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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.07 11月12-13日 MFJGP SUGO・宮城

RACE DATA

■大会名称:全日本モトクロス選手権 第7戦 第60回 MFJ-GP モトクロス大会
■開催日:2022年11月13日(日)
■会場:宮城県・スポーツランドSUGO
■レース時間:IA1(25分+1周)×2ヒート
■レース時間:IA2(25分+1周)×2ヒート

REPORT

IA1

ヒート1:渡辺が独走で今季2勝目、富田は3位表彰台

2022年の最終戦となる第60回MFJ-GPが、スポーツランドSUGOにて開催された。コースの一部が変更された中で行われた予選では、前回の関東大会でヤマハ発動機にとって2011年以来のシリーズチャンピオンを獲得したYAMAHA FACTORY RACING TEAMの富田俊樹がトップ。またチームメイトで地元東北の渡辺祐介が4番手を獲得し決勝に進んだ。その決勝は日没の時間を考慮して通常よりも5分短い、25分+1周にて行われた。

そのレースでホールショットを奪ったのは、地元でスポーツランドSUGOをもっとも得意とする渡辺。2番手には大城魁之輔(ホンダ)、3番手に富田、さらに能塚智寛(カワサキ) がつけ、トップライダーが上位に揃った。
しかし渡辺は、序盤からライバルを圧倒するハイペース(1分54秒台)を刻み、あっという間に後方とのギャップを拡大し独走状態を築く。その後方では順位がシャッフル、3周目に大城が4番手に後退し、富田が2番手、能塚が3番手。さらに順位は変わり、富田が能塚に先行を許し、大城、小方誠(ホンダ)を背後に従えレースを進めた。

トップの渡辺はレース中盤に入ったところでファステストラップ(1分53秒台)をマークし、能塚との差を拡大してトップを確実なものとすると、後半はラップタイムを抑えながらレースをコントロールし、そのままフィニッシュ、今季2勝目をあげた。

3番手の富田は、後方からアタックさせることなくポジションを守ってチェッカーを受け3位。渡辺とのダブルポディウムを達成した。

ヒート2:富田が今季8勝目でシーズンに幕、渡辺が転倒があり8位

シーズンを締めくくる、最終戦の最終ヒート。ここまで2連勝中で、波に乗る渡辺がスタートで出遅れ、さらに1周目にアクシデントに見舞われ転倒があり最後尾の27番手で2周目に入ることとなった。

一方、チャンピオンの富田も、1周目を6番手とこちらも出遅れてしまったが、2周目にはトップの能塚、大倉由揮(ホンダ)、道脇右京(ホンダ)に続く4番手に浮上。こうしてトップを視野に捉えると、3周目に道脇、4周目には大倉を攻略してトップの能塚に迫ると、すぐにアタック。5周目にはトップに立ち、ここからすかさずペースを上げてライバルとのマージンを築いた。その後もギャップを拡大して勝負をさせることなく、チャンピオンらしい圧巻の走りで優勝。今季8勝目を上げて、2022年シーズンを締め括った。

転倒した渡辺は、序盤3周目に20番手まで挽回すると、その後も追撃の手を緩めることなく、着実に順位を上げ12周目には10番手。その後の上位陣のトラブルで2つ順位を上げ、最後は8位でフィニッシュ。ランキングは、昨年から一つあげて3位でシーズンを終えた。

IA2

ヒート1:ジェイが15連勝、YZライダーが表彰台を独占

開幕から14連勝、第5戦で早々にチャンピオンを獲得しているYAMAHA FACTORY RACING TEAMのジェイ・ウィルソンが予選でトップを獲得し。全戦全勝(16連勝)を目指して決勝に臨んだ。

一方 、ランキング2位争いは熾烈な状況。柳瀬大河(ホンダ)が169ポイントで2位、これに#21浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィン サイセイ)が165ポイントで3位、#5中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)が151ポイントで4位、#4鳥谷部晃太(bLU cRU TEAM エム FACTORY by NCXX)が141ポイントで5位と、日本人最上位争いも大いに注目された。

また、ニュージーランド出身の若手ライダーでYZ250Fを駆る#66 B・コノリー(YSP浜松BOSSRACING)がゲスト参戦。予選で総合2番手を獲得しており、ジェイとの対決に注目が集まった。なお、決勝は日没の時間を考慮し、IA1と同様、通常よりも5分短い25分+1周にて行われた。

レースはジェイがスタートで出遅れるも、イン側グリッドの強みを生かして1・2コーナーで挽回し、1周目の内にトップに浮上。後方にはコノリー、浅井、鳥谷部、中島と、ヤマハ勢が上位を独占した。

