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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.03 5月20日 ドイツ

RACE DATA

■開催日:2017年5月20日
■大会名称:世界耐久選手権オッシャースレーベン8時間耐久レース
■開催地:ドイツ/オッシャースレーベン

REPORT

ヤマハチームがオッシャースレーベンでも圧勝!

ドイツで開催されたFIM耐久世界選手権第3戦オッシャースレーベン8時間耐久レースで、「GMT94 Yamaha Official EWC Team」と「YART Yamaha Official EWC Team」が、前回のル・マン24時間耐久レースを再現するかのように、8時間にわたる競り合いを展開し、GMT94が30秒差で2連勝、YARTも2位表彰台を獲得した。さらに「Mako Racing Team」が3位に入り、ヤマハチームが表彰台を独占。またスーパーストッククラスでは「MOTI AIN CRT Team」が独走で優勝した。

前回のル・マンで終始バトルを演じたGMT94とYARTが、今回もまた圧倒的な強さを見せつけた。この2チームはプラクティス、予選、そして決勝でも力が拮抗。マシンは同一ながら、タイヤもピットストップの戦略も異なる上に、ストップ&ゴーのペナルティを経てもなお大きな差は生まれず、最後まで接近戦が続いた。
GMT94はN・カネパが第1ライダーとしてポールポジションからスタート。慎重に3番手で第1コーナーに進入したあと徐々にペースを上げ、10分後、トップに立つとアドバンテージを広げにかかるが、20分後にはYARTのB・パークスが追いつき、それから数ラップにわたってバトルを展開しパークスがトップへ。カネパもコンスタントに好タイムをキープしてついていき、第2走者のD・チェカにバトンを渡した。ベテラン、チェカはすぐにトップを奪取。そのあとセーフティカーが入ったが、グリーンシグナルとともに再びペースを上げ、そのままアドバンテージを30秒まで拡大した。

2時間経過後、チェカはM・ディ・メリオと交代。ディ・メリオにとっては初めて走るサーキット、しかもパークスがラップごとに迫って来る状況のなかでも果敢に攻め続け、16秒のリードを保って再びチェカにバトンタッチ。チェカはもう一度、激しくプッシュしてリードを広げ、レースの約半分を終えた時点でアドバンテージを40秒まで拡大してカネパに交代した。
ここでカネパが1分差までリード広げてから再びチェカが走行を担当した。残り3時間、GMT94は55秒のアドバンテージを築いていたが、不運なことに、給油中にライトが点灯していたことでストップ&ゴーペナルティを受ける。この影響を最小限に抑えるため、チェカはライバルたちと1.5秒も速いペースで走行を続け、1ラップ以上のアドバンテージをもってカネパに交代。ペナルティを終えるとカネパはYARTに17秒遅れでレースに復帰し、10秒差まで短縮したところでYARTがピットストップを行った。この間にGMT94が再びレースをリードして55秒のアドバンテージを築いたとこで、チームにとって8回目のピットストップを行い、最後の走者となるチェカに勝負を託した。チェカはYARTに2秒遅れてコースに復帰したが、すぐにM・フリッツをパスしてトップに浮上。ハイペースで走行しながらリードを広げ、YARTのピットストップの間にさらにリードを1分まで拡大してから、残り20分で最後の給油を行って余裕を持ってゴールを目指した。
暗闇のなかで真っ先にチェッカーを受けたチェカ。全318ラップ、約1,166kmを走り切って、パークスとの差はわずか30.587秒という激しい接近戦だった。これでチームは2連勝。同時にオッシャースレーベンでの3連勝も達成した。GMT94はこれで合計101ポイントとし、トップからわずか7ポイント差のランキング2位とした。この優勝のほかにもポールポジションと、チェカによる1分26秒814のファステストラップも記録している。

YARTのパークスは2番グリッドからスタートし4番手で第1コーナーへ。そしてすぐさまアタックを開始し、17ラップ目にはカネパをとらえてトップに浮上した。リードを3秒に広げてからピットに戻ってM・フリッツに交代。フリッツはまもなくチェカに抜かれたが、懸命に攻め続け、30秒差を守って1時間後に再びパークスにバトンタッチ。パークスは14秒短縮し、16秒差で野左根航汰に交代した。
初めて走るコースでチェカのペースについて行くことは不可能だったが、安定したリズムをつかんでライバルを視界にとらえ続けた。しかしレースの半分を終了するころには、GMT94に1分差をつけられ、交代したパークスが再び懸命の追い上げを図るも十分に差を詰めることはできなかった。GMT94が5回目のピットストップを終えて復帰すると再びチェカにリードを許し、数ラップ後にYARTもピットインを行って野左根に交代したときには、すでに1ラップ以上の差が開いていた。しかしYARTは、ブリヂストンタイヤの高い耐久性から、より長く走ることができたため、ピットストップの回数を減らすことができ、GMT94のストップ&ゴーのペナルティもあって、2チームの差は大きく開かない。GMT94がピットに入ると野左根がトップに立ち、リードを10秒まで拡大。次に自らがピットに入ってフリッツに交代すると、GMT94に再び55秒の差をつけられた。
残り1時間。フリッツはGMT94が8回目のピットストップを行う間に再びリードを奪ったが、それも長くは続かず、数ラップでチェカが先行。YARTは7回目のピットストップを行ってパークスに交代すると懸命にプッシュ。チェカのピットインもあってわずかに近づいたものの、やはり届かず2位に終わった。2戦連続で表彰台に上ったYARTは、シリーズポイントを合計86としてランキング4位へ浮上、ランキングトップとの差は22ポイントとなっている。

