全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.03 5月17-18日 オフロードヴィレッジ・埼玉
RACE DATA
■大会名称:全日本モトクロス選手権シリーズ2025第3戦 21Groupカップ オフロードヴィレッジ大会
■開催日:2025年5月18日(日)
■会場:埼玉・オフロードヴィレッジ
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(15分+1周)×3ヒート
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが開幕4連勝、星野が2位表彰台
4月末の第2戦から3週間、舞台を埼玉県川越のオフロードヴィレッジに移して行われた今大会は、シーズン初となる15分+1周を3ヒート行うトリプルヒート制での開催となった。ウィーク初日の土曜日は朝から雨が降り続き、午後からのフリー走行はキャンセルとなったため、日曜日の朝のタイムアタック予選が、このウィーク最初の走行となった。ここでYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1ジェイ・ウィルソンがポールポジションを獲得。これにYAMAHA BLU CRU RACING TEAMの#8大城魁之輔が2番手、#15渡辺祐介が11番手で決勝を迎えた。
トリプルヒートの一つ目、ヒート1は昨日の雨の影響が残りマディでのレースとなったが、ジェイは好スタートから1周目をトップで通過。さらにこの背後にはYZの開発ライダーを務め、今大会にスポット参戦した#14 星野優位(レーシングチーム鷹/STAR racing 166)がホールショットから2番手で1周目を終える。また渡辺は5番手、大城はスタートで苦戦もあり17番手からの追い上げとなった。
序盤はトップのジェイに対して、星野が2番手で約2秒差につける。星野はホームコースということでジェイにくらいつくが、スプリント力に長けるジェイも序盤からハイペースで星野に付け入る隙を与えることなくトップをキープし、徐々にその差を拡大し、10秒以上の差を築き独走体制へ。その後、多くのバックマーカーに手こずるシーンもあったが、開幕戦のヒート1から無傷の5連勝でヒート1を終えた。
星野は、地の利を生かしながら好成績を重ねてきたコースで今日も躍動。ホールショットを奪うと、1周目、ジェイに先行を許して2番手とするも、序盤からハイペースで周回を重ねて後方との差を築く。後半に入りジェイとの差は拡大したが安定したペースで後方を寄せ付けず2位とし、日本人のYZライダーとして今季初となる表彰台を獲得した。
渡辺は好スタートから5番手を確保すると、2周目に入り順位にシャッフルがあったが5番手を守り、前をいく3番手の小方誠(ホンダ)、4番手の内田篤基(カワサキ)を目指した。しかし徐々に離され、逆に後方6番手につけるBLUCRUフライングドルフィンサイセイの#38 浅井亮太、横山遥希(ホンダ)の追撃を受けるが、これに勝負させることなくポジションを守って5位でフィニッシュ。浅井も横山を抑えて渡辺に続き6位入賞を果たした。
大城はスタートで大きく遅れて17番手で1周目を終了。前半のうちに11番手まで挽回するも転倒して12番手に後退。ここからさらに2度の転倒があったが、立て直し最後は10位でチェッカーとなった。
ヒート2:ジェイが序盤に2度の転倒も挽回し5位入賞
ヤマハ勢にとっては厳しいレースとなった。開幕から5連勝中のジェイが1周目に転倒があり2周目に入った時点で15番手。ヤマハ勢トップは渡辺の5番手で、7番手には大城がつけてレースはスタートした。
