全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.06 9月14-15日 近畿・奈良
RACE DATA
■大会名称:全日本モトクロス選手権シリーズ2024第6戦 近畿大会
■開催日:2024年9月15日(日)
■会場:奈良・名阪スポーツランド
■レース時間:IA1(30分+1周×2)
■レース時間:IA2(30分+1周×2)
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイがヒート1で10勝目、復帰戦の渡辺は7位
6月22-23日の北海道大会から約3ヵ月、長いインターバルを終えて、再開した2024年シーズンは、今大会を含めて残り3大会。YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#1ジェイ・ウィルソンはここまで9勝をあげ、ランキング2位の横山遥希(ホンダ)に71ポイントの大量リードを築いて首位を独走している。インターバルにはアメリカでの合宿など、2022年からの全日本3連覇に王手をかけるべく今大会に臨んだ。
また開幕戦での怪我により欠場中だった#12渡辺祐介が約6ヵ月ぶりに戦線に復帰し、前日の予選ではジェイがトップ、渡辺は久々の実戦を確実に走り切って7番手とし、それぞれ決勝を迎えた。
今大会は30分+1周を2ヒートという伝統のレースフォーマットで実施され、ヒート1はジェイと横山遥希(ホンダ)による白熱のトップ争いが展開された。
ジェイのホールショットで幕を開けたレースは、ここまでと同様、ジェイがライバルを引き離し序盤で2番手以下に約4秒の差をつけ独走体制を築いた。ところが、後半に入ると2番手の横山が徐々に接近しその差は1秒に。ここからテール・トゥ・ノーズの接近戦となり、ジェイは2番手に後退してしまう。ところがその直後、バランスを崩した横山のリアタイヤにジェイのフロントがヒット。これでともに転倒したが、ジェイがいち早く再走し、トップをキープして優勝。今季10勝目を獲得した。表彰台はジェイに加え、
また3月末、開幕戦以来の復帰となった渡辺は、序盤に7番手としたが、中盤に一つ順位を落として8番手とし、その後は単独走行となり順位をキープしてフィニッシュし、無事に再スタートを切った。
ヒート2
ジェイが2位でチャンピオンに王手、渡辺は11位
ヒート2もヒート1と同様、ジェイと横山によるバトルが繰り広げられた。ホールショットはビクトル・アロンソ(ガスガス)、これに内田篤基(カワサキ)、横山、そしてジェイが4番手。渡辺は9番手で1周目を終えた。
ジェイは得意なスプリント力を活かして2周目に横山、内田をかわして2番手へ浮上。そこから前をいくアロンソの攻略に取り掛かったが、ここから数周にわたってバトルを展開することとなった。決着は12周目、アロンソのマシンがストップ。これでジェイがトップに浮上した。そして2番手には横山が約4秒差で続いたが、ジェイはヒート1と同様に横山の接近を許すと16周目に逆転を喫し2番手へと後退した。
これでYZをプッシュしたジェイだったが、横山もジェイに追い上げに反応し、最後まで届かず2位。総合成績では横山と1・2位を取り合って同ポイントだったがヒート2の成績が優先されることから総合2位となった。
9番手でレースをスタートした渡辺は序盤で8番手に浮上した。その後、大城にかわされ9番手へと後退したほか、後方から追い上げてきたライバルにかわされ11位でレースを終了したが両ヒートで完走を果たし、次戦へと繋ぐこととなった。なお表彰台は横山、ジェイ、アロンソが獲得した。
IA2
ヒート1:中島が今季5勝目をランキングトップとの差を縮める
IA2は、ウィーク初日、土曜日の予選はIA1とは異なりA・B組に分かれてのタイムアタックにて実施された。
A組ではここまでランキング3位の#10田中淳也(YSP浜松BOSS RACING)が出場し、B組を含めた全体のトップタイムをマーク。B組では前半戦では苦戦が続いた#7浅井亮太(bLU cRUフライングドルフィンサイセイ)がトップタイムと好調。一方、ランキングトップの横澤拓夢(ホンダ)に31ポイント差の2位につける#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)はB組8番手、全体16番手で決勝へ。怪我より復帰した#36 町田旺郷(bLU cRU YSP浜松 with BABANASHOX)は、2023年6月以来の実戦ながら29番手で決勝進出を果たした。
