全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.02 4月26-27日 SUGO・宮城
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第2戦 SUGO大会
■開催日:2025年4月26日(土)・27日(日)
■会場:宮城県・ スポーツランドSUGO
■レース時間:IA1(30分+1周)×2ヒート
■レース時間:IA2(30分+1周)×2ヒート
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが開幕3連勝で連勝記録を更新!
4月12-13日に開催された熊本県・HSR九州での開幕戦で2連勝を飾ったYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1ジェイ・ウィルソンが、ヤマハ発動機にとってのホームコース、スポーツランドSUGOで、開幕4連勝を目指して出場。また、YAMAHA BLU CRU RACING TEAMは、地元の#15渡辺祐介と#8大城魁之輔がシーズン初表彰台の獲得をターゲットに臨んだ。
スタートは、内田篤基(カワサキ)を先頭に、横山遥希(ホンダ)、渡辺、大倉由揮(ホンダ)、大城ら国内トップライダーが続き、ジェイはトップに5秒ほど遅れた7番手と出遅れてしまう。2周目に横山がトップを奪いレースを引っ張るが、これに合わせるかのようにジェイも挽回を開始。大城、大倉、渡辺を4周目までに攻略して3番手に上がる。
この時点で トップとの差は5秒強だったが、ジェイはペースを緩めることなくプッシュを続け、7周目に内田をかわして2番手に上がると、ここからさらに横山との差を縮めて14周目にアタック。フープスでその差を詰め、続くコーナーで並びかけ、互いが譲らず接触。ここで横山が転倒したが、ジェイは持ち堪えてすぐに再スタートしトップに浮上すると最後までポジションを守り、開幕3連勝を飾った。
大城は序盤、ジェイに先行を許して7番手に後退も、表彰台圏内を視界に収め中盤まで6番手で周回を重ねた。中盤に入るとチームメイトの渡辺をとらえ5番手、順位を落としてきた内田をとらえて4番手、さらに終盤は前をいく大倉に照準を合わせてプッシュしたが、届かず4位でチェッカーとなった。
好スタートで3番手からレースをスタートした渡辺は、序盤は3番手をキープしたが、徐々に順位を落として7番手まで後退。さらに最終ラップに転倒があり、一つ順位を落として8位でフィニッシュとなった。
ヒート2:ジェイが開幕4連勝
ジェイの怒涛の追い上げがヒート2も光った。しかしスタートはヒート1と同様に決め切れず、トップの横山、神田橋暸(カワサキ)、西條悠人(カワサキ)、大倉、大城に続き、ジェイは6番手で1周目を終えた。
しかし、ジェイはここからスプリント力を存分に発揮。2周目に多くをかわして3番手とすると、さらにフィニッシュラインで大倉をとらえて2番手で2周目を終えると、トップの横山をターゲットにプッシュ。3周目にファステストラップを刻み横山の背後につけると、4周目にもファステストラップをマークして逆転、さらに5周目、3周連続となるファステストラップで、横山との差を広げた。
これで、リードを持ったジェイはクリアラップでハイペースを刻み、横山との差を拡大。そのまま今季4度目のファーストチェッカーで4連勝を達成した。なおジェイの勝利により、IBOPENはヒート1で鎌倉大樹、ヒート2で髙木碧、IA2は中島が2連勝、そしてIA1はジェイが2連勝と、3カテゴリ・6レースをYZが制覇した。
大城は1周目を5番手とすると、ジェイに先行され6番手に後退するが、すぐに神田橋をかわして5番手に復帰する。さらに西條をかわして大倉の背後、4番手につけて表彰台を目指した。大倉との差は約5秒、その差はすぐに縮まることはなかったが、後半に入り少しずつ接近。一時は約3秒まで接近したが詰めきれず、ヒート1に続き4位でチェッカーとなり、今季初表彰台は次戦に持ち越されることとなった。
渡辺は1周目を終えて10番手と出遅れるが、前半で7番手まで挽回する。ここからは前を走る西條を追うが微妙な距離が残り、ペースも同等となかなかその差を詰めることができず、7番手でラストラップを迎えたが、そのラストラップで転倒があり、一つ順位を落として8位でフィニッシュとなった。
総合結果はジェイが開幕に続き総合優勝、2位は横山、3位は大倉。大城と渡辺は総合4位と8位となった。
IA2
ヒート1:中島が今季初優勝、田中も今季初表彰台となる2位を獲得
開幕戦の熊本県はHSR九州では、両ヒートともにB・シュー(ガスガス)に僅差で敗れたYAMAHA BLU CRU RACING TEAMの#1中島漱也。今大会はシューが欠場によりリベンジとはならなかったが、ヒート1は独走で今季初優勝を飾った。
