ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月12日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2009年4月13日(月)決勝結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■周回数22周(118.36km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:26度
■PP:C・スト―ナー(1分55秒286/ドゥカティ)
■FL:C・スト―ナー(1分55秒844)
REPORT
ロッシ、ロレンソ、エドワーズが2~4位
開幕戦決勝はスコールのため22時間遅れの13日(月)現地時間午後9時から行なわれ、ヤマハのV・ロッシ、J・ロレンソ、 C・エドワーズが2~4位と上位入賞を果たした。J・トーズランドは8周目にコースアウトするが復帰して16位で完走した。優勝はC・ストーナー(ドゥカティ)だった。
スタートは、ストーナー、L・カピロッシ(スズキ)、ロレンソ、ロッシ、A・ドビツィオーゾ(ホンダ)が先行する展開。ロッシは予選2位からのスタートで、カピロッシとロレンソに先行されて4番手。その後1ラップ目が終了するまでにロレンソを、3周目にはカピロッシを抜き返し2番手に上がり、ストーナーを追う。しかし4周目には既にストーナーとの差は2.7秒となっていた。ロッシとストーナーの2人は、中盤までともに56秒台ペースで均衡状態となるが、後半に入っても56秒台をキープするストーナーに対しロッシは後退、約7秒差の2位でゴールした。
予選3番手発進のロレンソは、序盤一時は6番手に下がるも8周目には3番手まで挽回し、ロッシの後方を56秒台ペースで走り上位をうかがう。しかし中盤以降はロッシとの差が広がり単独3位となった。
予選6番手のエドワーズは、レース開始直後は9番手だったが、着実に順位を上げる。C・バーミューレン(スズキ)を抜くと、後退してきたカピロッシに接近。8周目には、直前を走るカピロッシが転倒し5番手に上がると、今度はドビツィオーゾに少しずつ迫り、ついに14周目にはこれを抜き4位。その後も安定したペースで走りぬきゴールした。
トーズランドは、レース序盤でR・ド・ピュニエ(ホンダ)、M・カリオ(ドゥカティ)の後方にぴったりとつけて10位以内を目指していた。しかし7周目の最終コーナーでパスをしかけようとしたとき、T・エリアス(ホンダ)と接触、そのままコースアウトを強いられた。再スタートしたがポイント圏外の16位に留まった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 42'53.984 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 0'07.771 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 0'16.244 |
4 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 0'24.410 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 0'27.263 |
6 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 0'29.883 |
7 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 0'33.627 |
8 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 0'34.755 |
9 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 0'39.481 |
10 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 0'42.284 |
11 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 0'48.526 |
12 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 0'48.883 |
13 | S・ジベルナウ | Grupo Francisco Hernando | Ducati | 0'52.215 |
14 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 0'56.379 |
15 | 高橋裕紀 | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'00.286 |
16 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'14.978 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati | 25 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 20 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha | 16 |
4 | C・エドワーズ | Yamaha | 13 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 11 |
6 | A・デ・アンジェリス | Honda | 10 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 25 |
2 | Yamaha | 20 |
3 | Honda | 11 |
4 | Suzuki | 9 |
5 | Kawasaki | 2 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(2位)
「月曜日のテストはよくあるけれど、それよりもレースのほうがずっと楽しいね!今日はコース・コンディションが、それまでとかなり違ってしまっていて、ウォームアップ・セッションではタイヤに関して小さな問題にぶつかったんだ。そのため戦略を少し変えなければならなかった。昨晩ならもっと力を出すことができたはずなので、その点では残念な気持ちもある。でもシーズンのスタートとして2位という成績も決して悪くない。少なくとも去年よりはずっといいよ。
