せた。
ヒート2:中島が他を寄せ付けない走りを披露、勝利でシーズンを締めくくる
2025年最後のレース、スタートで前に出たのはライバルの横澤拓夢(ホンダ)。中島は2番手、田中は6番手からレースが始まった。
ホールショットこそ横澤に奪われた中島だったが、その直後に前へ出てトップに浮上。そこからは圧巻の走りを披露。2周目、3周目と連続でファステストラップを記録し、序盤で一気に後続を引き離すと、その後はペースをしっかりとコントロール。落ち着いた展開の中でも差を広げ続けた。その後一時はブライアンが追い上げてきたが、そのブライアンにミスがあり後退。これで中島は再び独走状態でトップチェッカー。ヒート1では表彰台を逃す悔しい結果となったが、ヒート2では年間チャンピオンらしい圧倒的なパフォーマンスを披露し、シーズンを象徴する勝利で締めくくった。
4番手からレースに入った田中は、序盤はその位置をキープしながら落ち着いたレースを展開。4周目には自己ベストラップを更新するなどリズムを掴みかけたが、背後から迫るブライアンにかわされ5番手へポジションダウン。その後は前を追い続けたものの差を詰めきれず、最終的に5位でフィニッシュとなった。年間ランキングは自己最高となる2位となりシーズンを終えた。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:DNF/DNS)
「昨日、セッティング変更を行い、サスとエンジンともにとてもいい状態で決勝を迎えていました。チームが勝つためにいろいろと準備してくれていた中で、結果は得られませんでしが、決勝までのプロセスは成功したという認識です。だからこそ、結果を残せなかったのは本当に申し訳なく思います。轍が多く難しいコンデイションでしたが、ラインを変えたところで滑ってバランスを崩し転倒、そこで手をぶつけてしまい負傷しました。そして応援してくれたファンの皆さんには残念な結果となり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。最後に、どんな結果であっても支えてくれるファンが増えているし、それによって自分もチャレンジできています。ぜひ、今後も引き続き応援をお願いします。1年間ありがとうございました」
原延男監督談
「ジェイ・ウィルソンという強いライダーがいて、毎年チャンピオンを獲ることが当たり前のように感じていました。ただ慢心があったわけではなく、この最終戦に向けてもしっかり準備して臨みましたし、ヒート1の直前もチャンピオンが大事であることをジェイ選手と共有していました。調子も良かったし無事にゴールしてくれると思っていたのですが... 正直、驚いたしショックでした。当たり前にチャンピオンを獲っているわけではなかったと痛感しました。
今年は11勝で高い勝率でしたが、ネイションズで日本が決勝進出を果たしたように、確実に日本人ライダーも強くなっています。ジェイ選手が日本でレース活動をすることで、新たな切磋琢磨が生まれ良い方向に導いていけているということも感じていて、実際にBLU CRUのライダーたちの成長もその一つで、チャンピオンは逃しましたが、今年もさまざまな成果を得たと実感しています。
そして今回もたくさんのファンの皆さんがSUGOに来てくれてました。ジェイ選手はリタイアとなりましたが、全ヤマハライダーが応援を力にして戦っていたことは確かです。今年1年間、暖かいご声援、本当にありがとうございました。来シーズンも引き続きよろしくお願いします」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
大城 魁之輔選手(IA1:3位/3位:総合3位)
「両ヒートともにスタートから出たのですが、序盤はまだまだ成長の必要があるし、速いGPライダーが参戦していたことから優勝できませんでした。でも、彼らと一緒にレースができて、一緒に表彰台に立てたことは嬉しく思いますし、ここまでさまざまな課題をあげてきましたが、上手く前進できて、ベストのランキング3位とし、いい形でシーズンを締めくくることができました。
ここまで成果・成長を感じながらも、クリアするとその分だけ新しい課題が目の前に現れてきて、決して十分とは言えません。というのも、今の全日本モトクロスはジェイ選手に勝たないとチャンピオンは難しく、その存在を超えていく必要があるので、満足することなく成長し続けることが必要です。そして来シーズンは本格的にジェイ選手に噛みついてチャンピオンを狙っていけるように、オフシーズンの間にもっともっと成長していきたいと思います」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM
渡辺祐介選手(IA1:7位/11位:総合9位)
