本文へ進みます
ページの先頭へ戻ります

ヤマハ発動機株式会社

ここから本文です

ピット内の職人達

走りに徹するライダー達を裏で支えるプロフェッショナルの姿を紹介します。 元ファクトリーライダー吉川和多留氏、難波恭司氏にお話を伺いました。

吉川和多留

皆さん、いよいよ今年も鈴鹿8耐がスタートしました。僕は現役時代からかなりの回数、この8耐に参加しているのですが、今回はYARTのサポート、特に中須賀選手を中心としたライダーたちの世話係です。装具の準備・メンテなどがウエイトとしては大きいですね。YARTの3人はそれぞれ耐久の経験はありますが、スプリンターの集まりであるため、やはり普段と違う動きが多くなる。だから、僕が先回りし、集中して走行に臨めるよう諸々の準備をするのです。

ちなみに僕が現役の時は、ファクトリー体制で8耐に参戦していたので、サポートは今と比較にならないくらいすごかったですね。ほぼ全般にわたる世話係の方はもちろん、頭脳となってくれるレース戦略担当者、体のケアをしてくるドクター、トレーナーなど、レースにとことん集中できる体制があり、走ることだけを考えていれば良かったのです。その分、結果への追求と責任も大きく大変でしたけどね。そういった意味で、今回のYARTライダーは、自身の役割が大きくなっていて、準備も戦略も、自分の中である程度考えながらレースに臨まなければなりません。

吉川和多留

吉川和多留

さて、僕の役割はサポートと言いましたが、一番大切にしているのが、精神的なサポートです。ライダーは皆、結果や立場など、さまざまな要因で神経質になったり、調子やモチベーションを落としてしまうことがあります。これは本人にとっても、チームにとってもマイナス。そこで、ライダーが気持ち良くレースに臨めるように、僕が「魔法の言葉」をかけるわけです。これは、各ライダーの心理状況を読み取る能力がないとできないこと。だから、元ライダーである自分が必要なんだと感じています。
だた、海外の2人については、ほぼ初対面なので、しっかり心理を読み取るのは難しい。でも中須賀選手については、付き合いも長く「目」だけで心理状況が手に取るように分かります。今こいつヤバいな、自信ないなという目、逆に完璧を意味する目もある。その時に、状況を打開する、またさらに好転させる「魔法の言葉」をかけるわけです。周りから見たら、私は世話係にしか見えないかもしれません。でもレースの勝敗を左右するキーマンでもあるのです。そういった目で見てもらえるとうれしいですね。

吉川和多留

吉川和多留

チームの状態ですが、中須賀選手が参戦した過去2回はともにリタイアでしたから、今年は完走が第一の目標になります。そこで僕はライダーたちをうまくコントロールしトラブルを回避させることにも力を注ぎたいと思いますので、そのあたりも、ぜひ注目してください!

【取材日:7月26日公式予選】

本文はここまでです このぺージの先頭へ

目次