2015 日本GP スペシャルサイト | ヤマハ発動機株式会社
YAMAHA

News

中須賀克行選手、日本グランプリ直前インタビュー
「集中し100%力を出し切る。それが僕のスタイル」


4年連続、4度目の日本グランプリ(MotoGPクラス)出場となる中須賀克行選手。昨シーズンまでと同様「開発ライダー」としてワイルドカード参戦となります。しかし、全日本選手権、鈴鹿8耐と常に「ファイティングポーズ」をとり続けてきた中須賀選手は、開発を意識しながらも、いつもの姿勢を崩すことなく、「100%の力を出し切る!」という思いで、世界へ立ち向かおうとしています。
国内トップライダーとして、またヤマハ60年の歴史に名を連ねる一人のライダーとして、日本グランプリに向けた思いを語ってくれました。

今年も日本GPへのワイルドカード参戦となりますが、まず率直な感想をお願いします。

「日本GPへは、今年で4回目の出場になります。レーシングライダーとしては、一発決めるぞという気持ちですが、世界の強豪が集うGPでは、スポット参戦ではなかなか上位にいけないのが現状です。それでなくても速くてタフなライダーたちが、日本GPまでに14レースを戦っていて、マシンもライダーも万全の状態でやってくるわけですからね。しかも、とくに今年は速いライダーがたくさんいる。バレ(バレンティーノ・ロッシ)やホルヘ(ホルヘ・ロレンソ)、マルク(マルク・マルケス)、ダニ(ダニ・ペドロサ)は別格だけれど、上位15人くらいのレベルがものすごく高い。だからポイント圏内の15位以内でゴールするのも苦労しそうです。もちろんヤマハファンのみなさんには活躍するところをお見せしたいという気持ちは強いですけどね」

日本GPではYZR-M1の開発ライダーとしての役割について教えてください。

「そうです。これも毎年のことで、テストパーツなどが組み込まれると思うのですが、そのデータ取りを行います。だから絶対に転べない。これは精神的にかなりハードなんです。開発ライダーではあるけれど、レーシングライダーでもあるわけで、いきたい気持ちをコントロールしながらのライディングです。なぜなら、安全圏で走っていたのではテストにならないからです。あくまでも限界走行をしながら絶対に転ばないというのが役割です」

開発ライダーとして常にYZR-M1に乗っていますが、テストとレースの違いとは?

「テストとレースは、まったくの別物です。テストの場合は、数周走ってはデータチェックのためにピットに戻るという繰り返しです。それに、一人で走る場合がほとんどです。レースだと、決められた周回数を常に集中力を高めた状態で走り続けなければなりません。当然ライバルがいるので、そこで駆け引きも必要になります。たとえばツーリングなどにYZR-M1を使えば、制御もしっかりしているし、素晴らしく良くできたマシンです。でも、いざレース領域で走らせると一般の人では扱えきれないモンスターマシンに変貌します。髙い集中力と限界域を超えた体力も必要になるので、1レースを戦うと体力面でも精神面でもかなり疲労します」

今年ヤマハは創業60周年を迎えましたが、日本GPに向け変わったことはありますか?

「まず、こうした節目の年に日本GPに出場できるのは、本当に光栄です。マシンはヤマハの創立60周年を記念した特別カラーで、黄色と黒になります。黄色は僕のラッキーカラーなのでとても気に入っています。まあ、ラッキーカラーだから速く走れるかと言えば、関係ないですけどね(笑)。でも、ヤマハファンの多くの人が憧れているカラーリングということなので、ぜひ注目してください」

今年は、鈴鹿8耐で優勝し、全日本でも前人未踏の4連覇に向けて快調ですね。

「鈴鹿8耐の優勝は、今でも夢のようですね。表彰台の中央からの景色は、本当に素晴らしかった。鈴鹿8耐で優勝経験のあるライダーから『すごいよ!』と聞いてはいたのですが、やっぱりすごかった。2012年のバレンシアGPで2位になって表彰台に立ちましたが、それに匹敵するか、それ以上だったかもしれません。全日本のJSB1000は、今年から新しいYZF-R1での戦いで、開幕から数戦は苦労した部分もありますが、チームスタッフがレース毎にうまくマシンをまとめてくれて、今ではいい状態で乗れています」

こうした活躍があるからこそ日本人代表で日本GP出場があるわけですか?

「その通りだと自分では思っています。マシン開発に関してもそうなのですが、全日本のJSB1000でチャンピオンを獲っているからこそ発言に説得力があると思っています。タイトルを獲ったことのないライダーが何かを言っても、説得力には欠けると思うんです。だからこそJSB1000でチャンピオンを獲り続けなければならないと思っていますし、そうした状態でYZR-M1の開発に携わり、そして日本GPにワイルドカード参戦するというのが、今の自分のモチベーションでもあります」

MotoGPクラスでロッシ選手とロレンソ選手が絶好調ですが、それについてどう思われますか?

「YZR-M1の開発ライダーとして、これは本当にうれしい。とくにバレやホルヘが、マシンのポテンシャルが上がっているとコメントが出るとうれしいですね。もちろんバレやホルヘの頑張りがあるから現在の成績があるのですが、そこに少しでも関わっている、少しでもサポートできているというのは、ステイタスでもあります」

今年の鈴鹿8耐でチームを組んだエスパルガロ選手とスミス選手とも再会できますね。

「これが一番の楽しみかもしれません。ポルとブラッドリーは、鈴鹿8耐以前にMotoGPのオフィシャルテストで顔を合わせてはいましたが、いろいろと話しをしたのは鈴鹿8耐が初めてでした。テストを行う毎に信頼関係が深まり、お互いをリスペクトし合う仲になりました。もちろんチームの一体感も高まって、これが優勝できた理由だと思っています。今では仲間というか、親友でもあります。鈴鹿8耐が終わって彼らが日本を発つとき、ポルが『日本GPには出場するのか?』と聞いてきたので『たぶんね』と答えたら、いきなりファイティングポーズをとってきたんです。こっちもファイティングポーズで応えましたが、今度はライバルとして戦うことになるので、これもまた楽しみなんです」

ファンへのメッセージをお願いします。

「自分の戦法は、JSB1000でもそうですが、とにかく集中して100%の力を出し切ること。これは日本GPでも同様です。最後まで絶対に諦めずに、一つでも上の順位を狙って、どん欲にプッシュし続けます。みなさんの期待はビシビシ伝わってきているので、とにかく最善を尽くして戦い、ファンのみなさんにとって、そして自分自身にとっても納得できるレースをしたいと思っています。応援よろしくお願いします」