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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.05 9月20-21日 近畿・奈良

RACE DATA

■大会名称:全日本モトクロス選手権シリーズ2025第5戦 近畿大会
■開催日:2025年9月21日(日)
■会場:奈良・名阪スポーツランド
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(30分+1周)×2ヒート

REPORT

IA1
ヒート1:全日本再開! ジェイが圧勝、大城が3位

6月の中国大会から約3ヵ月、真夏を回避して全日本モトクロス選手が、奈良県は名阪スポーツランドから再開した。 ベルギーを拠点に欧州合宿を行い準備万端で今大会を迎えたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1ジェイ・ウィルソンは、20日の予選でホールショットからトップ通過。これにYAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松の#8大城魁之輔が2番手、YAMAHA BLU CRU RACING TEAMの#15渡辺祐介が6番手とヤマハライダーは好調のままに決勝日を迎えた。

IA1の決勝は15分+1周のトリプルヒートで実施。コンディションは前日の夜に強い雨が降ったがマディとはならず、ほぼドライコンディションでヒート1が行われた。しかし、ライダーたちには難しい状況が待っていた。スタート5秒前ボードから、ゲートがなかなか降りず集中力を切らすライダーもいたが、大城は好スタートでホールショットを奪う。ところが1周目を終えこのスタート進行の不手際などから、レッドフラッグが提示され再スタートとなった。

2回目のスタートでは、今度はジェイが好スタートからホールショットでリードを奪う。後方には大倉由揮(ホンダ)と大城がつけ、序盤はその大倉と数秒差でレースを進めたが4周目、一気にギャップを約5秒まで広げると、そこからはペースをコントロールしその差をキープしながら危なげない走りでフィニッシュ、今季7勝目を獲得した。

予選から好調の大城は、1回目のスタートは完璧なホールショットで1周目をトップで通過したが赤旗再スタートとなってしまう。そして2回目のスタートでは、ジェイ、大倉に続く3番手。前を行く大倉を照準に周回を重ねていったが、ペースは均衡しその差を縮めることができないまま終盤へ。その終盤には2番手との差を詰めたが届かず、それでも後半戦最初のレースで3位を獲得し、ジェイとダブルポディウムを達成した。

渡辺は1回目は好スタートを切るもオープニングラップを終えるテーブルトップのジャンプでバランスを崩しクラッシュしてしまったが、赤旗再スタートで救われる。そして2回目のスタートこそ上位に食い込んだが1周目を終えて11番手。ここから8番手まであげ、さらに前方を狙う中で、トラブルが発生しリタイアを余儀なくされた。

ヒート2:ジェイが連勝、大城、浅井、渡辺が3・4・5位

ジェイとYZ450FM、そして大城、浅井亮太(BLU CRU フライングドルフィンサイセイ)、渡辺というYZ450Fを駆るヤマハ勢が躍動した。オープニングラップは大倉を先頭に浅井が2番手、ジェイが3番手、さらに4番手の内田篤基(カワサキ)に続き、5番手に大城、さらに6番手に渡辺と、1周目を終えてトップ6に4名のヤマハライダーが入った。

この中でジェイは、スプリント力を生かして序盤から積極的に攻め、2周目に浅井を攻略。さらに大倉に接近し4周目のフィニッシュライン直前にトップに立った。ここからはヒート1と同様に大倉とのギャップを築くためプッシュ。約4〜5秒のリードを作るとそのまま独走してチェッカーを受け大会2連勝を果たした。

大城は、序盤に内田とのバトルを制して4番手に上がると、さらに3番手の浅井をロックオンすると、これも前半の内にかわして表彰台圏内へ。しかし上位との差は10秒前後。徐々に追い上げたが、アタックするまで近づくことができず、ヒート1に続き3位でチェッカーとなった。

