AMAモトクロス
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PO.03 9月20日 ラスベガス
SUMMARY
ネバダ州ラスベガスにあるラスベガス・モーター・スピードウェイのザ・ストリップで開催された2025年スーパーモトクロス世界選手権ファイナルで、Monster Energy Yamaha Star Racingの3選手が総合結果およびランキングでトップ10入りを果たし、シーズンを締めくくった。イーライ・トマックはポストシーズンを通して表彰台獲得を続け、2位/3位で総合3位、450SMXのランキングでも3位となった。ジャスティン・クーパーは総合5位(4位/6位)でランキング5位、そしてクーパー・ウエブは総合7位(8位/7位)、ランキング6位でシーズンを終えた。
250SMXでは、Monster Energy Yamaha Star Racingのネイト・スラッシャーが力強いパフォーマンスで総合4位(5位/4位)に入り、ランキング4位を獲得した。ヘイデン・ディーガンは、Moto1で2位に入ったが、Moto 2でクラッシュして鎖骨を骨折。そこでレースを終え総合9位に終わった。ワイルドカードライダーのダクストン・ベニックとマックス・アンスティはクラッシュから立ち直り、それぞれ12位(9位/14位)と17位(17位/12位)でフィニッシュ、コール・デイビスはMoto1でのクラッシュで早々にリタイアした。
RACE DATA
2025スーパーモトクロス プレーオフ3
開催日:2025年9月20日(土)
開催地:ネバダ州ラスベガス
会場:ラスベガス・モータースピードウェイ内ザ・ストリップ
REPORT
トマックがSMXファイナルで総合3位でフィニッシュ
トリプルポイントが懸かったこのファイナル、ラスベガスに大きな注目が集まっていた。トマックは予選3位で走り出すと、Moto1で素晴らしいスタートを見せて2番手につけ、2周目にはトップに躍り出た。AMAスーパークロス/モトクロスで8度のチャンピオンに輝くトマックは、4周目にはレース中の最速ラップタイムを叩き出し、レースの大半をリードする。だがレース終了まで残り4周となったところで、タイトルを争うライバルの先行を許し2位でフィニッシュラインを通過し、プレーオフで4連続となるポディウムフィニッシュを果たした。Moto2でも再びトップ5スタートを見せたトマックは、レース序盤に2番手に上がると、レースの大半でそのポジションをキープするが、終盤に順位を落とし3位でフィニッシュ。再び表彰台に立って総合3位、ランキング3位でシーズンを終えた。
クーパーは予選で4位に入ると、Moto1では好スタートを見せて3番手につけた。力強いペースで走行を続けるクーパーだったが、レース中盤に一つ順位を落とし4位でフィニッシュした。続くMoto2でも再びトップ3圏内での好スタートを決めたクーパーだったが、残念ながら2周目にクラッシュを喫してしまう。それでもひるむことなく9番手で再走を果たしてプッシュを続けた。クラッシュによりバイクにダメージがあったにもかかわらず、レース後半には6番手まで挽回したクーパーは、トップ5入りを目指してさらに奮闘を続ける。結局、6位でフィニッシュラインを通過したクーパーは、総合5位、ランキングも5位となった。
ウエブは予選7位、Moto1のスタート直後は6番手につけたが、オープニングラップで8番手に後退。腕上がりに悩まされながらもポジションを守ってチェッカーフラッグを受け、再びトップ10フィニッシュを果たした。2025年450SXチャンピオンは続くMoto2で巻き返しを見せた。ホールショットを奪ったウエブは1周目をリードする。序盤は3番手をキープしていたウエブだったが、レースが進むにつれて8番手まで後退。それでもウエブはプッシュを続け、7位に順位を戻してフィニッシュ。総合7位、ランキング6位を獲得した。
スラッシャーがラスベガスのSMXファイナルで総合4位
スラッシャーは、プラクティス総合タイムでは15位にとどまったが、両Motoではどちらもトップ5フィニッシュを果たした。Moto1では20番手から目を見張る猛チャージを見せて20番手から追い上げて5位でフィニッシュ。Moto2でもトップ10圏外からの追い上げを見せたスラッシャーは、レース終了まで残り6周となったところで13番手から4番手まで順位を上げた。その安定したライディングで総合4位に入ると共に、ランキングでも4位となった。スラッシャーはバーミンガム・スーパークロスで勝利をあげ、AMAスーパークロスEast(250SX東地区)でもランキング4位に入っている。
