Round 5 2015.10.03 アジアプロダクション250

ASEANのR25ライダー、マレーシアのカスマ選手がレース2で2位表彰台を獲得！
レース1では日本の田中選手が2位

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RACE DATA

サーキット

カタール/ロサイル・インターナショナル・サーキット

コンディション

ドライ

PP

Takehiro Yamamoto(2分23秒645/カワサキ)

Race 1 FL

Muhamad Hasyim Zaki Adil(2分24秒233/ヤマハ)

Race 2 FL

Andy Muhammad Fadly(2分24秒149/カワサキ)

REPORT

ARRC第5戦カタールラウンドが、首都ドーハ中心部から車で約30分、周囲を砂漠に囲まれたロサイル・インターナショナル・サーキットにて開催された。今回は、日中が40度をオーバーする環境から、MotoGPに代表されるように、照明がコース全域を照らす中を走行するナイトレース。今大会も多くのライダーにとっては初のコースとなったが、地元のライダーがいないため、ほぼイコールコンディション。そして、過去4戦の経験と、日頃からのトレーニングの積み重ねにより、着実に成長を遂げてきたR25ライダーたちは、フリープラクティス、予選と懸命にマシンをプッシュ。特に予選では、#82 Ayumu Tanakaが3位でフロントロウ、#99 Galang Hendra Pratamaが5位、#45 Peerapong Boonlertが6位でセカンドロウを獲得するなど、多くのR25ライダーが上位で決勝を迎えることとなった。しかし、その結果とは裏腹にライバルのアベレージタイムは速く、決勝ではR25ライダーたちの苦戦が予想された。

Race 1
決勝レース1の開催は金曜日。日が落ち、少しばかり気温が低下する午後18時のスタートとなった。そのスタートでは、ランキング上位のカワサキ1台、ホンダ２台がトップ3を確保する。しかしR25勢は、#82Ayumu Tanakaを先頭に、#32 Muhamad Hasyim Zaki Adil、#99 Galang Hendra Pratamaがそのすぐ後方4・5・6番手につき、トップグループを形成する。そしてレースは、終始3ブランドのマシンが順位を入れ替える激しいバトルへ。このなかで、#82 Tanakaはトップを奪い、#32 Zaki Adilはこのレースのファステストラップ2分24秒233と、ベストスピードを叩き出すなどで、互角の走りを披露する。
特に勝敗のポイントとなる、最終コーナーからチェッカーまでのロングストレートでは、R25の高回転型エンジンがアドバンテージを発揮。確実にライバルたちを捉え抜き去るシーンを何度も見せた。
レースが後半に入ると、トップグループは徐々に絞られていく。#99 Galangが転倒でリタイア、#32 Zaki Adilもペースを落とし、残ったのはライバル3台と#82 Tanaka。その#82 Tanakaも終盤に離されるが、最終ラップには再びぴたりとトップ3のテールに張り付く。そして、最終コーナーを4番手で回ると、R25がストレートで速さ発揮。ライバル2台を抜き去り、2位表彰台を獲得した。
さらに、#32 Zaki Adilは今季最高の5位、#630 Sigit Purno Harjonoは、単独走行ながら安定して速いラップタイムを刻み6位入賞。7位争いでは、#127 Kasma Daniel Bin Kasmayudinが5台による接近戦に競り勝って7位をゲット。今シーズンからモーターサイクルレース参戦を果たした#28 Meng Xing Binが15位として初のポイントを獲得するなど、ライダーとマシンともに進化していることを証明するレースとなった。
併催されたUB130では、ヤマハライダーのMohammad Azam Omarが3位表彰台を獲得、SS600ではMakoto Inagakiが4位を獲得した。