また「Mako Racing Team」が、残り2分で3位に上がりR1が表彰台を独占。これによってコンストラクターズランキングではヤマハが33ポイントをリードしてトップに立っている。スーパーストッククラスでは、「MOTO AIN CRT」が優勝し、ランキングでは6ポイントをリードしてトップに立っている。

次回の第4戦は6月23~24日、スロバキア・リンクで行われる8時間耐久レース。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

MT94 Yamaha Official EWC Team(優勝)
D・チェカ選手談

「耐久レースでは何が起きてもおかしくない。最後の最後に、ゴールラインを通過するまでわからないんだ。だからYARTは最後まで僕らを追い続けた。僕らのほうにもストップ&ゴーのペナルティがあったので、優勝するためにプッシュし続けなければなかった。チーム、チームメイト、ヤマハ、そしてダンロップのために、優勝することができてとてもうれしいよ」

M・ディ・メリオ選手談

「ストップ&ゴーのペナルティがあったので、作戦を変更した。僕は初めてこのコースを走るので、他のふたりほど慣れていないが、僕なりにベストを尽くしたつもり。最終的に優勝できたことが最も重要だ。チームの仕事もすばらしく、これで2連勝。この後も好調をキープしていきたい」

N・カネパ選手談

「すごいレースだったよ! ここで2度目のレースだったが、その2度とも優勝なんだ。まさにドリームチームだね。ペナルティを埋め合わせるために最後までハードにプッシュし続けた。その結果、優勝することができてとてもハッピー! すばらしい勝利を実現させてくれたチーム、チームメイト、ヤマハに感謝している」

C・グィオ、マネジャー談

「このコースとは相性がよく、これまですでに6回の優勝を果たしている。ドイツのファンはモーターサイクルへの情熱が強いので、彼らの前で優勝できたのは大きな喜びだ。われわれのR1は完璧な仕上がり。ライダーたちも8時間ずっとハイペースを維持し、ダンロップタイヤがそれに応えて耐久性の良さとすばらしい性能を証明してくれた」

YART Yamaha Official EWC Team(2位)
B・パークス選手談

「GMT94のライダーはみんな、とっても強かったよ。乗るたびにベストを尽くしたけれど、どうしてもかなわなかった。本当にすばらしいチームだ。僕らのほうはあまり良いところがなくて、マービンの怪我と午前中の転倒。康太は頑張ってくれてラップタイムも良かったけれど、結局、ここオッシャースレーベンでは力が足りなかったということ。ただそれだけだ。優勝は逃したが、ル・マンとは違って、優勝も不可能じゃないと思うことができた。次のスロバキアに向けて準備を開始し、今度こそ優勝を目指したい」

M・フリッツ選手談

「ハードなレースだった。僕の体調が万全ではなかったことを、まずチームメイトとチームに謝らなければならない。3週間前、7時間も意識を失って肋骨を負傷した僕が、こうしてレースに戻れたのはとても嬉しいこと。まわりで支えてくれたすべての人に感謝しているよ。初日の木曜日はかなり苦戦したけれど、日に日に調子が上がってきて、とくに決勝ではブロックが4回も走行し、そのたびにすばらしい速さを見せてくれた。僕自身も最初の走行より最後の走行のほうが良くなっていたけれど、依然として苦戦は続いていたし、なかでも僕が一番、だめだったと思うんだ。そのような状況のなかでも2位獲得はすばらしい結果。次のスロバキアに期待したい」

野左根航汰選手談

「ベストを尽くしたけれど、初めて走るコースでGMT94についていくのは大変だった。彼らはとても速かった。それでも僕らもチーム一丸となって懸命に戦い、ヤマハに好成績をもたらすことができた。次回、スロバキアでまたR1に乗るのを楽しみにしている。今度こそ優勝を狙う」

M・カインツ、マネジャー談

「今回もまた、素晴らしいレースができた。成績もよかったし、航汰が初めてここを走ったこと、そしてマービンの体調が完全に回復していないことを考えれば、われわれは本当にいい戦いをしたと思う。優勝はGMT94だったが、われわれもベストを尽くし、最初から最後まで攻め続けた。今日のこの2位に満足している」

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