渡辺は1周目を6番手、その後は前をいく大城をターゲットにしたが徐々に離されてしまう。しかし内田の脱落により5番手とすると、終盤には大塚郷太(ホンダ)が迫り来るも、これをしのぎ切り5位でチェッカーを受けた。

ヒート3:ジェイが大会3連勝、大城が2位表彰台

スタートで前に出たのはライバルの大倉。これに過去2ヒートで安定したスタートを見せた大城が2番手。その後方に内田、大塚が続き、ジェイは 5番手と、このウィークでは最も厳しい順位からのスタートとなった。

それでもジェイは2周目に大塚、3周目に内田をかわして3番手に順位を上げると、今度は大城に照準を合わせて4周目にパスして2番手へ。これでトップの大倉を視界にとらえると、背後に迫ってプレッシャーをかけ7周目に仕掛けてトップに浮上。さらに、畳み掛けるように大倉とのギャップを広げて残りの周回を走り切り、大会3連勝、シーズン9勝目を獲得し総合優勝。同時にランキング2位につける大倉との差を拡大することに成功した。

大城は大会最後のヒートでも好スタートを決め、オープニングラップを大倉の後方2番手とした。ここから大倉の攻略を目指したが序盤にペースを上げることができず、後方から追い上げてきたジェイにかわされて3番手に後退。ここから単独走行となったが、終盤に大倉のミスにより逆転し今大会最高の2位として、3ヒート連続表彰台を達成し、総合3位を獲得した。

渡辺は1周目を7番手とするも2周目に順位を落として8番手。しかしそのライバルが転倒したことで再び7番手へ浮上した。さらに前方を行く浅井に徐々に接近、レース後半に逆転して6位でフィニッシュした。なお総合ではヒート1のリタイアによるノーポイントが響き11位となった。

IA2
ヒート1:中島が圧巻の走りで後半の初戦を制す

YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKAの#1中島漱也がホールショットを奪い、2番手にはブライアン・スー(ガスガス)が続き、手に汗握る激しいトップ争いを繰り広げた。

好スタートを切った中島は、序盤からハイペースでレースを展開。背後に迫るスーから幾度となくプッシュを受けるも冷静に対応し、トップを守った。さらに8周目以降は後続と徐々に差を広げ、10周目には2番手を走行していたスーがマシントラブルでリタイア。これにより3番手を走っていた柳瀬大河(ホンダ)が2番手に浮上したが、中島はこの時点で大きなリードを築いていたことから、その後もペースをコントール。最終的には後続と20秒以上差をつけトップでチェッカー。後半の初戦を白星で飾った。

一方の#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松)は、まずまずのスタートを切るも1周目を7番手と厳しい展開に。それでも粘り強い走りを見せ、4周目には鴨田翔(カワサキ)をかわして5番手に浮上。さらに上位陣のトラブルも重なり、11周目には4番手に順位を上げた。その後も最後まで追撃を続けたが、順位は変わらず4位でチェッカーとなった。

ヒート2:中島、悔しさ残る2位も4戦連続で総合優勝を獲得

レース序盤は中島がトップに立ち、これに田中が2番手、柳瀬大河(ホンダ)が3番手、その後方に本レースで最大のライバルとなる吉田琉雲(ホンダ)が4番手で続き、激しい優勝争いが展開された。

中島は、スタート直後から勢いを見せ、1周目をトップで通過。その後も安定した走りで9周目まで首位を守るが、10周目に田中のプッシュを受けて2番手に後退。さらに背後に迫った吉田にもかわされ、3番手にポジションを落とす。それでもディフェンディングチャンピオンの意地を見せ2番手の田中を攻略すると、そのままトップに立つ吉田を追撃。するとラスト2周となったところで吉田が転倒し中島が再びトップに立ったが、同周の最終コーナーで吉田に逆転され、2位でチェッカー。悔しさをにじませながらも、これで4大会連続となる総合優勝を手にした。

なお、IA2のランキングトップにつける中島は、10月3~5日にアメリカ・アイアンマンレースウェイで開催される2025年モトクロス・オブ・ネイションズの日本代表として出場する。

