Round 4 2015.8.29 アジアプロダクション250

2日間で約2万8千人がアジア最高峰ロードレースを堪能
レース1では日本の#82Tanakaが5位入賞
レース2では地元タイの#45Boonlertが自己最高の4位を獲得

• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 

• 
• 
• 
• 
• 

RACE DATA

サーキット

タイ/チャーン・インターナショナル・サーキット

コンディション

ドライ

PP

Nakarin Atiratphuvapat(1分56秒889/ホンダ)

Race 1 FL

Apiwat Wongthananon(1分58秒437/ホンダ)

Race 2 FL

Takehiro Yamamoto(1分58秒623/カワサキ)

REPORT

ARRC、アジアプロダクション250クラス、シーズン後半となる第4戦タイラウンドが、バンコクから東へ車で約5時間、カンボジアと接するブリラム県にあるチャーン・インターナショナル・サーキットにて開催された。2014年に開設されたこのサーキットは、二輪ではスーパーバイク世界選手権が開催されるなど、アセアン有数の設備を有する。さらに地元サッカーチームのスタジアムも隣接していることから、ブリラムにおけるシンボル的な存在であり、地元の二輪ユーザーをはじめとする多くのファンが観戦に駆けつけた。
なかでもヤマハは、今年2月にV・ロッシやJ・ロレンソを迎えR3の発表会を同サーキットで開催。さらに、R1からR15まで幅広いラインナップでスポーツモデルの楽しさを広く伝える活動も行っており、ヤマハユーザーにはモータースポーツの聖地として認知されている。こうした効果もあり、大きな人気を誇るR3、そしてR15のユーザークラブの約400台が、バンコクをはじめブリラム周辺地域から参集。自身と同様のマシンでアジアトップレベルのレースでチャレンジするヤマハライダーたちへ応援をおくり、レースを楽しんだ。

Race 1
今大会も、前回の日本ラウンドに続き、土曜日に予選と決勝レース1、そして日曜日にレース2というスケジュールで開催された。チャーン・インターナショナル・サーキットには、この日だけで、約9千人のファンが来場。R3、そしてR15のユーザークラブも数百台が応援に駆けつけた。
過去3戦と同様、地元タイを除くほとんどのライダーにとっては走行経験のないコース。ハイスピードかつ難コースとして知られる第3戦の鈴鹿と比較して難易度は低く、各ライダーたちは素早くコースに順応しタイムを縮めていった。しかし決勝レース1では、序盤からライバルメーカーの地元ライダー2人が先行する。その後方に5台による第2グループが形成され、さらに少し遅れて、第3グループが出来上がりレースは進んでいく。
第2グループのR25ライダーは、日本の#82Ayumu Tanakaと、Yamaha Thailand Racing Teamからワイルドカード参戦となる#44Rathapong Boonlert。中盤までは一進一退のバトルが繰り広げられるが、後半に入ってライバルの1台が先行。これに、#82Tanaka、#44Boonlertもくらいつくが、他車も含めバトルはさらに激しくなる。そしてラストラップ、#82Tanakaは4番手で最終コーナーに突入するも、最後の勝負で順位を落とし5位でチェッカー。#44Boonlertは、初のARRCながら最後まで集団にくらいつき7位となった。
第3グループは、#99Galang Hendra Pratamaを中心としたヤマハライダーがレースを引っ張った。ここではR25同士でのバトルも激しく行われ、最終コーナーまで誰が先頭でゴールするか分からない状況。そして第2グループと同じく、最終ラップの最終コーナーで勝負が展開された。しかし、集団上位の3台が絡むアクシデントが発生、#99Galang、#630Sigit Purno Harjonoがこれで転倒してリタイアとなり、ヤマハでは地元タイの#45 Peerapong Boonlertが11位でフィニッシュした。
また併催のSS600では、序盤に順位を落としながら、後半に巻き返した#76Yuki Itoが5位を獲得。UB130は優勝こそ逃したもののマレーシアの2名が、2・3位に入り表彰台を獲得した。