ストーナーについていくためにはスタートが重要だったが、少しうまくいかなくて遅れ、ロレンソ、カピロッシと競り合わなければならなくなった。その間にストーナーは逃げてしまっていたんだ。レース中盤は走っていてとても楽しくて、6ラップか7ラップにわたって非常にいい走りができて、ケイシーとの差も縮めることができた。でもそんなペースをいつまでも維持できないことは自分でよくわかっていたんだ。
タイヤのリスクが高すぎる状態だったので、着実に20ポイントをとる作戦に切り替えた。今日のケイシーは非常に強かった。でもこのコースではいつものこと。僕たちのほうだって十分なポテンシャルを持っていると確信している。次のもてぎもいい戦いができるだろう。昨日のレースがキャンセルになったが、そのまま終わらず今日改めて行われたことはとても良かった。シーズンのスタートとして満足してこの地を離れることができる」
J・ロレンソ選手談(3位)
「表彰台に上ることができて非常にハッピー。レースのなかでは何度かとてもいい感じでオーバーテイクができて、そのとき少しのリスクがあっても、自信はもてた。その点でレースをエンジョイすることができたんだ。路面のグリップも今日は少し良くなっていたが、僕の場合はリアタイヤが初めから激しく動いてしまっていたので、ここは今後の課題になる。
順位は結果的にとても良かったけれど、ロッシやストーナーとのペースの差は明白。離され過ぎだよ!だからこの点ではまだまだたくさんの作業が必要だ。昨日の最悪の天気のあとで、今日こうしてレースをすることができてとても嬉しい。好成績でシーズンをスタートすることができたので、次のもてぎではトップとの差をもっともっと縮めていきたい」
D・ブリビオ、チーム監督談
「優勝は逃したが、開幕第1戦としては非常にいいレースができたと思う。今回はいくつか問題点もあったので、今後それを直していかなければならない。レース中盤は非常に好調で、ストーナーとのギャップを縮めることができたが、終盤になるとストーナーは好調にプッシュを続けたのに対し、バレンティーノはペースを抑えて2位を目指すしかなかった。チャンピオンシップは長く、今の段階で大切なのは着実にポイントを手中にすることだから非常に良かったと思う。次回もストーナーとバトルすることになるだろう」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「多くのルール変更が実施されて初めてのレースだったが、シーズンを好調にスタートできたことはとても重要。今日の結果には非常に満足。しかしトップとの差は明らかで、これを縮めるためには、これから大変なハードワークが必要だ。次のもてぎではセッティングを改良していくことが一番の課題だ」
C・エドワーズ選手談(4位)
「スタートは最悪だったが、そのあと追い上げていいレースにすることができた。実は、自分ではうまくスタートしたと思っていたが、次の瞬間には他のみんながどんどん僕を抜いていった。それで順位は大きく後退。その時点で表彰台の可能性はもうなくなっていたのだと思う。
でもホルヘについて行けたはずだ、と言っているわけじゃない。今日の彼はとてもよく乗れていて強かった。路面コンディションは、昨日のあの雨のことを考えれば予想以上によく整備されたと言える。できる限りスムースに、タイヤに負担をかけずに走ることに集中しそれが功を奏した。というのもドビツィオーゾに追いついたときに、彼がすでに問題を抱えていることがわかったんだ。それで彼をパスして4位に上がったが、その頃、ホルヘはずっと遠くに離れてしまっていた。その差を縮めていこうとするのは間違っていたかもしれないが、僕はプッシュを続けたんだ。
もしもスタートが上手くいっていたら彼のペースについていただろうと思いたいが、レースの後では、どんなことでも言える。ブリヂストンはグリップがとても良く、僕たちは転倒もなく最後まで走りきることができた。今はモンスター・ヤマハ・テック3のすべてのスタッフに感謝の気持ちでいっぱい。長く厳しいレースウイークになったが、皆で力を合わせ、集中力をキープして乗り切った。その結果として好成績につなげられたんだ。次のもてぎも楽しみだ」
J・トーズランド選手談(16位)
「厳しい戦いになった。上位との差は非常に大きい。今日のレースは、僕にとってはまるでテストのようだった。そしてテストの中でもあまりいいところがなかった、そんな感じだった。トップ10を目指していけると考えていたが、ド・ピュニエ、カリオに仕掛けていこうというところでエリアスがインに飛び込んできた。接触して僕はグラベルに弾きだされてしまった。それで残念ながらポイント圏外に終わった。
今日は、これまで悩んできた安定性の問題を克服するためにフロントのセッティングを変更して臨んだ。今もまだ改善の余地がたくさんある。僕としてはもっと走り込むことが必要で、それに加えて少しグッドラックが巡ってくれば良い方向へ進むことができると思う。チームのみんなはとてもよく頑張ってくれた。次のもてぎではモンスター・ヤマハ・テック3チームのために好成績を目指す」
中島雅彦(技術開発部MotoGPグループリーダー)
「中東カタールでの第1戦は、ナイトレースのため、砂漠の夜の冷え込みで路面温度は急激に下がり、砂や風に加え、あろうことか大雨によってレースが翌日に延期となるハプニングで、ライダー、チームにとっては大変な開幕戦となりました。今年はタイヤのワンメーク化、プラクティス時間の短縮と、大幅なレギュレーションの変更で、セットアップも難しい環境でしたが、昨年のデータを基に充分なシミュレーションを重ねたセッティングが奏功し、ヤマハ全体としては高い戦闘力を有したマシンをライダーに託すことが出来たと思います。
翌日に延期された決勝レースは良好コンディションとなり、V・ロッシ選手、J・ロレンソ選手が2位、3位と表彰台を獲得、テック3チームのC・エドワーズ選手が4位とYZR-M1の戦闘力の高さを示してくれましたが、ライバルのC・ストーナー選手の独走を許す結果となり、さらなるレベルアップの必要性を痛感しています。
次戦は日本GPとなり、いっそう厳しい戦いが予想されますが、皆様のご期待に応えることができるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします」