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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.14 9月28日 アラゴン

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第14戦アラゴンGP
■開催日:2014年9月28日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/アラゴン(5.078km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:20度
■PP:M・マルケス(1分47秒187/ホンダ)
■FL:J・ロレンソ(1分49秒107/ヤマハ)

REPORT

地元スペインでロレンソが今季初優勝

第14戦アラゴンGPは、今シーズンで最もドラマティックな展開となった。モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソがライバルたちも悪天候もねじ伏せ、シーズン初優勝を成し遂げた。チームメイトのV・ロッシは正反対に、序盤で転倒リタイアとなった。

ドライ・コンディションでスタートした決勝。ロレンソはフロント・タイヤにソフト・コンパウンド、リア・タイヤにミディアムというコンビネーションを選択していた。好スタートを決めて1周目で4位につけると、続けて素早く3位に浮上。さらに前を走っていたA・イアンノーネが転倒したため自動的に2位へ。

ロレンソはレース・リーダーのM・マルケスの後方につけ、ファンが待ち望んでいたスペイン人ライダーの1-2を形成。コンマ5秒と離れない激しい競り合いとなったが、それも長くは続かず、8ラップ目の上りのセクションでロレンソが仕掛けてトップに浮上した。

3ラップ後の第1コーナー進入でマルケスが再びトップ。しかしその1ラップ後には、新たなライバルが出現することとなった。コースに雨粒が落ち始めたため白旗が提示され、ここからはウエット用マシンへの交換が許可される。しかし上位陣はそのまま走行を続け、残り9ラップでは、ロレンソが先程のマルケスと同様、第1コーナー進入で仕掛けて再びトップを奪い返すことに成功した。

さらに1ラップ後、コース上の雨の量が増えてきたためロレンソはややペースを落とし、次の上りが連続するセクションではマルケスとD・ペドロサに先行を許してしまう。雨はますます激しくなったが、トップ3台は危険なギャンブルを続けていた。そして残り4ラップとなったとき、ロレンソがついにピットに戻りマシンを交換。素早くコースに復帰してまた先を急ぐ。その一方でペドロサはストレートで転倒しており、ロレンソは自動的に2位に浮上。またトップを走るマルケスはマシン交換を行わない選択をしていたが、次のラップでウエット・コンディションの犠牲となり転倒。これでロレンソがトップに浮上し、そのまま真っ先にチェッカーを受けて今季初優勝を決めた。

チームメイトのロッシは好スタートから順調に順位を上げていたが、ダウンヒルのセクションではらみコースアウト。滑りやすい草の上で激しく転倒してしまった。一瞬、意識を失ったがすぐに回復。メディカルセンターでチェックを受け重大な怪我は見つからなかったが、念のため病院へ搬送して詳細な検査を行う予定。

ロレンソは25ポイントを獲得してランキング4位をキープ。3位のロッシに13ポイント差まで近づいた。ロッシは214ポイントのまま、2位のペドロサを3ポイント差で追う。

モンスター・ヤマハ・テック3のB・スミスが、ウエット・コンディションと戦いながら5位を獲得。ドライ・コンディションで始まったレースでスミスは、グリッド11位から素早くポジションを上げて上位陣を追いかける展開。ところが1ラップ目の終盤には、他のライダーとの接触を避けようとして20位まで後退してしまう。そこから再度、組み立てなおして挽回を開始。ペースを守ってコンスタントな走りを続け、5ラップ目までに11位に回復した。10ラップ目には10位に上がり、さらにS・ブラドルとA・バウティスタをとらえて8位。18ラップ目になってピットインを決断し、マシンを交換してからさらにひとつ上げて7位となった。22ラップ目にはチームメイトのP・エスパルガロを抜いて5位に上がり、このポジションをキープしたまま走りきって自己ベストタイの5位でチェッカーを受けた。1ラップ目の後退から数えれば、15台ものマシンをパスしたことになる。