Race 2
土曜日は約9千人の観客が集まったが、日曜日はこれを大きく上回り約1万9千人が来場。パドックエリアに設置された、各メーカーのファンブース、サーキットのあちこちで開催される様々なイベントを、アジア最高峰のレースとともに楽しんだ。特に、決勝レース2の始まる時間帯になると、グランドスタンドを多くの観客が埋め、各メーカーのライダーを応援。ヤマハ応援団も、タイの3選手を中心に、すべてのR25ライダーを大声援で後押しした。
決勝レース2は、地元ライバルメーカーのライダーら4名が序盤から先行し、その後方に10台を超える第2集団が形成される。しかもその中は混戦となり、テール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドが常にくり広げられた。また、密集するあまり接触、コースアウトだけでなく、転倒も発生。まさにサバイバルレースとなり、徐々に第2グループの上位も絞られていった。そして生き残った数台が、一団となって最終ラップに入り、最終コーナーで順位を決することとなった。
先にチェッカーを迎えた4台のトップグループは、最終コーナーで勝負をかけた一台がクラッシュ。第2グループの先頭集団にはR25ライダーの数名も残り、4位を目指してアタックした。そして地元の大声援を受ける#45Peerapong Boonlertが、この最終コーナーを制すると、ストレートを全開で立ち上がり、頭一つの僅差でチェッカーを受け、自己最高となる4位入賞。さらに、タイの#44Rathapong Boonlertが6位、インドネシアの#27Rusman Fadhilが7位、マレーシアの#127 Kasma Daniel Bin Kasmayudinが8位、そしてインドネシアの#99Galangが9位とトップ10に5名のR25ライダーが入った。このうち3名が10代となっており、4戦を経てヤングライダーが確実に成長していることを証明するレースとなった。
なおSS600では、レース1と同様に#76Itoがヤマハ最上位の4位を獲得。UB130では、インドネシアのライダーが3位表彰台を獲得した。