トリプルポイント付与のシーズンファイナルに、ディーガンはトップと10ポイント差の2位で臨んだ。予選総合タイムで12位となったディーガンは、Moto1で力強いライディングで巻き返しを見せた。レース序盤に4番手まで順位を上げるが、サンドセクションで前を走るライダーがクラッシュして接触し、不運にも転倒してしまう。4番手で再走を果たしたディーガンは集中したライディングで猛烈なペースで追い上げ、2番手まで上がり、フィニッシュした。Moto2ではディーガンは5周目までに2番手に上がり、タイトルを争うライバルとトップ争いを展開するが、10周目にクラッシュを喫し、両ライダーとも転倒してしまう。これで鎖骨を負傷したディーガンはリタイアを余儀なくされ、この日のレースを2位/20位のスコアにより総合9位で終えた。レース終了後、ディーガンは5ポイント減算のペナルティを課せられた。ディーガンは2025年シーズンを、AMAスーパークロスWest(250SX西地区)と2年連続となったAMAプロモトクロス250MXという2つのタイトル獲得で終え、250SMXランキングは5位となった。
ベニックは予選総合タイム13位だったが、250ワイルドカードLCQレースでのクラッシュという苦境を乗り越え、ナイトショーへの最後の出場枠を獲得した。理想的とは言えないゲートピックながら、ベニックはMoto1では19番手から追い上げて9位でフィニッシュ。続くMoto2ではトップ3圏内の好スタートを決め、レース序盤はトップ5圏内を走行したが、その後14番手まで後退してフィニッシュ。総合12位でこの日を終えた。この結果、シーズンの大半を負傷欠場していたにもかかわらず、250SMXのランキングは10位とシーズンを力強く締めくくった。
アンスティは予選総合タイムで9位となり、250ワイルドカードLCQレースを3位でフィニッシュした。そこから、Moto1のスタートでは11番手につける。ところが不運にもオープニングラップで他のライダーと絡んで、最後尾まで後退してしまう。全力を尽くすアンスティだったが、失ったタイムが大きすぎ、17番手まで上がってフィニッシュするのが精いっぱいだった。Moto2でも再び最後尾に沈んだアンスティだったが、プッシュを続け、12番手まで順位を上げてフィニッシュ。総合17位となった。AMAスーパークロス第5戦タンパで優勝を飾り、AMAスーパークロスEast(250SX東地区)のチャンピオン候補のひとりだったが、負傷によりSMXプレーオフまで欠場を強いられたイギリス人ライダー、アンスティ。まさに浮き沈みの激しい一年となった。
デイビスは予選で大きなクラッシュを喫したにもかかわらず10位に入り、Moto1ではスタートで16番手につけた。序盤に8番手まで順位を上げたが、残念ながらクラッシュを喫してリタイアを余儀なくされ、この日の走りを早々に終えた。ニュージーランド出身の若手、デイビスはAMAスーパークロスデビューシーズンに、最終戦ソルトレイクを負傷欠場したものの優勝2回、表彰台獲得4回を数え、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝くと共に、AMAスーパークロスWest(250SX西地区)3位という輝かしい戦績を残した。この輝かしいシーズンからのさらなる向上を期すため、来季には万全のコンディションで臨むことを目指している。
COMMENT
450MX
Monster Energy Star Yamaha Racing 450 Team
イーライ・トマック選手談(2位/3位:総合3位)
「我々にとって充実した週末になりました。最初のMotoは本当に充実したレースになり、好スタートを決めて、2周目にハンター(ローレンス)をパスすることができました。レースの大半をリードしたのですが、ジェット(ローレンス)につかまり、最後の数ラップでパスされてしまいました。それでも全力を尽くしましたし、良い争いをすることができました。Moto2にも同じ気持ちで臨みましたが、Moto1ほど良いライディングができませんでした。結果は総合3位、ランキングは3位と好結果でした。もちろん、もっと上の結果を残したかったですが、チームにとって良い週末になりました」
ジャスティン・クーパー選手談(4位/6位:総合5位)