一方のエスパルガロも、スミスに続く6位を獲得する大健闘。ウイーク初日から好調のエスパルガロは、決勝でもその勢いをキープ。オープニングラップではファクトリー勢のすぐ後ろの5位につけ、3ラップ目にはA・ドビツィオーゾにバトルを仕掛けて一時、4位に浮上した。8ラップ目にはコーナーではらむ間に7位まで後退したが、12ラップ目までにそれを挽回して再び5位へ。そして残り4ラップ、雨が激しくなるとマシン交換を行い、素早くコースに復帰して5位をキープした。残り2ラップでスミスに先行を許したが、その後のバウティスタの追撃を退けて6位を獲得した。

NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロが、ホーム・グランプリでMotoGPの初表彰台を獲得。難しいコンディションのなかで完璧なレースを展開し、2位でゴールに戻ってきた。オープン・カテゴリーのマシンで初めて表彰台に上ったライダーとして記憶されることになるだろう。

レース序盤、第3コーナーで他車に接触されたときにも非常に落ち着いていた。ラインを外して大きく遅れたが、ラップごとに着実に挽回し、後方から6位まで浮上。スリック・タイヤでスタートしていたエスパルガロは雨が降り出したあとも完璧にコントロールしていたが、残り7ラップで真っ先にピットインを決断。他のライダーたちは1ラップ遅れてマシン交換を始めており、このことが今回の成功のキーポイントとなった。エスパルガロはロレンソに続く2位、C・クラッチローが3位で続いた。シリーズポイントでは合計112ポイントとなり、ランキング6位につけている。

チームメイトのA・デ・アンジェリスも好調に走り切って12位。貴重なチャンピオンシップ・ポイントを獲得した。プラクティスの2日間はドライ・コンディションだったが、朝のウォームアップ・セッションでウエット・コンディションにも素早く慣れた。決勝はドライでスタートしたためスリック・タイヤを装着していたが、コンディションの変化に従ってマシンを交換してこの好成績を手中にした。2週間後の日本GPに向けて自信を深めている。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 J・ロレンソ Movistar Yamaha MotoGP Yamaha 44'20.406
2 A・エスパルガロ NGM Forward Racing Yamaha +10.295
3 C・クラッチロー Ducati Team Ducati +10.312
4 S・ブラドル LCR Honda MotoGP Honda +11.718
5 B・スミス Monster Yamaha Tech 3 Yamaha +29.483
6 P・エスパルガロ Monster Yamaha Tech 3 Yamaha +29.686
7 A・バウティスタ GO&FUN Honda Gresini Honda +29.763
8 青山博一 Drive M7 Aspar Honda +37.841
9 N・ヘイデン Drive M7 Aspar Honda +42.957
10 S・レディング GO&FUN Honda Gresini Honda +53.937
11 D・ペトルッチ Octo IodaRacing Team ART +59.824
12 A・デ・アンジェリス NGM Forward Racing Yamaha +1'00.718
13 M・マルケス Repsol Honda Team Honda +1'15.227
14 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda +1'24.526
15 Y・ヘルナンデス Energy T.I. Pramac Racing Ducati +1'38.255
16 M・ラバティ Paul Bird Motorsport PBM 1 Lap
17 M・ディ・ミリオ Avintia Racing Avintia 1 Lap
18 B・パークス Paul Bird Motorsport PBM 1 Lap
19 H・バルベラ Avintia Racing Avintia 1 Lap

LAP CHART

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 M・マルケス Honda 292
2 D・ペドロサ Honda 217
3 V・ロッシ Yamaha 214
4 J・ロレンソ Yamaha 202
5 A・ドビツィオーゾ Ducati 142
6 A・エスパルガロ Yamaha 112
7 P・エスパルガロ Yamaha 108
9 B・スミス Yamaha 87
18 C・エドワーズ Yamaha 11
22 A・デ・アンジェリス Yamaha 7

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Honda 329
2 Yamaha 264
3 Ducati 165
4 Forward Yamaha 117
5 ART 9
6 PBM 8
7 AVINTIA 6

COMMENT

モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(優勝)

