世界耐久選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。
Rd.02 4月15-16日 フランス
RACE DATA
■開催日:2017年4月15-16日
■大会名称:世界耐久選手権 ル・マン24時間耐久レース
■開催地:フランス/ブガッティ・サーキット
REPORT
GMT94 & YARTが24時間の激闘を繰り広げ1・2フィニッシュ!
耐久王者に向けダウブルポディアムを達成!
「GMT94 Yamaha Official EWC Team」と「YART Yamaha Official EWC Team」が、ル・マンはブガッティ・サーキットで行われた2017FIM24時間耐久レースを席巻。ヤマハのオフィシャルチームは終始、互いに1分以内の差で競り合いながら860周を走破。後続に11ラップもの差をつけて1-2フィニッシュを飾った。
GMT94のD・チェカは、絶好のスタートからトップグループに加わり、第1コーナーで4番手に浮上。その後、バトンを受けとったN・カネパは3番手でコースに復帰し、前車にプレッシャーを与え続けて第3ライダーのM・ディ・メリオに交代した。ほどなくして同チームは2番手に上がるとトップのYARTを追撃しながら、3番手以下を引き離していった。一時は、2台の差が15秒まで縮まったが、YARTがペースを上げてアドバンテージを拡大したが、夜が明けるとGMT94が再び仕掛けて20秒差まで追い上げ、ともに優勝を目指した。
残り4時間、ついにレースが動きだす。ディ・メリオがハイペースで前方の野左根航汰を追い上げる。周回遅れとの接触があったがペースを緩めることはなく野左根に追いつくと、第1コーナーから第3コーナーまで激しい接近戦を展開し逆転。ここからGMT94は、YARTに対して着実にマージンを広げ、24時間、合計860ラップを走り切ってチェッカーを受けた。カネパは夜間、病気で発熱して厳しい状況におかれたが、午前9時まで懸命に走り続けチームメイトにバトンタッチ。残りの7時間はチェカとディ・メリオ、ふたりだけで走り切った。
YARTのB・パークスは2番グリッドから好スタートを切って序盤からレースをリード。ラップタイムを1分36秒台に入れて8ラップ目までトップをキープしたが、ここでセーフティーカーがコースに入って数周にわたり走行したため、広がっていた差が縮まってしまう。パークスは集団のなかで競り合いながらM・フリッツにバトンタッチ。トップのままコースに復帰したフィッツはハイペースで順調に走行を続け、野左根と交代。野左根もトップのペースを維持しながら、コーナリングでは圧巻のリーンアングルを見せる大健闘だった。
このように3人がハードワークを続けながら、夜に向けて次第にリードを拡大。しかし夜が明けるとGMT94がペースを上げ、午前5時には15秒差まで近づいてきた。これを受けてYARTは再びペースを上げ、ちょうど1時間でその差を50秒近くまで広げたが、20時間にわたってリードしてきたが、日が上ると少しずつペースが落ちはじめる。これに変わってGMT94が勢いを増し、ヤマハがヤマハを追い詰める緊張の展開に。
そして、残り4時間でついにディ・メリオが野左根をパス。YARTはその後もペースを保って最終ライダーのパークスにつないだが、一歩およばず。YARTはGMT94に19.819秒遅れの2位でチェッカーを受けた。
「Yamaha Viltais Experience」はル・マンのレースウイークを好調にスタート。スーパーストックでポールポジションを獲得し、決勝でも好スタートから6番手につけ、最初のピットストップのあと5番手につける。ここからさらにペースを上げた同チームは、スーパーストック優勝を目指して4番手へ浮上し、最高のパフォーマンスを見せていた。しかし、2度にわたるトラブルが発生し、その間に差を広げられてしまった。それでも挽回をあきらめず、さらにハードに攻めてスーパーストック2番手まで再浮上したが、終盤で転倒を喫して後退。最終的には総合9位、スーパーストック3位でチェッカーを受けた。
RESULT
TEAM RANKING
COMMENT
GMT94 Yamaha Official EWC Team(優勝)
D・チェカ選手談
「こんな24時間レースは初めて。本当にすばらしかった。YARTにも祝福の言葉を贈りたい。彼らはスーパーバイクレースを24時間走り続けたようなもので、普通ではまったく考えられないことをやってのけた! レースはニッコロに不調があり2人で走ることとなった。終盤で体力を消耗するリスクを避けるためペース配分がとても重要になった。僕らは朝になってからプッシュして1分近く離したけれど、そのあとガレージのなかで、また1分近くを失ってしまったんだ。最後に懸命に頑張って本当にすばらしいレースができた。決してあきらめなかったんだ。これでR1の速さと走りの良さを広く証明することができたと思うし、12ラップの差は、R1とダンロップタイヤの性能のおかげだ」