この序盤は、ジェイとコノリーの2人が主導権争いを展開し、コノリーが2周目に逆転してトップに浮上。しかし3周目にジェイがトップを奪い返すと、ここから3、4、5秒とコノリーに対してギャップを拡大し独走体制を築いた。そして後半に入るとレースをコントロール。コノリーの追撃を許すことなく、この差を守って開幕15連勝を達成した。2位にはコノリーが入った。

また3位争いは熾烈なものになった。表彰台を争ったのは浅井、鳥谷部、中島だったが、中島はリズムセクションを中心に速さを見せて、鳥谷部、浅井という先輩2人を次々に攻略して、レース中盤には3番手に浮上。後半は、浅井を突き放して単独走行とし3位表彰台を獲得。同時にYZがヒート1の表彰台を独占した。

ヒート2:スタートの遅れが響きジェイが2位、浅井がランキング2位を獲得

スタートが勝敗を分けた。ジェイがスタートで出遅れて集団に飲み込まれ1周目を6番手で終えることとなった。一方、コノリーがトップ、これに横澤拓夢(ホンダ)、浅井が好スタートから上位につけた。

クリアラップの中、速いペースで周回を重ねるコノリーに対して、ジェイはライバルたちをかわしながらの序盤となり、この間に2人差は拡大。4周目、ジェイが2番手に上がった時点で、すでに2人の差は約7-8秒まで拡大していた。

ここからトップとの差を縮めたいジェイだったが、2人のペースはほぼ同等のタイムで周回を重ねており、そのさは縮まらない。終盤はコノリーがペースをコントロールしたことでそのは若干縮まったが、コノリーが優勝、ジェイは2位となり、シーズン全勝にはあと一歩、届かなかった。

ランキングは、この大会の両ヒートで2位となった浅井が、日本人最上位となるランキング2位を獲得。また中島は、ヒート2はスタート直後に他者との接触から転倒がありノーポイントに終わったが、昨年から一つ順位をあげランキング3位。これに鳥谷部がランキング6位で続いた。

レディース

本田が転倒も3位、ランキング4位でシーズンを終了

唯一、チャンピオンが決定していないレディースクラス。トップは128ポイントの久保まな(ホンダ)、#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)が116ポイントでこれを追う状況。本田がチャンピオンを獲得するには、12ポイント差を逆転する必要があった。

また小野彩葉(ホンダ)と川井麻央(ホンダ)が114ポイントで続いており、多くのライダーにチャンピオンの可能性が残る、緊迫した最終レースとなった。

その決勝、スタート直後の1コーナー、本田はアクシデントに見舞われ転倒。1周目を13番手と大きく出遅れてしまう。上位は箕浦未夢(ホンダ)を先頭に、川井麻央(ホンダ)、久保まな(ホンダ)がトップ3でレースを進める。

本田はチャンピオン獲得が厳しい状況となったものの、マシンをプッシュし着実に順位をあげていく。この間、上位陣の順位は入れ替わり、5周目には川井、箕浦、小野彩葉(ホンダ)がトップ3に、久保は転倒で4番手、本田はこの時点で6番手につけていたが、畑尾樹璃(ホンダ)をかわして5番手、さらに久保を捉えて4番手。最終ラップには、リズムセクションで瀬尾を捉えて3番手に浮上し、そのまま3位でチェッカーとなった。

優勝は川井、2位に小野、本田が3位、久保が4位となったことから、チャンピオンは久保が獲得。本田はこの結果で2つランキングを下げてランキング4位で、シーズンを終了した。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

YAMAHA FACTORY RACING TEAM

富田俊樹選手談(IA1:3位/優勝:総合優勝)

「土曜日から硬くて轍が深いコースに対してしっくりきていないところがあり、それをヒート1は引きずってしました。さらに、地元の渡辺選手が先行していたことから焦りが生まれ、自分の走りができなかったところもありますし、序盤に腕が上がってポジションをキープするのが精一杯という状況でした。ヒート2はスタートで遅れてしまったのですが、気づいたら2番手に上がっていた感じです。ここから能塚選手の攻略になりますが、着実に近づいて勝負ポイントを決めて抜きました。抜いてからは速いタイムを刻むことをに集中してギャップを作り、完璧なレースができたと思います。
シーズン全体では、もう少し勝ちたかったのはありますが、みんなが認めてくれるような成績でチャンピオンが獲れたのはよかったですね。31歳で初のタイトルでしたが、ずっと応援してくれた皆さんには感謝しかありません。これからも獲り続けていきたいので、引き続き応援をお願いします」

渡辺祐介選手談(IA1:優勝/8位:総合3位)