レースは中島の好スタートで幕を開ける。1周目のトップはその中島を先頭に、YZ250Fを駆る道脇右京(バイカーズステーション金沢レーシングwithMOTUL)、鴨田翔(カワサキ)、そしてチームメイトの#4田中淳哉が続いた。
序盤からトップの中島にハイペースで田中が接近しマッチレース。ペースは田中の方が上回っていたが、これを中島が抑える展開なったが、その田中が転倒、中島がトップを守る。その後、中島は2番手にポジションをとった鴨田のペースを合わせるかのように危なげない走りで約5秒差をキープし周回を重ねていった。終盤に入り転倒した田中が追い上げてきたが、最終的には田中も寄せ付けることなく走り切り、今季初優勝で35ポイントを獲得。欠場のシューを逆転しランキングトップに立った。
序盤から攻勢にでた田中は、上位陣を大きく上回るペースで道脇、鴨田を攻略すると中島の背後へ。さらに中島にも1秒内に迫り、バトルを仕掛けたが5周目に転倒し7番手まで後退してしまう。この時点で、トップの中島におよそ19秒差があった田中だったが、その中島ら上位陣を上回るペースで追い上げ8周目にはトップに約15秒の3番手へ。さらにプッシュを続け約10秒先を走っていた2番手の鴨田をラスト2周でとらえて2番手に浮上すると、その後も諦めることなく中島を追い続け、2位でチェッカーを受けた。3位は鴨田が獲得している。
ヒート2:中島が2連勝、田中も2ヒート連続で2位
ディフェンディングチャンピオンが強さを見せたヒート1に続き、ヒート2もYAMAHA BLU CRU RACING TEAMの中島と田中が激突した。スタートは中島が連続となるホールショットを決めると、田中も好スタートから2番手につけすぐに臨戦体制へ。この2名に続いて吉田琉雲(ホンダ)が3番手とし、このトップ3が序盤の内に4番手以下を引き離し、表彰台を争うパックとなってレースが進んだ。
序盤は1-2秒差で中島を田中が追いその後方に吉田も追随。各ライダーがファステスラップを出し合って一進一退の状況が続いた。そして均衡した状況が続いたが後半に入り中島の勝負強さが光った。9・10周連続でファステスラップを刻み、約1秒ずつ田中との差を広げて独走体制とすると、その後も差を着実に広げてファーストチェッカーを受け、2連勝として今大会を総合優勝で締め括った。
田中も中島に勝負を仕掛けることができなかったものの、最後までポジションを守って2ヒート連続で2位表彰台を獲得。ニュージーランドでのトレーニング&レース参戦の成果を結果として表現することとなった。3位には、吉田が入った。
この結果、中島が総合優勝、2位は田中、3位は吉田となった。
次戦は5月17-18日、第3戦 21Groupカップ オフロードヴィレッジ大会が埼玉県川越市にて行われ、IA1・IA2はともに3ヒート制で実施される。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:優勝/優勝:総合優勝)
「今日はスタートで苦労しましたが、インサイドがもっともセーフティーな選択であるということで、2ヒートともにそれを実行したまでです。ただ、スタート自体は自分も良くなかったので、次戦に向けては改善する必要があると思っています。ライディング自体はとても良かったです。両ヒートともにスタートで遅れましたが、プッシュするというよりは、きちんと走るという意識で、一人ずつ確実に抜いていったのです。ヒート1では横山選手とはすごいバトルになりました。今思えば、もう少し前に勝負しても良かったし、もっと後でも良かったと思いますが... ただあの時は、横山選手も自分の気配を察して、彼なりのアクションをしたように見えましたが、いろんな要因が重なって接触してしまいました。ここまで4連勝とチームとして良い流れでシーズンが進んでいます。テストも順調でバイクも進化しているし、次戦もこの調子で勝利を目指していきます」
原延男監督談
「この大会に向けチームとして準備を進め、事前テストで好感触を持ってウィークに入りました。勝利への自信はありましたが、その一方でジェイ選手にもプレッシャーがあり、スタートでの苦労もあった中で2つ勝つことができて良かったです。繰り返しになりますが、スタートに少し苦労しました。これは、センターに近いグリッドという選択もあったのですが、ミスがあったとしても、大きなマイナスにはならないということでインを選んだところがあります。次回の関東でもまずは優勝が目標となり、GW明けにはテストを行いその準備を進めていきます。また、今大会も横山選手らとのバトルもありましたが、日本人ライダーの良きライバルとして、面白いレースを展開できればと思います」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
大城 魁之輔選手(IA1:4位/4位:総合4位)