「とてもクレイジーなレース。今まで勝ったことのないコースで勝ってしまった。しかも、ウイーク中ずっと問題ばかりだったというのにね。スタート、1ラップ目ともに順調。そしてマルクの後ろにぴったりとつけることができた。マシンもとても良く走ってくれて、逆にマルクのほうはプラクティスよりも少し遅い感じだったので、僕は遅れずについていき、1回か2回は前に出ることもできたんだ。そうなると問題は天候のほうだった。十分な自信が持てなかったので、慎重になり過ぎてライバルたちを先に行かせてしまった。そしてアンドレアが追いついてきたころには、3位か4位を争うことになるのだろうと考えていたよ。でも最後の最後に直感が働いた。ラップごとに雨が強くなってきていたので、転倒の危険も感じていた。マルクとダニが、最終コーナーでピットに入らずそのまま走行を続けるのを見て、“OK!”、そう思ったんだ。僕はリスクをおかしてもピットに戻る。そしてマシンを交換した。新しいタイヤを暖めるのは大変で、あまりグリップしてくれなかったが、ミスをおかさないように気持ちを集中した。ストレートを通過したときは4位だったので、かなり遅れてしまったと思ったけれど、次のラップにはいきなり1位になっていたんだ!僕自身、びっくりで、まったく予期していないことだった。ここまで長い間、苦しんできただけに、今回の優勝で気持ちがかなり和らいだ。勝利を誇りに思う」

M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談

「見事なレース展開。ホルヘはまったくミスをおかさなかった。正しいタイミングで正しい判断をしてマシンを交換。またスタート前にも、ドライ用のタイヤに正しいチョイスをしていた。すべてにおいて、彼は完璧に走りきり、この優勝を成し遂げたのだ。決断は素晴らしかった。一方のバレンティーノも転倒までは非常に好調だった。スタート前に彼は、我々が行った変更は完璧で、マシンは絶好調だと話してくれていた。それだけに本当に残念だ。転倒の原因はまだはっきりわからないが、その瞬間までは間違いなく、表彰台獲得の可能性を持って走っていた。幸い彼は元気そうで、メディカルセンターでチェックしたあと、さらに詳しい検査を受けるために病院へ運んだ。苦しかった金曜日から懸命の努力を重ね、ついには問題を解決してこのレベルにまで引き上げてくれたチームのみんなに感謝する」

M・ザサ談(クリニカ・モバイル)

「バレンティーノは脳震盪をこして意識を失った。神経学の検知からは、非常によく回復していると考えられる。さらに詳細に検査するためアルカニスの病院に搬送し、とくに頭部のCTスキャンによって出血などがないかチェックする。万一のことを考えて、これから何時間かは観察を続けるが、心配する特別な理由は今のところ見つかっていない」

B・スミス選手談(5位)

「素晴らしい結果。難しいコンディションが後押ししてくれたせいもあるだろうが、目標の5位を達成することができてうれしい。とても厳しいレースだったことは間違いない。でも最初でもしも20位まで後退していなかったなら、もっと上へ上がっていたかもしれないんだ。序盤は少しリスクをおかしてでもアグレッシブに挑んでいった。そして第5コーナーで誰かの、おそらくバレンティーノだと思うんだけど、そのテールに当たってマシンが起き上がってしまった。そして上りの左高速でウォブルが発生して、また別のライダーに突っ込みそうになってしまったんだ。それを何とか回避したら20位に後退していた。カルと同じタイミングでピットインを決断し、その時点では表彰台の可能性も考えていたよ。でも彼には心から祝福を贈りたい。僕のほうは5位獲得を喜んでいて、今回も頑張ってくれたチームのみんなに感謝している。次からはヨーロッパを離れてのフライアウェイ・レースが続く。そのなかでまたトップ6に入れるようベストを尽くす」

P・エスパルガロ選手談(6位)