次回の第5戦カタール大会は、MotoGP世界選手権の開幕戦などが行われるカタール・インターナショナル・サーキットを舞台に、10月1～3日に開催される。

RIDER RANKING

COMMENT

• Yamaha Factory Racing Indonesia
  #99 Galang Hendra Pratama(DNF／9位)
  「レース1、レース2ともに混戦となり、最終ラップ、最終コーナーをどれだけ良いポジションで迎えるかがポイントでした。レースでは常にブロックラインを意識してポジションを守ることに集中しました。上手くいく時もあれば、失敗もあり、本当に難しいレースでした。レース1は、最終コーナーでマシンが安定する前にアクセルを開けてしまいハイサイドで転倒。レース2は1周目に他車と接触しコースアウト。最後尾まで順位を落としました。それでも9位でフィニッシュできたのは収穫です。次のカタールは初のサーキット。準備をしっかりとして、やるだけ。次こそは表彰台に立ちます」
• #630 Sigit Purno Harjono(DNF／13位)
  「満足できる結果ではありませんでした。両レースともトップグループから離され、レース1は最終コーナーで転倒。レース2も前のライダーが転倒し、それを避けるためコースアウト…　やはり集団で走るのは、とても大きなリスクがあります。またグループの先頭でゴールするために、集団の先頭から少し後ろのポジションをキープし、最後に勝負をかける作戦でしたが、他のライダーもその作戦をとっているため本当に難しいレースとなりました。本来であれば、集団から抜け出せるといいのですが、それも簡単ではありません。ただ、マシンのセッティングは、今回のレースを通じてさらに良くなっています。次のカタールは5位以内が目標、楽しみです」
• #34 Imanuel Putra Pratna(14位／15位)
  「マシンは確実に良くなっています。それでも僕が苦戦しているのは、一つは運、もう一つは自分の実力。努力もしているし、マシンも良くなっているのは確かですが、なかなか満足の結果を得られていないのが実際のところです。今回は集団でのバトルとなったので、一人一人を確実に抜いていくことを意識しました。タイムはよかったので上手くいくときもあれば、そうでない時もあり、前でアクシデントが発生してコースアウトすることもありました。レースは本当に難しいですね。カタールはR6で数回走行したことがあります。そのアドバンテージも生かし、次はなんとしても結果を残したいと思います」
• Yusuke Koizumi総監督
  「予選の結果が、決勝に大きな影響を与えてしまいました。3人ともにグリッドが悪く、決勝では良いスタートを切っても、上位が逃げて勝負ができなかったのです。その予選は、チームオーダーとして集団のなかで走らせてしまいました。スリップストリームを使ったタイムアップを狙った訳ですが、10数台がまとまって走る中ではタイムが十分伸びなかったのです。ライダーには、状況を見て指示を出すべきだったと反省しています。それでも決勝では、タイムも良く、気持ちも折れていなかったし、3人とも集団の中でととても勇敢に戦ってくれました。同時にとても有効なデータを収集してくれました。次のカタール、そして最終戦では、この経験を生かして上位を狙います」
• Yamaha Thailand Racing Team
  #45 Peerapong Boonlert(11位／4位)
  「予選が18位と不調に終わったため、レース１は全力で攻めたのですが、予選から決勝までの時間が短かく、セッティングを改善することができなかったこともあり、結果を残すことができませんでした。しかし、トップ10に入ることを目標としたレース2は、レース1の反省とチームからのアドバイス、そして多くの応援のおかげで自己最高の４位でフィニッシュ。目標を達成することができました。次のカタールは初めてのサーキットとなりますが、情報をしっかり収集し、それを意識して国内のサーキットで練習して臨みます」
• #14 Peerapong Loiboonpeng(DNF／11位)
  「レース1はスタートから、良いポジションを確保できたのですが、レース終盤にライバルに追突されてしまいクラッシュ…。アンラッキーでした。レース2はセッティングを変更。しかしコーナーで少しパワー不足を感じるところもあり、ちょっとずつ順位を落として11位。ホームレースで気合いが入っていたのですが、満足な結果が得られず残念です。次回のカタールに向けては、マシンのセッティングをさらに良くしていくこと。そして12周のレースとなるようなので、最後まで戦えるようフィジカルの強化をして臨みます」
• #44 Rathapong Boonlert(7位／6位)
  「初めてのARRC参戦ということで、とても緊張しましたが、最大限に集中して臨みました。レースではマシンセッティングが決まっていたのですが、ARRCの経験がなく、ミスもあったため、トップ集団には追いつくことができませんでした。それでも両レースともセカンドグループで戦い、ともにシングルフィニッシュできたことは、とてもハッピーです」
• Theerapong Opaskornkul Senior General Manager Sales & Marketing Suport
  「自国レースということでライダー、スタッフ全員が、好成績を残そうと強い気持ちをもって臨んでくれました。転倒などアクシデントもありましたが、３人とも気持ちを切らすことなく最後まで戦ってくれたと思います。特に苦戦したレース1後は、エンジンセッティングを見直し、レース2ではPeerapong Boonlert選手が４位と、我々が想定していた以上の結果を残し、応援に来てくれたたくさんのヤマハファンに、マシンの高い性能、そしてレースの魅力を伝えてくれました。そして、今回は多くのファンの皆さんに応援をいただきましたが、心から感謝します。ありがとうございました」
• Yamaha Finson Racing
  #127 Kasma Daniel Bin Kasmayudin(DNF／8位)
  「レース１は残念ながら開始から間もなくして転倒してしまいました。そのため、レース2は、なんとしてもトップ10に入ろうと、気合いを入れて臨みました。レースでは、自分をコントロールできたし、全体をマネージメントできて8位に入り目標をクリア。もちろん十分ではありませんが、有言実行できて満足です。ただし、好成績を残すには、もっと高いレベルのライダーになることが必要で、特にライディングスキルを向上しなければなりません。残りは2戦、最大の努力で上を目指します」
• #21 Brandon Paul Demmery(25位／20位)