「ベガスはいつもハードパックのコンディションで厳しいレースになりますが、今日は一日を通してずっと楽に走ることができましたし、速さも良いと感じていました。スタートが本当に良くて、素晴らしかったですね。最初のMotoは良いレースができたのですが、次のMotoは2周目にクラッシュしてしまいました。順位を挽回しようと、他のライダーたちとバトルをしていたのですが、バイクがかなり曲がってしまっていて、前に進むのが大変でした。全力を尽くしましたが、4位争いにはわずかに届きませんでした。それでもランキング5位を獲得することができました」
クーパー・ウエブ選手談(8位/7位:総合7位)
「ベガスのファイナルは、トリプルポイント制で、僕ら全員が僅差で争ったので、かなりワイルドな展開になりました。最初のMotoは本当に苦戦しました。アームパンプになってしまい、集中してライディングすることができませんでした。次のMotoではホールショットを奪うことができて、これは素晴らしかったし、しばらくは上位を走っていました。ただ、スピードが足りず後退してしまいました。でも、これについては解決できるでしょう。2回目のMotoの方が良い結果になり、最終的にランキングで6位になりました。できればトップ5入りしたかったのですが、無事にレースを終えることができたし、2026年シーズンに向けて準備を進めていきます」
250MX
Monster Energy Yamaha Star Racing 250 Team
ネイト・スラッシャー選手(5位/4位:総合4位)
「一日中、セットアップに苦労しました。コースに出るたびにセッティングを変えていたと思うので、今夜の4位という結果は、良かったと思います。スタートは最悪でしたけど、とにかく全力を尽くしました。Moto1は大きく後退してから挽回して5位でフィニッシュし、Moto2では4位でした。この最後の2ラウンドは、本来の自分を取り戻したと言えるほどの強さを発揮できています。来年に向けて勢いに乗っているので、この勢いを維持していきたいと思っています。久しぶりに最高の状態にいると感じています。どちらの地区でレースをするにしても、スーパークロスのチャンピオンを争う時が来ました」
へイデン・ディーガン選手談(2位/20位:総合9位)
「チャンピオンを勝ち取るために、持てる力のすべてを出し切りました。SMXの新しいレースフォーマットによって、グランドフィナーレは緊迫感あるものになりました。僕はいつも110%の力を出し切っています。ハイリスクのレースで、これは実際にその場に立たなければ、その感覚を言葉で説明するのは難しいです。選手権を獲得した丈(下田)には敬意を表します。彼は本当に素晴らしい戦いをしました。
プロとしてレースを始めてから、すべてのゲートドロップをクリアしてきました。でも昨夜、ついに鎖骨を骨折してしまいました。今は治療中で、これまで以上に強くなって戻ってくるために練習に復帰します」
ダクストン・ベニック選手談(9位/14位:総合12位)
「予選はかなり順調でしたけど、LCQレースで何度かクラッシュしてしまい、Moto1に向けてかなり不利な状況になってしまいました。最後のゲートピックでしたけど、すごく良いライディングをして9位でフィニッシュしました。この結果には満足しています。そして、次のMoto では良いポジションを得ることができました。2番手か3番手でスタートして、しばらくの間5番手を走っていたのですが、残念ながら順位を落としてしました。この経験から学び、来年は力強く戦いたいと思います」
マックス・アンスティ選手談(17位/12位:総合17位)
「ラスベガスは厳しかったですね。最初のMotoでは1周目に誰かと絡んでしまい大きく遅れました。次のMotoでは、ゲートピックが良くありませんでした。好スタートをするために全力を尽くしましたけど、コースアウトしてしまい、最後尾近くを走ることになってしまいました。こういうレースでLCQを通過しなければならないというのは辛いことです。仕方がないですけどね。結局のところ、僕の目標はただレースに出場して、コンディションを整えて力強く走ること、そしてオフシーズンを充実させて、来年に向けて万全の状態にすることです」
コール・デイビス選手談(DNF/DNS:23位)
「残念ながら、ベガスでは良い日とはなりませんでした。努力が足りなかったわけではなく、チャンスをつかむことができなかったのです。親指に痛みを抱えながら週末を迎え、予選では激しいクラッシュに見舞われました。メインに照準を合わせていましたけど、そこでまたもやクラッシュしてリタイア。そこで終了となりました。SMXプレーオフの終わり方としては、決して望んでいたものではありませんでしたが、このことから学び、成長し続けるしかありません。Star Yamahaチームの皆は、毎週のように僕のために力を尽くしてくれて、感謝してもしきれません」