「ヒート1はスタートが悪く挽回のレース、ヒート2はスタートこそ良かったのですが、その後にミスして、その後のさばきもうまくいかず、両ヒートともに同じような順位で1周目を終えました。ヒート1は5番手から表彰台を目指し、一度大倉選手をかわすことができたのですが、その直後に抜き返されてリズムを崩しました。そ子から4番手に上がり、終盤に入って大倉選手に接近したのですが、仕掛けるところまで組み立てることができずに4位。ヒート2も同じように大倉選手の背後にはつけたのですが、組み立てることもできないまま終了し4位でした。ラインの見極めなど、自分が下手くそだったということです。結果は4位/4位でまとまっていますが、この順位では悔しいだけです。それでもポジティブに考えると、開幕よりも前が見えていたし、スタートのフィーリングもよくなっているので、次戦はスタートを決めてよいペースを刻めれば、もう一つ上を目指せると思います。ただやっぱり勝ちたいので、そこを目指して調整していきます」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM
渡辺祐介選手(IA1:8位/8位:総合8位)
「ヒート1はスタートで出て、久しぶりにトップ争いに入り、"戻って来れた"ということを感じました。ライバルのラインを見ながらの走りでペースも良かったのですが、中盤以降、久々のトップ争いの中で呼吸を忘れ、腕上がりもあり、後半にペースを上げるとができずに順位を落とし、最後は8位でした。ヒート2はスタートで大きく出遅れて、序盤は追い上げて7番手までいきましたが、そこからペースが上がりませんでした。後半も前に追いつこうとしていたのですが、前の2人がバトルになってペースが上がってしまったことも挽回につながらなかった要因です。今回、トップグループでレースができたことはポジティブですが、課題も見えてきたし、もっと上でフィニッシュしたいという気持ちも芽生えたので、次も上位を目指し準備していきたいと思います」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA
中島漱也選手(IA2:優勝/優勝:総合優勝)
「ヒート1は身体が硬く、守りに入ってしまいました。もっと速くなるためにIA2に残ったのに、こんな走りでは... という感じです。勝ったのですが、ランキングへの意識はあまりなく、自分がいい走りをしていれば結果はついてくると思っているので、重要なのは内容です。ヒート1は田中選手には何度も詰められたことも含めて反省点が多く悔しいレースでした。ヒート2には、"2年連続でチャンピオンになるためにIA2で走っているわけではない"と自分に言い聞かせて、チャレンジというか、攻めの姿勢を意識して臨みました。コースは荒れて難しくなっていましたが、その中で攻めていく姿勢をとてもうまく表現することができたし、ヒート1からマインドを切り替えることができたのも成長だと思います。この第2戦では、開幕のブライアン選手を追うところから、追われる立場であることを感じました。これが今シーズンの戦い方であることを認識できたので、そことの向き合い方は難しいですが、2連勝できたのは大きな自信になりました」
YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松
田中淳也選手(IA2:2位/2位:総合2位)
「ヒート1はそもそもスタートでかなり遅れてしまったのですが、1周目で大きく挽回し、すぐに2番手に上がることができました。ペースも感覚も良くて、気持ちは落ち着いていたはずだったのですが... それまでの周よりの速いスピードでコーナーに入ってしまい、フロントが暴れて転倒しました。転倒後の1-2周はペースが遅かったのですが、すぐに元に戻せて前向きに追い上げることができ、ラスト2周で2番までいけました。ヒート1は、無理して前半でパスしようとして転倒したので、ヒート2は落ち着いて中島選手を攻略しようと思っていましたが、自分のペースを上げることができず離れてしまってプラン通りにはいかず、課題が残る結果となりました。それでも冬にニュージーランドでやってきたことを出すことができて、両ヒートで2位を獲得できたことは素直に嬉しいですし、この流れを次につなげていきたいです」
TOMOレーシング&美蔵withCONNECT
穗苅愛⾹選手(レディース:3位)
「SUGOはもともと苦手意識がありました。毎回、転倒があったので、守りの走りになったのですが、深い轍の中で転倒せずに走り切ることができて、表彰台にも立てたので、とりあえずは良かったと思います。レースでは後方から2ストの音が聞こえて、それがプレッシャーとなってしまうのですが、自分の走りに徹することで、徐々にその音が遠くなっていったので、落ち着いて走れました。2戦を終えて2度の表彰台に立ち、ミスなく走ることができれば、トップ3に入れる力があることはわかりました。ただ、トップとの差は依然大きいので、次回、地元となる第3戦では、攻めの走りで少しでも上位との差を縮めてい期待です!」