全日本モトクロス選手権 IA1

RACE DATA

■大会名称：2007全日本モトクロス選手権 第8戦近畿大会
■カテゴリ：IA1クラス
■開催日：2007年9月9日（日）
■会場：奈良県／名阪スポーツランド
■レース時間：（30分＋1周）×2ヒート
■天候：晴れのち曇り　■観客数：15,862人

REPORT

成田が完全優勝（1／1位）を獲得！
チャンピオンに向けて大きく前進

2007年全日本モトクロス選手権・第8戦近畿大会が9月9日（日）、名阪スポーツランド（奈良県）にて開催された。1カ月を超える長いインターバルを経て再開した全日本選手権。このレースの注目は14ポイントと接近したランキングトップを走るジュビロ・レーシング・チームの成田亮と2位熱田孝高（ホンダ）によるチャンピオンを争いだ。そのような状況のなか成田は第3戦関東大会以来となるパーフェクトウィンで総合優勝を獲得。一方で熱田が2／11位となったことでその差は32ポイントに開き、チャンピオンに向けて大きく前進するレースとなった。

チャンピオンを賭けた第1ラウンドは、波乱に満ちたレースとなった。その発端は、スタート後の第2コーナー。好スタートを切った成田はインから、一方の熱田はアウトで第2コーナーを旋回。そこで成田がアウトにラインを変えて熱田とラインが交錯。そこに他のライダーが絡み多重クラッシュになる。しかし一歩前にいた成田はかろうじて転倒を免れ上位をキープ、一方の熱田はストップし大きく遅れる。

先行したのは大河原功次、これに増田一将（ホンダ）、北居良樹（スズキ）、そして成田という展開。1周目を終えて先頭に立ったのは増田だったが、2周目に成田が増田をかわしてトップに立つ。ところが4周目に成田が転倒、5番手に順位を落としてしまう。

ここから成田はすぐに挽回を試み2番手まで浮上するが、増田になかなか近づくことができない。そのなかで遅れていた熱田も挽回し、10周目には成田の背後3番手に迫るが、11周目に転倒し再び順位を下げる。

一方のトップ争いは膠着状態となり、このまま増田の優勝かと思われたが12周目、今度は増田が転倒し、成田がトップに浮上。その後は成田と再スタートして追い上げてきた増田によるバトルが展開されるが、16周目、増田がエンジンストップで勝負あり。成田がファーストチェッカーを受け今季6度目のヒート優勝を果たした。また2位には転倒後追い上げてきた熱田。3位は北居良樹（スズキ）となった。

ヤマハライダーでは、出原が序盤5番手と好スタート。その後浮き沈みもあったが、最後まで上位を守り4位でチェッカー。スタート後トップを走行していた大河原は6番手まで順位を落とすも粘りの走りで5位。このレースでけがから復帰した釘村は、好スタートを切るも、けがのあった右手に違和感があったためリタイヤした。なお、小池田猛は体調不良のため、今大会を欠場した。

第2ヒート、ホールショットは成田。これに増田、小島庸平（スズキ）、出原が続く。しかし序盤のうちに成田と増田が先行しトップ争いを展開。序盤こそ増田の追従を許した成田だったが、中盤に入ると増田を上回るペースで周回を重ねその差を広げていく。独走態勢を築いた成田は、その後も危なげない走りを続け、他を寄せ付けることなくそのまま独走でフィニッシュ。第1ヒートに続く今季7回目となる優勝で、第3戦関東大会以来となるパーフェクトウィンを決めた。2位は増田、3位には小島が入った。

また成田とタイトルを争う熱田は、2度の転倒で11位となったため、ランキングでの成田と熱田の差は32ポイントに拡大。成田は残り2戦という状況で貴重なポイント獲得し、タイトル獲得に向けて大きな前進を果たした。

1周目を8番手とした大河原は、上位陣の転倒等もあり着実に順位を上げて5位でフィニッシュ。総合では4位を獲得し、ヤマハ勢では2番目の成績をおさめた。釘村は1周目を15番手とスタートで出遅れ、その後11番手まで順位を上げたが、終盤に順位を落として14位。出原は序盤3番手、中盤4番手と好位置につけながらマシントラブルでリタイヤとなった。

COMMENT

成田亮選手談（優勝/優勝：総合優勝）

「今日の勝利は、先日テスト走行中に事故で亡くなられた沼田憲保さん（HITMAN RC甲子園ヤマハ）に捧げたい。沼田さんは、温かく接してくれ、レースについての心構えなどを教えてくれる非常に大きな存在だった。そんな沼田さんが亡くなられたと聞いた時は本当に信じられずショックだった。でもここで自分が情けないレースをしたら沼田さんにきっと怒られると思い、何が何でも勝ってやろうという気持ちでレースに臨んだ。第1ヒートでは、トップを走行中に転倒し厳しい状態だったが、ライバルも転倒して優勝できたし、第2ヒートでは熱田選手がポイントを落とすなど、非常に運が味方したレースだった。今日優勝できて沼田さんにも喜んでもらえただろうし、応援してくれるファン、そしてタイトルを目指す自分にとっても本当に意味のあるレースになった。この勝利を生かし、残り2戦でも精一杯がんばっていこうと思う」

出原忍選手談（4位/30位：総合13位）

「今回は腰に痛みがあり、きついレースを覚悟していた。第1ヒートはその腰の状態が思わしくなく、上位でスタートしながら大事なところで踏ん張りがきかずに簡単に順位を落としてしまった。しかし後半、レースが落ち着いてからは自分の走りができ4位に入ることができた。当初は10位に入れれば良いと思っていただけに満足な結果といえる。第2ヒートはトレーナーの治療のおかげで体調も良く、スタートも決まって3番手でレースをスタート。その後小島選手に抜かれはしたが余裕がありこれなら3位も狙えると思ったところでマシントラブルとなった。結果は総合13位だったが、内容は次につながるもの。次回もこの調子を維持して今年立っていない表彰台を狙っていきたい」

釘村太一選手談（リタイヤ/14位：総合20位）

「他のライダーが夏の間がんばってきたなかで、自分はけがの治療のため何もできずに今回のレースに臨まなければならなかった。第1ヒートは1周目に良い位置をキープできたのだが、その後けがした手に違和感があったので、これ以上続けると危ないと判断してリタイヤ。それでも第2ヒートは、とにかく30分というレースをこなして少しでもレース感を取り戻すことができたらと思い出場した。結果は良くなかったが、最後まで走りきることができ、次のことを考えれば良い選択だったと思う。次回の広島まで時間があるのでしっかり乗り込んで、良い状態を作りレースに臨みたい」

大河原功次選手談（5位/5位：総合4位）

「ここまで戦ってきた7戦を振り返ってみても、結果、内容ともにベストといえるレースができた。第1ヒートではスタートが決まり、徐々に順位を落としていく展開で、中盤以降、体力だけでなく精神的にも消耗があったが、それでも5位に入れた。第2ヒートはスタートで遅れながらも順位を上げることができ、抜かれた場面でもズルズルと落ちていくのではなく、しっかりついていくことができた。課題としては両ヒートとも、終盤で前のライダーが見えていたにもかかわらず、攻めきれなかったことだ。この結果に満足することなく、残り2戦は順位もランキングももっと上を目指し全力で挑みたい。特に広島は得意なコースの一つなので期待していて欲しい」

光安鉄美、ジュビロ・レーシング・チーム監督談

「成田選手にとっては運の良いレースだった。第1ヒートではスタート後の2コーナーでのクラッシュを転倒せずにくぐり抜け、その後転倒で順位を落としたが、トップの増田選手が転倒してトップに返り咲くという劇的なレース。さらに第2ヒートはライバルが転倒してポイント落とす一方で成田選手は優勝。2005年、小池田選手がチャンピオン獲得への流れを掴んだ中国大会（スタートで転倒したが赤旗再スタートとなったレース）の時のように、成田選手も流れを掴んだレースになったと思う。残るは2レースとなったが、確実にポイントを獲得するレースをすればチャンピオンへの道は開けてくるだろう。チームとしては、成田選手をチャンピオンに導けるよう全力でサポートしていくだけだ」