Race 2
一夜明けて3日・土曜。決勝レース2は、今シーズン1番の混戦となる。スタートはライバル3台が上位を奪ったが、#82Ayumu Tanaka、#32 Zaki Adil、#630 Sigit、#45 Peerapong、#127 Kasmaが3台を逃がすことなく、8台のトップグループを形成してレースを展開。毎周順位が激しく入れ替わるなか、何人ものR25ライダーが、ある時はコーナーで、またある時はストレートでトップに立ち集団を引っ張っていく。なかでも、序盤は、レース1で2位表彰台を獲得し”優勝を狙う”と意気込む#82 Tanakaが抜群の速さでトップを走行する。
中盤に入ると、R25ライダーで最も若い15歳の#127 Kasmaが、グループの後方からポジションを上げてトップを奪い獲り、新たな主役としてレースを引っ張っていく。しかし、経験、実力を持ち合わせたライバルもこれに素早く反応。#127 Kasmaはライバルに押し出される形でコースアウト。グループ最後尾まで順位を落とす。ところが#127 Kasmaは、ここから再び順位を上げてくる。また#34 Imanuel Putra Pratnaが引っ張る第2グループもトップグループに追いつき、11台が表彰台獲得を目指して最終ラップに突入する。
そして混戦の最終ラップ、ここでの主役も#127 Kasma。最終コーナーをトップで立ち上がり、スリップを使われまいと、ラインを変えながらチェッカーを目指す。しかし、経験豊富なライバルが一枚上手だった。その差は100分の5秒、わずかにおよばず2位。それでも、ヤマハのアセアンライダーとして初めて表彰台獲得。そして、ヤマハチームは歓喜し、次こそはと、モチベーションを高めた。
UB130の決勝レース2では、大混戦を抜け出したヤマハライダーのAhmad Fazrul Shamが優勝、Mohammad Fareez Afeezが3位を獲得。SS600ではYuki Itoの6位が最高となった。