ジェイは、2周目にも1周目と同じ場所で転倒があり、3周目に入った時点で21番手。しかし、ここから怒涛の追い上げを見せる。多くのライバルで混み合い、ラインも少ない中でも着実にポジションをアップ、4周目までに15番手とすると、さらにポジションを上げ、中盤には大城をかわして7番手。10周目には同じくYZを駆る浅井をかわして6番手、さらに5番手の渡辺の背後に迫り5番手に浮上した。ここから順位を上げることができなかったが、21番手から大きくリカバリーして5位とし、貴重なポイントを獲得した。
1周目を7番手で終えた大城は3周目に6番手に浮上するも続く4周目に転倒があり11番手に後退。そこからじわじわと順位を上げると、レース終盤には渡辺の後方7番手につけ、ラスト2ラップの最終コーナーの直後に渡辺を捉えて6番手に浮上し、そのまま6位でゴールした。
渡辺は5番手からスタート。序盤で4番手としてトップ3を追い3番手の能塚智寛(カワサキ)に迫ったが、後方から追い上げてきた内田とバトルとなり転倒を喫してしまう。これで順位を落とすと、その後はジェイ、大城にかわされ最後は7位でチェッカーを受けた。
ヒート3:ジェイが6勝目をあげ今季3度目の総合優勝
ヒート2で5位と表彰台に届かなったジェイが、挽回を誓い臨んだヒート3。スタートは横山を先頭に、浅井、能塚、大倉由揮(ホンダ)、渡辺に続き、ジェイはトップから5秒ほど後方の6番手、大城は12番手で1周目を終えた。
ジェイはここから怒涛の追い上げを見せる。2周目は渡辺と入れ替わり5番手。3周目にはファステストラップをマークし一気に3番手とすると、4周目に入った直後に浅井をとらえ2番手とし横山とのマッチレースに持ち込んだ。ジェイはここから逃げる横山の背後に貼り付きプレッシャーを与えながら、勝負の時をうかがうと11周目にアタック。この攻防で横山が転倒、トップに立ったジェイがそのままリードを守り今大会2勝目をあげ、3大会連続となる総合優勝を飾った。
大城は12番手と出遅れたが、混戦を抜け出し5周を終え8番手まで挽回。その後は前を走る渡辺、浅井をかわして順位を上げると、最後は6位でチェッカーとなった。
好スタートからホールショットを奪った渡辺は、1周目にポジションを落とし5番手。序盤は前を走る大倉をターゲットにプッシュするも、ジェイ、内田にかわされ7番手に後退すると、さらにマシントラブルがありペースが上がらず最終的には2つ順位を落とし9位でフィニッシュとなった。
総合成績は2つの勝利をあげたジェイが3大会連続で総合優勝を獲得。渡辺は総合7位、大城が総合8位となった。
IA2
ヒート1:中島が3連勝、田中は3ヒート連続表彰台
予選は5月18日(日)の早朝にタイムアタック形式にて行われ、YAMAHA BLU CRU RACING TEAMの#4田中淳也が総合トップ、第2戦のSUGO大会で連勝し今大会を迎えた#1中島漱也が総合2番手と、ともに今大会も好調のまま決勝を迎えた。
レースは前日の午後まで降り続いた雨によりマディコンディションとなったが、ディフェンディングチャンピオンであり、ホームコースの中島が貫禄のホールショット。これに鴨田翔(カワサキ)、佐々木麗(カワサキ)、#17小笠原大貴(Holley Racing with YSP横浜南)らが続き、田中は出遅れて9番手で1周目を終えた。
中島は序盤からライバルを圧倒。1周目を終えた時点での2秒差から着実にギャップを広げ、5周目を終える頃には4.6秒もの差を鴨田につけて独走状態へ。後半に入るとペースをコントロールし後方とのギャップを図りながらの走行で追撃を許さずトップチェッカー。第2戦のヒート1から3連勝を達成した。
1周目を終え9番手からの追い上げとなった田中は3周目に入った直後、上位の転倒をきっかけに5番手へ一気に浮上すると、さらに一つ上げて4番手で4周目を終える。ここから3番手の小笠原とは約7秒のギャップがあったが、これをすぐに回収し7周目に逆転に成功。さらに前をいく鴨田をターゲットにプッシュするが約1.5秒差まで近づいたところでタイムアップ。3位でチェッカーとなり、田中は3戦連続での表彰台獲得となった。
ヒート2:田中が国際A級4年目にして初優勝!
