全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.07 9月28-29日 関東・埼玉
RACE DATA
■大会名称:全日本モトクロス選手権シリーズ2024第7戦 TOKIO INKARAMI Super Motocross
■開催日:2024年9月29日(日)
■会場:埼玉・オフロードヴィレッジ
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが2位、チャンピオンにあと一歩に迫る
前戦名阪スポーツランドで行われた第6戦で総合2位とし、ランキング2位の横山遥希(ホンダ)に71ポイントのリードを築いて全日本三連覇に王手をかけたYAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#1ジェイ・ウィルソン。第7戦 TOKIO INKARAMI Super Motocrossは3ヒート制、難易度の高いスーパークロスコースが設定され、AMAに参戦する強力なライバルがスポット参戦。それでも貪欲に勝利を目指し大一番に望んだ。
一方の#12渡辺祐介は、怪我からの復帰2戦目。ギアを上げて前回の8位/11位(総合10位)を上回るトップ6を視野にグリッドに並んだ。
29日(日)の早朝に設定されたタイムアタック形式の予選はジェイがトップ、渡辺は12番手を獲得。続く決勝ヒート1は、1周目を終えスポット参戦の下田丈(ホンダ)がトップにつけ、横山が2番手、ジェイは3番手につけてトップグループを形成し、4番手以下を引き離して3名が約3秒差で周回を重ねていった。
難しいスーパークロスコースを3名は攻略し力は拮抗。序盤は順位が動かなかったが、徐々に下田がリードを拡大した。その一方で横山とジェイの間隔は急激に縮まり10周目にジェイが逆転して2番手に浮上すると、そのままギャップを拡大し2位でチェッカーを受けた。優勝は下田、3位には横山が入ったが、その後、下田と横山に違反があり、ともに順位を一つずつ下げ、ジェイが優勝、2位が下田、3位にはビクトル・アロンソ(ガスガス)、横山は4位となった。
なお、渡辺はサイティングラップ中にマシンにトラブルが発生。決勝はリタイアとなった。
ヒート2
ジェイが2位でチャンピオンを決定、IA1の連覇を達成
このレースでジェイは、横山よりも上位でゴールすればチャンピオンが決まるという大一番。ホールショットは下田。これに横山、ジェイが続き、ヒート1と同じ状況でレースはスタートした。下田が逃げるなか、ジェイは冷静に横山をターゲットにその攻略に集中した。
このマッチレースは前半から激しい展開となり、4周目にジェイが横山を捉えて2番手に浮上するが、粘る横山に逆転を許してしまう。しかしジェイも横山に喰らいつくと、終盤にその横山が転倒しこれで逆転。ジェイは2番手をしっかりとキープしてチェッカーを受けた。優勝は下田、3位には横山が入った。
これにより最終戦を待つことなく、ジェイとYZ450FMがIA1連覇を決定。さらにジェイにとっては2022年のIA2から三連覇。ヤマハ発動機にとっては2022年からIA1三連覇という偉大な記録が作られた。
ヒート1でのマシントラブルを解消して臨んだ渡辺は、1周目を12番手で終えると、その後は順位を上下しながら周回を重ね、最後は11位でチェッカーを受けた。
ヒート3
ジェイが2位、渡辺は8位
優勝を決め、プレッシャーから解放されたジェイが好スタートを切り、ライバルたちを抑えてホールショットを決めた。しかし1周目のうちに下田にかわされたジェイは2番手で1周目を終えた。展開は過去のヒートと同様で、ジェイは下田に食らいつくが、徐々に離される展開。そして後方から横山がプッシュし、ジェイは逆転を許してしまったが、すぐに抜き返してポジションを守り2位でチェッカー。下田には届かなかったが、3ヒートで1位/2位/2位で総合2位とし、レースでも下田、横山らとのバトルで多くの観客を魅了した。
渡辺は1周目を8番手。序盤はポジションを守っていたが大倉由揮(ホンダ)にかわされて9番手に後退したが、ポジションを落としてきたライバルを捉え再び8番手とするとその後は最後までポジションを守って8位。目標とした6位には届かなかったが、トップライダーとのバトルを展開し、最終戦の地元SUGOにつながる経験を積み上げた。総合成績はDNF/11位/8位で12位となった。
IA2
ヒート1:中島が今季6勝目、ランキングトップとジワリと接近
前戦の近畿大会で総合優勝を飾った#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)。ランキングトップの横澤拓夢(ホンダ)とは16ポイント差。そして、第7戦はプレッシャーも地の利もあるホームコースのオフロードヴィレッジが舞台となった。
日曜日、A・B組に分かれてのタイムアタック形式で行われた予選は、タイムアタックで実施された。A組では#7浅井亮太(bLU cRUフライングドルフィンサイセイ)が3番手、B組では中島がトップ、#10田中淳也(YSP浜松BOSS RACING)が3番手と、それぞれが好調のままに決勝を迎えた。
続くヒート1で主役となったのはホームレースの中島だった。好スタートからトップに立ったのは田中。しかし中島はすぐに仕掛け1周目の内にトップに浮上すると、後方にチャンピオンを争う横澤拓夢(ホンダ)を含めたライバルを引き連れ走行したが、2・3番手がバトルを展開していることも手伝って、4秒以上のギャップを作り独走体制を築いた。
後半に入ると、2番手に西條悠人(カワサキ)が上がりその差を詰められたが、最後までポジションを守って今季6勝目。ランキングトップの横澤が4位だったため、ポイントではその差を4に縮めた。
また、好スタートを切った田中は前半は2番手をキープしていたが中盤に3番手に後退。その後は4番手の柳瀬大河(ホンダ)と競り合っていたが、3番手を守り切って表彰台を獲得した。
ヒート2:中島が完勝、ランキングトップに浮上