次回の第6戦（最終戦）は、今シーズン2回目となるタイのチャーン・インターナショナル・サーキットを舞台に、約2ヵ月後の12月4～ 6日に開催される。

RIDER RANKING

COMMENT

• Yamaha Factory Racing Indonesia
  #630 Sigit Purno Harjono(6位／DNF)
  「レース1は、ペースの遅いライダーに前を塞がれて、序盤でトップグループに離されました。そこから全力でプッシュしましたが単独だったこともあり、トップグループには届きませんでした。しかしレース2は、スタート後の1コーナーのアプローチを変えたことで、トップグループにつけることができました。トップグループでは、表彰台を狙える5番手をキープすることを心がけましたが、他のライダーと接触して転倒。このロサイルは高速コーナーが多く、R25のキャラクターにとてもあっていたので、本当に悔しいです。次のブリラムは低速コーナーが多く、簡単ではありませんが、ライバルと戦えるようセッティングを整えて臨みます」
• #34 Imanuel Putra Pratna(DNF／9位)
  「レース1は、残念ながら2周目に前のライダーと接触し転倒しました。レース2は最初、第2グループにいたのですが、走りのリズムがよく追いつけました。そこからは、とにかく1台ずつ確実に抜くことを心がけました。しかし、ライバルたちも手強く前にでることができず、マシンはストレートでのびることが分かっていたので、ラストラップで勝負しました。結果は9位思った順位まであげることができませんでしたが、今回の走りが自信になったことはまちがいありません。次ももう一度トップグループで走ること、そして、今度こそ表彰台に立ちます」
• Yusuke Koizumi総監督
  「今回は3人ともタイム、成績ともに良いところに持っていけました。マシン、ライダーともに完成度が高まってきたことがその要因。3人ともレース中にフロントロウに並べるタイムを出し、これまであまり経験していないトップグループを走ったことからもわかると思います。また、Imanuelはレース2、単独でトップグループに追いついています。Sigitもレース2で、スタートを決めてトップ集団でバトルしました。これらすべての点が評価できるし、ラストレースに向けて好材料になっています。後は勝負できれば、表彰台も見えてくるでしょう。ブリラムではなんとしても、このチームで表彰台をもぎとります」
• Yamaha Thailand Racing Team
  #45 Peerapong Boonlert(9位／4位)
  「今回の目標はトップ10に入ることでしたが、レース1は9位、レース2は4位と、目標を達成できたのでまずは満足です。そして、ここまで強さを発揮してきたホンダのライバル、カワサキのライバルたちとすごいバトルができたことはうれしかったし、経験として大きな収穫になりました。次のレースは、地元のタイ、ブリラムで行われます。今後はトップ10でもトップ5でもなく、表彰台を目指してがんばります」
• #14 Peerapong Loiboonpeng(14位／13位)
  「今回は、エンジンの調子があまり良くなく、残念な結果になってしまいました。特にレース1では100％のエンジンパフォーマンスを得ることができず14位。レース2はエンジン交換をして臨みましたが、やはり思うようなパフォーマンスに繋がりませんでした。今回は、消化不良のレースとなったので、最終戦のブリラムでは、なんとか上位に入れるようにがんばります」
• Theerapong Opaskornkul (Senior General Manager Sales & Marketing Support)
  「チームワーク、そしてライダーがこのレースに向けてとても良い準備をしてくれました。Loiboonpengのエンジンには少し不具合がありましたが、Boonlertがレース2で示してくれたように、マシンのセッティング、コンディションも良く、すばらしいレースを披露してくれました。ただ、３位に届かなかったのは残念です。次はタイでのホームレースなので、なんとしても表彰台に立てるようにがんばります」
• Yamaha Finson Racing
  #127 Kasma Daniel Bin Kasmayudin(7位／2位)
  「今回、初めて表彰台に立つことができました。まずチームスタッフ全員にありがとうと言いたいです。表彰台を獲得したレース2では、トップ集団とバトルができて本当にいいレースでした。レース中は他のライダーに接触され順位を落としましたが、その結果、”表彰台に立ってやる”という思いが高まりました。今回はとてもうれしいのですが、まだトップに立った訳ではありません。自国に帰ってまた練習し、次のラウンドに臨みます」
• #21 Brandon Paul Demmery(17位／19位)
  「レースでは、スタートが良かったので、前で戦えると思っていたのですが、残念ながらミスがあり順位を落としました。それでも、ライバルとバトルができたことで、また一歩前進することができたし、マシンも良くなってきています。次回は最終戦になりますが、今シーズン最高の結果を目指し全力を尽くします」
• Eddy Saputraチームマネージャー
  「Kasmaが初めて表彰台を獲得し、我々にとって本当にすばらしいレース結果となりました。これも、ライダー、チームの努力、そしてヤマハのサポートのおかげです。なかでもエンジン、サスペンションは大きく向上しました。今回の表彰台はこのどれがかけてもいけません。トータルで表彰台を獲得できたと思います。しかし、まだ満足はしていません。次のラウンドでは表彰台の中央に立てるよう、ベストな準備をして臨みます」
• Yamaha Yamalube KYT Tunggal Jaya Racing
  #27 Rusman Fadhil(11位／14位)
  「チームは、しっかりとマシンをセッティングしてくれましたが、結果の通り、僕の乗り方に合わない部分がありました。それでもレース1はそのまま乗りましたが、レース2はセッティングを変更。それが裏目に出てしまい、悪循環が続きました。これは、自分が合わせられなかったこと、また現状を把握し、最適なセッティングを行えなかったことが原因です。ブリラムでは、今回の悔しい思いを晴らせるよう、もう一度マシンを見直し、表彰台を狙います」
