全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.04 9月10-11日 近畿・奈良
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2022 第4戦近畿大会
■開催日:2021年9月11日(日)
■会場:名阪スポーツランド(奈良県)
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
■観客数:4,600人(2日間)
REPORT
IA1
ヒート1:富田が2位表彰台、渡辺は4位
YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#2富田俊樹が、スタート後5番手から、確実にライバルを追い詰めてポジションをアップ、2位表彰台を獲得した。
AMAスーパークロスやAMAモトクロスに参戦し活躍を見せた下田丈(カワサキ)がスポット参戦し、さらに厚みをましたIA1。予選ではその下田が速さを見せたが、富田は安定の走りで2番手に続いた一方、#4渡辺祐介はマシントラブルに見舞われて16番手と厳しいグリッドポジションからスタートすることとなった。
注目のレースは、下田が好スタートからトップに立つと、他を圧倒するハイペースで後方を引き離して序盤で独走体制を築いた。一方の富田は、内田篤基(カワサキ)、大倉由揮(ホンダ)、小方誠(ホンダ)に続き1周目を5番手で終えると、すぐに小方をかわして4番手に浮上。この時点で2・3番手の大倉、内田からは5秒以上のギャップがあったが、着実にそのギャップを削り取りレース中盤に内田をかわすと、そのまま大倉も捉えて2番手に浮上。ここから、すぐに後方を引き離して単独2位とすると、全日本ライダーでは最上位の2位でチェカーを受けた。
一方、7番手からスタートした渡辺は、序盤は小方誠(ホンダ)、能塚智寛(カワサキ)の後方でレースを展開。前半は大きな動きがないまま周回を重ねたが、体力も重要になってくる後半に入ると渡辺が動き出す。まずポジションを落とした小方を捉えて6番手とすると、能塚に転倒があり5番手に上がる。その後も諦めることなくプッシュし続けた渡辺は、最終ラップに4番手の大倉がアクシデントで後退したことで、さらに一つポジションを上げ、最後は4位でフィニッシュとなった。
ヒート2:富田が2位として総合2位、渡辺はトラブルでリタイア
富田がヒート1に続き、全日本勢トップとなる2位表彰台を獲得。ランキングでもライバルの能塚に対してリードを広げる結果となった。
レースは富田の会心のホールショットでスタートする。これに小方、小島庸平(ホンダ)、能塚が続き、渡辺はスタートで出遅れ12番手で1週目を終える。ヒート1で優勝した下田は1周目にコースアウトがあり、最後尾からの追い上げとなった。
トップの富田は序盤、ライバルたちを引き離すべくプッシュしてトップをキープ。特に追いすがる小方に対してマージンを築き、周回を重ねていった。ところが、後方から下田がハイペースで挽回。全日本のトップライダーが次々とかわされ、6周目に入ったところで富田の背後に迫った。富田もこれを抑えようとしたが、そのペースが速くトップを明け渡し2番手に後退してしまう。
その後は、背後に能塚が近づいた場面もあったが、寄せ付けることなく2位を守ってフィニッシュ。下田に続く総合2位(40ポイント)となり、能塚が総合4位(24ポイント)となったため、その差を39ポイントまで拡大した。
渡辺は12番手から一時は8番手までポジションを上げ、さらに上位の6・7番手にも迫ったが、9周目に転倒し9番手まで後退。そこから追い上げを続け8番手走行中、マシントラブルが発生しておりその確認のために16周目に入ったところでピットイン。その後、再走したが最終的にはリタイアとなった。
IA2
ヒート1:ジェイが開幕8連勝を達成
#16ジェイ・ウィルソンが好スタートを切ると、1周目にトップに立って、そのまま一度もトップを明け渡すことなくチェッカー。開幕から負けなしの8連勝を決めた。
スタートは#21浅井亮太、#28米田海斗、そしてジェイというヤマハ勢がトップ3を独占する。しかし、ジェイが1周目に浅井をかわしてトップに浮上。浅井が2番手、3番手には横澤拓夢(ホンダ)がつける。序盤はジェイのペースに浅井も食らいつき、僅差でレースを進めたが、その後はジェイが独走状態を築き、後半はペースをコントロールする走りを見せ、開幕8連勝となる優勝を飾った。