  「この週末は、フリー走行で15番手につけるなど、ポジティブにすべてを進めることができました。チームのみんなもよく仕事をしてくれてマシンもとても調子がよく、決勝の結果は25位／20位だったものの、今の自分の状況を考えればまずまずの成績だと思います。次のカタールでは、20位以内、ポイント獲得を目標にもっとがんばります」
• Eddy Saputraチームマネージャー
  「レース1ではKasmaがアクシデントに巻き込まれリタイアとなりました。しかしレース2では、混戦のなか最後までしっかりとレースを組み立て、トップ10に入る8位という結果を残してくれました。これもヤマハのサポートのおかげです。次回のレースに向けても良い結果が出るよう引き続きがんばります」
• Yamaha Yamalube KYT Tunggal Jaya Racing
  #27 Rusman Fadhil(12位／7位)
  「レース2は7位でしたが、5位を目標にしていたので満足していませんね。その原因は、まだ完璧にマシンのセッティングができていないことです。第1戦からですが、特にマシンコートロールが完全ではなく抜かれることがあります。これは課題として今後も改善しなければなりません。次のカタールはUB130で一度だけ走行した経験があります。またカタールのコーナーは広いので、コーナーリングスピードが勝負になります。そこには自信があるので、5位以内、そして表彰台を目指してがんばります」
• #32 Muhamad Hasyim Zaki Adil(16位／14位)
  「レース1の序盤はよいポジションにつけていたのですが、途中からフロントブレーキに不安が出てしまいました。そのため集中することができず、また攻めることができずに順位を落とし、消化不良のままチェッカーとなりました。レース2については、ギアの選択ミスがあり、トップスピードを落としてしまいました。これは自分のミスですが、同時に今後のレースに向けて勉強になりましたね。カタールはR6で走行した経験があり、コーナーには自信があります。またカタールのライダーがいないことも大きなポイント。表彰台に立てると最高ですが、まずは自己最高の順位を目指します」
• Rudy Arianoチームマネージャー
  「レース2ではFadhilが7位と健闘しました。それでもまだまだ私たちが目指している順位には届いていませんし、まだまだできるという確信もあります。それを出し切れるように上手くサポートをしなければならないのですが、今回はセッティングなどでのサポートができませんでした。次のカタールは2人ともに経験のあるコース。これまでの戦いからも簡単ではないことは分かっていますが、目標となる5位を目指し、チーム一丸でがんばります」
• YAMAHA MLT RACING TEAM
  #26 Li Zheng Pang(15位／DNF)
  「コース自体は難しいものではなく、ラインもすぐに把握できました。レース1は良い位置につけ、それをキープしセカンドグループへ続くことを目指しました。最終的にはポジションキープにとどまりましたが、15位でポイントを獲得。レース2は約15台の集団でレースとなり、多くのマシンが接触するタフな状況でした。それでも良いポジションをキープできていたのですが最終ラップでライバルと接触し転倒。トップ10も狙えていたので残念です。次のカタールも初めてのサーキットですが、タイと同様、広いコースでハイスピードになるでしょう。ただ、今回の感触からトップ10を狙えると考えています。がんばります」
• #28 Meng Xing Bin(22位／18位)
  「レース全体としては、自分のフィーリングは良かったです。特にハイスピードコーナーのライディングは、ライディングスキルの向上もありうまく走れました。レース1は、結果に反して、自分の中ではアグレッシブに走行することができたのですが、レース2は、暑さ、そしてマシンのフィーリングが完璧ではなく第2グループについていけず、全体として納得できていません。次も新しいサーキットになりますが、ポイント獲得できる15位以内が目標です。体調を整え、いち早くラインを見つけ目標達成に向け全力を尽くします」
• Louis Mokチームマネージャー
  「比較的易しいサーキットであったこともありましたが、ライダーたちは常に努力し良い走りを見せてくれました。特にLi はレース1で15位を獲得し、レース2は転倒に終わりましたがトップ10も見えた通り、他のライバルたちに喰らいつき、プラクティス、予選をへて、着実に戦えるスピードとスキルを身につけました。次のレースでもおそらくLiはトップ15を狙えると思います。カタールに向けては、R25での練習もちろん、それぞれが国内のレースに出場しながら、体調を整えることになります。そしてLi はトップ10、Mengは15位以内を目指します」
• TEAM YSK Korea
  #52 Lim Hogon (23位／19位)
  「今回の目標は最低20位以内に入り、両レースでポイント獲得することでした。しかし予選を怪我で走ることができず最後尾からのスタートとなり、大きなビハインドを背負ってのレースとなりました。15位以内という成績は残せませんでしたが、最後尾からまた怪我のあるなかで、レース1は23位、レース2は19位を獲得できました。最後の第6戦もブリラムで行われますが、自信になったし、次はさらに良いパフォーマンスでポイントゲットを目指します。次のカタールも新しく大きなサーキットとなります、まずはコースについて学び、今回のようにマシンをプッシュしてポイントゲットを狙います」
• #88 Minseok Baik(DNF／25位)
  「韓国のレースで好成績を残し、心身ともに良い状態でレースを迎えることができました。しかし、実際はとてもハードな戦いになりました。まずレース1はクラッシュによりリタイア。ただしレース2では、成績こそ25位でしたが、コンディションもよく、チェッカーを受けることができたのは良かったです。次のカタールはナイトレースになると聞いていますが、今回以上にタフになると考えています。そして移動距離もあります。だからまずは体調管理を第一として、全力で戦えるように準備して臨みます」
• Kibok Kuチームマネージャー
  「毎回、まったく知らない新しいサーキットでレースをするということで、その環境に慣れること始まり、とても大変ではあります。また、データの収集を行い、それを分析してマシンのセッティングを行う訳ですが、短い時間の中でそれを完璧にこなすことも難しいと感じています。そのなかで今回も、ライダーたちはベストを尽くしてくれていますが、クラッシュなどがあり、さらに大変な状況に追い込まれました。次もレースに向けては、R25でのライディングを重ね、そして体調を整えて臨むことが大切です。そして、ポイント獲得を目指します」