田中は、序盤からトップを走る中島の後ろにつけてレースを展開。徐々に差を詰め、9周目にはファステストラップを記録して接近すると、続く10周目に中島をパスしトップに立った。しかし14周目、6番手から猛追してきた吉田にかわされ3番手に後退。その後は徐々に離されて単独走行となり3位でフィニッシュ、総合3位で今大会を終えた。

次回の10月18-19日、オフロードヴィレッジ(埼玉県)での第6戦は、全日本モトクロス選手権国際A級にて9度のチャンピオンに輝いたレジェンド、東福寺保雄氏が逝去されたことを受け、「D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第6戦 21Groupカップ 東福寺保雄記念」として行われる。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RESULT Heat.3

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

YAMAHA FACTORY RACING TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:優勝/優勝/優勝:総合優勝)

「広島のところで怪我をして7週間ほどバイクに乗るのをやめました。その後、欧州でトレーニングしてきました。欧州ではMXGPのチームと一緒にトレーニングして、大きな成果を得て帰ってきて、100%の状態でこの大会に臨むことができました。もちろんレースでは3つ勝てて嬉しいですし、加えてチームとの密なコミュニケーションを通じてマシンを改善することもできており、とても多くの収穫があリました。また今大会では大城選手や大倉選手とのバトルとなりました。大城選手は高い能力がありそれがうまく噛み合った時に、さらに高い能力を発揮するだろうし、大倉選手も同様でスキルは高いし、これから自信がもっとついてくれば強敵になると思います。次戦に向けては、継続してトレーニングし、マシンはチームと改善していくだけ。オフロードヴィレッジは、エキサイティングでチャレンジグなコースなので楽しみだし、もちろんしっかりと結果を出していきたいと思います」

原延男監督談

「ジェイ選手は広島のところで怪我がありましたが、夏休みにはしっかり休んでもらい、その後欧州でトレーニングしてきました。私たちもしっかりとマシンテストをしていい感触を持って今大会に臨みました。冷静な状態でレースに臨むことができれば、心配ないと思っていましたが、出だしからトップタイムを出して、ある程度のマージンを持って決勝に向かうことができました。目標はチャンピオンですが、今大会でも走るたびにジェイ選手とチームとでマシンについてコミュニケーションをとりながら、前進を図りうまく走れていますが、これを継続していくことが大切だと感じています。次戦でもやることは変わりませんが、我々はマシントラブルなどがないようにしっかり準備して、ジェイ選手もレースではテンションが上がってしまうと思いますが、落ち着いてチャンピオンに向けポイントを積み上げてもらうだけです」

YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
大城 魁之輔選手(IA1:3位/3位/2位:総合3位)

「広島で優勝しいい形でインターバルに入れ、モチベーションも高く自分に必要なことに集中して取り組んできました。具体的にはベースの底上げとスピードアップです。 8月末に怪我をして一時乗れない期間もありましたが、いろんな人に協力してもらい、身体を含め今大会に間に合わせることができました。レース展開はトップ2台に離されましたが、結果はまとめることができました。ただ自分の感触としてはまだまだと感じているので、残り2大会ではピースをつなぎあわせるようにさらに前進します。スタートもその一つで、マシンの面でヤマハの皆さんにはギリギリまでテストに付き合っていただいて、その成果も出ています。1周目でトップを取れるか取らないかでは全然違うので、これからも課題として意識し取り組んでいきます。そして次のオフロードヴィレッジでも優勝だけを目指して戦います」

YAMAHA BLU CRU RACING TEAM
渡辺祐介選手(IA1:DNF/5位/6位:総合11位)