2番手の浅井はジェイのペースについていったこともあり、3番手以下とのリードを拡大すると、後半に入っても安定した走りを続けて2位とし、第2戦のヒート1に続き今シーズン2回目となる表彰台を獲得した。
また、1周目を終え12番手と出遅れていた中島漱也が、上位陣にミスもあったが、速いペースで守って挽回。最終ラップには横澤の背後にピタリとつき3位争いに持ち込んだが、あと一歩及ばず4位でチェッカーを受けた。
ヒート2:ジェイがさらに勝利を積み上げついに9連勝
ホールショットを奪ったのは、モトクロス・オブ・ネイション(国別対抗戦)に出場する鳥谷部。その後方には、神田橋瞭(カワサキ)、柳瀬大河(ホンダ)、横澤が続いた。ジェイはスタートで出遅れ1周目を6番手で終えたが、3周目に2人を抜いて3番手、4周目には柳瀬を捉えて2番手。そして5周目に鳥谷部の背後につけると、その鳥谷部が転倒してトップに立った。
この追い上げに反応したのが、ヒート1で2位を獲得した浅井。1周目を終えて8番手から、鳥谷部、柳瀬の転倒もあったが、6周目にはジェイの後方2番手につけてレースを進めた。
浅井の挽回に対してジェイは、その差を広げるべくハイペースでレースを進め、ギャップを広げたところでペースをコントロールし優勝。連勝を9まで伸ばすことに成功した。また、浅井は3番手の横澤とギャップを作りそれをキープし、2ヒート連続で2位表彰台を獲得した。また5位には中島、6位には鳥谷部が入っている。
レディース
ヒート1:本田が2回の転倒を乗り越え5位入賞
2ヒート制で行われた今大会。レースはこれまで日曜日に集中して行われていたが、土曜日に予選とヒート1、日曜日にヒート2が行われることとなった。ウィーク初日は、金曜日の雨で一部マディが残る難しいコンディションで予選が行われた。名阪スポーツランドがホームレースとなる#2本田七海は、その予選で3番手を獲得し決勝ヒート1を迎えた。
本田は、その決勝ヒート1でスタート直後の1コーナーで転倒、ほぼ最後尾から追い上げとなる。しかし、予選のファステストラップの150%以内に入ることが決勝出場には必要となったため、決勝出場ライダーが16人となったこともあり、1周目で7番手。さらに5番手として、4番手の畑尾樹璃(ホンダ)に迫っていった。しかし畑尾の背後についた4周目、接触があり転倒して10番手までポジションを落としてしまう。
それでも本田は諦めることなくハイペースで再び挽回を開始。最終ラップまでに5人をかわし、5位入賞でレースを終えた。上位は久保まな(ホンダ)が今季初優勝。2位は楠本菜月(ハスクバーナ)、3位に川井麻央(ホンダ)が入った。
ヒート2:本田が今季2勝目で総合2位を獲得
第3戦SUGO大会、本田はライバルの違反で順位が繰り上げられて優勝したが、今回は多くのファンが見守る地元名阪スポーツランドで、正真正銘のファーストチェッカーを受け、今シーズン2勝目を達成した。
レースでは本田の完璧なホールショットでスタート。すると、序盤にファステストラップを更新し続けて、ライバルとの差を確実に広げ、わずか数周で独走状態を築いた。しかしその後もペースを緩めることなく、しかも安定した走りを披露して、チェッカー。SUGOには味わうことができなかった、ファーストチェッカーを渾身のガッツポーズとともに受け、今季2勝目を飾った。2位には川井、3位には久保が入った。
ランキングは小野彩葉(ホンダ)が88ポイントでトップを守ったが、久保が87点でランキング2位、本田も80ポイントでランキング3位につけている。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(IA1:2位/2位/総合2位)
「今回、いつもとは異なる状況で、攻めと守りのコーントロールが重要でした。その中で勝利は意識していたし、下田選手についていくことで、自分の力を証明することもできる考えていましたが、そこは十分ではありませんでした。しかしチャンピオンシップを考えると十分な成績を獲得できたと思いますし、下田選手の走りから学こともできました。ヒート1は下田選手には逃げられましたが、冷静にラインを把握し2位まで上がることができました。ヒート2は、後方に小方選手がいたため、早めに振り切るためにペースをあげ、それ以降はコースも荒れていたので、確実性を重視した走りに切り替えました。また今回は、下田選手を意識して走りましたが、この上を見る意識は忘れかけていたこと。今後もライバルたちを意識すると思いますが、もっと上を見て、自分を高めることで勝負に勝っていきたいと思います」