「天候に翻弄されたアンラッキーな展開は今シーズンでもう3回目。本当に悔しいよ。アッセンではウイーク中ずっと速く、予選では順当なグリッドを確保していたが、決勝は雨。それから2週間後のドイツでも同じことが起きた。今回は少なくとも、決勝の半分までは強さをアピールすることができたけれど、残念ながらミスをしてしまい、また4位を奪い返そうとアンドレアを追っているときに雨が降り出した。僕よりも前を走っている、より経験豊富なライダーたちの戦略にそのまま従おうと決心したが、それは明らかに間違いで、次第に遅れていってしまったんだ。あと数分でもドライ・コンディションが続いていれば、まったく違う結果になっていただろう。そう思うと本当に悔しい。でもこれがレースというもの。次の日本でまた頑張るだけ」

H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック 3、チームマネジャー談

「ふたりが5位と6位に入り、チームの今季のベスト・リザルトと並んだ。我々としては非常に満足な結果と言っていいだろう。昨日、天気予報を見た時点で、すでに不安を感じていたが、ライダーたちのほうはそれに見事に対処してくれた。今後のレースに向けて大きな自信になったことだろう。しかしながら、我々の心のなかには同時にほろ苦さも残っている。この悪天候のなかでライバルたちはどのような戦い方を選択したのか、そのことを考えれば、我々は今回、とても貴重な表彰台の可能性をみすみす逃してしまったのかもしれない。ただ、わずかに遅かった。ブラッドリーは1ラップ早くピットに戻り、ポルよりは良かったが、オープニングラップのミスがあったため遅れを取り戻すことはできなかった。ドライ・タイヤでのペースは素晴らしく、雨が降り出したばかりのころは、まだとても順調だっただけに残念だ。ポルのほうは、表彰台への道のりをひたすら走って行ったわけだが、依然としてデビュー・イヤーであることを考えれば、彼がベテラン勢に従おうとしたことも十分に理解できることだ。その結果、今回も非常に多くのことを学ぶことができたに違いない。このようなことから、本当ならもっと上を目指せたのだとしても、5位と6位は素晴らしい成績。次の日本でもこのように素晴らしいレースができるよう期待している。また同時に、あのような賢明な決断をし、今季初優勝を成し遂げたホルヘを心から祝福する」

NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(2位)

「モトGPで初めての表彰台に上った。最高の気分だよ。僕らはこのために、開幕以来、懸命に頑張ってきた。NGMフォワード・レーシングのチームのみんなに、そしていつも支えてくれた家族にお礼を言いたい。とても難しいコンディションだったが、序盤でスミスに接触されたことでますます複雑なレースになってしまった。19番手まで後退し、そこから挽回しなければならなかったからだ。残り7ラップで6位まで上がっていたが、雨が強くなってきたので、誰よりも先にピットインを決断した。それが完璧な作戦になったんだ。最終ラップでカルが追い上げてきているのが聞こえて、ストレートでは接触してきたが、懸命に守り切って2位でチェッカーを受けることができた。何よりも特別な、最高の結果だよ」

A・デ・アンジェリス選手談(12位)

「難しいレースだったけれど、とても良かったと思う。僕にとっては今季3戦目のMotoGPで、初めてこのような状況に立ち向かわなければならなくなった。ドライ・コンディションでスタートしたが雨が降り出し、しかもどんどん激しくなった。ピットに戻ってマシンを交換しなければならず、このようなことも僕にとっては初めての経験だったんだ。かなり混乱したが、全体的にはとても満足できた。オープン・カテゴリーのマシンとバトルして成長できたと思う。これは今まで目標にしてきたことで、それを今回、達成することができたんだ。アレックス(エスパルガロ)とそのチームの2位獲得を心から祝福する」

津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談

「ここアラゴンは我々が不得手とするサーキットのひとつですが、本当にタフな展開となった今レースで強い走りを見せてくれたホルヘが、彼にとっての今季初勝利、ヤマハにとっては今シーズン2連勝、開催5年目にして鬼門のアラゴン初勝利を挙げてくれました。バレンティーノもレース序盤のペースから好結果を期待できましたが、次戦に元気な姿で好結果を出してくれることを確信しています。シーズン後半になって、やっと彼等の本来の力を発揮することができるマシンになってきたと思いますが、まだやるべきことは山積みです。残りのレースでひとつでも多く勝てるよう全力で挑みますので、引き続きご支援・ご声援よろしくお願いします」

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