M・ディ・メリオ選手談
「とてもハードなレースだった。YARTとかなり接戦となり、ラップタイムでも激しく競り合うすばらしいレースだった。ニッコロが体調を崩していたので状況は厳しく、デビッド(チェカ)とふたりで終盤を走り切らなければならなかったんだ。でも僕らは困難を乗り切り、ハイペースを維持してトップでゴールした。野左根の後ろついていたときは100%の力を尽くし、まるで予選のように32ラップを走破したよ!」
N・カネパ選手談
「24時間レースでの優勝なんて信じられない。僕にとっては初めてのことなので、とてもすばらしく、うれしいよ! 夜の間中、調子が悪く熱があったため、体力的に厳しいこのコースでのライディングはとても苦しかった。YARTとの差はほんのわずかだったので、夜中、ハードにプッシュし続けなければならなかったんだ。午前9時になって、ピットインを決意。そしてそのあとはチームメイトががんばってくれて、そのおかげでこうして勝利を手にすることができた。彼らふたりと、チームのハードワークに心から感謝。とてもすばらしい最高の一日!」
C・グィオ、マネジャー談
「まずYARTのライダー・ラインアップがとてもすばらしかった。チームとして強いライダーを集めることは非常に重要。我々のマイク、デビッド、ニッコロの3人もとても強く、ヤマハの2チーム・6人のライダーは全選手のなかで最高だったと思う。レースはGMT94とYARTの戦いになった。2時間が過ぎてペースが落ち着き、いよいよバトルを始めようというときに、唯一、つかまえられなかったのがYARTだ。彼らのペースは本当に速く、いろいろな作戦を試みたが、追いつくまでに20時間もかかってしまった。僕らがこのような戦いをするには、強く、信頼できて、速いマシンが必要だからね。今日の成功は、チームやエンジニアを越えてともに働くヤマハ・ファミリーがデータや経験を共有し、揃って能力を高めた結果だと思っている。最後に、ウイークを通じて休む間もなく作業を続けてくれたチームのみんなに心から感謝している」
YART Yamaha Official EWC Team(2位)
B・パークス選手談
「チームとしてはとても良い仕事ができたと思うけれど、残念ながら優勝はできなかった。でもGMT94とのポイント差は5ポイントだけだ。チームはとても強く、24時間のうち20時間でレースをリード。最後でわずかに遅れてしまっただけなんだ。ル・マンは僕らにとっては最もハードなレースのひとつ。8時間耐久のほうがもう少しいいだろうし、他のふたりがコースを知っている。パフォーマンスは決して悪くなかった。ポイントでも大きく離されたわけではないので、次のレースを楽しみにいている。がんばってくれたふたりのチームメイトにも感謝」
M・フリッツ選手談
「初めての24時間耐久レースで2位を獲得できてとてもうれしいよ! GMT94より5ポイント少なかったけれど、完走しポイントを獲得したんだからね。チームとして良い仕事ができたし、ブリヂストンタイヤもよく走ってくれた。ただひとつだけ、少し問題が出てしまい、ブロックが最後のライディングでペースを上げるまでそれに気づくことができなかった。でも全体的には好調を維持できたので、このあとのドイツ、スロバキア、鈴鹿に向けて準備を始める。僕らは速く、十分に優勝のチャンスを持っている」
野左根航汰選手談
「レースはとても長かったけれど、僕にとっては本当にすばらしい経験になった。チームメイトたちとライディングを楽しみ、僕は英語はあまり得意ではないけれど、それでもなんとか、一緒に仕事をする方法を見つけてセッティングやフィーリングを改善してゆくことができた。今日はとっても疲れてしまったけれど、明日になればまた、来年もこのチームに戻ってきて、同じチームメイトと優勝を目指したいと思うだろう!」
M・カインツ、マネジャー談
「3人のライダーとチームのみんなを誇りに思う。全員がすべての力を出し切り、20時間にわたってトップをキープできる実力を証明したのだ。アンラッキーさえなければ、レース結果は変わっていたかもしれないし、間違いなくもっと激しく接近していただろう! ふたりの若いライダーは、初めてこのコースを走ったわけだが、十分に評価できるハイレベルのパフォーマンス。R1も完璧だった。そしてトップ2が後続に12ラップ差をつけたことがすべてを物語っている。ブリヂストンのサポートに心から感謝し、次回もまた優勝を目指せるよう準備したい。クリストフとGMT94に祝福を! 見事なレースで、記憶に残るヤマハのバトルが実現した」