渡辺祐介選手談(IA1:4位/DNF:総合9位)
「ヒート1は予選結果が芳しくなかったので、グリッドは一番インを選びました。反応は悪くなかったのですが、1コーナーで遅れてしまいました。それでも30分を使って挽回することを意識し、能塚選手や小方選手らを抜くことができたし、最終的には4位でまとめることができました。ヒート2は車両にトラブルがあり、走り続けてはいましたが、最終的にはリタイヤを選択しました。自分自身としては準備をしっかりして自信を持ってレースには臨んでいるのですが、なかなか噛み合わないレースが続いています。残りは3戦、僕自身もまだ諦めていませんので、勝利を目指してしっかりと準備を続けていきますので、応援をよろしくお願いします」
ジェイ・ウィルソン選手談(IA2:優勝/優勝:総合優勝)
「今回は体調を崩しており、身体的には厳しい大会となりました。ヒート1は良いスタートができて、第1コーナーで2番手となりました。その後、トップに立ってからはペースを維持することが非常に難しいレースでした。ヒート2は、スタートはあまり良くありませんでしたが、走り自体は改善できて9連勝という結果を得ることができましたが、本当に厳しいレースでした。次回は九州ですが、私の日本でのチャレンジがスタートした地であり、コースもとても素晴らしく、また戻れることを楽しみにしています。やることは明確で、今までと同じこと続けていくだけです。ここまでEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)も、YZ250Fもよく働いてくれていますので、継続して勝ち続けていきたと思います」
増田智義監督談
「ジェイ選手は、本人も開発しているEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)が着実に進化し、その恩恵を受けながら走ることができているし、今回もレースをコントロールして勝利を重ねてくれました。またジェイ選手に課せられたミッションの一つである若手育成でも、総合2位に浅井選手が入り、中島選手や鳥谷部選手が上位に入っており十分な成果をあげていますので、今後もこの姿勢を貫いてほしいと思います。
渡辺選手は予選でトラブルがあったものの、ヒート1は良い状態で走ることができたのですが、ヒート2は別のトラブルが発生してしまいました。渡辺選手は、心、体、技においてプロとしてしっかり準備しレースに臨んでいるにもかかわらず、本当に申し訳ないことをしてしまいました。チームとして反省していますし、今後は渡辺選手の努力に報いることができるよう、徹底して準備していきます。
そして富田選手は、下田選手の存在が気になるところではありましたが、チャレンジする姿勢で臨んでくれました。両ヒート共に2位という結果でしたが、チャレンジした結果として、全日本参戦ライダーの中で最上位を獲得できたのだと思います。シリーズは残り3戦、これからがとても大変です。チームとしても決して守るだけでなく、富田選手がしっかり勝負できるようにサポートしていきたいと思います」
bLU cRU フライングドルフィン サイセイ
浅井亮太選手談(IA2:2位/2位:総合2位)
「今回は、初めて両ヒートをまとめることができましたが、これは大きな成長です。しかし、こうした走りができたのもジェイ選手がいたからこそで、自分の中ではたくさんの課題はあるのが現実です。今シーズンはここまで、特別なことをしているわけではなく、継続してきたことが力となりこの成績に表れたのだと思います。さらにスタートが良くなったことで、ここまでとは違う展開にすることができました。今年の目標はジェイ選手に続くランキングに入ること。この先も調子の良し悪しはあると思いますが、やるべきことを継続し、自信を持って戦っていきたいと思います」
bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド
本田七海選手談(レディース:5位/優勝:総合2位)
「練習走行から調子は良かったのですが、予選では大事なところで転倒が続いており、ヒート1でもそれを修正することができずにスタートで転倒。冷静さを失い、周りがよく見えなくなってしまい、その後も転倒して5位に終わりました。その一方でヒート2は、自分にとって完璧なレースであり、最後まで気を抜くことなく走り続けられたのが勝因です。地元でこうしたレースができたのは大きな自信になりましたし、残り3ヒートすべてで勝利を目指していきます」