「ヒート1はトラブルによりリタイアとなってしまいました。ヒート2のスタートはそれほど良くはありませんでしたが、淡々と追い上げて、4番手の浅井選手の後ろにつけることができたので、走りとしては悪くはありませんでした。ヒート3はスタートで遅れてしまう苦しい展開ではありましたが、一人一人パスして最終的に6位。最低限のところではありますが、タフなコンディションの中で成績をまとめることができ、ラスト2戦につながるレースになりました。またトップ3(ジェイ、大倉、大城)は速くて今回は完敗でした。それでも身体もだんだん良くなっていて、自分のレースができるようになってきている手応えを得ることができました。次のオフロードヴィレッジもジェイ・大倉・大城選手が速いと思いますが、3ヒートともにスタートを決めて表彰台争いができるように、しっかり乗り込んで準備します」

YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA
中島漱也選手(IA2:優勝/2位:総合優勝)

「この大会までの3ヵ月間、しっかりとトレーニングを積み、絶対に勝ちたいという気持ちで臨みました。ヒート1では、ブライアン選手を意識しつつ、周ごとに走行ラインを変えることで良いマネジメントのレースができたと思います。しかしヒート2では荒れた路面に苦戦し、自分の走りたいラインが定まらずリズムを崩してしまいました。その中で田中選手、吉田選手にかわされて3番手に後退。レース終盤は体力的にも厳しく、心が折れそうになりましたが、とにかく攻めて前を追うことだけを考えて走りました。吉田選手が徐々に離れていく中で、早く前に出なければ追いつけないと判断し速めにラストスパートを仕掛けました。吉田選手の転倒もあり一時はトップに戻りましたが、最終コーナーで逆転されました。相手の勝利への執念が自分を上回っていたのだと思います。この結果は悔しいですが、もっと速くならなければ上は目指せないと再認識できました。残り2戦、5ヒートすべて勝利を目指し挑みたいと思います。そして、日本代表として臨むモトクロス・オブ・ネーションズでは、初参戦ながらもビビらず楽しみながら全力でレースをしたいと思います。」

YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
田中淳也選手(IA2:4位/3位:総合3位)

「中断期間のトレーニング中に手首を負傷してしまい、今大会は万全の状態で臨むことができませんでした。しかし、その期間にアメリカのトップライダーたちと一緒に練習を行い、多くのことを学ぶ機会を得られました。特に印象的だったのは、海外の大会では毎週のようにレースがあるため、怪我を抱えながらでも出場せざるを得ず、その中でいかに気持ちを作っていくかが重要だという点です。その経験のおかげで、今回も気持ちを上手くコントロールしてレースに臨むことができたのは収穫でした。ヒート1では、自分でも納得のいかない走りとなりましたが、身体のコンディションは徐々に良くなっていたため、ヒート2では、チャンスがあれば積極的に仕掛けていくと決めていました。一時は中島選手をパスしてトップに立ちましたが、体力的に厳しく最終的には3位でのフィニッシュとなりました。それでも、この状態でポイントを稼ぐことができたことはポジティブに捉えていますし、地元開催ということもあり、多くの声援が本当に力になりました。次戦は、前回大会で初優勝を飾ったオフロードヴィレッジでのレースです。良いイメージを持って臨めるので、しっかりと準備を整え、再び勝利を目指します」

BLU CRU YSP大阪箕面
川上真花選手(レディース:2位)

「開幕前の怪我は完治していたのですが、大会1週間前の練習で転倒。肩周りを怪我して、ギャップなどで痛みがあり本気で走れない状況でした。結局本番までには治らず、今日は痛み止めなどを飲んで臨みましたが、練習、予選も思うように走れませんでした。決勝は序盤が遅く、体力面も足りなかったし、ギャップもうまく走れず2位。やはり勝つためにやってきたし、そのために兄に何度も練習に付き合ってもらったのですがそれも活かすことができませんでした。また川井選手に勝つことができなったので、悔しかったですね。ただ、今回は復活のレースで、また表彰台に立てたので安心した部分もあります。次戦は怪我を治してしっかりやってきたことを勝利に結びつけたいと思います」

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