予選で苦戦した中島が、ヒート1ではニュージーランドでの夏合宿の成果を存分に披露した。スタートは鈴村英喜(ホンダ)がホールショット、これに阿久根芳仁(カワサキ)が2番手、中島が3番手、4番手には浅井が続いた。
2周目、中島は早めの仕掛けで阿久根を捉えて2番手に浮上すると、さらに4周目には鈴村を捉えてトップに立った。一方、後方から柳瀬大河(ホンダ)が追い上げており、2番手に浮上して中島の背後につくと。そこから1-2秒という僅差でマッチレースを数周にわたって展開。中島と柳瀬の我慢比べとなったが、中島がをこれを振り切り徐々にその差を広げてると、後半は独走でフィニッシュし今季5勝。ランキングトップのライバルが13位となったことで、22ポイント縮まり11ポイント差に詰め寄った。
また4番手スタートの浅井は序盤に、柳瀬にかわされて5番手に後退したが、そこから挽回し中盤以降は3番手までポジションを上げた。ところが後半にポジションを落として最後は5位でチェッカー。また#12渡辺凌は12番手から押し上げて7位。予選最速タイムの#10田中淳也は10番手から追い上げならず8位でチェッカーとなった。
なお表彰台は、中島、柳瀬、西條悠人(カワサキ)が獲得した。
ヒート2:中島が2位を獲得し総合優勝、田中が3位
1周目は混乱が続いた。ヒート1で優勝した中島は中段に飲み込まれて遅れ13番手、浅井は28番手、ヤマハ勢最上位は田中の8番手だった。ホールショットを奪ったのは阿久根だったが、ランキングトップの横澤が序盤にトップに立った。
しかし中島はトップと同等かそれ以上のペースで走行、ライバルたちを次々にかわして5周目に7番手。その後もファステストラップをマークするなど追い上げ、阿久根を先頭とする2番手集団の最後尾につくと、ライバルを次々と攻略し8周目を終えて2番手につけた。しかしこの時点でトップとは8.4秒差。一時は7秒台まで差を詰めたが、それ以上の追い上げはならず、横澤に続く2位として総合優勝。ランキングでは16ポイント差の2位で2大会を残すこととなった。
1周目を8位とした田中は、中島に触発されるように着実にポジションを上げて3位とし、横澤、中島に続き表彰台に登壇した。1周目を28番手と出遅れた浅井もハイペースで7位まで挽回してフィニッシュを果たした。
次回の第7戦TOKIO INKARAMI Super Motocrossは9月28-29日、中島のホームコース、埼玉県のオフロードヴィレッジが舞台となる。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM
ジェイ・ウィルソン選手談(IA1:優勝/2位:総合2位)
「サンドトラック、高い気温など難しいレースになりました。チームとは対策を行ってきたのですが、すべてを解決できたわけではないので、これからもう一度チームと話し合ってチャンピオン獲得に向けて準備したいと思います。今回は横山選手が非常に強かったしアグレッシブでした。ヒート1は軽い接触があり転倒もしましたが、ライバルの存在は、何よりもファンにとってよいことだし、僕自身にとってもチームにとっても刺激となることでよいことだと思います。ただし、チャンピオン獲得のためにも駆け引きの部分では気を付ける必要があることを改めて確認しました。
そして次回はチャンピオンを賭けたレースになりますが、一つ一つのレースにフォーカスしていく姿勢は変わりません。今大会を教訓にリスクを回避してチャンピオンを取ることに最善を尽くします。そして世界レベルの下田選手が出場しますが、ライダー、ファン問わずとてもいい刺激になるでしょうし僕自身にとってもよいチャレンジになるので、楽しみにしています」
渡辺祐介選手談(IA1:8位/11位:総合10位)
「チームとの話し合いを進め、順位は何位でもいいので怪我から復帰した姿、ファンの皆さん前でレースをする姿を見てもらうということを第一の目標として出場しました。一方、体の状態は7-8割なので、この名阪と関東のレースを含め、地元SUGOの最終戦で100%まで持っていく準備のレースでもあったのですが、うまくその一歩を踏み出せたと思います!