ホールショットを奪ったのはヒート1で勝利した中島。これに田中雅己(カワサキ)らが続いたが、じわじわとその差を開き単独走行とした。
後方では、4番手で1周目を終えた浅井が2番手に浮上。さらに後方3番手には中島とランキングで直接争う横澤が続いてバトルを展開した。しかし浅井は横澤から2位のポジションを守ることができず、中盤に逆転を許してしまった。
この時点でトップの中島と横澤との差は約4.7秒だったが、中島はここから毎周1秒づつギャップを広げ独走しそのままチェッカーで2連勝。2位には横澤が入ったため5ポイント縮めることとなったが、ランキングでは1ポイント差ながら横澤を逆転し中島が首位に立った。また浅井が3位を獲得。YZライダーがヒート1に続きダブル表彰台を獲得した。
ヒート3:中島が三連勝を達成、浅井は2位とし総合1・2位を獲得
レース直前から、短い時間ながら強めの雨がコースを濡らし、一気にコンディションがウエットに変わるトリッキーなレースとなった。トップに立ったのが浅井。これに佐野雄太(カワサキ)、横澤、柳瀬らが続いた。中島はスタート直後の1コーナーで大きく遅れ、ここから挽回して1周目を終えて7番手につけた。
実力者たちが待ち受ける中、中島はYZ250Fを駆る田中、柳瀬、そして横澤を捉え2番手に上がると 、ラスト2周となったところで浅井を捉てトップ2に浮上すると、そのまま引き離して三連勝。ランキングでは横澤が4位となったことから、2名の差は13ポイントに広がった。次戦は横澤のホームSUGOが舞台となり2024年のチャンピオンが決定する。
次回、最終戦の第62回 MFJ-GP モトクロス大会は10月19-20日、宮城県のスポーツランドSUGOが舞台となる。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RESULT Heat.3
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:優勝/2位/2位:総合2位)
「まず、下田選手が参戦するということで今大会を楽しみにしていたと同時に、チャンピオンがかかったレースということで、リスクを減らすということも意識して臨みました。下田選手とは十分にバトルができなかったので残念ですが、ワールドクラスの下田選手と自分との差を見てもらうことで、自分をターゲットにするライダーたちが世界との差を実感する良い機会となりました。日本のモータースポーツの発展にとっても良い機会になったと思います。
レースではヒート1はルール上の勝利で、良い勝ち方ではありませんでした。ヒート2はチャンピオンがかかったレースでとても緊張していたのですが、好スタートから2番手につけチャンピオンを獲得できとても嬉しく思います。ヒート3はチャンピオンを獲得した直後のレースで、ホールショットではあったのですが、プレッシャーから解放され、達成感もあった中でレースに集中することが難しかったですね。3年連続でチャンピオンを獲得するのはとても難しいことなので、チームのハードワークには本当に感謝していますし誇りに思います。そして常に支えてくれたファンにありがとうと伝えたいです」
渡辺祐介選手談(IA1:DNF/11位/8位:総合12位)
「ヒート1はサイティングラップ中にマシントラブルがでて、改善することなく1周でリタイアとなりました。そこからバイクを直してもらってヒート2には出走できました。スタートはそこそこ出ることができて、上位でバトルをしていたのですが、腕上がりをしてしまい順位を落としました。ヒート3は8位と、6位を目標にしていたので悔しい結果ではありますが、大倉選手らとトップライダーとバトルもできて、体の状態も含め久々にレースの走りができた感触がありました。そういった走りができた分、なおさら悔しさもあります。次は最終戦、地元SUGOですが、たくさんの方に支えられて戻ってきたので、現状のベストを出して、表彰台を狙えたらと思います」
原延男監督談
「今回はチャンピオンがかかったレースで、チームとしてはしっかり準備してきました。またウィークに入ってからは、ジェイ選手もタイトルを意識をしていないという言動がありましたが、実際はスタッフも含めストレスのかかった状態で戦っていました。その厳しいメンタルの中でもジェイ選手は冷静にレースを進め、予定通りヒート2でチャンピオンを決めてくれました。
渡辺選手は、ヒート1ではマシンにトラブルがあり、スーパークロスコースということもで、リスクを負うことなく修復してから出走しようという判断でリタイア。ヒート2は11位、ヒート3は8位となりましたが、今回も地元SUGOで最高の結果を取るための調整でもあるし、ヒート2からヒート3にかけて順位も上げ、大倉選手らトップライダーともレースができているので、SUGOに向けて前進しているのは確かです。
今回、IA1でジェイ選手がチャンピオンを決めましたが、最終戦のSUGOではYZライダーがIA2、IB、レディースとタイトル争いに挑みます。ヤマハ全体で最高の結果が得られるように、支援していきたと思いますので、引き続きご声援をお願いします」
bLU cRU レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(IA2:優勝/優勝/優勝:総合優勝)
「三連勝、正直まだ実感はありません。今回は前回の名阪と違って予選から好調で、不安もなく、地元でリラックスできてすべてが噛み合った状態でした。優勝に向けた準備に集中できていたということです。ヒート1の優勝に続き、ヒート2はすべてが決まった理想的なレースでした。その感覚があったので、ヒート3は雨が降っても動じることもなかったし、雨でもたくさん練習しているコースで、逆に得意なコンディションとなりました。ところが1コーナーではかなりの後方になったのです、あまり順位にこだわらず、行けるところまでいこうという意識で走りました。あくまでも総合を取ることを優先し、トップ3圏内を目標にしたのですが、みるみる上位との差が縮まって優勝。自信にもなったし、心身ともとてもいい状態なので、最終戦はこの状態をキープし、すべてを出し切るのみです」