「ヒート2は1周目、ヨーロピアンで富田選手と大城選手を抜いたところで、ハーフスピンしてそこで他者と接触し転倒... 最後尾から追い上げで8位でした。その一方でヒート1は、最高に気持ちのよいレースになりました。地元での最終戦であり、シーズン前半で苦労した分を取り戻す気持ちで走りました。スタートが決まり、大坂を上ったとこで勝利を確信していました。中盤にはファステストラップを出して、後方のライバルにトドメを刺しました。あとはリスクを意識しながら、少しペースを落とし余裕を持って優勝。改めて気持ちのよいレースになりました。
今年の前半は苦労しましたが、チームと会話しながらバイクのセッティングなどを変更し、後半から噛み合いはじめ、自分の力を発揮できました。チャンピオンを目指していたので納得はできませんが、毎戦、多くの方の応援を励みに頑張ることができてランキングは3位。1年間、本当にありがとうございました」

ジェイ・ウィルソン選手談(IA2:優勝/2位:総合2位)

「ヒート1は、スタートはよくありませんでしたが、十分なスピードがあったので、1周目の半分までに順位を上げ、トップに立つことができました。その後は前半でライバルとのギャップを作り、レースをコントロールして勝つことができました。ヒート2もスタートがよくはありませんでした。1周目終えて6番手だったと思いますが、その後すぐにプッシュを開始しましたが、コノリー選手が非常に速く、安定していて、追い上げることができませんでした。この週末は、良いスタートを切ることがでたのですが、16連勝(パーフェクト)達成することができず、最終的には残念な結果となりました。
シーズン全体を見れば、大成功だったと思います。素晴らしいチームに恵まれたくさんの勝利をあげ、EPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)の開発を前進し、日本のライダーやファンに私の走りを見てもらい、学びと楽しさを感じてもらうことができたからです。日本で、支えてくれたすべての方に感謝します」

増田智義監督談

「ジェイ選手は連勝こそ途切れましたが、勝ち続けることはとても難しいこと。15連勝は本当に素晴らしいことだと思います。同時にさまざまなミッションを抱えていますが、そのすべてに対して全力で取り組んでくれました。例えばEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)の開発には大きな貢献をしてくれていますし、若手ライダーへの刺激など、彼しかできなかったことだと思います。
IA1では渡辺選手が、練習、予選と着実に積み上げたものをヒート1で出し切っての完璧な勝利。富田選手はヒート1でのマイナス面を、ヒート2では改善し、チャンピオンらしい走りで今季8勝目。2人のライダーがともに素晴らしい走りを見せてくれたので、良い形で最終戦を締めくくることができました。
こうした結果を得られたのは、毎戦、メカニックをはじめチーム全員がベストを尽くしてくれたこと。常に確実なアップデートをもたらしてくれたEPSの開発チーム。縁の下の力持ちであるYZの開発チーム。そして、スポンサーやファンの皆様のサポートがあったからこその結果です。本当にありがとうございました。このチームで監督できたことを誇りに思うとともに、これが終わりではなく、今後は2年・3年・5年・10年とタイトルを取り続けていけるよう頑張っていきます」

bLU cRU レーシングチーム鷹

中島漱也選手談(IA2:3位/DNF:総合9位)

「公式練習はタイムが出ないタイプで、それがヒート1の前半に影響してしまうことがありました。今日は朝の公式練習で3番タイムとし、調子が良い状態でヒート1に臨むことができました。また、前に鳥谷部選手と浅井選手がいたのですが、意識することなく自分の走りに集中し、自分のラインをキープしたことで、差を縮めてかわすことができ、組み立ても含め今シーズン一番のレースでした。ヒート2はスタート直後にライバルと接触して転倒。身体は大丈夫でしたが、この時にマシンが損傷しリタイアとなりました。最終的にはランキング4位で、満足なシーズンとはなりませんでしたが、ジェイ選手が全日本を走ってくれたことで、常に海外のレベルを意識することとなり、違いを見せつけられたことで、常にもっとやらないといけないという気持ちを持ち続けることができ、成長できる本当に良いシーズンになったと思います」

bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド

本田七海選手談(レディース:3位)

「事前テストに参加させてもらうなどしっかりと準備をしてきたし、守るものもなく、やるしかないとはわかっていたのですが、勝てるのか? 力を出し切れるのか? と、いろいろなことを考えてしまいました。ウィークに入ってからも、スタートで遅れたり何かが噛み合わない状況でした。レースではスタートが決まらずに、ライバルと接触して転倒し3位が精一杯となりました。
シーズンを振り返ると、序盤は少し乗ることに対して気持ちが入らないこともあったのですが、スポンサーの皆さんの応援など、このままでは終われないということで、気持ちを入れることができたし、そこからは乗れていることを実感しながらレースを戦ってきました。ところが速く走れる状況にありながら転倒するなど、自分でチャンスを潰してしまいました。メンタル的な弱さがあったのだと思いますが、勝てなかったのが本当に悔しかったので、最後は勝って終わりたかったです」

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