レディースクラス、安原さや“自分らしい走り”で初の頂点に挑む
レディースクラスではYZ85を駆る「名阪レーシング」の安原さや選手が、第8戦近畿大会を終えた時点でランキングトップに浮上しました。第7戦SUGOに続き、第9戦関東でも優勝を果たした安原選手はポイントリードの拡大にも成功、ランキング2位の竹内優菜選手(ホンダ)に9ポイント差をつけた状態で最終戦MFJGPに臨みます。
全日本のレディースクラスで10年以上のキャリアを誇る安原選手は、ケガの影響によりランキングを落としたこともありますが、チャンピオンを争う位置で戦い続けてきました。今シーズン、実はケガの影響などにより前半戦は大いに苦しんでいますが、第6戦までで表彰台を逃したのは2戦のみ。それ以外は常に2〜3位へ入り、ポイントを積み重ねてきました。苦しくてもレースをまとめられるのがベテランの強さです。
そしてもちろん、安原選手は納得がいかないまま今シーズンを終えるつもりはまったくありませんでした。マシンのセットアップを絞り込み、ひたすら練習を積み重ねます。IA1/IA2のヤマハサポートライダーを対象にして行われたダグ・デュバック氏によるYRA(ヤマハ・ライディング・アカデミー)にも参加。走行はできなかったのですが、デュバック氏のアドバイスに懸命に耳を傾け、そこで得たヒントをスキルに変換するためのトライを、練習で繰り返しました。それらすべての成果が第7戦以降、結果に現れ始めます。
優勝した第7戦SUGOでは、安原選手らしい強さも存分に発揮されました。IA1でも多くのライダーがスタックしたマディコンディションで、冷静にスタート時の混戦をクリア、あっという間に独走態勢を築き上げました。ドライの第9戦ではスタートでやや出遅れながらも、序盤の段階で勝負できるポジションを確保すると、終盤でアタックし、スパートをかけるという完璧なレースを展開しました。ポイント差はわずかですが、タイトル争いにおいても確かな流れをつかみました。しかし、安原選手自身は「最終戦ではチャンピオンを意識せず、自分らしい走りを見てもらえるようにしたい」と考えています。安原選手にとっての"自分らしい走り"とは、結果を残すためだけの走りではなく、集まったファンのみなさんに"楽しんでもらえるようなレースをする"ことです。
確かに、レディースクラスでは各選手の個性が際立つ、見ごたえたっぷりのレースが毎戦繰り広げられています。同じヤマハYZ85を駆る「TEAM KOH-Z」の本田七海選手、伊集院忍選手にもぜひご注目ください。昨年からチームメイトになった本田選手と伊集院選手は、お互いをライバルとしながら切磋琢磨し、成長を続けています。両選手とも今シーズンは表彰台を獲得していますが、その結果を少しも喜んでいません。ふたりが目指しているのは、優勝なのです。ひたすら前を見据えて戦う、両選手の熱い走りも極めて個性的です。