ホールショットは奪ったのは田中、そのままライバルたちを引き連れて1周目をトップで終える。チームメイトの中島はスタートで出遅れ、1周目を9番手と追い上げのレースとなった。
田中は序盤は背後に横澤がつける接近戦となったが、ライバルを上回るハイペースを披露、3・4・5周と3周連続でファステストラップを更新し、後方を一気に突き放して独走体制を築く。後半に入るとレース自体が落ち着き、田中も後方とのタイムを確認しながらペースをコントロールしてファーストチェッカーを受けると、国際A級4シーズン目にして初優勝を達成した。
一方の中島は1周目の9番手から8周目には4番手に浮上すると、ここから強力なライバルとマッチレースを展開。まずは昨年のランキング2位の横澤拓夢(ホンダ)の背後につき、ジリジリとその差を詰めると9周目にこれを捉えて3番手に浮上。さらに2番手の柳瀬大河(ホンダ)に迫ると、その柳瀬が転倒して2番手とし、田中の背後まで順位を上げたが、ギャップが大きく追い上げはここまで。4連勝こそ逃したものの、開幕から6レース連続で表彰台獲得となった。
ヒート3:中島と田中が白熱のバトルを展開しワンツーフィニッシュ
ヒート1で圧倒的な強さを見せた中島とヒート2で初優勝を掴んだ田中が、今シーズン初めて勝利を賭けて直接対決。手に汗握る熱いバトルを展開した。
スタートはともに決まらず、田中が6番手、中島が9番手で1周目を終えた。遅れをとった中島だったがすぐに挽回を開始し、6周目には横澤、田中に続く3番手に浮上。その後、中島はトップから後退した横澤をかわして2番手とすると、9周目にファステストラップでトップの田中に接近。10周目に入った直後に田中をとらえトップに立った。その後も二人は接近戦を繰り広げ、ラストラップに田中がアタック。ここで二人は接触し中島はコースアウトしたがすぐに立て直しポジションをキープすると、そのままトップでチェッカー。今季4勝目、同時に2戦連続となる総合優勝を果たした。
ヒート2での初優勝を受け、総合優勝を目指しヒート3に臨んだ田中は6番手から上位陣を追撃。2周目に5番手、3周目にはファステストラップで一気に3人をかわして2番手とし、トップの横澤をターゲットにプッシュした。そして7周目にファステストラップでトップに躍り出たが背後に中島が迫る。そして10周目、一瞬のミスを突かれ2番手に後退したが、ラストラップ、田中は「唯一の勝負所だった」と言うフィニッシュライン直後のコーナーで勝負を仕掛けると二人は接触。これでバランスを崩した田中は中島の前にできることはできず、2位のままフィニッシュとなった。なお、総合では中島に続く2位を獲得した。
次回の第3戦中国大会は5月14-15日、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園にて開催される。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RESULT Heat.3
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:優勝/5位/優勝:総合優勝)
「今回はチャレンジングなコースで、ファンの皆さんににはエキサイティングなレースをお見せすることができたと思います。ヒート2はスタートで遅れ、1周目にライバルを抜くときにプッシュしすぎて転倒。さらに2周目にも同じ場所で転倒してしまいました。2年前もこのコースで同じことがありましたが、しっかり自分をコントロールする必要がありますね。1回の転倒であれば表彰台は狙えたかもしれませんが、2回転倒して5位というのはポジティブだと思います。ヒート3は、ヒート2のことがあったので、横山選手の背後についてからは落ち着いて勝負所を探しました。ただ彼のラインはワイドであったり、タイトだったりと、とてもデフェンシブで抜くのは簡単ではありませんでしたが、最終的にはトップに立てて良かったです。次の広島は、引き続きマシンやライディングのフォーカスして磨いていくことと、若手育成にも引き続き力を入れていきたいと思います」
原延男監督談
「開幕から3戦目となり、落ち着いた状態で大会を迎えましたが、前日に多くの雨が降りマディコンディションと、ライダーにとっては難しいコンディションとなりました。それが一番現れたのがヒート2で、スタートで前に出ることができず、ラインが少ない状況でジェイ選手は転倒を繰り返して5位。慌てている感じもありましたが、うまくリカバーしてくれたと思います。ヒート3は横山選手とのバトルになりましたが、最後に追い上げてきっちり前にできて優勝し、総合優勝を獲得することができました。次の広島は久々のレースになります。硬い路面のコースですが、しっかりと課題を克服して勝利を目指していきたいと思います。そして今回もIA2の若手が素晴らしいレースを見せてくれました。中島選手は安定した力強い走りを見せてくれ、田中選手もヒート2では序盤の接戦をうまくまとめて初優勝と、ジェイ選手との育成活動の成果を実感するレースとなりました」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM
渡辺祐介選手(IA1:5位/7位/9位:総合7位)
「開幕から2戦、怪我で2シーズンのブランクがある中でなかなか思うような結果が出せていなかったので、SUGOの後にチームと話し合ってバイクの仕様を変更しました。それがうまくいって3ヒートともにスタートが決まりました。ヒート1は内田選手と接触して転倒がありましたが、3位が見えていたしペース的にも表彰台を狙えるという実感を得たレースでした。ヒート2は5番手走行中に転倒があり、その後もバックマーカーのこなしがうまくいかず、ジェイ選手や大城選手にかわされ7位でしたが、このレースも序盤は表彰台が見えていました。そしてヒート3は久々のホールショットで興奮しました。序盤で順位を落としたのですが、そこから取り戻し始めたところで少しマシンにトラブルがありペースを上げられず9位でしたが、全体的には自信につながるレースになりました。次の広島までは少し時間があるので、身体のケアとトレーニングをこなし、もう一つ上の表彰台を狙います」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
大城 魁之輔選手(IA1:10位/6位/6位:総合8位)
「今年はここまでスタートは出ていたのですが、今回は出遅れてからの挽回となりました。ヒート1・2に関しては強引になりすぎて... ヒート1だけで3回、追い付いては転び、追い付いては転ぶという状態でしたし、ヒート2も1回ですが転倒がありました。もう少し冷静になる必要があったのですが、ヒート3で出遅れた際、逆に冷静になりすぎて序盤で攻めることができずチグハグなウィークでした。スタートの遅れは濡れたメッシュに苦戦したこと。完全に準備不足でしたね。ライディング自体のフィーリングは良かったのですが、スタートの遅れでポジションがトップから離れすぎていたので、どうにもなりませんでした。次回の広島はIA2の初表彰台や初優勝、チャンピオン獲得など相性の良いコース。スタートが肝になりますが、暑さもある中で体力面は整っているので自信を持って臨みます」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA
中島漱也選手(IA2:優勝/2位/優勝:総合優勝)
「ミスが出やすいマディコンディションだったので、ヒート1はかなり慎重な走りになりましたが優勝できました。ヒート2はメッシュもタイヤも濡れていたことでスタートで滑ってしまい大きく遅れました。今年はこういった展開になるのが初めてでしたが、全レース、絶対に勝たなければならないというわけではなく、自分のできることをやるというのを心がけているので、それに従って走ったことで、想像より上の2位まで行くことができました。ヒート3も追い上げのレースでしたが、総合優勝はしたかったので、田中選手は抜いておきたいと思っていました。まずは一人一人に集中し、田中選手の後ろについてからは、ラインが違う箇所が何個かあり、そこで勝負したところでたまたま田中選手がミスをして前にでることができました。終盤はバトルになってしまったので、そうならないようもっと速く走らないといけないなと痛感しました」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
田中淳也選手(IA2:3位/優勝/2位:総合2位)
「ヒート1はスタートで出遅れてましたが、上位陣のミスもありスルスルと順位を上げることができ、最後は2番手のライダーまで迫ったのですが届きませんでした。ヒート2は、まず勝つためには中島選手の前に出るしかないと思っていたので、スタートが決まって良かったし、横澤選手も抑えることができトップに立てたことで自分のペースに集中し、後方とのギャップを作ることができました。でも、後半に入り優勝を意識してミスが出て、タイムも落ちてきましたが後ろとの差があったので、最後まで落ち着いて走れました。ヒート3はトップに立った時には、中島選手も後ろにいる状況でプレッシャーを感じていました。それで、ラインを変えた時にミスして抜かれました。中島選手の方がペースは速く、安定していたのでなかなか勝負させてもらえない中、唯一、行けそうな場所で勝負したのですが、接触することとなって中島選手にもうわけない形になってしました。ただ、今回は一つの目標であった優勝を獲得できたので、ここからは次の目標に向かって進んでいきます」