レース自体は、スタートはポジティブな結果でしたし、組み立ての部分も意識しながら走れました。ただ、全日本のレースなので、コースの荒れ方も含め練習の30分とはまったく違って、体力的にもキツかったのは事実。またヒート2はライバルたちとのバトルが楽しくなってペースコントロールを忘れてしまうところもあり、終盤でグッとペースを落としてしましましたが、それも含めてよいレースでした。そして課題もみえたので今後に向け、引き続き調整を続けます」
原延男監督談
「渡辺選手は開幕の怪我から復帰に向けて準備を進め、夏のインターバルから乗り始めてもらいました。先週の事前テストで最終確認を行いトップ争いまではいけていませんが、今後の備えるという意味でもこの名阪を走り切る目標を持って出場を決めました。スタートが良かったこともあり、一時ハイペースで心配もあったのですが、それ以外は自分のペースで走り切ってくれました。おそらく久々の実戦で課題も見えてきたと思いますので、笑顔で終われたし、次戦でもう一歩前進して、地元の最終戦に良い状態で臨めると思います。
ジェイ選手はヒート1で横山選手とのバトル中に転倒がありました。ヒート1は勝利できたのですが、ヒート2はそのダメージがあり、それをかばいながらのレースで疲労もたまり勝ちきれませんでした。ただ大切なのはチャンピオンの獲得なので、そういった意味では無理をしない冷静な判断でした。次は目標のチャンピオンがかかったレースなので、チームも準備をしっかりとしたいと思いますし、下田選手が出場するのでいい戦いをファンの皆さんにみてもらえるよう頑張ります」
bLU cRU レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(IA2:優勝/2位:総合優勝)
「調子がいいと感じていた中で予選が8番手と、不安な状況で決勝を迎えました。こういった中でのメンタルの作り方についてはたくさん失敗してきましたが、今回はいい方向に戻すことができました。調子が悪いと周りを意識してしまいますが、ライン、ギアなど自分の走りに集中できたのです。実際ヒート1はスタートして数周でこれはいけるという感覚も掴んでいました。後ろから柳瀬選手きて一瞬抜かれましたがその時も冷静でしたし今回はこのメンタルが勝因です。ヒート2は序盤にクラッシュに巻き込まれて... それでもどんな順位でも上がっていける感覚があったので焦りはありませんでしたが、2位までいけるとは思っていませんでした。タイトルが目標なのでいい結果になりましたが、ここからが難しいレースになりますが、次は地元で新しいコースにも乗り込めているので有利だし、3ヒートあるしきっちりまとめていきます」
TEAM KOH-Z LUTZ with 中西建設(株)
本田七海選手談(レディース:優勝)
「インターバルはアメリカで合宿を行い、帰ってきてからも好調と自信を持って臨みました。その一方でシーズン序盤で思うように走れていない自分もいて、不安も同時に抱えながらのレースでした。 土曜日はペースもよく改めて調子の良さを確認。日曜日の公式練習では転倒があり、体も痛いし、タイムも悪くて... それでも勝ちたかったし、流れを自分に引き寄せたくて、覚悟を決めて出場しました。決勝は川上選手が速かったのですが、繰り返しになりますが今後の流れも考えて、行くしか選択肢はありませんでした。もっと冷静に勝負できたらよかったのですが勝ててよかったです。そしてランキングを入れ替えることができましたが、残り2戦もアメリカの成果を出して次回も勝って、最終戦にいい形で持ち込みたいです」