「この最終戦を今年一番のレースにするためにできる限りの準備をしてきました。今回はGPライダーが参戦してハイレベルなレースとなり、かつ雨の影響で難しいコンディションとなりました。走り自体は良かったものの、2ヒートともにスタートで遅れ、追い上げのレースとなりました。
その中で、ヒート1は大倉選手ら速いライダーとバトルして楽しかったのですが、走れるようになっているからこそ悔しさが残る結果でした。ヒート2もスタートで遅れ同時に3回の転倒があり遅れてしまいました。最後のレースだったのにミスが多く重なり残念です。
今年は3年ぶりに大きな怪我もなく、無事に1年を終えることができましたが、今年は身体の面、スピード、ライバルも速い中ではありましたが、この成績では僕自身も納得はできないので、来年こそはトップグループでレースができる結果でリベンジできればと思います」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA
中島漱也選手(IA2:4位/優勝:総合2位)
「今回のレースはシリーズチャンピオンが懸かっていた大切な一戦だったので、絶対に優勝したいという強い想いを持って臨みました。ヒート1では緊張から思うように身体が動かず、自分でも驚くほど硬くなってしまいました。スタートはいつも通り前に出られましたが、納得のいく走りが出来ず悔しい4位。それでもここで年間チャンピオンが決まり、嬉しさと悔しさが入り混じった複雑な気持ちでした。ヒート2ではプレッシャーから解放され、序盤からトップを走り続けることができました。チャンピオンとしてふさわしい走りを見せることができたと思います。今シーズンもたくさんの方々に応援をしていただき、地元以外の会場でも大きな声援をもらえたことが本当に力になりました。1年間、本当にありがとうございました。」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
田中淳也選手(IA2:7位/5位:総合7位)
「夏のインターバルの期間に負傷し、再開後の3戦は自分の思うような走りができず、悩みながら臨むレースが続き、結果につなげることができませんでした。今シーズンは年間チャンピオンを目標に戦ってきましたが、1位の中島選手に大きく差をつけられてのランキング2位という結果に終わり、悔しさの残るシーズンとなりました。自分の実力がまだ足りなかったと痛感しています。それでも、前半戦は気持ちもライディングも噛み合い、勢いのある強いレースができていたと思います。初優勝も経験し、表彰台に上がり続けられたことは大きな自信になりましたし、その時に掴んだ良い感覚は今も確かなものとして残っています。オフシーズンはしっかりトレーニングを積んで、来年こそ自分がチャンピオンを掴めるように挑みます。また、今年はBLU CRUのチームでレースに臨み、素晴らしい環境の中で多くの方々に支えていただきました。応援や期待を良いプレッシャーとして感じながら走れたことは、自分にとってとても大きな経験であり、誇りです。今年お世話になった皆様に、来年必ず結果で恩返しできるように。そして、ヤマハが一番強いということを自分の走りで証明できるように、来年はチャンピオンを取りにいきます。今シーズンも応援ありがとうございました」
BLU CRU YSP大阪箕面
川上真花選手(レディース:優勝)
「優勝できて"うれしい"の一言です。ラスト1周、かわせる本当に分かりませんでした。ずっとヨーロピアンを上手くまとめることができず離されていたのですが、最後のラップは上手く決まって、KYBジャンプ後のコーナーで勝負して先行。"キター"という感じで、そのままフィニッシュまでいけて勝てました。今年の前半は怪我で欠場し名阪から復帰しました。ここで勝ちたかったけど、その1週間前に肩甲骨にヒビが入り、勝つことができず... オフビも実力・体力不足で悔しい2位。そして最終戦に向けてはしっかり練習し、自信を持って臨みました。実際に自分の力を発揮して勝利でシーズンを終えることができました。来年はもうチャンピオンしかありません。もっと努力して来年こそは勝ちます」
TOMOレーシング&美蔵withCONNECT
穗苅愛香選手(レディース:3位)
「スタートは出遅れたのですが、気づいたらトップに立っていてその時点で満足してしまい、体力も消耗して順位を落としました。それもで川井選手についていこうとプッシュしたのですが転倒。そこでペースを崩してしまい、タイムも上位2名よりも遅く離されました。ただ、後方とも離れていたので、切り替えて淡々と落ち着いてミスなく走り3位。今季は3回の表彰台を獲得してシーズンを締めくくることができて成長も実感するいい一年になりました。とても楽しかったですね。来年はもっとみんな速くなると思うし、まだ一番遅い"マナカ"なので、みんなに食らいついてトップ争いができるようシーズンオフはしっかりと乗り込んで、スタートも改善し来シーズンに臨みます」