• #32 Muhamad Hasyim Zaki Adil(5位／7位)
  「今回はチームがマシンを徹底的にセッティングしてくれました。それが自分にぴったりとフィットしたことで、トップグループで戦うことができました。自分自身についても、スーパーモトで練習をし、マシンコントロールについては、アドバンテージを持って戦うことができたことも大きなプラスでした。しかし両レースとも後半はグループの上位にからむことができませんでした。実は国内のレースで転倒し、膝の骨にひびが入っていたため、後半になると痛みでペースが落ちてしまったのです。今回は、表彰台が見えましたが、もう一度努力し、次こそは表彰台に立ちます」
• Rudynanto Widjayaチームマネージャー
  「今大会に向け、休日も返上しエンジンを徹底的に整備し、またセッティングを行ってきました。Fadhilには合わなかったようですが、Zakiはフィットしたことで今回の成績に繋がったと思います。次はホンダの本拠地であり、簡単ではないので、目標は5位以内とします。ただし、そのポジションでレースができれば、表彰台も狙えるはず。最終戦を楽しみにしていてください」
• YAMAHA MLT RACING YEAM
  #26 Li Zheng Pang(13位／15位)
  「まず予選の結果が良くありませんでした。それが大きなミスであり、昨日と今日の決勝に響いてしまいました。決勝レースでは、良いフィーリングで走ることができました。ただ、スタートが後方であったこと。ライバルたちと、非常に接近したなかでバトルとなったため、なかなか上手く順位をあげることができませんでした。最終戦のブリラムサーキットは、自分のフィーリングにあっているサーキットです。ここまでなかなか達成できなかったトップ10の壁をやぶることを目指してがんばります」
• #28 Meng Xing Bin(15位／20位)
  「レース全体としては、フィーリングは良かったです。そして1ポイントですが、ようやくポイントをとれたことは、チームのサポートに感謝しなければなりません。次は最終戦になりますが、できれば両方のレースでポイント獲りたい。そして、今シーズンの成長を示したいと思います」
• Louis Mokチームマネージャー
  「カタールサーキットは、チームにとって初めてのサーキットで、十分な情報を持っていなかったため、プラクティス、予選と厳しい結果となりました。しかし、レース1では2人ともに、良いスタートを切りポイント圏内でフィニッシュ。ただし課題はあります。Mengは第3グループ、Liは第２グループからの脱出です。それぞれがもう一つ前にいくには、さらなる改善、進歩が必要です。Liにはタイラウンドでなんとしてもトップグループに入ってほしい。というのも、今大会で、多くのヤマハライダーが進化し、カワサキやホンダのライダーとともにトップグループでレースをしたからです。上位を走るには、コーナリングのスピードが十分ではありません。そこを改善し、次はトップ10を目指します」
• TEAM YSK Korea
  #52 Lim Hogon (16位／17位)
  「今シーズンは、地元韓国で1000ccのR1を走らせ、このARRCでは、250ccでR25を走らせています。そのため、当初はその乗り換えに苦労してきました。しかし、今回で5戦目で混乱がなくなり、スムーズに乗り換えができるようになった。今回はポイント獲得にはまた1歩届きませんでしたが、そうしたことが結果に現れています。そして次回のブリラムは2回目のサーキットということで、モチベーションは高い。最後のチャンス、自分の持っているすべてを出してポイント獲得を目指します」
• #88 Minseok Baik(22位／23位)
  「簡単なことではありませんが、自分のなかではやはり、ポイントの獲得を目指していました。でも、結果の通り自分のタイムでは難しかった。そして、とても暑い環境下でのレースに苦しんだことも、こうした結果になった原因です。次は、すでに経験のあるサーキットです。まずは前回よりも良いタイムを出すこと。そして、最終戦ということで、今シーズン最高の成績を残したい。それが僕の目標です」
• Kibok Kuチームマネージャー
  「今大会に向けては、エンジンのパワーアップを目指し多くのモディファイを行うなど、十分に準備をしてきました。その結果として、プラクティスは良い走りができましたが、予選ではLimにトラブルがあり良いグリッドを確保できませんでした。それでも決勝は、ポイント獲得には届きませんでしたが、2人ともよくがんばった。次は、すでに経験のあるタイのブリラムです。さらに、今回の好走でモチベーションも上がっているので、なんとしてもポイントを獲得し、シーズンを終えたいと思います」
• Akeno Speed Racing
  #82 Ayumu Tanaka(2位／6位)
  「今回は、過去4戦と比べ、マシン、自分も最高の状態で臨みました。レースでは、マシンがストレートでアドバンテージがあると分かっていたので、トップグループについていけば、表彰台を狙えると考えており、レース1は予定通りの展開で2位。トップではありませんが、まずは表彰台に立てて素直にうれしかったです。逆にレース2は、トップで帰ってくることしか考えていなかったので、悔しさだけしか残っていません。次のブリラムは、第4戦で苦戦したように簡単ではないでしょう。それでもトップグループにつければチャンスはあります。なんとしても優勝でシーズンを終われるよう、全力をつくします」
• Koji Kobayashi(ヤマハ発動機 アジア支援担当)
  「予選が終わった段階では、厳しいレースになることを予想していました。多くのライダーがトップグループに入り、ライバルと互角の戦いを見せました。さらに両レースで表彰台を獲得。レースとは勝利が正義で、それ以下では喜べないし、喜んではいけないのですが、本当に良くがんばったし、これまでの彼らの努力が身を結びはじめたのだと思います。しかし、まだ2人が表彰台に立っただけで先は長い。次が最終ラウンドで残念ですが、次回も成長を見せてほしいし、優勝できるよう、我々もしっかりとサポートしていきたいと思います」