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2021

確かな手応え掴んだ開幕3戦を振り返って

2021.06.27

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バウティスタ選手やレディング選手、ラバト選手、フォルガー選手、ラバティ選手らMotoGP経験者がずらりと揃い、トプラック選手やレイ選手をはじめビッグネームが名を連ねる中でレースをすると言うことで、とても緊張した状態で開幕戦を迎えました。その開幕戦は5月21日にアラゴンでしたが、いざウィークがスタートすると自分のことで必死だったということもありますが、周りを意識することなく、惑われることなく集中して過ごすことができたように思います。ここまで3戦を終え、手応えも課題も含め感じたことをお伝えしたいと思います。

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まず15分間で行う予選「スーパーポール」についてです。未経験ということもあり、とても難しさを感じました。その一つはタイヤの特性によるものですが、アウトラップを含め2周が限界のQタイヤをどう使いこなすのかということです。これは60キロで走るピットロードからグリップの良さを感じるスペシャルな代物。アタック後のインラップにはすでにボロボロで、まともに走ることができません。僕も経験済みですが、アウトラップの走り方によっては、アタックラップの終盤にグリップしなくなってしまうほどで、MotoGPのタイヤよりさらにシビアなものです。

全日本の予選で使うタイヤはライフが長いため、修正しながら最終的にまとめるという流れが可能でした。「ここでミスしたから次はこうしよう」ということが周回を重ねながらできたのです。WorldSBKも時間的には2回アタックできますが、Qタイヤはアタックの1周をパーフェクトに走る集中力と技術が必要になります。トプラック選手やレイ選手らと差が生まれるのは、様々な点で未熟な部分があるからということで、さらに前方のグリッドから決勝を迎えるためにも改善していかねばなりません。

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レースにも全日本とは異なる厳しさがあります。そもそも自分以上の経験と実力を持ったライバルが多いということもありますが、1-2周は本当に激しい接近戦が行われます。接触は当たり前で、転倒してもいないのにツナギが傷だらけになる程ですが、実力差の少ないレースを有利に進めていくためには、序盤に良いポジションを確保することが大切なのです。

その一方、僕自身は序盤に順位を上げることができています。しっかりとバトルができていること自体が大きなポイントであり、ここからさらに前のライバルに食らいつき割って入ることができるよう、スーパーポールで良いグリッドを奪いスタート直後の接近戦で有効な走りを身につけていくことが必要だと思っています。

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レース中のタイヤマネージメントも一つの課題となっています。第3戦のレース2、トム・サイクス選手とのバトルでは、そのリアを捉えながらも抜けない状況が続きました。元チャンピオンであるサイクス選手のブロックがとても上手く、隙がなくアタックさせてもらえませんでした。

さらにこの日は路面温度が高かったこともあり、僕は終盤にタイヤが消耗して大きくタイムを落とし離されてしまいました。サイクス選手がラップタイムをキープしていた中で自分だけが後退してしまうのは、明らかにタイヤマネージメントの差です。全日本とタイヤが異なり、まだ経験が浅いこともありますが、乗り方について引き出しをもっと増やさなければならないと感じています。

エストリルでは大きなクラッシュも経験しました。ハイサイドで完全にバイクから投げ出される形になり、自分でも危ないとわかったので瞬間的に背中から落ちることを考えました。幸い大事には至りませんでしたが、その代償として体に痛みがありましたし、WorldSBKではスペアマシンが使えないためチームに大きな負担を強いることになりました。結果的にチームが完璧にマシンを修復してくれたのでレースには出場できましたが、そうしたことも意識する必要があることを学びました。

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このように序盤の3戦を振り返ると、まだ多くのことを学び、改善していく部分が見つかったのですが、その中でポイント獲得など、着実に成長できたのはYAMAHA FACTORY RACING TEAMの吉川和多留監督が帯同してくれたことが大きな要因でした。

僕の性格やマシンの好み、レースの進め方などを吉川監督は把握しているので、チーフメカニックのアンドレアに情報を共有してもらい、アンドレアも僕が目指す理想を理解してくれた上で、マシン作りができたのです。さらに、吉川監督がそばにいることで安心感がありますが、これも3戦の成績に反映されていると思います。

3月の渡欧以来、テスト、シーズン序盤と、ヤマハスタッフの皆さんや吉川さんの帯同など手厚いサポートの中で取り組んできましたが、今後はこの状態を卒業することとなります。この時に向けて準備を整え手応えを掴むことができたわけです。ところが、先日参加したナバラでのテストで転倒があり負傷してしまいました。

とても残念ではありますが、まずはしっかりと怪我を直すことを最優先とし、懸命に支えてくれるチームやヤマハスタッフの皆さん、そして日本から応援してくれているファンの皆さんのために、結果で応えていきたいと思います。引き続き、応援をよろしくお願いします。

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