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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.01 4月19日 フランス

RACE DATA

■開催日:2025年4月19-20日
■大会名称:世界耐久選手権 第1戦ル・マン24時間耐久レース
■開催地:フランス/ブガッティ・サーキット(4.185 km)

REPORT

Yamalube YART Yamaha EWC Official Team、ル・マンで勝利

Yamalube YART Yamaha EWC Official TeamのM・フリッツ選手、K・ハニカ選手、J・オハロラン選手が世界耐久選手権のシーズン第1戦ル・マン24時間耐久レースで優勝を果たした。

第48回ル・マン24時間耐久レースはスタートからフィニッシュまで、スリルと興奮に満ちた見ごたえある展開となった。ウイークを通じて豪雨の予報が出ていたなかで完全なドライ・コンディションの時間帯も予想外に長くあったが、悪天候による混乱が200以上の転倒を誘発させた。

2023シーズンのタイトル・ウイナーであるヤマハは金曜日、フリッツ選手がラップレコードを更新する1分34秒489を記録してポールポジションを獲得。決勝の第1ライダーもフリッツ選手が務め、ウエット・コンディションのなか好スタートを切った。ところがオープニングラップの最後、滑りやすさで知られるコーナーで転倒。先立って行われたサポートレース中に路面にオイルが出ていたために、よりスリッピーになっていたのだった。

レースに復帰した時点でフリッツ選手は21番手まで後退していたが、ここから素晴らしい追い上げを見せ、スティント終了までに2番手に浮上。ハニカ選手がその勢いを引き継いでハイペースでスティントを走り切り、チーム新加入で24時間耐久レース初出場となるオハロラン選手にバトンを渡した。そしてスタートから2時間半後、オハロラン選手はトップに立ち、さらにリードを拡大していった。

フリッツ選手が2度目のスティントに入る時点で後続との差は1分以上を築いたが、リアタイヤのパンクにより予定外のピットイン。これで一時的に2番手に後退したが、わずか10秒差でコースに復帰して再びリードを奪い返した。ところがスタートから8時間経過を目前にもう一度小さな転倒があり、2ラップ遅れの2番手に後退してしまう。それでも3番手とは6ラップの差があり、またその後方で多くの転倒車が出たことからレースはトップ2台の一騎打ちとなった。

夜が深まり雨が止むと、スリックタイヤに履き替えて見事なペースで周回を重ねていく。そのなかではオハロラン選手が再び降り始めた雨により小さな転倒を喫する場面もあったが、リズムを狂わされることはなかった。そして夜が明けるとともにトップとの差を縮め、残り2時間では1分弱まで近づいてプレッシャーをかけていった。

残り1時間で再び雨が降り出したため、絶妙のタイミングを見極めてピットインとタイヤ交換を完了。そしてコースに復帰したその矢先、トップチームが転倒して修理のためにピットに戻る間に、YARTは2ラップのアドバンテージとともにトップに躍り出た。しかしドラマはこれで終わりではなかった。残りわずか45分、ハニカ選手がバイザーの不具合により予定外のピットストップを行い、同時にフリッツ選手に交代。最後のスティントを務めることとなったフリッツ選手が1分37秒890のアドバンテージを守って走り切り、チームにとって2009年以来となる優勝を果たした。周回数は合計782ラップに及んだ。

オハロラン選手にとってはEWC初優勝であり、フリッツ選手にとってはクルーチーフのマックス・ノイキルシュナーが2007年に達成して以来ドイツ人として初となる勝利である。またハニカ選手はフランスの象徴的な耐久レースで優勝した初のチェコ人ライダーとなった。

YARTは今回、ポールポジションの5ポイント、8時間および16時間経過時点の順位によりそれぞれ9ポイント、そして優勝の40ポイントを加算して計63ポイントを獲得しランキングトップに立っている。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

Yamalube YART Yamaha EWC Official Team(優勝)

M・フリッツ選手談

「ル・マンでの優勝は本当に素晴らしい気分です! 自分の誕生日でもあったので格別な喜びですし、今までで最高のプレゼントになりました。チームメイトのカレル(ハニカ)、ジェイソン(オハロラン)、ロビン(ムルハウザー)そしてチームメンバーのひとりひとりにお礼を言いたいです。彼らはレース中だけでなく冬の間もずっとハードワークを続けてきました。勝利は彼らのものであり、全員が称賛に値します。ル・マン優勝までには長い時間がかかりました。過去にはかなり近づいたこともありましたが、今日ようやく実現できました!」

K・ハネカ選手談

「最高の気分です! ル・マン出場は今回で9回目、うち6回はYARTからですが、優勝するまでにとても長い時間がかかりました。それだけに本当に特別な勝利です。過去には何度か近づいたのですが、ついに表彰台のトップに立つことができました。マービン(フリッツ)はウイークを通じて非常に速く、新加入のジェイソンも素晴らしい走りをしました。彼は24時間レースも初めてで、コンディションや夜間走行の難しさを考えれば本当に見事だったと思います。またロビンはリザーブライダーとしてだけでなくあらゆる面でチームを支えてくれました。全員がとても素晴らしい仕事をしました。私自身はこの難しいコンディションのなかで転倒せず走りきれたことに驚いており、ペースには満足しています。最大の感謝はチームに贈ります。ウイークを通じ、またレース中もずっと素晴らしい仕事をしてくれました。またチーム・マネジャーのマンディ、家族のサポートに心から感謝しています。次のスパが楽しみです!」

J・オハロラン選手談

「YARTで初めてのレース、初めての24時間耐久レース...  そしてここル・マンでの優勝を体験することができ、信じられないような気持ちです。チーム全体がウイークを通じて素晴らしい仕事をしてくれました。コンディションを考えれば、私にとってはこれまでで最も難しいレースでした。ピットに戻ってタイヤを交換すべきなのか、またどんな戦略をとればいいのかなど、走りながら素早く決断していかなければなりませんでした。とても長いレースでしたが、チームメイトたちは本当に見事でした。夜間走行は集中することができたので楽しめましたが、日が昇るとまた、まだ先が長いことに気づかされます。最後の10分間は、おそらく人生で最も長い10分間だったと思います。でもやり遂げることができました。チーム全員が誇りに思うべきであり、彼らに心からお礼を言いたいです。彼らの素晴らしい仕事のおかげで優勝することができました」

M・カインズ、チーム・マネジャー談

「ル・マンは特別です。毎年の開幕戦です。2009年には今回と同じようなコンディションで優勝しましたが当時は予想もしていませんでした。今回はスタート時点で勝算をつかんでいましたが、ここ数年のことを考えれば24時間の間にはさまざまなことが起こります。苦しくなるほどの僅差で敗れたこともあったので、今回は3回の転倒とパンクを経験しながらも優勝できたことは本当に素晴らしいと思います。決勝中に202回の転倒がありました。それだけタフなレースだったということです。私たちも過去に何度もレースをリードし、そのたびに何かが起こりました。昨年は午前7時に6ラップのアドバンテージを持ちながら転倒しました。またそれ以前にはいつも小さなミスやバッドラックで優勝を阻まれてきました。レースはまるで映画のようです。私は信じられないようなドラマを何度も見てきました。20年後にこの優勝について尋ねられたとしても、私の答を誰も信じないでしょう。でもそれが耐久レースなのです。ライダー全員、チームメンバー全員がそれぞれの役割を果たしてくれました。これ以上ないほど誇りに思います。シーズンは夢のようなスタートとなりましたが、私たちはすでに次のスパに照準を合わせています」

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